概要
「テウメッサの狐」とは、ギリシャ神話に登場する牝狐の怪物。
表記揺れとしてテウメーッソスの狐、テウメソスの狐とも表記される。
何ものにも決して捕まらないという運命に定められた狐の怪物である。
一説によると豊穣神ディオニューソスが都市国家テーバイに災いをなすために育てた怪物だったといわれる。
ボイオーティア地方の都市国家テーバイの北東にあるテウメーッソス(テウメッサ)にすみ、里に降りると家畜や人間の子どもを殺し多くの街を荒らしていた。テーバイの人々はテウメッサの狐を退治しようとするが、「何ものにも捕まらない」という運命を持つが故に捕まえることができずにいた。そのためテーバイの人々は狐に生贄を捧げることで被害を抑えようとしていた。
この狐を退治するべく駆り出されたのが狙った獲物は決して逃がさないという運命を持つ猟犬ライラプスであった。
「何ものにも捕まらない」狐を、「狙った獲物は決して逃がさない」猟犬に追いかけさせたらどうなるか……明らかに矛盾している状況が発生してしまうのだった。狐は逃げ続け、猟犬は追い続け、それぞれの運命に従って追いかけっこが永遠に続くかと思われた。
だが、これを見かねたゼウスは、狐が捕まるのも猟犬が捕らえ損なうのも運命に反してしまうために両者を石に変えてしまった。
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こぎつね座:この星座を設定したポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスは、このテウメッサの狐の逸話を参照した可能性がある。