「テール・トゥ・ノーズ!」
概要
本作に登場する悪の組織で、ブンブンからも「色んな星のワルの寄せ集め」と言われる通り、あらゆる宇宙人のならず者達によって構成され、星々を侵略して縄張りを広げる宇宙マフィア。
正式名称は『大宇宙侵略大走力団(だいうちゅうしんりゃくだいそうりょくだん)ハシリヤン』。
宇宙のどこかに根城らしき「ハシリヤン本家」が存在し、この本家の命令で外宇宙にあらゆる部隊を派遣し、下記の手広い活動を行っている。
人間の悲鳴から生じるエネルギー『ギャーソリン』を集めており、その一環で地球人からギャーソリンを搾り取り地球を手中に収める、『地球ナワバリ計画』を遂行すべく来襲して来た。
上からの命令を承った際には、記事冒頭にも示した掛け声を用いて了解の意を示す。
シリンダー錠&排気管などのエンジンパーツによって構成された、イカを象った紋章が組織のトレードマークとして定められており、ファンの間では「アオリイカ(アオリ=煽り運転)にちなんだものではないか?」 と、また同時に「『人々の悲鳴を “煽り” 立てる奴ら』の意味も込められているのではないか?」とも指摘されている。
活動内容
あくまで「各惑星をナワバリにする」のを目的にしている都合上、現地人を生かさず殺さずでギャーソリンの収集源とする他、銀河系単位通販で名の知れた惑星ブレキを占領して『ハシリヤン通販』に作り変えてしまった経緯があるように、惑星そのものに利用価値があれば、自らのシノギとして乗っ取ってしまうなど「宇宙マフィア」の名称通り、宇宙単位の資源に価値を見出し暴力で掠奪する活動を行っている。
そのため、過去作品の宇宙人系の敵組織と比べ、大量殺戮・大規模破壊については必要に迫られない限り行わないのが特徴であるが、各部隊隊長がそれぞれ〈大量悲鳴兵器〉や〈惑星大破壊大ミサイル〉のような宇宙規模の戦略兵器を所持しており、彼等の裁量によってそれらを用いた大規模作戦が行われる可能性は高い。
このような手広い事業を展開している実態から、組織全体はかなり大規模であり、実際に地球以外の星でのギャーソリン回収は順調で、ハシリヤンの悪事に怒って戦おうとした先斗をビュンディーは「ハシリヤンとコトを構えたら仕事がやり難くなるぞ」と窘めていた。
一方、怪人が現地調達で、現地には特に拠点も構えない(隊長にもキャノンボーグのような、根城を変えての隠密行動に長けた者が重宝される)上、物語開始当初の地球侵略の為の構成員がたった3人だけである所から、手広く業務を行う反面で各地に派遣する部隊は小規模とちぐはぐな体制に加え、マンモス規模故の組織の弊害から、人事管理に粗が散見され現場に不要な軋轢を生む等々、ブラック企業的な面を感じさせる。
ただし、表の破壊活動と平行するように、大なり小なり征服される前提でその際にある程度の地位を与える『ハシリヤン利権』と呼ばれる条約を条件に、各惑星の有力者と密かに内通するなどの裏工作も行っているようで、地球においてもI.S.Aの上層部や世界的テクノロジー企業と既に癒着している(上に、場合によっては内通対象を用いて、間接的に身内の粛清を行う)事実が、3rd LAPにて明かされている。
尚、大銀河警察とはスピンドーを逮捕・服役させるなど表向きには交戦しているものの、先斗の口から 「既に大銀河警察は腐敗勢力としてズブズブに癒着しており、全く抑止にならず大手を振って活動している」実態 が語られている。
『宇宙規模でギャーソリン(=負の感情)を集めて献上、ボスであるスピンドーの滋養と延命の糧とする』のを組織全体の目的とする事から、ハシリヤンの実態は宇宙戦隊キュウレンジャーの宇宙幕府ジャークマターと同じく“首領1人に都合の良いユートピア=ディストピアを宇宙規模で実現させる道具”とも言える。
しかし、とかく首領が利益追求をし過ぎた結果、組織内情が著しい退廃と陳腐化などに塗れていたジャークマターに対し、ハシリヤンは敵対し得る勢力等は懐柔、もしくは下部構成員が功績を挙げる為などの餌として放置する等々を行い、身内は疎か敵までにも利用価値を見出しつつ、スピンドーが要所要所で干渉しながらの組織運営をしているのが窺える。
そればかりかFinal Lapでは、ブンブンジャーとブンドリオの夢であったビッグバングランプリをも既に支配下に置いており、八百長試合によってギャーソリン調達の場にしている真相が判明した。
尚、ウェイウェイ・ヤルカーがブンブンジャーが存在する地球に襲来する前に、スピードル達炎神の世界に好き勝手していた 経緯が判明している点から、トジテンド程ではないが宇蟲王と同じようにマルチバースをも対象に暗躍している可能性が浮上した。
- 組織スタンスの比較
スタンスの対象 | ハシリヤン | ジャークマター |
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敵対勢力 | 大銀河警察など大規模の相手なら、相手の都合などもある程度は斟酌しつつ交渉し、ボスが監獄に収監される多少の不利は受け入れる。一方小規模の相手は放置、侵略現場で活動するハシリヤン構成員と交戦しても見逃す。そして、もし構成員を倒し続けた相手が大規模に成長したら、交渉を持ち掛けて懐柔する方向へとシフトする。 | 逆らう者は膨大な戦力で圧殺し、恐怖と諦観を根付かせ従えさせる。ただし従順にさせ過ぎた弊害でまともな敵対勢力が現れ難くなり、支配地に屯させた構成員の危機管理能力が衰える一方の状態にも陥っていた。 |
構成員及び味方勢力 | 侵略現場で構成員らが小規模な敵対勢力とぶつかっても、構成員が敵対勢力を排除出来れば重畳、逆に敵対勢力が勝ってもまた別の構成員を相手が倒れるまでぶつけ続けるのみ。もちろん構成員が敵対勢力を排除したなら、それを功績として見返りに利益を与えボスへの忠誠心等を根付かせる。 | 敵対勢力が発生する素地を潰してしまったので、支配地の構成員は基本的に弱者を虐げるしか能が無くなっており、実際に強い敵対勢力が現れても殆ど対応出来ず、打ち負かされる木偶の坊が無数に居るだけの無様な状態になってしまっている。加えて組織の方針に従うのを引き換えに支配地での搾取を黙認した結果、組織の階級には従うが構成員同士は不干渉を通し(少数の例外を除く)、各々が身勝手を優先する態度が主流となった結果、組織で団結して敵対勢力の迅速包囲・一網打尽にするなどの、極々当たり前の連携作戦すらままならないレベルのスタンドプレーが常態化・ほぼほぼ全ての任務に支障まで生じている 始末。 |
首領と組織運営者の関係性 | スピンドーはグランツに組織の大番頭=最高運営者の地位と役割を与え、かつその存在を認知。結果スピンドーは表向き収監の境遇に甘んじつつも、信頼や誇り等を持った上で組織を任されたグランツの采配で、ハシリヤンは順調に運営され侵略活動へ邁進していた。 | ドン・アルマゲは組織運営を憑代としたクエルボに委譲するも、クエルボの劣等感を煽って操る際に「クエルボとアルマゲは1つになった」との嘘を吐き、クエルボが組織運営の負担等を押し付けられアルマゲは利益のみを得る構図を確立。それによりアルマゲは長らく1人勝ちを享受するも、同時に自身もジャークマターの腐敗に侵されてしまった。更に劇中では実現こそしなかったが、クエルボの方は「全ての生命の救済」として〈宇宙そのものの消滅〉を計画しており、少しでも歯車が狂っていたらアルマゲもそれによって滅んでいた可能性さえあったと、アルマゲのトップとしての資質の皆無さをも露呈している。 |
要約して、スピンドーに従わない勢力を部下の当て馬役として利用、味方内の適度な刺激にして組織系統に腐敗が起こらない様にしつつ、敵対者の台頭も未然に防いでいる 組織経営が成されていると考えられる。
言い換えるなら、ブンブンジャーの居る宇宙はハシリヤンを介して、無数の人々がスピンドーに行く末のハンドルを握られた 状態とも評せるかもしれない。
構成員
上層部は車が関係する洋画から名前が取られている。
また、構成員はそれぞれペットや固有アイテムなどの、マスコットを引き連れている(サンシーターの場合はヤルカーが該当)。
首領
ワルイド・スピンドー(声:遊佐浩二) |
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ハシリヤン走大将。立場不相応のルネサンス貴族じみた格好をした男で、表向きでは服役しているという体で監獄惑星に拠点を構え豪勢に生活している。永らく名前のみ判明していたが、バクアゲ34にて遂にその姿を現す。マスコット(ペット)は宇宙サルの『シャイシャイ・サルカー』。 |
本家(最高幹部)
隊長
宇宙に散らばるハシリヤン各部隊の幹部達。ブンブンジャーの抵抗によって地球から一向にギャーソリンが届かないので、1人ずつ地球を訪れサンシーターに直接指示を出すようになり、3rd LAPでは遂にテコ入れ担当の再建隊が派遣されるなど、侵略態勢にも本腰が入ってくる。
マッドレックス(声:神谷浩史) |
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ハシリヤン斬込隊長。巨大槍『怒りのデスロッド』を軽々振り回して暴れ走る武闘派。バクアゲ6から登場。バクアゲ9で一度は敗れるもバクアゲ28でディスレースによって強化改造される形で復活した。マスコット(ペット)は腰(再生後は左腕)に携えた『ハシリ犬』。 |
キャノンボーグ(声:くじら) |
ハシリヤン改造隊長。苦魔獣を強化する魔改造を得意とする。マッドレックスの後任としてバクアゲ11から登場。マスコット(固有アイテム)はロボット型デバイスの『ジャッキー』。 |
ディスレース(声:森久保祥太郎) |
ハシリヤン再建隊長。戦略立案・実行に長け、侵略の滞った惑星にてコスパ・タイパ重視の作戦のテコ入れを行う。キャノンボーグの後任としてバクアゲ26から登場。マスコット(固有アイテム)はツチノコ型ツールの『フランク』。 |
デイモンサンダー(声:岸祐二) |
ハシリヤン捕物隊長。劇場版に登場。逃げ出した、ハシリヤンの支配下にある惑星トリクルの王女・ニコーラ・キードアーを捕縛すべく地球に来襲してきた。マスコットは不明だが、おそらく装備しているトロフィー型の大剣がそれに該当すると思われる。 |
追跡隊長(声:不明) |
ハシリヤン追跡隊長。本名は不明。裏切者の処刑などを担当しているようだが、かつて元走大将直属開発担当者の処刑失敗がバクアゲ34にて露呈し、スピンドーに粛清された。 |
サンシーター
宇宙を跳梁跋扈している中で地球を発見し、侵略を目論む3人の「現場監督」。
立場上はあくまでハシリヤン斬込隊の更に下で働く下っ端に過ぎず、組織での出世を夢見て邁進しているが、あまり賢くない3バカ的キャラで、思うようにギャーソリンを集められず、痺れを切らした各隊長の指揮を受けて活動していく。
マスコット(小型エイリアン)は『ヤイヤイ・ヤルカー』(下記記載)。
デコトラーデ(声:諏訪部順一) |
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一応のリーダー格。マシンの操縦テクにおいてはブンブンジャーにも引けを取らない。2枚目気取りだが上手くいかない模様。 |
イターシャ(声:水樹奈々) |
現状紅一点にして怪人製造役。デコトラーデを叱責する場面も多い様だが、似た者同士の模様。 |
ヤイヤイ・ヤルカー(声:諸星すみれ) |
車の姿をした小型エイリアン。身体のサイズを変えられる特性を持ち、上記2名の移動の足となる他、時折数十メートル程のサイズとなって巨大戦(の前哨戦 )も担当する。 |
戦力
苦魔獣 |
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ハシリヤンが使役する怪人。イターシャが地球にある物品に『ハシリヤンイグニッションキー』を挿して作り出す。 |
ネジレッタ |
ハシリヤンが使役する戦闘員。車の部品の要素を随所に含み、大量のネジから無数に生み出される。 |
ブンブンキラーロボ |
キャノンボーグがブンブンジャーロボの戦闘データを元を作り上げた、サンシーター専用の戦闘ロボ。ブンブンデンジャーを使って召喚・合体を行う。 |
その他
ウェイウェイ・ヤルカー(声:河西健吾) |
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ヤイヤイと同じヤルカー族の小型エイリアン。同族のエリートでヤイヤイをエリートにする為に地球にやって来た。バクアゲ38に登場。 |
ロプーワ(声:-) |
自称・ハシリヤン広報隊長。しかし、その実態は…… |
元メンバー
???(声:???) |
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元ハシリヤン走大将直属開発担当。メカニックスキルに目をつけたスピンドーの策略でBBGレーサーの舞台を追われた後スカウトされ、裏方で兵器開発に従事。真実を知りスピンドーを大銀河警察に売り渡すも、ハシリヤン処刑対象となった末に、方々の体で逃亡する内に地球に流れ着いた。 |
余談
- 組織名の由来は恐らく「走り屋」+「ヤンキー」+「エイリアン」で、「走力団」は走り屋と掛けて「暴力団」。
- ハシリヤンは公式にて「侵略者」と断定されており、『機界戦隊ゼンカイジャー』のトジテンド以来となる、物語当初から登場する完全な悪役である。
- もっとも、最前線で働くサンシーターは、完全なる「悪」と見るには疑問符の付く節もない訳でもなく、下記のような悪役らしからぬ挙動にも及んでいる(今作の作風が真面目にふざけているせいだが)。
- バクアゲ2にサンシーターが発した、上記の掛け声は、資料担当として参加している松井大(企画者104)の提案によるものである。本来の意味合いとしては、「カーレースで前走車のおしりに後走者がピッタリついて走る状態」(いわゆるスリップストリーム)なのだが、そこから転じて「どこまでもついていくぜ!」の意味合いとして設定され、作中では前述の通り「了解」のニュアンスを含めた使われ方とされている。
- キャラクターデザインは、漫画家の島本和彦が担当。クレジット上では「島本和彦とビッグバンプロジェクト」と表記。これも『ゴースト』参加の際と同じであり、実写キャラクターのデザイナーとしての名義であろうと見られる。
- また、バクアゲ27に本人役で出演。
- 各クールに合わせて『幹部の死亡→新たな幹部が登場』 を繰り返しているが、回を重ねる毎に犯罪組織としての生々しさが増し、それと同時に幹部の人間性が劣化している。
- マッドレックス=荒くれの暴走族。粗暴で悪口雑言が目立つ上に時に部下に手を出しもするが、情に篤く懐が大きい。
- キャノンボーグ=武器や作戦を与えて裏から命令する指示役。自分に敬服・称賛すれば部下の面倒見が良い一方、自分の意に反する存在には容赦しない。
- ディスレース=堅気の事業を乗っ取るヤクザ。そもそも自分の権益以外に興味がなく、基本的に「他者を道具として利用・酷使」の考えで動くエゴイスト。
- 各車スーパー戦隊の悪の組織:これまでの傾向として、作中少なくとも1人は正義側に光落ちもしくは改心まではいかなくても悪事をやめて生存している者がいる。
敵組織 | 共通点 |
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暴魔百族 | 『高速戦隊ターボレンジャー』の悪の組織。怪人名に「〇魔獣」と付く点も共通。 |
宇宙暴走族ボーゾック | 『激走戦隊カーレンジャー』の悪の組織。特に暴走族モチーフかつどこか抜けていて憎めない幹部が多かったり、専用通販がある点も同じ。取り締まる宇宙警察は登場しているし真っ当な組織でもあるが、向こうは犯罪組織がボーゾックだけではない以上地球に集中して戦力を割けない点が異なる。一方でスピンドーと同じく警察を裏で操ろうとしたボーゾックを発展・拡大させた黒幕がいる。 |
ネガティブシンジケート | 『轟轟戦隊ボウケンジャー』の悪の組織。こちらも最終的に生存した人物がいる。 |
蛮機族ガイアーク | 『炎神戦隊ゴーオンジャー』の悪の組織。レギュラーの悪役トリオが仲良しである点も共通。尚、ゴーオンレッドの登場回から考えて、少なくともかつてガイアークとの戦いがあった世界線と事情がわかる(マッハルコンについての言及もある為『海賊戦隊ゴーカイジャー』までの全ての戦いはパラレルではなく同一の世界線上に起きていたとも考えられるが)。 |
ヨドンヘイム | 『魔進戦隊キラメイジャー』の悪の組織。負のエネルギーを集める点が共通。 |
関連タグ
オルグ:23年前の作品に登場した悪の組織で、「下級幹部が固定レギュラーで、上級幹部が倒される度に交替する」スタイルが共通。
悪しき魂:14年前の作品に登場した悪の組織の総称。ラスボスや各組織の首領&幹部の名前が映画作品を元ネタとしてる点で共通してるが、こちらは各組織の一般怪人にも異なる映画や洋画の元ネタが名前に入っている。尚、悪しき魂がSF&ホラー、ブンブンジャーはアクション映画、と住み別けが出来ており、これだけ映画作品を元ネタにしているのに、現状、元ネタの映画がかぶっていない。ゴセイジャー側から見れば、ハシリヤンも悪しき魂に含まれると思われる。
宇宙幕府ジャークマター:7年前の作品に登場した悪の組織で、宇宙のほぼ全土を支配しての圧政で人々から負の感情エネルギーを絞り出し、首領に献上していた。ただしこの実態を知るのは首領当人だけだったらしく、組織システムの最高管理者を始めとした構成員には、各々の欲望を叶えてやる等の餌を与えてコントロールする、捻れた上下関係があった模様。そしてこの捻れにより、惑星を自壊させるまでエネルギー資源を採掘する装置(=実質的な惑星破壊兵器)が大量生産・配備され、更に集めたエネルギーで宇宙破壊爆弾を建造すると、首領の目的とは真逆の方向へ組織全体が邁進してもいた。
異世界犯罪者集団ギャングラー:快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーに登場した悪の組織。こちらも組織形態がマフィアに近く、トップよりも体格が良く、そのトップに忠誠を誓う右腕がいるところも共通している。
宇蟲王:前作における宇宙からやってきた悪の組織(正確には首領と幹部数名しかいない集団)。ハシリヤンとは違いギャグ成分がほぼ皆無のシリアスな悪役である。