「戸隠流正統、磁雷矢!」
概要
当時世界的ブームであった忍者をテーマにした作品として、1988年度に放送。「ソウルオリンピック開催年に合わせて、世界各国の忍者を競わせればいいんじゃね?」との攻めすぎな作品コンセプトから、個性の際立ちすぎている忍者がわんさか登場する事で有名。
当時の日本の特撮ヒーローの中でも珍しく外見の変化による強化要素が少なく、登場人物の大半は独自の忍法という体の超人技を身に着けた生身の人間であることも特徴。
変身セットであるジライヤスーツもあくまで戦闘のための忍び装束でしかなく、目の部分が露出していることから変身前の演者が演じているシーンも多い。
第2装着のジライヤパワープロテクターにより目の部分を覆った強化服=他の人が演じられるスーツとなるが、設定上では防護服の域を出ておらず、超人的な技の数々はあくまで着装者当人によるものである。
宇宙的な科学や金属的な光沢感を前面に出していたそれまでのメタルヒーロー作品と一線を画すテイストは、東映特撮が現在まで続くモチーフの柔軟化を確立させる過渡期だったことを窺わせる。
主人公の若さ、未熟さ、人間味がテーマである影響か、メタルヒーローには珍しいホームドラマの要素を持っている。(というより「そもそもメタルヒーローなの?」と疑問視する声も少なくない)
放送当時、からくり屋敷の玩具が発売された。
あらすじ
世界征服の野望を果たすため、古来から伝わる『世紀の秘宝パコ』を手に入れようと目論む妖魔一族。戸隠流忍者の青年・山地闘破は、山地家に代々伝わるパコの在り処を記したボードを守るために、ジライヤスーツを身に纏い、正義の忍者「磁雷矢」として妖魔一族や、世界中からやって来る世界忍者達に立ち向かう!
登場人物
戸隠流忍法武神館
主人公。義父・哲山からボードの欠片を守る使命を託される。
山地哲山
戸隠流第三十四代宗家で、闘破の義父。
有事の際には自らも前線に立つ。作中最強キャラ。
哲山の娘で、闘破の義妹。闘破に対して憎まれ口を叩き、家事全般を押し付けていることから「性格ブス」と呼ばれているが、忍者としての実力は義兄に勝るとも劣らない。
山地学
闘破の義弟。まだ年端も行かぬ小学生だが、積極的に戦いの場に赴く……のだが、大概は闘破や鉄山の足を盛大に引っ張ってピンチを招いており、特に第5話では誰もいなかったのをいいことに無断で磁光真空剣を持ち出して振り回したところ、紅トカゲに磁光真空剣を奪われる失態を演じている(一応、挽回はしたが)。
シロ
山地家で飼われている忍鳥。白い鳩。伝書鳩のように大切な情報を届ける。
クロ
山地家で飼われている忍犬。黒い犬。ヘンリー楽珍に犬占いに利用されたこともあった。
妖魔一族
鬼忍毒斎
妖魔一族の頭領。
かつては哲山と同じ戸隠流の忍者だったが、パコの独占を目論み対立。ボードのもう片方の欠片を奪って姿を消し、妖魔一族を結成する。
蝶忍紅牙
毒斎の娘である女忍者。変装の達人で、幼い少女にも化けられる。
星忍烈牙
妖魔一族の戦闘指揮官。
鳥忍カラス天狗
妖魔一族の戦闘員ポジション。語尾に「でヤンス」を付けて話すのが特徴で、常に三人一組で行動する。なお一族総出で協力しているのか、磁雷矢に倒されても新しい人員が補充されるようだ。
世界忍者
世界各地に存在する、独自の技をマスターした忍者達。磁雷矢に敵対する者もいれば、彼の味方となるもいる。
イギリス十字軍の血を引くとされる世界忍者。
牢忍ハブラム
トルコ・イスタンブール出身の世界忍者。白塗り顔にモヒカンと黒マスクで口を覆った世紀末ファッション満載な一見悪役テイスト大の忍者だが、見た目とは裏腹に非常に正義感あふれる真面目で敬虔なイスラム教徒。特撮ヒーローを見た目で判断してはいけない代表例(もっとも、中の人は悪役を演じているので仕方ない部分はあるが……)。
ベトナム戦争で多大な戦果を挙げたアメリカの世界忍者。KKK風の頭巾が印象的。
その他の忍者
裏柳生の流れを組むとされる女忍者。その正体は闘破とパコの秘密を守るために、国際警察から派遣された秘密捜査官。
飛鳥竜 / 槍忍突破
レイのパートナーである秘密捜査官。槍と双鈎の使い手。後に新たな任務のために日本を離れた。
スミス博士
哲山の弟子で、アメリカから亡命してきた科学者。
紙忍折破
紙忍一族の抜け忍ハンター。山地一家の知り合いである抜け忍、山村啓介の抹殺のために登場する。
ヘンリー楽珍
変な占い師。実はかつては忍者だった。
第30話で登場した悪の忍者。詳細はリンク先参照。
メカニック
戸隠流に伝わる剣。名前を叫ぶことで光り輝き、様々な剣技で相手にとどめを刺す。
ジライバスター
第13話で初登場した山地家伝来の短銃。殺傷能力はない為、磁光真空剣のような必殺武器としては使えないが、カートリッジを交換する事で攻撃だけでなく通信や治療にも使用可能。
磁雷矢の駆る忍者カー。哲山の「忍術と科学の融合」という思想のもと、闘破の愛車であるフェアレディZ(Z31型 前期モデル)をスミス博士が改造して完成させた。
『世紀の秘宝パコ』を守るために聖徳太子が建造した約20mの巨大な武神像で、終盤から登場。胸部に磁雷矢が融合することで駆動し、巨悪に立ち向かう。
備考
- 山地哲山役の初見良昭氏は実際に古武術と忍術の道場をかまえる本物の忍者であり、劇中での『戸隠流第三十四代宗家』という肩書きも氏が実際に持っているものである。ちなみにだが、初見氏本人が出演しているものの実は声だけは吹き替えである。(声:長沢大)
- 山地闘破/磁雷矢役の筒井巧氏はジライヤの最終回のナレーション通りに2019年12月に戸隠流第三十五代宗家になった。つまり本物の忍者になったのである。
- OPで磁雷矢がトラックの荷台に飛び移り、荷台からブラックセイバーに飛び乗るカットで使われているヘリコプターは、後に『特警ウインスペクター』で悪堕ch・・・もとい犯人の逃走用ヘリとして使用されている(機体番号から判明)。
- 挿入歌の使用が多く(OP曲なども含め)、毎回2~3曲が流れる。何となく見ているだけでも「ジライヤ!参上ー」や「(ジャスバニンハー!)磁光真空ーけぇぇん」等のフレーズを覚えてしまう。
- 山地学は次回作の機動刑事ジバン第31話にゲストとして客演し、ジバンと共にシノビノイドと戦った。(世界観を共有している説も)
- 『磁雷矢』という1990年代にメキシコでデビューしたプロレスラーが実在する。もちろん東映公認。 現在、日本で唯一のルチャ・リブレの専門学校を主宰。今まで山地闘破役の筒井巧氏とブログでしか接点はなかったが、2016年4月10日に福岡市のさいとぴあでコラボショーを行った。
- 上記の概要から、『機動武闘伝Gガンダム』との共通点や「(褒め言葉として)公式が病気の走り」と捉えているファンも多い。
- 2014年9月23日からYouTubeの東映特撮YouTube Officialにて本編全話が公式配信。ニコニコ動画でも東映特撮ニコニコおふぃしゃるにおいて2018年7月11日より公式配信を開始している(無料視聴期間経過後は有料)。
- 2015年10月18日『手裏剣戦隊ニンニンジャー』第34話に、山地闘破役の筒井巧氏ご本人が磁雷矢としてゲスト出演し、ファンを狂喜させた。磁雷神も一瞬ながら登場。他にも、走るトラックの上を飛び移り、オフィスの中をスライディングして通り抜ける当時のオープニングの再現シーンや、フクロウ男爵の口癖を意識した「アイアムも賛成でございやす」というキンジの台詞など、小ネタが満載。
- TBSの『オールスター感謝祭』の予選落ちリストが表示される場面で流れるあのBGMは本作で使われていた『渦巻く妖気(M-34)』というBGMのイントロ部分である。このBGMは劇伴が同じである特捜ロボジャンパーソンやブルースワットでも使われている。
- 『ニンジャスレイヤー』のアニメ版、ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンのOPアニメーションに、ジライヤのOPのパロディが含まれている。第四部は「世界各国のニンジャと戦う」というジライヤと同じテーマになっていた。
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