「俺はイテ座系のカロー・エリードロン。貴様らの力確かめてやる」
「ドン・アルマゲ様の心を騒がせた事、死をもって償うがいい!!」
データ
概要
宇宙幕府ジャークマターの幹部の1人で、イテ座星系を掌握するカロー。自身の支配星系に属する惑星・オジカゾ出身。
身体の各所に弓を模した部分が見え、弓矢を模した槍『エレクトロングボウ』を持つ。これを使った槍術で接近戦をこなす他、矢をつがえる様な体勢で持ったり頭上に掲げる事で電気エネルギー製の矢を複数作り出して発射、敵に弾幕を浴びせる事が出来る。またオジカゾ星人特有の帯電性の金属ボディで、電気を吸収しそのエネルギーを増幅する事が可能(武器自体がこの特性を活かす為に設えられた模様)。
電気エネルギーの矢による広範囲爆撃によって一対多の相手へ強いのだが、本人は前衛とした雑兵の後ろに隠れ、相手の隙を突いて爆撃を仕掛ける戦法を好む。反面近距離では自爆を恐れてか爆撃を躊躇う傾向があり、前衛を乗り越えての白兵戦を仕掛けられるのが比較的苦手。
キョダインロウは右肩の肩当てから下げている。
自身の侵略活動をキュウレンジャーに邪魔された事をショーグンドン・アルマゲに叱責され、キュウレンジャー抹殺を命じられるが、逆にそれで一時的な特権を得たらしく自身の掌握する星座系に属さない惑星(Space.3:サソリ座星系・惑星ニードル等)にも干渉出来る様になった。
圧倒的な力と恐怖で全てを支配するジャークマターの理念に共感した、宇宙の狩人。その信念を通す為なら必要以上の侵略や殺生をも積極的に行おうとする強権的で暴力的な性格。
それ故に、冷静な口調とは裏腹に物事を力押しで進めようとするタイプであり、対策や観察も無しに自ら前線に出向いたり、表向き自らに従ったスティンガーの真意を(あからさまに不信な行動をしたにも拘らず)見抜けなかった結果、9人揃ったキュウレンジャーの誕生を結果的に後押ししてしまい、そしてそれがそのまま自身の末路へ繋がってしまう等、策謀や思慮には富まない脇の甘さが目立った。
カローとしてのプライドも必要以上に高かったらしく、自身に恥を掻かせたキュウレンジャーを自らの手で叩き潰すのへ拘った結果、全員揃っていない頃のキュウレンジャーと交戦したダイカーンへの支援を出し渋る事もしており、実質相手に猶予まで与えてしまっていた。
総評して、猪武者ではあるもアルマゲ及びジャークマターへの忠誠心が高い幹部だったが、そんな彼をアルマゲは大した事の無い失敗を根拠にキュウレンジャーの討伐任務を与えて放り出し、これといった手助けもせず戦死させた。
ダイカーンへの態度も含めた、作中での彼の行動からは"人員の規模が膨大故、各構成員は能力・功績等を取り立てられても死んだらそこまでの使い捨てでしかない"と言うジャークマターの組織実情が浮かび上がってくるとも言えよう。
各話の動き
Space.1
惑星クロトスを制圧した報告をしようとするも、キュウレンジャーに遅れを取った事をドン・アルマゲに見透かされて衝撃波で吹き飛ばされてしまい、キュウレンジャー抹殺を命じられる。
惑星ジャグジャグで犠牲を出す事も構わずラッキー達5人を襲撃。キュウレンジャー抹殺を遂行する為無数のインダベーとツヨインダベーを放つ。
モアイダー部隊も発艦させながらビッグモライマーズより戦いの様子を見ると、キュウレンジャーで無いにもかかわらずに戦うラッキーを発見し、見せしめにモアイダーへしがみ付いたラッキーを宇宙空間へと放り出して凍死させようとする。
しかし、ラッキーの強い思いから出現したシシキュータマを入手しシシレッドとなったラッキーが加わったキュウレンジャーによって殆どの部隊のインダベーが全滅。
それならばとオリオン号を襲撃し、巨大ツヨインダベーを放つも、初合体を果たしたキュウレンオーによって撃破された。
Space.2
仲間探しに出たラッキーを除いたメンバーと対峙。
エレクトロングボウから放った強力な矢でキュウレンジャーを苦しめ、カローの危険性を示した。
(※実力差を悟った4人がキュウボイジャーを召喚して逃走した為、仕留めるには至らなかった)
ところが、彼がこの時降り立った惑星ジガマは自身の支配するイテ座星系内にあり、この星を支配するダイカーン・ガメッツイは直属の配下の一人であった。だがガメッツイは上役であるエリードロンの突然の来訪等は御構い無しに、自分の元へ飛び込んで来たラッキーを処刑して懸賞金を得ようと躍起になっていた。
そしてガメッツイは新たな仲間を得たキュウレンジャーに管理していたモライマーズごと倒されるのだが、その一連を恐らく見ていただろうエリードロンはガメッツイへの援護を一切しなかった。自身の来訪を迎えるよりも懸賞金を選んだ、ガメッツイの守銭奴ぶりがエリードロンの癇に障ったかは不明だが、いずれにしてもガメッツイに協力しなかった事で確実にキュウレンジャーを倒せる最大のチャンスをエリードロンは見逃してしまった。
またこれは、ダイカーン達を統率するカロー本来の役割を放棄する態度でもあった。
Space.3
プラネジュームを採取し尽して爆発寸前のサソリ座星系・惑星ニードルに降りたキュウレンジャーと、そこで現れた謎の戦士・スティンガー/サソリオレンジが交戦した際、全てのキュウレンジャーがジャークマターに歯向かう訳ではない事を知り、一戦交えた後のスティンガーの元へ自ら赴いて挨拶代わりの攻撃を加え、自分の部下になる事を勧誘する。
そのスティンガーは、自身の態度を損なったと言う理由だけで味方である筈のダイカーン・モーレツヨインダベーへ攻撃を仕掛けて倒してしまう無軌道さを見せたが、それを知っているだろうエリードロンはビッグモライマーズへ戻ったスティンガーを咎める事はせず、代わりに「逃すとは貴様らしく無いな」とスティンガーへ発破を掛けた。
どうやらスティンガーの力量を試す為に彼を単身で送り出した様で、モーレツヨインダベーとその戦力は倒されても構わない当て馬として扱っていた模様(※事前にモーレツヨインダベーへ話を付け、戦闘へ介入する様に誘導していたと思われる点がまた嫌らしい)。
Space.4
今回はスティンガー共々話の本筋へ絡まなかったのだが、キュウレンジャーが惑星チキュウへ向かった事をドン・アルマゲから映像越しに聞かされる。更に続いて、「あの星の秘密を知られてはならん。必ずキュウレンジャーを抹殺しろ」と念を押された。
Space.5
キュウレンジャーを抹殺する為にスティンガーと共にチキュウに来襲。
前話でキュウレンジャーと交戦したダイカーン・ユメパックンと接触、自身に協力させた彼の行動に誘き出されたキュウレンジャーと交戦する。カローとしての圧倒的な力でキュウレンジャーを圧倒し、ジャークマターの恐怖を知らしめようと近くにいたチキュウ人の佐久間兄弟の抹殺をスティンガーに命じるが、スティンガーは佐久間兄弟を人質としてキュウレンジャー8人全員のキュータマを奪う事を提案した為、エリードロンはそれを承諾。
翌日、8人で来たキュウレンジャーが人質解放の為にキュータマを手渡すが、エリードロンは約束を守るつもり等毛頭無く、彼らを攻撃。さらに「子供を殺す事は俺の主義に合わない」と佐久間兄弟を殺さなかったスティンガーを痛ぶり、彼に代わって佐久間兄弟を殺害しようとしたが、その事に憤慨したスティンガーの返り討ちに遭う。
実はリベリオンのスパイであったスティンガーによって8人のキュータマを奪還され、皮肉にもキュウレンジャーが9人揃う事となる。
ユメパックンらと共に応戦するも徐々に押されていき、自分以外の味方が全滅した所で9人の『オールスタークラッシュ』を受け大ダメージを負う。だがそれでも生き延び自身のビッグモライマーズに搭乗し襲い掛かるが、キュウレンオーと残り4体のキュウボイジャーの攻撃を受けた後、9人の力を合わせた必殺技『キュウレンオースーパーメテオブレイク』を喰らい、「ジャークマター万歳!ドン・アルマゲ様に栄光あれェェッ!!」と最後の言葉を残し、崩壊するビッグモライマーズの爆発に巻き込まれ死亡した。
Space.25
惑星トキでフクショーグン・テッチュウが暴れた影響で時間が歪み、幻影としてラッキーの前に現れた。しかし以前戦った時よりも格段に成長したラッキーには全く敵わず、タイヨウシシレッドのパンチを一発受けてあっさりノックアウト、倒されるという少々味気ない結果で終わった。
実に5ヶ月ぶりの再登場となった他、同話でテッチュウが戦死。エリードロンより短い話数(3話)で退場してしまった(※後に再登場の機会を設けられ、最終的な話数は6話とタイになっている)。
余談
モチーフは弓矢とエレクトロン合金(マグネシウム合金)の牡鹿像。この像はヒッタイト帝国の遺跡から発掘された物だが、最近になって開発されて使用される事が多くなったエレクトロン合金で作られており、当時では作れる筈の無い物の為オーパーツの1つとされている。
また、エレクトロン合金の技術は焼夷弾にも使われており、これがエレクトロングボウからの凄まじい爆撃で敵を殲滅する戦法のイメージになったと思われる。
声を演じる黒田氏は何度かスーパー戦隊シリーズに出演しているが、レギュラー的存在の敵キャラは『轟轟戦隊ボウケンジャー』の闇のヤイバ以来、11年ぶりとなる。
唯一放送前から発表されていた幹部格であり、当初は1年を通して立ちふさがる存在と思われていたが、実際はわずか5話(再登場回も含めると6話)というかなり短い期間での退場となった。
ただし、物語後半で登場するカロー達が実質上級怪人扱いされて1話で退場しているので、それと比べればまだいい待遇である。
スーツは後に『特捜戦隊デカレンジャー20thファイヤーボール・ブースター』の宇宙人街の宇宙人に流用された。
関連リンク
サジタリウス・ゾディアーツ…同じく、いて座モチーフの怪人。
サジタリアーク:前作の敵組織の本拠であった、いて座の名を冠する宇宙船。奇しくもこの敵組織のイメージは『娯楽目的の狩猟者』で、エリードロンのデザインモチーフである『娯楽の狩猟を行う貴族』と同じになる。
ナイル伯爵:同じく娯楽の狩猟を行う貴族がモチーフとなった3年前の幹部戦隊怪人。こちらは劇場版に出演、そこで倒される分を持って退場となった。
ガイルトン、ジャグド、タンクジョウ…同じく、敵勢力の一番手として出撃するも序盤数話で退場したスーパー戦隊シリーズの敵幹部。ジャグドに至っては初回一話分で退場となった。
シャドン…中の人が同じ後年のスーパー戦隊シリーズの敵幹部。だが、登場話数はエリードロンよりも少ないどころか、登場した1話限りで退場する事となった。