2000年の眠りを経て、バグナラクは地の底から蘇る
「人類を殺せっ、己が死すとも殺せ……!」──デズナラク8世(第3話)
「100人死んでも、101人殺せば……問題なし!」──宰相カメジム(同上)
概要
本作の敵対勢力である地底の帝国。正式名は「地帝国バグナラク」。
物語の舞台であるチキューの5大国家と相対する敵性国家であり、地底に住まう異形の民の国。
デズナラク8世が支配する悪の国家である。
国のシンボルマークは「BUGNARAKU」のスペルを逆三角形にまとめて図案化したモノで、巻き取られたジッパー(あるいは節足動物の体節)に見えなくも無い。
そのせいか、構成員には共通して身体のどこかしらに、ジッパーを思わせる意匠が施されている。
遥か2000年前に5人の英雄とシュゴッドとの戦いに敗れて息を潜めていたが、現代になって「世界をひっくり返す宝」=秘宝である伝説のシュゴッド(しかし、『真の秘宝』と形容できるシュゴッドが登場する)。を手中に収めるべく自国の力を強大化させ再び地上侵攻を開始、人間を皆殺しにして自国と人間の勢力図を塗り替えようと目論む。
そのような歴史的経緯から、名称の通り、地下の奥深くが彼等の支配領域となっており、松明の明かりだけと鬱々とした場所となっている。
かつては弱肉強食思想による内戦が噴出していた時代もあったが、現在は統治者であるデズナラク8世の恐怖政治(並びある女傑の抹殺)により、一枚岩の組織として統合された。ただし、デズナラク8世の並外れた人類に対しての憎悪や怨念が組織に蔓延している結果、場合によっては自らの命も惜しまない狂気的な人物が重用され上層部を占めている。ただ、過去には人類と愛し合い家庭を持った例もあるため、先天的に邪悪な気質を持った種族ではない。
上記の思想に加え歴代の敵対陣営としては異質な点が多く、基本的に行動の大半が戦闘員による局地的なゲリラ襲撃のみ、首領自らが戦線に出る場面が多い。今週の怪人枠である怪ジームのほとんどは行動隊長としてではなく、使い捨て前提の尖兵か軍事兵器として投入される等々、その活動方針は組織とより軍隊のそれに近い(「侵略軍」の意味合いでは確かに1つの「国家」なのだろう)。
そして冒頭の台詞通り、大戦末期に陥る「己の命より敵の殲滅」思想が蔓延っており、成果を得られずに逃げ帰った者は、「半端者」として生き恥晒しの烙印を押され蔑まれるようになる。
初期の幹部がトップと最側近の2名のみの侘しい組織内情なのは、ラクレス・ハスティー率いるシュゴッダムが、事実上の第三勢力と化しているしわ寄せと思われる。
向こうからも下手すると暴力装置担当として体よく利用されている節すらあるが、逆に彼等もラクレスの目立つ横暴を囮として秘密裏に計画を進める等々、悪い意味でWin-Winの関係を自然と構築していた。
劇中でも見ての通り、昆虫人間そのものの外見をした異形の種族だが、サル目ヒト科の人類と交わって子を儲けるのは一応可能。
ただし、こうした異種族間での婚姻を扱う他作品の例に漏れず、人間との間に子を儲ける行為はバグナラクと人類共通の禁忌かつ大罪とされている。
外見とは裏腹に、実は人間との遺伝子はかなり近い。
実はこれは太古の時代、人類と戦う為にシュゴッドソウルを喰らい力を身に着けた者達の末裔であり、今でも仲間同士で喰らい合う弱肉強食の社会となっていた。また人類サイドも「身を守りたい」と考えていたシュゴッド達と共闘するきっかけになった。これこそがバグナラクと人類の戦いの歴史であったのだ。尚、自分達の強化の為に各所から多くのシュゴッドをかき集めていたようである。
デズナラク亡き後は彼に代わって王位に就いたジェラミー・ブラシエリの大願『人とバグナラクの共存』を成就したい意志を5国の王達に認められ、狭間の国バグナラクとしてチキュー6つ目の国となった。
構成員
統括者
首脳部
宰相カメジム(声:三木眞一郎) |
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デズナラク8世に支える“宰相“。昆虫型機械生命体の研究者。 |
ダイゴーグ(声:高口公介) |
かつてデズナラク8世を勝利に導いた“一撃将軍”。既に故人だったが、シュゴッダムの技術で復活。 |
兵士
国民
ネフィラ・イドモナラク・ネ(声:井上喜久子) |
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ジェラミー・ブラシエリの母親で蜘蛛の姿をした女性。切られずの糸の通り名を持ちかつてのバグナラクの戦いで一撃将軍ダイゴーグと渡り合った程の実力の持ち主。 |
タランチュラアビス(画像右下) |
ゴッドタランチュラに似ている黒いシュゴッド。何百年もの間、デズナラク8世の庇護で生き延びていた。 |
先代統括者(と推測される者)
謎の人物 |
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デズナラク8世が王になる前の王。 |
余談
- デザイン担当者はアクメツやウルフガイ、ニンジャスレイヤーで有名な漫画家の余湖裕輝。漫画家が戦隊シリーズのデザインを手掛けるのは久正人以来となる。
- 名前の由来は、虫やエラーを意味する「bug(バグ)」と「奈落」の掛け合わせ、また語感から北欧神話における「ラグナロク」にも掛かっているのではないか、と推察する向きもある。その他、グンタイアリを意味する「ジャグラバク」とも語感は近い。
- もちろん構成員は虫モチーフで統一しているが、実は現時点で幹部陣含めて純粋な「害虫」がモチーフの個体は一切登場していない。
- 二つ名が「地帝国」である点から、本作では主人公側と同様に敵組織もまた「君主制」である共通項を有する格好となっている。君主自ら前線に出て作戦の指揮を執るのも王様戦隊だからこそ、まさに王VS王の見方もできる。
- 前作の敵が『敵対関係』とは断じ難い存在であったため、本編開始段階で完全な敵対関係になっている組織はゼンカイジャーのトジテンド以来である。
- 玩具展開としては『バグナラクシリーズ』名義で、敵側のソフビも出るスーパー戦隊シリーズらしからぬ好待遇を受けている。
- 人類を劣等種として侮蔑している、人類を金儲けの対象やゲームの敵キャラと認識している、本能的に人類を攻撃するため共存不可能の敵組織、敵怪人は歴代でも数多く存在するが、バグナラクのように「人類を純粋に憎悪している」タイプの存在は割と希少である。
関連タグ
チキュー シュゴッダム ンコソパ イシャバーナ ゴッカン トウフ ハーカバーカ
スーパー戦隊の敵基地の系譜 |
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- デーボス軍:元は『キョウリュウジャー』に登場する敵組織で、第2部にて新生デーボス軍がキングオージャーの敵として登場する。
- 有尾人一族ジャシンカ帝国、地底帝国チューブ、地底冥府インフェルシア、シャドーライン:地底を本拠とするスーパー戦隊シリーズの歴代の敵組織。いずれも帝政国家で、チューブとインフェルシアはバグナラクと同じ「地底」の単語が組織名に使われている。尚、インフェルシアも戦いの果てに組織が変革、戦隊側と和平を結んでいる。また、ジャシンカ帝国やシャドーラインも完全な和平ではないが、戦隊側や人類に手を取り合える可能性のあるラストとなっている。
- アシュ:同じく人間と同じルーツを持ち、人間との間に子を授かれば大罪と見なされる種族繋がり。
以下、重大なネタバレが含まれます! |
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前述の「遥か2000年前に5人の英雄とシュゴッドとの戦いに敗れた」とする伝説は誰もが疑わぬ事実と思われていた。
……だが、第24話にて「2000年前に人類を侵略したのは本当にバグナラクなのか?」との衝撃の謎が明かされた(本当に侵略行為に及んだのか判らない上に、伝説でも倒された理由は語られていない)。
ならば誰が人類を侵略したのかについてはデズナラク8世達も知らず、本当に先祖が行ったのかも判らない。にもかかわらず人類は伝説を鵜呑みにし、現在のバグナラクの子孫に身に覚えのない罪の烙印を打って奈落の底に追いやられた現状から、人類に対して復讐心を抱くに至ったとされる。
そして、第26話で実は2000年以上前に人類とバグナラクの間に憎しみを植え付けたのは、カメジムである実態が判明した上、その背後には更なる黒幕がいた真実も2年後に判明している。
第31話最終盤、黒幕の八つ当たりでキングオージャーの6人は、チキューに似て非なる惑星・地球に放逐されてしまう。続く第32話でジェラミーは、地球で出会った獣電戦隊キョウリュウジャーのイアン・ヨークランドが発見した石碑のある箇所=地球から飛び立つゴッドコーカサスカブトを見て「2000年以上昔にこの地球から来た人間が、チキューの人間の始祖ではないか?」との仮説を立てた。
そして『第47話』にて、ダグデドがある真実を口にした。
それはかつてバグナラクの母星の民の依頼を受けたダグデドが、母星の死体をベースにグローディ・ロイコディウムを作った、そのグローディの暴走によってバグナラクの民の母星は全滅し、生き残った僅かなバグナラクの民をチキューに入植させ、同じくチキューに入植した地球人の始祖を鉢合わせ、互いに争わせるように仕向けたのだった。
それぞれが入植した時期の詳細こそ不明瞭だが、結果的に宇蟲王の被害者同士で争わせる悪趣味に付き合わされてしまっていた。
尚、第40話にてシュゴッド自体が黒幕によって生み出された事実が判明しており、地帝国バグナラクの誕生もカメジムの実態を踏まえれば、チキューの人々の進化すら彼らに弄ばれた扱いになる。
余談(ネタバレ込み)
関連タグ(ネタバレ込み)
- ディズニーヴィランズ:完全な悪役が多いスーパー戦隊の悪役では珍しく理不尽な迫害を受けたことで悪に墜ちてしまったというバグナラクの経緯は、一部のディズニーヴィランズと共通している。