「楽しいなぁ!!あははははは…!!」
「よくも感情を取り戻す事を邪魔しようとしてくれたな!!」
演:山崎大輝
概要
(※この記事には第5章「タイムトラベル/ナーガ奪回」編の核心部分が書かれています)
Space.26にて、アキャンバーの策略で感情を手に入れたナーガ・レイが悪に堕ちた姿。
闇に染めたダークセイザブラスターとダークキュータマでヘビツカイメタルに変身する。
黒と紫を基調としたマントを纏い、右頬には黒い紋章が入っている。
また変貌した瞬間だけだが、瞳や舌も蛇に近くなっていた。
確かに明確な感情表現が出来る様にはなっているが、情動が希薄であっても思いやりに溢れていた以前のナーガと異なり、自身の欲望と快楽を優先する暴力的な性格に成り果て、言動も喧しく粗暴な言葉遣いが目立ち、「実は感情が無い事を馬鹿にされていたのでは」という猜疑心・羞恥心・劣等感・焦燥感で溢れた躁鬱状態の精神を「感情を手に入れた喜び」だけで支えているような危うさが滲み出ている。
ちなみにツルギ曰く「かつてのヘビツカイ座星系の人間も感情を持っていたが、その所為で争いが絶えなかったため種族全体の感情を封印するという選択を取った」らしいが、これがヘビツカイ座星系人本来の気質であるかは不明。
闇堕ちの経緯
Space.25での惑星トキの一件以来、ナーガは自分に感情がない事に焦りを覚え、一刻も早く感情を手に入れたいと考えていた。
ハミィからは「バランスにくっつきすぎ!自分で考えて色々チャレンジしなさい」と励まされたが、ナーガはそれでもどこか納得がいかない様子だった。
その後アキャンバーが現れ人々の感情を無理やり引き出した為、バーベキュー会場は色んな意味で阿鼻叫喚な事態に陥る。
当然キュウレンジャーは戦闘に入るが、既にナーガに目をつけていたアキャンバーはナーガを誘惑した。
「貴方の中にはすっごい感情が眠っている」
「アナタの感情、解放してみない?私にはそれが…できる!」
アキャンバーは一旦退いたが、感情を手に入れたいナーガにはその言葉が重く響いており、ついにはハミィの制止も聞かずにアキャンバーの元へ一人で向かってしまった。
そしてアキャンバーの力によって笑う自分・泣く自分・怒る自分の幻を見せられたナーガは、感情を得る為だけに自らの意思でアキャンバーについていく事を決意、アキャンバーの力で姿まで変貌してしまう。
ラッキーやハミィの必死な呼びかけにも応じず一蹴すると、そのままアキャンバーと共に姿を消していった…。
一方、オリオン号をタイムマシンにする作業に没頭しており、この一件を後から知る事になったバランスは大切な相棒を取り戻す為に現代に残る決意をする。
「自分で考えて行動する」という言葉が結果的にナーガを後押ししてしまったことを悔やむハミィ、BN団とは何だかんだで一緒にいることが多いラッキー、バランスと仲の良いガル、そして小太郎の4名もそれに同調し、この5名でナーガの奪還・説得に向かう事になった。
バランスとの対立
ナーガが感情を手に入れたい理由に「皆と泣いたり笑ったりしたい」というのが出てきたが、もう一つ見過ごせないのが「感情が手に入ったらバランスが喜ぶ」という理由。
つまりナーガとしてはバランスに喜んでもらう為もあって自らアキャンバーについていった事になるが、他メンバーはもちろんバランスも闇に堕ちてまでナーガに感情を得てほしくないと考えている可能性が高い。
とはいえ、今のダークナーガにはラッキー達の事も「ホントは俺の事バカにしてたんだろ!」と歪んだ視点でしか見えていない以上、バランスの言葉が届くかはわからない(「闇に墜ちてまで感情を得てほしくない」というラッキー達側の思いが「自分の選択を否定されている」とも受けとれてしまう状況になっているのが、事態をより複雑化させている)。
仮にダークナーガとバランスがタイマンで挑む事になるとしたら、かつて起きた悲劇の再来になるかもしれないと危惧されていた。
そして、そのシチュエーションはSpace.28において実現。
「ナーガの心を取り戻すには“痛み”を与えなければならない」とアキャンバーより告げられたキュウレンジャーはナーガを攻撃するかどうかの選択肢を突き付けられるが、ダークナーガを抹殺する為現れたエキドナとの邂逅を挟んで悩んだ末にバランスがそれを実行、自分諸共ナーガを攻撃、“痛み”を分け合いながらも相棒を救うという手段に出た。
結局“痛み”を与えれば元に戻ると言うのはアキャンバーの嘘でありナーガと仲間達の間の亀裂は深くなってしまうが、共に傷を受けた事でバランスとナーガは致命傷を免れ、互いに次の機会(抹殺する/元に戻す)を窺う事となった。
闇は蛇に戻り、新たな力となる
過去組が現代へ帰還したSpace.31において、ガルと小太郎を捕らえたダークナーガはそれを人質にバランスを誘い出して今度こそ始末しようとする。
それを抹殺する事で止めようとするエキドナすら物ともせず返り討ち、それへ割り込む形で仲間達と姿を現したバランスをラッキーごと追い込んで撃破してしまう。
狂喜するダークナーガだったが、実は撃破される寸前バランスはラッキーと共に自分が改造したケンビキョウキュータマの力でミクロ化、そこからウサギキュータマの跳躍力によりナーガの体内に入り込み彼の脳内へ向かっていた。
バランスは以前アキャンバーが感情を暴走させたナーガ以外の人々を徹底的に調べており、その結果アキャンバーが感情を暴走させる仕組みが人々の脳内に小さいインダベーを送り込み感情を刺激させていた事によるものと看破し、それを断つ為の準備を整えた上で仲間達の協力を借りたのである(小太郎とガルは別ルートからスティンガーに救出された)。
ラッキーとバランスがナーガの脳内を進んでいくと、感情暴走の元凶であるミクロツヨインダベーと、奴により封印された本来のナーガを発見。
ナーガの心を解放しようとするがミクロツヨインダベーの力でダークナーガがナーガの脳内にまで現れ、全力で動けないバランスを痛めつける。バランスの言葉を聞いても「イライラする」という反応しか返さないダークナーガの正体は、ナーガの“怒り”の感情が歪んだ形で増幅された化身であった。
やがて自らの怒りが制御できなくなり暴走を始めたダークナーガは、あろうことか封印されたナーガの本体=自分自身にキューシックルを振り下ろす暴挙へ走るが、それを庇ったバランスに阻止された。
ボロボロになりながらも訴え掛けるバランスや、ナーガの体外より語り掛けるハミィを始めとした他のキュウレンジャーの叫びに呼応し、遂にナーガの本来の心が復活。
「お前の感情…俺はわかる。でも…俺が欲しい感情はそんなんじゃない!!」
「俺が欲しい感情は、これからも、バランスや仲間たちと一緒に手に入れていくんだ…!!」
「だから……お前は消えていいんだ…」
そうしてナーガが振るうキューシックルの一撃でダークナーガは霧散し、ナーガの本来の心と一体化する。そして外の世界のダークナーガも、ナーガ本来の姿を取り戻した(なおダークナーガは消滅した訳ではなく、本来の姿であるナーガの“怒り”の感情に戻っただけである。それを示すかのように、霧散後に生まれた光はナーガの中に帰っていった)。
そして一時的だが自らの“怒り”の感情と共に行動したナーガはそのコントロール法を体得。
彼の元には実質の強化変身アイテムと化したダークキュータマが残り、その力でチェンジする正義のヘビツカイメタルはナーガ、及びキュウレンジャーの新たな力となったのだった。
この時ジャークマター側で行動していたことが元で、ナーガはドン・アルマゲの本拠地を掴むに至っている(後にバランスに自身の脳内を調べて貰った)。
ナーガ自身にとっても今回の件を経たことは大きく、キュウレンジャーに復帰してからは感情表現以外にも精神面・情緒面で進歩が見られるようになっている。
最終的には姿を消したダークナーガだが、彼もまた曲がりなりにもナーガ・レイの一部にして成長を担った存在であり、本来のナーガにある程度理解され還っていったことで浮かばれたのではないだろうか。
余談
元々当初の予定には無かったキャラクター。
急遽ヘビツカイメタルの登場が決まったことで(おそらくダークセイザブラスターをプレバン展開する販促上の大人の事情)、山崎大輝氏が演じるナーガの姿から「間違った感情を手に入れる」ダークナーガ編の構想が成立したことが「アルティメットビジュアルブック」や公式読本で語られた。
当の山崎も(役者の目標として)前々から悪役を演じたかったと語っており、「ジャークマター側にとってもやばい奴が来て、キュウレンジャーも引く程の感じ」として、完全に悪に振り切って今回のダークナーガ役を演じたとのこと。
関連タグ
宇宙戦隊キュウレンジャー ナーガ・レイ 闇堕ち アキャンバー
キンジ・タキガワ:敵より力を植え付けられて同等の存在になりかけたが、仲間達との絆や師の言葉で克服、植え付けられた力を自らの物とした戦隊ヒーロー繋がり。