概要
2015年4月から同年10月にかけて、ニコニコ動画などネット配信でオンエアされた(全26話)。2016年春よりTOKYOMX、BS11他でスペシャルエディシヨンが放送。
(スペシャルエディシヨンでは、2話分を30分尺に合わせて仕様変更している。オープニング及びエンディングは統合されており、エンディングではAパートとBパートでクレジットが別々に表記されている個所もある)
制作はTRIGGER、シリーズディレクターおよびシリーズ構成は雨宮哲、脚本は佐藤裕。
キャラクターデザインはメインキャラクターを今石洋之、女性キャラクターやサブキャラクターを芳垣祐介、saitom、稲戸せれれ、信じろが担当する。
各話15分の作品で、OPテーマはヨーロッパを中心に活動する日本人バンド「BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)」の「BACK IN BLACK」、EDは各話毎に異なるアーティストが手がける豪華仕様である。
各話のEDは、各曲のFullバージョンに加え劇中BGMを追加収録した「ニンジャスレイヤーフロムコンピレイシヨン」として「忍」「殺」の二枚が発売されている。
作風・評価
本作の最大の特徴は、その独特な演出方法にある。
一言で言えば「手抜き」なのである。
即ち、登場キャラクターは解像度の低い2,3パターンほどの立ち絵で表現され、その立ち絵が手足を動かすことなく背景の中をスライド移動したり、回転したり、揺れたりするというもの(通称「FLASHパート」)であり、大いに物議を醸した(イメージとしてはTRIGGERが2012年に製作したWEBアニメ「インフェルノコップ」や、蛙男商会製作のFLASHアニメ「秘密結社鷹の爪」のそれに近い)。
しかし、原作の特異な雰囲気やストーリーの大筋は再現されており、そのシリアスな会話と画面とのギャップが初見の視聴者に大きな衝撃と笑撃を与えた。
またそれだけにとどまらず、時折それまでが嘘のように動き出すアニメーション(通称「アニメパート」)が入り、場面を盛り上げてくれるのも本作の特徴の一つである。
戦闘シーンにおける決めシーンなどはもちろん、その他のシーンで使用されることも多い。
他にもOPは90年代のアメリカ製アニメのOPを彷彿とさせる構成をとっているなど、スタッフの遊び心が垣間見える要素も多い。
更に映像のアスペクト比も昨今主流のワイド16:9ではなく、絵や音を凝縮するためにアナログ放送などで主流だったアスペクト比4:3が採用され、OPとEDを除いて音声はモノラルである。しかも16:9、ステレオで制作したものをわざわざ直しているというこだわり具合。ちなみに16:9のステレオ版はBD・DVDの特典映像として収録される。
以上のように、チープ感溢れる演出に加え、時折普通に戻るアニメーション、そしてそれに見事に溶け込んだ原作のエッセンスとの融合によって、本作は従来の日本アニメとは違った独特な魅力を作り出す事に成功している(※ちなみに「FLASHパート」はエピソードによって比率が逆転する事もままある)。
ただし一話完結の15分番組(無論OPやEDを除いた本編時間は更に短い)故に原作に存在した世界観、心理、風景、戦闘などの様々な描写や状況説明が大幅にカットされた上で必要最低限の要素に絞られて再構成されているため、原作をある程度知っていないと分かりづらいシーンも多い。
一方、一話ごとの尺が短い分気軽に視聴することができる上に原作よりも描写がややライトであり、原作の大まかな内容と雰囲気をカジュアルに味わえるため、そういった意味では初心者向けとも言える。
このような独特な手法から、ヘッズからも初見の人からも、評価は大きく分かれている。主に否定論者からは予算をカットした手抜き作品と言われることもあるが、先の通りそれらのチープ感漂う映像は概ね「あえて」やっていることがよくわかる。
実際制作陣はこの評価を聞いた時、ガッツポーズという狂人めいた反応を見せた事からもそれが窺える。加えて原作のゴア表現を映像化するのが放送倫理上難しく、可能な限り殺伐とした世界観を表現するための意図だった、とも取れる。アニメニシヨンでは概ねマイルドにされているが、実際の死亡シーンは言葉も出ぬ程のスゴイ惨たらしさである。
余談
第1話の配信直後から賛否両論を巻き起こした本作であるが、メインの配信先であるニコニコ動画ではなんとその第1話が一週間と一日足らずでミリオン(百万回再生)を達成するという快挙を成し遂げた。これはアニメ第1話としては当時最速(後に「がっこうぐらし!」が記録を大幅に更新した)のミリオン達成であり、ヘッズを始めとした多くの人々に再度の衝撃を与えた。
実際複数回に渡って第1話を視聴した重篤ヘッズや新規ファンも多かったらしく、各話OP後には第1話冒頭におけるオフェンダーの「みぃーつけたぁ♪」というセリフをコメントに流すのが恒例になっている。(黙れ!オフェンダー=サンのオバケめ!)
2021年2月にはプレミアム会員限定の見放題対象として選出。多くの支持を受けたことから、急遽見放題視聴期間が1ヶ月延長されるという快挙を達成している。
また、女性キャラクター(主にナンシー=サンなど)のサービスカット描写に対しては原作以上の拘りを見せることも多く、放映以降は女性キャラクターのファンアートが急激に増加した(特にセクシーさを強調したものが多い)。
女性キャラクターへの執念はこれだけに留まらず、原作第一部におけるヤモトやユカノの登場エピソードは物理書籍限定エピソードを含めその殆ど全てがアニメ化されている(18話時点でユカノの登場する「バック・イン・ブラック」のみアニメ化されていないが、シーン自体はOP映像として使用されている)。
それ故、原作でも賛否が分かれる「イッキ・ウチコワシ」編が全エピソード導入されており、あからさまにアカめいた過激革命思想や運動への批判、考察コメントなども見られた。ただし「ニンジャスレイヤー」は元々実況タグに政治思想などのコメントを持ち込む事が公式に禁止されている作品であるため、当該エピソードに限らずアニメ本編にそのようなコメントを投稿する事もなるだけ控えることが推奨される。備えよう。
また本作は他のTRIGGER作品の例に漏れずアニメ、特撮を始め数々の作品のオマージュやパロディが散りばめられているほか、背景にはプロダクトプレイスメントの一環として「ボーダーブレイク」や「強力わかもと」といった実在する商品や企業の看板が登場している(ちなみに前者はアニメ放送に先駆け公式コラボレーションイベントを実施、後者は忍殺にも多大な影響を与えたサイバーパンク映画の金字塔「ブレードランナー」に登場した事で知られている)。
一部ニンジャのデザインにネジや関節パーツなどおもちゃのような意匠が組み込まれているのも本作の特徴であり、ヘッズの間では「FLASHパートはおもちゃ同士を戦わせて遊ぶ(=ブンドド)のを意識した演出では」「逆にFLASHパートがブンドドめいているのを意識しておもちゃのようなデザインにしたのでは」との説が囁かれているという。
放映リスト
話数 | エピソード | ED |
---|---|---|
第1話 | ボーン・イン・レッドブラック | BORIS 「キルミスター」 |
第2話 | マシン・オブ・ヴェンジェンス | Melt-Banana「Halo Of Sorrow」 |
第3話 | ラスト・ガール・スタンディング PART1 | THE PINBALLS「劇場支配人のテーマ」 |
第4話 | ラスト・ガール・スタンディング PART2 | 8otto「SRKEEN」 |
第5話 | レイジ・アゲンスト・トーフ | 6EYES「RADIO」 |
第6話 | サプライズド・ドージョー | ELECTRIC EEL SHOCK「Ninja Slayer」 |
第7話 | ペイン・オブ・サーペント / ザゼン・アンド・ニンジャ | Shinichi Osawa「Ninja Prayer」 |
第8話 | アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル | taffy「Suicidal Bunny」 |
第9話 | ワンミニット・ビフォア・ザ・タヌキ PART1 | 80KIDZ「Hide」 |
第10話 | ワンミニット・ビフォア・ザ・タヌキ PART2 | Sawagi「Jag Jag」 |
第11話 | メナス・オブ・ダークニンジャ | Boris「Aurashi no Ken」 |
第12話 | デイ・オブ・ザ・ロブスター / コンスピラーシィ・アポン・ザ・ブロークン・ブレイド / デイ・オブ・ザ・ロブスター2 | skillkills「NEO CYBER MADNESS」 |
第13話 | スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ PART1 | Drop's 「Purple My Ghost」 |
第14話 | スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ PART2 | 赤い公園 「もんだな(NINJA MIX)」 |
第15話 | スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード | TK from 凛として時雨 「Fantastic Magic」 |
第16話 | アット・ザ・トリーズナーズヴィル | GEEKS 「NINJA SOUL」 |
第17話 | トレジャー・エヴリー・ミーティング | MINE「TEAR OF THE PIERROT」 |
第18話 | エヴァー・フェルト・チーティド | taffy「Dr.K」 |
第19話 | ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション PART1 | SCAM CIRCLE「Alone」 |
第20話 | ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション PART2 | 人間椅子「泥の雨」 |
第21話 | ネオサイタマ・イン・フレイム PART1 ライク・ア ブラッドアロー・ストレイト | MOJA「High Speed」 |
第22話 | ネオサイタマ・イン・フレイム PART2 ダークニンジャ・リターンズ | memento森「sick hack -忍殺 ver.-」 |
第23話 | ネオサイタマ・イン・フレイム PART3 アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ | Lillies and Remains「Body」 |
第24話 | ネオサイタマ・イン・フレイム PART4 ダークダスク・ダーカードーン part1 | sawagi「KHAKKHARA」 |
第25話 | ニンジャスレイヤー傑作選 | ギターウルフ「JETT REASON」 |
第26話 | ネオサイタマ・イン・フレイム PART5 ダークダスク・ダーカードーン part2 | BORIS「キルミスター」 |