概要
『巨獣特捜ジャスピオン』とは、1985年(昭和60年)3月15日から1986年(昭和61年)3月24日まで、全46話が放送された特撮テレビ番組である。
「ジャスピオン (Jaspion)」の名の由来は「ジャスティス」(正義)と「チャンピオン」(王者)の合成語(意味は「正義の王者」)。
本作は宇宙刑事シリーズで成功を収めたメタルヒーローシリーズの第4作であり、それまでの東映特撮では見られなかった「等身大ヒーローVS怪獣」を強調した作品である。これは、当時のバンダイの分析より来た結果であり、その為前3作に比べロボット戦が戦闘の大半を占めている。
「宇宙刑事に比べてコミカルなジャスピオン」、「シリーズ初の悪のメタルヒーロー」であるマッドギャラン、そして前述の「対怪獣戦がメイン」であるなど、斬新な要素を盛り込んだ作品であるが、視聴率面で苦戦し、路線変更を余儀なくされた。
しかし、これらの要素は後のメタルヒーローや東映作品に少なからず影響を与えており、本作はある意味「メタルヒーローの可能性」を示した作品とも言える。
宇宙刑事から始まったその成果は、次回作『時空戦士スピルバン』でその実を結ぶ事となる。
あらすじ
「サタンゴースよみがえる、全銀河は、跋扈する巨獣に蹂躙され、滅びる・・・」
宇宙のある惑星に住む老人、エジンが発見した銀河バイブルの破片に記されていたこの予言の通り、魔神サタンゴースが復活した。サタンゴースは、全銀河の巨獣(本作における怪獣)を凶暴化させ、破壊を始める。
その惑星に住む野生児ジャスピオンは、エジンの命を受け、サタンゴースを倒す為、戦闘用の強化服、「メタルテックスーツ」や「超惑星戦闘母艦ダイレオン」等の装備を武器に、あらゆる惑星を舞台に戦いを繰り広げる。
やがてサタンゴースの魔の手が太陽系第三惑星「地球」に向けられている事を知り、ジャスピオンは、地球へと進路を向ける。
しかし、そこではサタンゴースの息子「マッドギャラン」が待ち構えていたのであった…。
登場人物
ジャスピオンと仲間達
本作の主人公。
幼い頃宇宙船の事故で両親を失い、そこでエジンに救われ、以後、彼の惑星の自然の中で育った。
エジンの命を受け、サタンゴースの討伐に向かう。
天真爛漫な自然を愛する明るい性格の野生児で、機械にも詳しい。
戦闘時には強化服「メタルテックスーツ」を装着する。
本編では使用されていないが、剣城豊(けんじょうゆたか)と言う地球での偽名があった。
劇中でアフロヘア→普通のショートヘア→ストレートセミロングヘア→リーゼント風ショートヘアと髪型が4回も変わった異色の主人公である。
エジンが製作した女性型アンドロイドで、ジャスピオンのパートナー。
調整ミスなのか言動が荒っぽく、初期は男勝りな口調で話していた。
しかし、後に我慢に耐えかねたジャスピオンにより言語回路を改良され、女性らしい口調になるもおてんばな性格は相変わらずであった。
また、目を大きく開けて透視機能を使う事も出来る。(第5話で使用)
珍獣ミーヤとは名コンビ。
ジャスピオンがビージー惑星で出会った珍獣。ハンターに親を殺され、見世物にされていた所をジャスピオンによって救われ、以後彼と行動を共にするようになる。
途中でアンリに日本語を教わり、少しだけ話せるようになる。
子供達の良き遊び相手役。
第6話より登場する本名・国籍不明の風来坊。インターポール捜査官の兄をサタンゴースに殺された過去を持ち、以後、サタンゴースに激しい憎悪の念を抱き、復讐の為に戦っている。
ジャスピオンとはゲルゴン戦(第6話)で彼のピンチを救った事で知り合い、当初は打倒サタンゴースを越されまいと対立していたが、オニデビラー戦(第8話)でジャスピオンが彼の過去を知ってからは良きパートナーとして共闘する。
後に国際連邦保安官となって再登場した。
実は演じる渡はこの当時、骨折を伴う怪我から復帰したばかりで、骨折箇所にまだボルトが入っていた状態だった。渡によると、途中退場したのはそのボルトを抜くための再手術をするためだったとのこと。
惑星エジンに住む科学者にして預言者であり、天涯孤独となった幼いジャスピオンを育てたのも彼である。
サタンゴース復活を記した石板を発見し、討伐の為にジャスピオンに装備一式を与え、宇宙へと旅立たせた。テレパシーを使い、ジャスピオンにヒントや激励を送る事もあった。
最終回にて大サタンゴースとの戦いで命を落とした。
南原家
第15話より登場する。父健一郎、長女かの子、長男健太の3人家族。
南原親子の父親。野鳥カメラマンで、偶然「黄金の鳥」を撮影した事からマッドギャラン軍団に家族共々狙われる事となる。
ジャスピオンに救われてからは、彼に「黄金の鳥」の情報を提供するようになる。
南原一家の長女。早くに母を病気で亡くし、健太の母親代わりを務めてきたが、まだ若い故に時折その疲労を抱え込んでしまう事もある。
後に『光に打たれし5人の子供』の1人目に選ばれた。
南原一家の長男。元気いっぱいの男の子で、常に犬の「タロ」を連れて遊んでいる。
光に打たれし子供たち
久美子【演:高橋美樹】
光に打たれし5人の子供の2人目。第36話から登場。
大作【演:中川達也】
光に打たれし5人の子供の3人目。第39話から登場。
浩【演:小森勇人】
光に打たれし5人の子供の4人目。第42話から登場。
美加【演:工藤あかね】
光に打たれし5人の子供の5人目。第45話から登場。
ターザン
最終回に登場した男の子の赤ん坊。後にジャスピオンは自分の弟として育てる事を決意した。
ジャスピオンに関わった異星人達
ココ少年【演:矢野博勝】
惑星エジンのすぐ近くにある惑星ドドに住む少年で、巨獣ナマゲラスと仲良し。第3話&第25話に登場。
スカイ星出身の異星人カップル。ジャスピオンはサタンゴースとの戦いが終わった後にダイレオンで故郷スカイ星に送り届ける約束をしていたが……。第8話&第15話&第16話&第29話に登場。
タイガージョー【演:田鍋友啓】
ジャスピオンの幼馴染みで賞金稼ぎ。現在は地球にて孤児院を営んでいる。ギルマーザの妖術により操られジャスピオンと戦った事があった。第41話に登場。
サタンゴースとサタンゴース軍団(マッドギャラン軍団)
全銀河宇宙を巨獣で蹂躙し、巨獣帝国として支配することを企む巨大な魔神。
巨獣を狂暴化させてしまう魔力を秘めており、これで巨獣を狂暴化させ、操る事ができる。
時折自身も戦闘に赴き、ジャスピオンを苦しめる。蘇った当初は不完全形態であり、物語終盤で脱皮(条件が満たされていなかった為、不完全なまま脱皮してしまった。)し、「大サタンゴース」として復活する。
サタンゴースの息子にして、地球方面の司令官を務める男。
普段は人間の姿を取るが、その正体は黒いメタルテックスーツを纏ったような姿である(戦斗マッドギャラン)。
様々な作戦を展開し、父同様、自らも最前線で戦う。
巨大な昆虫の様なマシン「ジャルドブーマ」を操り、空中戦を行ったり、時には1対1で戦いを挑む事もあり、その度にジャスピオンをピンチに陥れた。
なお、このマッドギャランは今後もメタルヒーローシリーズに幾度となく登場する「悪のメタルヒーロー」の第1号であり、その黒を基調としたシャープなデザインは今なお人気が高い。
悪の四天王
元機械帝国の行動隊長。鎖分銅の名手。
無双のパワーを誇る実力者。両腕がロケットパンチになっている。
銀河一の大幻術師チキタ(第22話に登場)の弟子。水晶玉が武器。
変幻自在の妖術を使う女スパイ。
マッドギャラン軍団の追加メンバー
サタンゴースが呼び寄せた銀河魔女。一度死亡したマッドギャランを甦らせた。
ギルザの姉で暗黒銀河のスペクタークイーン。妹を死に追いやった打倒ジャスピオンに燃える。
ギルマーザが連れて来たコマンド部隊。名前はカ、モク、フウ、スイ、ドウの5人。
余談
- 日本から遠く離れたブラジルでは、1988年に『O Fantástico Jaspion』のタイトルで放送され、日本以上のヒットを得た。挿入歌を歌った串田アキラは国賓待遇で迎えられたという。これらの人気にちなんでか、ブラジルで偉業を成し遂げた日本人は「ジャスピオン」と呼ばれるという。
- 漫画版はテレビマガジン(講談社)とテレビランド(徳間書店)で連載。前者は「のなかみのる」、後者は「渡辺みちお」が担当。残念ながら単行本は発売されておらず、電子版も配信されていない。
関連タグ
東映特撮 メタルヒーロー(メタルヒーローシリーズ) 宇宙刑事 怪獣