「ごめんね、ジェラミー…」(第12話)
「『切られずの糸』ネフィラ・イドモナラク・ネ。刃を向けども為すすべなく、喰われる定めと心得よ!」(第31話)
データ
体長/178cm(異常成虫時/44.3m)
重さ/89kg (異常成虫時/221.6t)
分布/イシャバーナ(昼)、シュゴッダム(昼)
好物/ジェラミー
観察ポイント/死の間際、自分の形見としてヴェノミックスシューターをジェラミーに授けたようである。
概要
糸を吐いて巣を作る虫「クモ」のBNAを備えたバグナラクの女戦士で、ジェラミー・ブラシエリの母親。2000年前の戦いで歴史から消された人類側第六の英雄と恋に落ち、彼を儲けた。
本名はネフィラ・イドモナラク・ネで息子の真名からブラシエリの名字は夫である6人目の英雄のものと思われる。
ジェラミーの回想では、自分達の都合で不自由な思いをさせてしまっている我が子に涙ながら謝罪しており、バグナラクとは思えない穏やかな物腰をしていた。
だが、実際はバグナラクらしく戦いを恐れない勇猛果敢さと、我が子へ惜しみない愛情を捧げる母性を両立させた、心身両面で強く逞しい女傑にして立派な母親。その在り方は息子ジェラミーへ大きな影響を与え、後に『狭間の王』を目指した動機の原点となっているのが窺い知れる。
第31話では「切られずの糸」の異名を持ち、あのダイゴーグと互角以上に渡り合い、彼を単騎で撃破する実力を有する戦士であった実態が語られた。
BNA由来の身軽さを活かしたアクロバティックな動きで敵を翻弄し、鋭い足技で敵を沈める格闘戦を得意とした、昆虫界のマザーキング。高々と飛び上がってからの激しい勢いで繰り出す必殺の大蹴り・ヴェノミックシュートを昆虫最終奥義とし、この技でダイゴーグを地に伏せさせ、トドメを刺して倒す雄姿を幼い息子の目前で見せた。
夫と共に追放されて以降はゴッカンに流れつき、そこでジェラミーが誕生している。その後は幼いジェラミーと共にバグナラクへ帰郷。前述の通りにダイゴーグを撃破し、争いを続ける一同を止めようとした。しかし、ネフィラの平和を訴えつつも異を唱える者を武力で排斥する姿が逆に火に油を注ぐ結果となり、皮肉にもダイゴーグの死を契機に結束したバグナラクによって死亡したと推測される。ジェラミーは自身の武器であるヴェノミックスシューターをこの時に託されており、以降は「母の形見」と称して後生大事に携帯している。また、ゴッドタランチュラに由来するキーアイテムを所持していたあたり、本来相当やんごとなき身分であった可能性がうかがえられた中、実子の真名と出自が判明、バグナラクの王侯貴族の家柄だとほぼ確定した。
しかし30話において再登場、全体像も判明する。唐突に昼のイシャバーナへ現れたこの時の彼女は息子以外をなぎ倒す戦闘能力を見せ、息子に抱き着くと同時に「母様を……助けて」とか細い声で縋り付いた。(しかしそれは私を殺してという意味だった。)
実はグローディ・ロイコディウムの死体を蘇らせる力によって復活し、ダグデド・ドゥジャルダンによる新たな奸計の駒として利用されていた(恐らくは『神の怒り事件』以前に遺体を確保され、使える手駒と判断された上で何処かに秘匿されていた模様)。
だが幼少期に、ネフィラから形見を託されると同時に命尽きる瞬間も看取っていたジェラミーは、望まない復活を果たした母を再び眠らせる覚悟を決めていた。そして王様戦隊の仲間と共に打った芝居でダグデドの鼻を明かし、以前に被った濡れ衣を晴らすのもやり遂げ、生前の母が守りたいと願っただろうバグナラクの名誉と尊厳を回復させた。
そして見事に出し抜かれたダグデドの後詰め扱いとして、異常成虫状態で昼間のシュゴッダムにおいて息子の乗るゴッドキングオージャーと交戦。さすがの身軽な格闘も相手の堅牢さを打ち崩すには至らず、返り討ちに遭った末に必殺の一刀で討たれて2度目の死を迎える。
だがこの事態をネフィラも望んでおり、最期は立派な狭間の王へなった息子に「ありがとう……」と感謝の言葉を残すと共に爆発四散(※その最後をゴッドキングオージャーは振り向かず見届けた)。これにより彼女は長きに渡る無念から解放されたのだった。
ネタバレ注意
ここから先、49話のネタバレを含みます。未視聴の方は、視聴後か自己責任でお願いします。
その後、彼女は死の国で安らかに…と思いきや、他の王他関係者と共に49話で一時的に現世に復活。最愛の息子のため、傷ついた体を支え…いやギューギューとSE付きで日朝に放送してよいのか迷う状態で介抱。その後目覚めたジェラミーは自分が死んだから母と再会できたのではと幼い口調で問うものの、まだ生きていると諭した。
久しぶりの親子の再会でひとしきり愛でた後に穏やかな母親の声で「守るから休んでいて」と息子に言うと、ジェラミーが「母様にいいところを見せなきゃ」と張り切ったところでヴェノミックスシューターを構えた状態で戸惑っている間に銃撃を避け、格闘戦で敵を瞬殺。満月をバックに華麗に蹴りを落とす(しかもこの時、蹴った相手は何たる因果か自身に操られ子としての運命を弄ばされた再生グローディ)。
母は強し。戦う彼女の服の胸部にはしっかり抱きかかえたためか血痕が付いている。その後はゲロウジームと共に加勢して王様達の休む時間を稼いだ。
外見
怪物や破壊兵器染みた怪ジームとは違い、限りなく人型に近く、女性らしい丸みのある容姿の持ち主。
頭部全体が一匹のクモのようになっており、クモの腹がまとめた後ろ髪のようになっている。
頭の横からはクモの脚が垂れているが、クモノスレイヤーについている機械のクモのような造形。飾りなのだろうか。
顔にはベールがついているが、その上にクモの目のような器官があり、どうやらここから見ているらしい。
胴体は服らしい布で覆われているが、ボンデージを思わせるかなり際どいもの。
両肩にスパイダークモノスと同じ紋章があり、幅広の袖から覗く手先は血管が浮き出していて爪が鋭く、息子ジェラミーに似ている。
余談
- 演じる井上女史は『海賊戦隊ゴーカイジャー』の開発技官インサーンの声以来12年ぶりの出演となる。インサーンの方は先輩の戦隊ヒーローに一目惚れしたが、今作では何の因果か、追加戦士の母親を演じる役回りとなった。
- ナイスバディを際立たせるような服装に加え、脚技主体のセクシーアクションや巨大娘萌え、緊縛プレイ、乳枕など現代登場時は『児童の性癖クラッシャー』として話題をかっさらった。加えて「こんな綺麗なお母さんがいるジェラミーの家に遊びに行きたい」との趣旨の現代・平和パロ創作も今も尚盛んである。
- 中国のトン族の神話では蜘蛛の女神・『薩点巴(サテェンバ)』が主神として伝わっている。
- 名前の由来はおそらくかつてジョロウグモが分類されたオオジョロウグモ属の学名 Nephila(ネフィラ)、およびジョロウグモの学名 Trichonephila clavata(トライコネフィラ・クラヴァタ、旧学名 Nephila clavata ネフィラ・クラヴァタ)から。
- デザインはNieR:Automataの主人公2Bをオマージュしている。
- スーツアクターの宮澤は仮面ライダーシリーズでサーベラ・ジャンヌ・ナーゴなどの主要女性ライダーを演じた常連組(※ネフィラの足捌きにジャンヌの動きを重ねた人もいると思われる)。スーパー戦隊シリーズへの出演は『魔進戦隊キラメイジャー』の大治小夜の吹き替えアクションやヌマージョ・ミンジョ姉妹役以来。奇遇にも本作と同じ伊藤茂騎と高田将司がそれぞれ戦隊レッドと追加戦士を担当していた。
- 尚、公式ホームページの「バグナラク害虫記」にネフィラが追加されたが、当初は登場話が3131話になっていた。(後に修正されたが)。