「あっ、ちょっといイカ? 俺、イカーゲンって言うんだけどさ、キュウレンジャー探してるんだよね。知らなイカ?」(Space.6)
「私はイカなる運命も予知することができる。君がどれだけ幸運だろうと私には通用しない」(Space.11)
データ
役職 | 刺客(キュウレンジャー担当) |
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出身 | 惑星クリスタルイカル(ミナミジュウジ座系) |
身長 | 193cm(ヒカエオロー身長:44.4m) |
体重 | 174kg (ヒカエオロー体重:400.2t) |
装備 | ゲソードライフル |
分類 | 軟体宇宙人 |
CV | 塩屋翼 |
スーツアクター | 清家利一 |
概要
Space.6から登場する宇宙幕府ジャークマターの幹部で、キュウレンジャー抹殺のために送り込まれた刺客。イカなる障害も完膚無きまでに排除する、宇宙のアサシン。
ミナミジュウジ座系惑星クリスタルイカル出身。
ドン・アルマゲの命を受け、相棒のマーダッコと共に千個以上もの惑星を滅ぼしてきた。
キョダインロウは服の左腰部分(烏賊の左エンペラ)に結び付けている。
クリスタル状の髑髏のような顔を持ち、烏賊のような触手が体の各所に存在する。また、顔以外にも両肩と両膝に同じ様な髑髏状のクリスタルが付いている。
血の気の多い相棒のマーダッコとは対照的に、飄々として少しとぼけた性格であり、イカモチーフのお約束で「イカ」と言う単語をあちこちに混ぜながら話す。スティンガーにキュウレンジャーの居場所を問おうと突っかかったマーダッコに「怒(イカ)っちゃイカんよ」となだめたり、取り逃がした際でも「まぁ、イっカ」と深追いをしない等、常に冷静沈着である(マーダッコの相棒になった理由の一つは、彼女の復活する度に人格が豹変すると言う都合に対し、飄々としていて他人に振り回され難いイカーゲンが適任とされた為か)。
だがそうした掴み所のない言動とは裏腹に、マーダッコとのコンビで千個以上もの惑星を滅ぼす程実力はかなり高く、キュウレンジャーが対峙した時には、ショウ司令が血相を変えて「出会ったら戦わずに逃げろ」と命令した程の危険極まりない相手。
武器はイカ足にも見える柳葉刀状の剣『ゲソードライフル』で、持ち手を変える事で銃としても使える。他にも青く光る力場を生じさせて上からのガレキ等を受け止めたり、袖先よりイカ足を伸ばして相手を縛り上げ振り回す芸当も出来る。更に隠し技として特殊なイカスミを大気中に散布する事で、機械をショートさせる強力なゲリラ酸性雨を降らせる能力を持つ。
しかし、イカーゲン最大の強みは一種の予知能力を持っている事であり、「お前のイカなる運命も、手に取るように分かる」と嘲笑しつつ、相手の攻撃を簡単に回避してしまう。このため、シシレッドの幸運でも通用しない。
その予知能力の正体はクリスタルイカル星人特有の視覚器官にある。イカーゲンはその器官が特に発達しており、上記の髑髏型のクリスタル部分や、胸の烏賊の目に当たる装飾の様な部分はおろか体中の吸盤の1つ1つが目で、その膨大な数の目とイカーゲン本人の戦闘センスにより瞬時に相手の行動を先読みして回避しており、それがまるで予知能力であるかの様に見せかけていたのだった。
それに加えて戦闘中、相手のトラウマを刺激する発言を繰り返す事で冷静さを失わせ、その動きを単調化させる心理工作も駆使している(※ラッキーもこの術中に嵌り掛けた)。それらをひっくるめた物を“予知”と嘯いており、ここから狡猾で陰険な本性が垣間見える。
元々は、劇中以前リュウバイオレットとして猛威を振るっていたショウを危険視したドン・アルマゲによってマーダッコと共に反乱軍リベリオン討伐に差し向けられた刺客。時間制限を持つリュウバイオレットを変身解除に追い込み、彼を庇った当時のリベリオン総司令官ビッグベアは自爆して果て、リベリオン自体も壊滅寸前に至った。
このためショウ司令とは仇敵同士であり、彼が変身した時も「その姿を見るのも久しぶり」と言っている。なお、彼の予知能力を以ってしてもリュウバイオレットの攻撃は躱しきれない模様。
もっとも、膨大な視覚情報を処理する頭脳と動かす身体への負担を考慮すると、味方と共に戦闘する時は同士討ちを避けるために注意を割かなければならず、敵の動きだけを見ている余裕は無いので連携の際は視覚能力をセーブしているとも考えられる。
逆を言うなら、視覚能力を全開にした先読みは一対多のシチュエーションが最も有効となり、単騎による無双戦法がイカーゲンの本領とも言える。
総合的に見ても武力や知力は勿論、それ以上に不測な事態にも飄々とした態度で冷静に立ち回れる精神性が厄介な為ジャークマターの幹部格では間違い無く屈指の実力を持つ。本人も自らの力量は自覚しているらしく、下手なカローよりも実力を持っているにも拘らず、立場上は上の存在であるカローに対しては無条件に傅かなければならない現在の地位へ内心不満があった様子。この事の裏付けとして、後に登場した彼の出身星系のカローの略歴も少なからず影響があった様である。
その為、キュウレンジャー抹殺が進まない事に痺れを切らしたアルマゲが新たなカローを派遣することを知って内心焦ったらしく、態度で焦りを隠しながら配下も引き連れず単身でフルメンバーのキュウレンジャーへ挑んだ事が彼の完全敗北する遠因となった。
※前述した推測からして、イカーゲン自身はこの状況を逆手に取って自身が得意とする一対多の状況へキュウレンジャーを誘い込んだとも取れる。だが一方で、頼みの視覚能力を潰された際の対応策を全く考えていなかったのも事実だった。
各話の動き
Space.6
キュウレンジャー抹殺の為マーダッコと共にチキュウへ来訪。当ても無く探し回っていた所をスティンガーと遭遇、冒頭の台詞を言った事で彼の案内によりどこかの空き地へ移動。
そこで自分がキュウレンジャーである事を明かし、外套を脱ぎ捨てジャケット姿となったスティンガー=サソリオレンジと交戦。しかし逆に相手を圧倒した為、不利を悟ったスティンガーがセイザブラスターで地面を撃って土を巻き上げ目くらまし、そのまま逃走される。
その後、キュウレンオーでモライマーズロボごとデンビルを撃破したキュウレンジャーを遠目から目撃する。
Space.7
ダイカーン・トゥーミーを誘き出して討伐しようとするキュウレンジャーの前に出現。乱戦状態に持ち込み圧倒するが、そのドサクサの中でバランスがトゥーミーに誕生日を奪われたためキュウレンジャーの作戦が失敗。直後に全員がキュウボイジャーを召喚したことで逃走、取り逃がす。
これを映像越しに見たショウ司令は過去のトラウマを思い出したらしく、一刻も早くチキュウから離れようと翌話で効率重視の作戦を実行する流れへ切り替えようとした。
Space.8
廃屋内で立体映像越しにドン・アルマゲと謁見。改めてキュウレンジャー抹殺の命を下される。
ホシガタ地区のモライマーズを一掃する『スターダスト作戦』が佳境に差し掛かった頃、スパーダ達が独断行動をした事を発端に分断したガル&ラプター283、スティンガーをマーダッコと共に強襲。3人を戦闘不能へ追い込んだ後、それを餌に残りのキュウレンジャーを誘き出して交戦、やはり圧倒して次々と仕留めて行く。
しかしキュウレンジャーを全滅させ掛けたその時、自身と因縁深いショウ・ロンポーが意を決して乱入。それがチェンジしたリュウバイオレットと対峙する。
Space.9
バイオレットの猛攻に晒されて防戦一方になるが、これは相手の弱点である時間制限を狙ったため。それが来て相手が変身解除されるや反撃に転じるが、先程仕留め損なったラッキー/シシレッドに妨害を受けたので代わりにスパーダを拉致して撤退する。
その後オリオン号のモニターをハッキング、自身が捕らえたスパーダを人質にキュウレンジャーを誘き出す脅迫放送を行う(※ショウに対しては「あ、偽物の方はイっカ」と言って当て付けた)。これに反応して単身ショウがスパーダを救出しに現れた為彼がスパーダを救い出した所で交戦。ここでもやはり時間制限へ付け込んで戦闘を長引かせ変身解除へ追い込む。
そのままショウを仕留めようとしたところで他のキュウレンジャーが現れて銃撃で吹き飛ばされるが、彼等9人とショウの絆、更に9つのチェンジキュータマの導きによりリュウバイオレットが10人目のキュウレンジャー、リュウコマンダーへと覚醒。それへ対し生き残っていたダイカーン・メッチャツヨインダベー、ムッチャツヨインダベー達を加えて交戦するも、ショウの変身後の時間制限が無くなったこともあり、一転して自分達が追い込まれた挙句マーダッコが倒される。直後に不利を悟り、僅かに残ったマーダッコの破片を回収。ヒカエオローで巨大化したダイカーン2人に後詰を任せて撤退した。
Space.11
マーダッコを復活させた上で、アンラッキー状態が続いて精神的に不調なラッキーと交戦。「宇宙一アンラッキーな男じゃなイカ」等と言ってラッキーを挑発、彼の冷静さを失わせつつ攻撃を加える。結果、いつもの余裕を失い動きに精彩を欠いたラッキーは無闇にイカーゲン・マーダッコに向かって行き悉く返り討ちに。更には仲間達がデスワームを倒した事でラッキーの元へ飛んで来たトモキュータマも、隙だらけの彼を攻撃して行動不能にした上で自分が回収した。
直後にラッキーを、佐久間小太郎/コグマスカイブルーが操作するコグマボイジャーに収容されて取り逃がすが、イカーゲンより身体の傷以上に精神を痛め付けられたラッキーの顔からは笑顔が消えていた。
Space.12
前回の交戦時、攻撃を回避する際にクリスタルが発光していたのを見たショウ司令が予知の正体に勘付き、それを確かめる為潜伏場所にスティンガー・ガル・ハミィ及び怪盗BN団コンビ(バランス&ナーガ・レイ)を送り込んでくる。これと交戦、ヘビツカイシルバーのオフューカスインパクトをいなす等いつも通りにキュウレンジャーの攻撃を躱し続けたが、ショウ司令の指示でナーガが使ったヘビキュータマでの攻撃を見切る為に自身の視覚器官を駆使した事で、それをオリオン号から観測していたショウ指令に見られ予知のカラクリを知られてしまう。更に役目を果たしたキュウレンジャー5人にもキュウボイジャーを召喚して逃げられた。
だが特に気にせず、程無く立体映像越しにドン・アルマゲからサソリ座系カローがチキュウへ来訪する事を知らされたのでマーダッコをそちらへ向かわせ、自身はラッキー以外のキュウレンジャー10人を一人で迎え撃つ。10人からの総攻撃も余裕綽々で躱し切ってから猛反撃、変身解除に追い込んだ上で自身の身体中にある目を見せ付け、目は10個だけだと思い込んでいたショウ司令達を絶望させて、自身の予知の正体を知っても無意味だと嘲笑する。
しかし、そこへショウ司令の励ましやガルの叱咤で立ち直ったラッキーが現れ、フタゴキュータマの連続使用で数十人に分身してイカーゲンを包囲。彼等が同時に放ったセイザブラスターの弾幕を全身に浴びて顔以外の殆どの目を潰されてしまう。
これにより大幅に弱体化し「目がイカれた〜!」と叫ぶイカーゲンを11人同時にスターチェンジしたキュウレンジャーは総攻撃。先程とはうって変わって一方的に圧倒された挙句、サソリオレンジの尻尾とコグマスカイブルーのコグマフラーを巻き付けられて投げ飛ばされる。
先刻までの余裕も消し飛び、この期に及んで「1人相手に11人で戦って卑怯だと思わないのか!!」と見苦しく抗議するが、「お前の相手は11人じゃない!俺たちは平和を願う全ての人たちの思いを背負って戦ってるんだ!お前の敵は宇宙に生きる全ての人。いや、宇宙その物だ!!」とラッキーに反論された上でキュウレンジャー11人が放ったキュウレンオールスタークラッシュを喰らい敗北。トモキュータマも奪取された。
だがまだ力尽きておらず、「こんなところで、死ねないじゃなイカ!」とヒカエオローを果たし巨大化。総出撃を果たしたキュウボイジャーが合体したキュウレンオー・リュウテイオーと対峙し、隠し技であるゲリラ酸性雨で2体の動きを鈍らせつつ袖口からのイカ足で相手を絡め取り2体同士叩き付ける等して圧倒、合体解除へ追い込む。
だが、合体に参加しなかったテンビン・ヘビツカイ・ワシボイジャーの攻撃により雲を払われ酸性雨を止められた事で相手は再合体。しかもその際、キュータマの導きでラッキーが更なる合体形態に気付いた為に8機のキュウボイジャーが合体、リュウテイキュウレンオーが完成してしまう。
それでも再び絡み取ろうとイカ足を伸ばすが、パワーが格段に上がった相手に根元からイカ足を引っこ抜かれた上で再び圧倒されてしまい、そこへ止めのオールスタースクランブルブレイクを喰らってしまう。
最後は、「これが私の運命か(うんめイカ)ぁぁぁ……!!」と言う断末魔を残して爆散・戦死した。
振り返ると、彼の敗因はエリードロン同様、キュウレンジャーの一網打尽に拘り過ぎた事だろう。
少人数のキュウレンジャーなら予知能力に頼らずとも一方的に抹殺出来る実力を持っていたのに戦闘不能に留めて仲間を誘き出す餌に使う、トラウマを持つショウやラッキーに心理工作を仕掛けても相手が味方の足を引っ張るのを期待し追撃を甘くして見逃した節があった等、イカーゲンがキュウレンジャーを追い詰める行動に微妙な手順の悪さがあったのは上の思惑から来る慢心があったからと考えられる。
しかし追い詰められても辛うじて仲間と共に場を切り抜けたショウやラッキーは、再戦の合間で自分のトラウマを見つめ直して克服、却って強くなる結果に。その彼らを中心に奮起したキュウレンジャーへイカーゲンは逆襲され、最終的に無双どころか一気呵成に押し切られる形で敗死へと追い込まれたのだった。
余談
モチーフはイカと中南米の考古遺物から発掘されたオーパーツの代名詞とも言える頭蓋骨模型、水晶ドクロ。更に名前には伝承で語られている巨大イカ・クラーケンも掛けられている。また、烏賊の目は自分の脳でも処理しきれない程不釣り合いに高性能であるらしく、これが能力の元ネタとなった様だ。
声を演じる塩屋氏は星獣戦隊ギンガマンのガーラガーラ以来、19年ぶりの出演となる。
また次回作の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』には塩屋氏の兄の塩屋浩三氏がリューグ・タマテバッコ役で出演している。
序盤の強敵格ながら、体感的な強さはキュウレンジャーの敵役で最強とも言われており、以降の幹部格は単純な実力より特定のキュウレンジャーメンバーとの縁故があるのを悪用、精神的に苦戦させる者が多くなる。
これは見方を変えると、アルマゲへの忠誠心があっても実力の有り過ぎる者は不穏分子候補の扱いを下されて出世の道を外され、別の不穏分子との潰し合いへ従事させられるジャークマターのブラックな人事実情を表しているとも取れる。また逆を言えば、イカーゲンに打ち勝った時点のキュウレンジャーは、ジャークマター全体では汚れ役でもある刺客と潰し合い生き残った不穏分子の一つ程度の認識でしかなかったとも考えられる。
後に鳳ツルギ/ホウオウソルジャーと合流し、最高幹部であるフクショーグンの一角を討ち独立部隊も壊滅させる結果を叩き出して以降、ジャークマター全体もキュウレンジャーを無視出来なくなったが、イカーゲンの様な実力者を冷遇して安易に潰し捨てた結果対抗馬を出せなくなり、以降の対策をジャークマター中枢部が直々に担当する羽目になった節もある。
結果的に、ジャークマター全体に警戒される以前でイカーゲンとぶつかって勝ち抜き、その経験で戦力面の質を一気に引き上げたキュウレンジャーは、ジャークマター全体から一斉包囲される危険を未然に防げたとも言えるだろう。
関連リンク
ショーグンの刺客(※実力面では並のカロー以上)
イカ娘、イカデビル、イカルス星人、イカカモネ議長:口癖が「~イカ」繋がり。ちなみにイカーゲンは「~ゲソ」とは言わない。
ノワール:イカーゲンの中の人が演じた、一時間後(後に一時間前)に出てくる、敵組織のボス。口調がどことなく似ている(?)。本編では、イカーゲンが倒されてから登場したため、一部のファンからは、イカーゲンの生まれ変わりかとの噂がある。
デスガリアン:前作の敵組織。破壊した星は地球で100個目になる筈だったので、イカーゲン達コンビはたった二人で彼らの十倍以上の星を滅ぼした事になる。
銀帝軍ゾーン:27年前の敵組織。こちらは地球が滅ぼす星の1000個目になるはずであり、彼等よりもイカーゲン達コンビは多くの星を滅ぼしている事となる。
※ただし、イカーゲン達コンビはジャークマターに取っての邪魔者を始末するため、デスガリアンは星の生命を玩んで遊ぶため、ゾーンは黒幕が宇宙最強の存在へ進化する儀式の為に星を滅ぼしており、三者とも行動の前提条件が異なっている。
アクドス・ギル:6年前の烏賊(クラーケン)モチーフの戦隊首領。
デーボ・シノビンバ:4年前に登場した直近の烏賊モチーフ戦隊怪人。イカーゲンと同じく蛸をモチーフとした怪人(デーボ・カリュードス)と共に初登場し、その相方よりも先に戦死・退場した点が共通する。
水王丸:同じく塩屋氏が声を当てていたイカ男。
魚沼宇水“「極度に発達した五感」を超常現象であるかの様にハッタリをかましていた敵方の暗殺者つながり。ただし、イカーゲンのそれは視覚であるのに対し、宇水のそれは聴覚である。
サバタ・ヴァンクリフ:デザインを担当した久正人氏の描いた漫画『ジャバウォッキー』の主人公。まとっているコートのデザインが類似している。