概要
とても美しい羽を持つ事で有名な鳥「フウチョウ(極楽鳥)」をかたどった星座。きれいな鳥なんだからさぞ華やかということもなく、一番明るいのが尾羽あたりの4等星(3.7等)で、あとの星も4~5等星である。
すぐ近くにあるみなみのさんかく座は2等星と3等星でできたそこそこ明るい星座なのに、三角定規にすら負ける風鳥の不憫さが際立つ。
オランダの天文学者が航海士との東インドでの観測記録をもとに描いたことが由来。ちなみにフウチョウの生息域はニューギニア島とオーストラリアの北東部で、インドにはいない。
見つけ方
天の南極に近い星座だが、直接見つけるのは難しいので、みなみのさんかく座の2等星アトリアを目印にするといいだろう。結構離れているがケンタウルス座の足元・アルファケンタウリからずっと南西を探すという方法もある。
ただし、日本からだと沖ノ鳥島で水平線ギリギリに「ふうちょう座ゼータ」という5等星が見えるくらい。
このためカメレオン座、テーブルさん座、はちぶんぎ座と共に日本からはまったく見えない星座のひとつと位置付けられており、他3つは沖ノ鳥島からも観測不可能。
逆に南半球ならば一年中観測可能な星座であり、北半球でのカシオペア座やおおぐま座といったものに相当する。
余談
- 学名
ふうちょう座の学名「Apus」はギリシャ語で「足がないもの」という意味で、かつて剥製標本として輸出される際持ち運びを楽にするために翼や足を切っていたのが由来。
ゴクラクチョウは言わずもがな、フウチョウ(風鳥)という名前自体、「風を餌にしているのでは?」ということでつけられた(実際は植物食寄りの雑食)。
ちなみに、フウチョウ科の学名は楽園に住むものという意味の「paradisaeidae(パラディセダー)」。先述の事情から「一生風に乗って飛び続けている天国の鳥」と信じられていた事が由来。
- インドの「とり座」?「みつばち座」?
17世紀初頭に書かれた星座の本「ウラノメトリア」ではこの星座が「インドのみつばち座」と紹介されている。
理由は単純なスペルミスで、これを書いたヨハン・バイエルという学者がApus(フウチョウ)をApis(ミツバチ)と間違えてしまい、「インドのとり座」とするつもりが「インドのみつばち座」になったのだ。
そのため絵は明らかに鳥なのに「Apis Indica(インドのみつばち)」と書かれており、きっとバイエルは赤っ恥だったことだろう。
関連タグ
つる座・きょしちょう座・くじゃく座・ほうおう座:南天の鳥の星座たち。いずれも日本では見えにくい
きりん座:誰かが綴りを間違えたのがそのまま広まった星座。
※Camelus(ラクダ)にするところをCamelopardalis(キリン)と誤記し、ラクダ座がキリン座になった
こちらは天の北極に近いことから日本のどこからでも観測可能で、一年中沈まない星座のひとつ。
→どちらもふうちょう座の聖闘士