概要
全天で最も見つけやすいオリオン座のすぐ隣にある大型星座であり、夜空で最も明るいアルファ星シリウスが鼻の部分に来ているため、非常に見つけやすい星座である。
オリオンのすぐ隣にいるため、オリオンの猟犬という扱いを受けることもしばしばある。
シリウスはオリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンと並んで冬の大三角、更にはふたご座のポルックス→おうし座のアルデバラン→ぎょしゃ座のカペラ→オリオンの足に当たるリゲルを通ることで「冬の大六角形」を形成する。
星座神話
鍛冶の神ヘファイストスはある日、全知全能の大神ゼウスに神犬「ライラプス」を献上した。これは猟犬として、狙った獲物は絶対に逃がさないという優れものである。ゼウスはやがてこのライラプスを人間に貸し与えようと考え、持ち主を転々とした果てにアテナイのケパロス王子の飼い犬となった。
ある日、アムピトリュオンという男がケパロスのもとを訪ねた。アムピトリュオンは祖国テバイが化け狐に荒らされ、食物や家畜を奪われて貧窮していると告げた。この化け狐は「何ものにも捕まらない」という運命を負っていたため、人間たちがどんな退治の策を講じても無駄だった。そこでケパロスから、「どんな獲物も必ず捕らえる」ライラプスを借り受けたのだ。
ライラプスは化け狐を見つけるとすぐさま襲い掛かった。しかし化け狐はどこまでも逃げ続け、ライラプスもそれを追っていずこへと消えていった。「どんな獲物も逃がさない猟犬」で「何ものにも捕まらない狐」を追い続けるので、このままではどちらかが運命に反することになってしまう。
それを見て哀れんだゼウスは、化け狐とライラプスを石に変え、命尽きるまで走り続けたライラプスの勇士を称え星座にしたという。
が、この後ゼウスはアムピトリュオンの妻に見惚れ、あろうことかアムピトリュオン本人に化けて彼女と夜を共にしてしまうのである。
そしてその十月十日後に生まれた少年は、後にヘラクレスと名を変え、ギリシア最強の英雄へと育っていくのだが、それはまた別の話。