「間もなくチキュウは、ゲース・スターの衝突によって消滅する。そして私は、破壊神ケルベロスを手に入れるのだ!」
演・CV:田村亮(ロンドンブーツ1号2号)/スーツアクター:清家利一
データ
役職/ジャークマター独立部隊・隊長
出身/惑星ナンスカ(フウチョウ座系)
身長/182cm
体重/69kg
装備/ゲース・スター、ゲースナイパー、ゲースカリバー
分類/人型宇宙人
概要
『宇宙戦隊キュウレンジャー THE MOVIE ゲース・インダベーの逆襲』に登場する怪人。
宇宙幕府ジャークマター独立部隊・隊長にして、惑星破壊用巨大彗星兵器『ゲース・スター』の開発者。一人称は『私』、二人称は『汝等(うぬら)』。直属の部下に、高級クラス戦闘疑似生命体兵士であるカール・インダベーとオーモ・インダベーを従えている。
軍帽と軍服を連想させる赤紫色の鎧を身に纏っている。武器は必殺斬撃を放つ蛮刀『二重剣ゲースカリバー』と、タテキュータマのバリアをも撃ち抜くハンドガン『二連銃ゲースナイパー』。両方とも攻撃がヒットする度に威力が倍化する機能を持つと言う。
「独立部隊」の名の通り、特定の支配星系に属さずに単独行動が出来、自身の独自判断で反乱分子を処罰する権限も有する地位に就いている。その立場と自ら開発したゲース・スターの力で、これまで数々の惑星をジャークマターに反抗する者ごと破壊してきた、宇宙のゲス野郎。
ゲース・スターを惑星チキュウに衝突させ破壊し、宇宙の破壊神・ケルベロスの力を手に入れようと企む。そのついでに、チキュウの全てを事実上の人質としてキュウレンジャーを誘き出し抹殺しようと狙うも、その中でもリュウコマンダー=ショウ・ロンポーとは因縁があり、激しい恨みを抱いている。
※以降は映画の重大なネタバレがあるので、閲覧要注意。
「かつての私の名は、ホイ・コウロー。ショウと同じリベリオンの戦士だったのだ」
その正体は、かつての反乱軍リベリオンの戦士にしてショウの相棒、ホイ・コウロー。マスクの下の素顔は、右目に傷を持つ短い金髪をした人間型宇宙人。ショウからは“ホイピョン”と言う愛称で呼ばれていた。フウチョウ座星系・惑星ナンスカ出身。
元々は、ショウと共に破壊神ケルベロスの事を研究していたが、ケルベロスの力に惹かれその力を悪用しようとし、それを危ぶんだショウによりリベリオンから追放された。その後は、ショウへの恨みを胸にジャークマターに忠誠を誓い、今の地位を手に入れる(因みに、右目の傷跡は追放された段階ではまだ無かった)。
そして、ゲース・スターによってチキュウを破壊し、かねてよりの願いだったケルベロスの力を手に入れ、“冥王”になろうと企む。更に言い回しからして、ケルベロスの力でジャークマターへ謀反を起こす事も考えていた模様。
その為なのか、カロー並みの権力を得ていると思われているのに権力層の証であるキョダインロウを身に着けていない。
活躍
チキュウ近海の宇宙空間へゲース・スターを出現させ、およそ72時間余りでチキュウへ衝突する様にしてジワジワと侵攻を開始する。当然それを黙って見ていないキュウレンジャーと交戦、特に自身との因縁を察知して単身乗り込んで来たショウ・ロンポー/リュウコマンダーには自ら直々に撃って出る。そしてゲース・スターの圧倒的な戦力に殆ど歯が立たないキュウレンジャーを傍らに、ショウを変身解除へ追い込んで生身になった所を銃撃。これで腹部を負傷したショウは体勢を崩して宇宙空間に放り出されてしまう。
ただし、ショウとのやり取りはオリオン号に残ったラプター283が傍受しており、それを聞いたキュウレンジャーはゲースの次なる行動を察知。加えてゲースがショウに致命傷を与え宇宙空間へ放り出してしまった結果、キュウレンジャーを一目散にゲース・スターの防衛網上より撤退させる理由を作ってしまってもおり、結果あまり消耗していないキュウレンジャーがケルベロス座に渡ったゲース達独立部隊を追って出現する事態の遠因にもなった(※仮にショウを捕縛してゲース・スター内に監禁でもすれば、キュウレンジャー側の勝利条件をより厳しく出来ていただろう)。
上の光景を見届けてショウが死んだと確信。今度は破壊神を復活させるカギ、ケルベロスストーンを手に入れるべく側近二人と共にケルベロス座へ自ら赴き、自身は惑星ドーベルへ降り立つ。
だが一足早く到着していたスパーダと怪盗BN団がケルベロスストーンを手にしていたので交戦、3対1でありながらも一方的に圧倒して変身解除させる。直後にラプターからスパーダ達への通信を聞き、キュウレンジャー側にもケルベロスストーンが渡ったのを知った上で自身の正体へ疑問を持ったスパーダに対し、ヘルメットを取り素顔やショウとの因縁を暴露。3人が動揺した隙を突いてゲースナイパーで強烈な一発を撃ち込み、咄嗟にスパーダが使ったタテキュータマのバリアを破壊。3人を吹き飛ばし、自身の元へ飛んで来たケルベロスストーンを奪取。チキュウでお互いのケルベロスストーンを奪い合おうと告げて撤退する。
「来たな。私はチキュウを破壊してケルベロスを手に入れ、“冥王”となる。 汝等はここで、チキュウと共に滅ぶがいい!!」
そして側近達と共にチキュウへ降り立ち、キュウレンジャー9人と決戦。途中で佐久間小太郎/コグマスカイブルーがキュウレンジャーへ加勢するも特に意へ介さず、ゲースカリバーを振り回しての一撃で圧倒した上にゲース・スターからの援護でキュウレンジャーへ電撃を浴びせ変身解除させ、更にその余波でキュウレンジャーが手放した最後のケルベロスストーンを確保してしまう。
そして動けなくなったキュウレンジャーへ止めの斬撃を放とうとするが、直後に死んだ筈のショウが出現。リュウツエーダーの銃撃で出鼻を挫かれてしまう(※直後のショウの発言からして、鳳ツルギに助けられていた模様)。この予想外の事態にゲースは逆上、恨みの炎をより強く燃やす。
ショウ「それに、奴を止めずに死ぬなど出来ん。 なあ、ホイピョン!」
「その名前で呼ぶな!! ここで汝等が死ぬのも、チキュウが滅ぶのも、全ては貴様の裏切りのせいだ!私の恨みを買ったことを後悔しろ!」
だがそれに対し、「古い恨みから逃れられないのは、お前が新たな希望を持とうとしないからだろ! お前の復讐なんかに、希望が奪われるなんて、絶対に許さない!!」と啖呵を切ったラッキーの言葉を皮切りに闘志を取り戻したキュウレンジャー11人はスターチェンジ、ゲース達へ一斉で向かって来る。
そしてその勢いに負けた側近達が各個撃破されるのを尻目に、ゲースはコマンダーとシシレッド・サソリオレンジ・オオカミブルーと交戦。だが自身もキュウレンジャーの勢いへ押され気味で今度は自らが追い込まれてしまう。そして程無く、側近達を倒し合流したキュウレンジャー11人からキュウレンオールスタークラッシュを喰らってしまう。
「こうなったら、地獄を見せてやる! いでよ!破壊神ケルベロォォォス!!」
だが、咄嗟の防御で致命傷は免れるも、一転して追い詰められたゲースは集めたケルベロスストーンを組み合わせて破壊神ケルベロス=ケルベロスボイジャーを目覚めさせてしまう。
そのケルベロスボイジャーが町を攻撃し始めたのを止めるべくキュウレンジャー10人がキュウボイジャーを繰り出した一方、ゲースは今度こそ恨みを晴らすべく単身その場へ残ったコマンダーと一騎打ちを繰り広げる。
やがてツルギの協力を経てケルベロスボイジャーを制御したキュウレンジャーがケルベリオスを完成させたのに対抗し、倒れたオーモに命令してヒカエオローさせ、足止めの為に巨大化させる。
コマンダー「今度こそ決着をつけよう!」
「笑わせるな! こうなった以上、地獄へ道連れにしてくれる!!」
そしてそこから間を置かずに起こった、ケルベリオスがゲース・スターと同等のサイズへ超絶巨大化すると言う超ド級の光景を背景に、ゲースとコマンダーはお互い止めの一撃を撃ち合った。
ギガントホウオーに巨大オーモが倒されるのを遠目に、撃ち合いの結果はゲースが全力を込めて放った斬撃を、かつての迷いを振り切ったコマンダーのドラゴクラッシュが僅かに上回った事で、ゲースが致命傷を喰らって敗北。直後「さらばだ。ホイピョン…」と悲しげに語り掛けたコマンダー=ショウに対し、ゲース=ホイは、今現在のショウを認めるかの様に聞こえる最後の言葉を残し爆散・戦死した。
「まだ私を、その名前で呼ぶとは…。甘い、男だ…」
友と決別してでも冥王になる野望に生きた男は、独立部隊の「ゲース・インダベー」でも、リベリオンを裏切った「ホイ・コウロー」でもない、かつての友に「ホイピョン」と呼ばれつつ袂を分かった事を惜しむ情けを感じながら散る最後を迎えたのだった。
余談(※劇場限定ドラマCDのネタバレ含む)
演じる田村氏は元・正義の組織側の人間だった設定から、『いい人が何かのきっかけで悪に堕ちた』と言う解釈で演じるつもりだったらしい。しかし監督から完全な悪役でと言う注文を受け、北斗の拳のラオウを参考に人間味の事を考えずに演じたとの事。
映画ストーリーの主軸であるショウとホイの因縁は劇中で最低限しか語られないが、映画を公開している劇場ショップで限定販売されていたドラマCD、『ショウ・ロンポーの司令官はつらいよ』内で少し補完がされている。
それによると、かつてショウがリベリオンの司令官となった時にホイと親友になったらしく、その頃は一緒につるんで行動する仲だったとの事。だがそれ故にケルベロスの件で道を踏み外したホイを厳しく裁く事が出来ず追放と言う下手な温情、『甘さ』を見せた結果、親友はジャークマターへ与しあの様な姿へ成り果てた、と言う物。ビッグベア総司令の件もそうだが、ショウは長らくレジスタンスの一員であるが故の悔やみに悔やみ切れない過去を数多く抱えているのだ。
しかし、そんな自分の『甘さ』の象徴となっていた親友を自ら命を賭して止めた結果、その親友は『甘い男だ』とショウの欠点を認めたかの様な言葉を残して逝った。…上手くは言えないが、親友よりこの言葉を賜った事がショウに取ってせめてもの救いかもしれない。
モチーフは虎であると思われる。
アーマーの装飾部分は虎の縞模様を表現し、胸から腹部に掛けては虎の顔を模している。更にヘルメットのスリットはヒゲ、顔の通気口は鼻、顎の部分は牙と当てはめると猛獣の顔の様に見える。ここからお互いの力が五分五分で、実力がぶつかり合うライバル同士と言う意味の「龍虎」の通り、龍がモチーフのショウ司令と対照になり、二人が敵対関係でライバル関係である事にも繋がる。また、アーマーの赤紫色のカラーリングはショウのパーソナルカラーである青紫の対となっている。
一方、ミステリーモチーフは南米・ペルーの地表に描かれた巨大幾何学図形、ナスカの地上絵。
アーマーを走るラインに注目して全体を見ると、有名な図形の一つである『ハチドリ』が浮かび上がって来る。帽子の模様も『コンドル』の地上絵を逆さにした物である。
この地上絵は遥か高空からしか全容を確認出来ないが、その遥か高空=宇宙よりゲース・スターに乗って襲来した事からモチーフとして取り入れられた模様。
最終的に、ゲース達独立部隊に真っ向から挑み撃破したキュウレンジャーは、恐怖政治のデモンストレーションを打ち破った事でジャークマターに対し少なくないプレッシャーを与える事に成功。何よりもチキュウその物を守った結果、完全に救う事へ成功する(※チキュウ各地に居た数え切れない数のダイカーン達は、ゲース・スターの衝突から逃れるべく管理していたモライマーズを放棄して宇宙へ逃げたと思われる)。
この映画の直後と推測されるSpace.26では、キュウレンジャーは過去の世界に赴く準備を進めチキュウの描写が極端に減るのだが、どうやら独立部隊との戦いに勝ってチキュウを救った事で後顧の憂いが無くなり、宇宙を救う為にジャークマターを倒す手がかりを探す態勢へキュウレンジャーが移れたのを現していた模様。
関連項目
スコルピオ(キュウレンジャー):ゲースと同じくチキュウ破壊任務の裏で謀反を目論んで、その為にキュウボイジャー(アルゴ船=ギガントホウオー)の力を求めた。最終的に親しかった相手へ情を見せて逝った最後も共通する。
シンケンマル、ガブリボルバー:過去の戦隊が使っていた共通装備で、外見がそれぞれゲース・インダベーの武器とそっくり。
闇博士マーブロ、ドミドル、エルロック・ショルメ:吉本興業の芸人が演じた、劇場版戦隊作品のゲスト怪人繋がり。
ダース・ベイダー:恐らく元ネタと思われる。
ドン・アスラン:キュウレンジャー本編終盤に現れた、メンバーの身内を正体とした仮面の戦士。こちらはベイダーの前身をオマージュしている様子。
ドミドル→ゲース・インダベー→エルロック・ショルメ/ウィルソン(ルパンVSパトレン)