新サクラ大戦・サクラ革命炎上騒動
しんさくらたいせんさくらかくめいえんじょうそうどう
※最初に「注意事項」をしっかり読んだ後、以下ネタバレほか閲覧注意。
新サクラ大戦、およびサクラ革命を『楽しむ事が可能な方』、この一連の問題は『知っていても特に問題視していない』・『一連の問題や本記事をそこまで共感出来ないという方』はブラウザバックを推奨します。
記事の内容は見方によっては極めて非常に批判的なものになっており、最悪の場合気分を害する可能性があります。本記事内容をどう見るかは自分次第です。否定される場合は考証・考察・検証・批判・非難の語句の意味をしっかり、調べて理解した上で行いましょう。
この記事の内容はあくまで物の見方の1つであり、以下に記載される意見や情報を鵜呑みにしてはいけません。
よって、きちんとこれらの能力を身につけた上で、判断しましょう。そしてこの記事だけで判断せず、自分でできれば、情報を収集してください。
サクラ大戦シリーズのリブートとして開発された新サクラ大戦、サクラ革命に関する炎上騒動。
サクラ大戦Ⅴ(2005年)から新サクラ大戦(2019年)までおよそ14年の月日を経てのシリーズ復活であり、ユーザーからの期待は新サクラ大戦は2019年度日本ゲーム大賞のフューチャー部門(今後が期待されるタイトル)を受賞するほどであった。
そもそもシリーズが14年ぶりに新作を発売する切っ掛けの1つになったのもセガフェスのファン投票による総選挙にて「復活期待部門」の1位にサクラ大戦が選ばれたからであり、非常に大きい期待がファンから寄せられていたのだが…
どちらの作品も原作者の広井王子、前作までのストーリー構成のあかほりさとるがストーリー・設定に関わっておらずサクラ大戦のストーリー・設定に関する有識者が不在のままで開発が進められた結果、サクラ大戦Ⅴまでの世界設定やキャラクター設定などと乖離しすぎてしまった作品になってしまい、シリーズファンから多くの不満の声が上がった。
スタッフの変更
メインスタッフは原作の広井王子、キャラ原案の藤島康介、ストーリー構成のあかほりさとるらがスタッフから外されキャラ原案はBLEACHの久保帯人、ストーリー構成を428のイシイジロウに変更された。
続投しているオリジナルスタッフは音楽の田中公平のみ。
原作者の広井王子は新サクラ大戦の主題歌、上海華撃団のテーマソングの2曲の作詞、劇中劇の演目を宝塚歌劇団の第1回演目であった「桃太郎」にするアイディアを提供するのみで実質制作協力者の1人という扱いにとどまった。
サクラ大戦は広井王子が「私小説」と発言しているほどの作品であり、広井王子の幼い頃より演劇に触れて来た経験が色濃く出ている広井王子がなくてはならない作品なのであるが、開発当時セガの取締役だった名越稔洋が原作の広井王子には頼まないと自分が決めたと発言しており、サクラ大戦の原作者を意図的に新サクラ大戦のスタッフから外していた事が判明。また、2019年10月のインタビューでは、新サクラ大戦の企画経緯について「新しいファンを取り込める作品にしたいと考えた」と旧来のファンよりも新規ファンの獲得を重視し「(旧作を)壊せないならば制作に反対だった」と発言。自らの立場を「ぶち壊す方向に舵を切る船長」と例えていたりと、旧作を壊す事を前提とした企画だった事も判明し、ファンから大きな波紋を呼んだ。
旧作から革新を行い新たなファンの獲得を行う、というケースはゲーム業界でも往々にして見られるものの、今作シリーズの需要を見誤って改革してはいけない部分を改革してしまったのである(そもそも論だが、既に一定の人気を博してるシリーズの旧作の世界観その他をぶち壊して新規ファンを狙うくらいならば、はじめからそのシリーズとは全く違う作品として作る方がシリーズファンから敵視される危険性を防ぐためにも懸命な判断である。あるいは世界観の一部こそ共通しているが全く違う作品であることを強調するのでも良いだろう。シリーズものである以上、旧作と比較されたり、旧作のような作品を求められるのは当然の話であり、旧作を意図的に壊すような作品を作るというのは基本的にはシリーズのファンから敵視されかねない危険な行為である)。
名越稔洋については、新サクラ大戦の情報が初めて開示された時のムービーにまだ登場する事を発表する予定ではなかった既存キャラの神崎すみれの名前が映ってしまっていた事に関して、セガの生放送で「自分が監修したがすみれは知らなかったしょうがないじゃん知らないんだもんサクラ大戦」と発言していた事から神崎すみれというキャラクターがサクラ大戦においてどれだけ重要かを把握していなかった様子であった。
つまりはサクラ大戦の知識がほとんどない状態で新サクラ大戦の指揮を取っていた事も判明している。
新しいメインキャラ原案の久保帯人氏のデザインもBLEACHにしか見えない、サクラ大戦の世界観と合っていないという意見も見られた。(過去のキャラデザ担当の藤島康介氏はプライベートのスキャンダルの渦中にあったため起用できなかったともいわれている)
キャラの所属組織毎にキャラクターデザインのスタッフが違う部分も結果として世界観が統一されていないとあまり歓迎されていない。
一方、新サクラ大戦主題歌の広井王子の詞「夢は蘇る」はシリーズ復活を望んでいたファンから絶賛されているなど、基本的に前作からのスタッフやシステムが続投している部分(音楽やメカデザインなど)は好評で、変更されている部分(戦闘システムなど)が不評という評価になっている。
1番の問題点
サクラ大戦Ⅴまでのキャラクターは神崎すみれ以外の全員、大神一郎・大河新次郎率いる帝国華撃団・巴里華撃団・紐育華撃団は降魔皇(こうまおう)と呼ばれる敵のボスと一緒に10年間異世界へ封印されていたという突然の不幸に見舞われた。
なおこの問題はラスボスを倒してもエンディングをむかえても作中では一切解決しない。
唯一残った神崎すみれも1人で仲間が帰る場所を守り続けている様子はファンからすれば大変痛ましい。
特に大神一郎編(1~4)ではファンから絶賛される大神一郎に帝国華撃団の司令を託した米田一基の感動的な大団円エンディングを迎えており、大神一郎と各ヒロインの幸せな未来・結婚を想像させる内容となっていた。
ファンは各々推しのヒロインの幸せな未来の姿を渇望していた所、新サクラ大戦で見事にファンの需要と真逆の…原作者が考えたストーリーならまだしも設定に詳しくないスタッフが突然の不幸設定を持ち込んで来たのである。
また、仲間の帰還を渇望するはずの神崎すみれをはじめ、
誰1人過去作キャラを「助けよう」と口にするキャラは存在しない。
現状過去作キャラの救出はかつての三都華撃団でさえ倒せず世界規模で大被害をもたらした降魔皇の解放と≒であるため、救出は大変難しいものとなっているものの「助ける方法はないのか」と問う事すらせず過去作キャラ救出に関してはゲーム版では一切触れられず過去キャラは敵と一緒に封印されたままの状態から何の進展もなくエンディングとなる。
神崎すみれですら「自分達で帰って来ると思いますわ」と助けに行く気力のない発言をしている。(一応漫画版では救出作戦を立ててはいたが政府の承認が下りず実行出来なかった設定にはなっている。ゲーム版では救出について前向きな姿勢の描写は一切ない)
要点をまとめると、
前作でハッピーエンドで終わっていた愛されていたキャラ達が原作者ぬきで突然バットエンディング設定に変更されていて、本作内でそのバットエンディングの問題解決が一切されない。のである。
発売から数年たった現在でもこの問題は放置されており、公式から解決編やフォローをされた話が発表されていないため度々物議を醸している。
サクラ大戦は各キャラクターに大変思い入れの強いファンが多かっただけにこの設定・作中のこの扱いには非常に多く不満の声が上がっており、新サクラ大戦に対して肯定的なファン・否定的なファン問わずに「過去作キャラクターの扱いに決着を付けて欲しい」との声が上がり続けている。
新サクラ大戦は元より続編が前提と思わせられる作りをされており、次回作以降で過去作キャラを救出するストーリーを制作する予定であった可能性もある。ファンからすれば新サクラ大戦の時点で14年待った新作であり、次にいつ出るか分からない続編を待つ気力が残されていなかった事や、そもそも謎や解決編を今作内だけで完結させず次作以降に丸投げする作りにも批判炎上の原因の1つとなった。
犠牲の精神の崩壊
大神一郎、および華撃団はかつての帝国華撃団副司令藤枝あやめを失った事から戦いによる犠牲を強く否定する意思を持つ。
「必ず生きて帰る」
これはサクラ大戦2以降のシリーズのお約束とも言える精神であり、次代の主人公の大河新次郎にもその意思は受け継がれている。ゲームの随所で「犠牲を出してはいけない」という事が言及される。
大神一郎はサクラ大戦2にて真宮寺さくら1人の命を救うためだけに国家機密級の神器を独断で破壊するほどに犠牲を否定しているはずであり、大神一郎が歌うサクラ大戦4の主題歌「檄!帝~最終章~」では間奏で「全員必ず帰還せよ!」という台詞が入っている程、彼の象徴たる信念である。
次代主人公である大河新次郎もサクラ大戦Vで大神と同じく犠牲は出してはいけないと強く主張する場面が描かれているキャラであるはずなのだが…
新サクラ大戦では
二都作戦にて自身達が封印されて犠牲になる
封印の作戦の実行に必要なアイテムは人の命を犠牲にして制作されたもの
という犠牲が出る行動を多重に行っている。
ファンからは「大神と大河が犠牲が出る作戦を実行するはずがない」と抗議の声が上がっている。
仮にその製作過程を知らずに作戦を開始し、結果的に自分達を犠牲にするしかなかった結果なのだとしても、特に大神に関しては当時帝国華撃団の総司令に就任している筈なので製作過程を知らない=犠牲にされた人がいることを知らないというのはかなり無理がある設定である(過去作内にそういう方法で製作しそうな人物も勿論登場していない)。
ゲームとしての評価
- システムの不出来
シリーズ伝統のクリア後のおまけモード排除
初期はテキストのバックログ未実装
初期は戦闘にロックオン機能なし
ミニゲームは花札の1種類のみ
過去シリーズと比べてむしろ劣化している部分がかなり多い。
ミニゲームは過去作は何種類も豊富に用意されており、サクラ大戦の売りのひとつであったのだが今作は花札のこいこい大戦1種類のみとなっている。このこいこい大戦も当初は収録する予定がなく、クオリティアップのために制作期間を延長した際にようやく入れる事になったとスタッフが明言しているため、ミニゲームを軽視されていた事が分かる。
ミニゲームが同じくこいこい大戦しかないサクラ大戦無印のリメイクの「熱き血潮に」やミニゲームが完全に撤廃されたサクラ大戦Vでもやはりこれはファンから批判されていたポイントだったにも拘らず、それから何の改善もされていない。
戦闘のシステムは過去作のシミュレーションからアクションに大幅にジャンル変更がされたのだが、成長要素もなくただ大量にわく雑魚を連打で倒すだけの戦闘でロックオンがなく遊びにくい劣化無双の評価だった。
過去作は帝都では上野公園や浅草、巴里では凱旋門前、紐育では自由の女神像前など都市の有名な場所が戦闘ステージとして登場しバリエーション豊かであったのだが、今作では劇場前・敵が作りだす空間・ラストステージの3種類しかなく都市の有名な場所での戦闘は一切存在しない。
テキストのバックログと戦闘のロックオンはアップデートで改善はされた。
シナリオ全体の話の長さもサクラ大戦Vとタイの歴代ワースト2である。
- キャラバランスの悪さ
サクラ大戦シリーズには攻略可能のヒロイン全員に主役になる話が作られるのが伝統なのだが、今作には東雲初穂の主役と呼べるような話が存在しない。5話が一応の初穂の主役回との扱いになっているが、実際にはメインヒロインの天宮さくらの悩み・葛藤がメインの話である。
サクラ大戦(無印)のオマージュかラストでヒロインが次々と殺される場面が存在するが、過去作ではプレイヤーがエンディングヒロインとして選んだキャラが生き残るのに対し、今作では誰をヒロインに選んでいたとしても生き残るのはメインヒロインの天宮さくら固定でヒロイン分岐が機能していない。
というか、シナリオ班がほとんど旧作を知らずに「よく分かんねーけどラスト前でヒロインみんな殺しときゃサクラっぽいんだろ?」と安易に在庫処分に走った感さえある。
同じくサクラ大戦2からのオマージュかサクラ大戦2の劇中劇の「奇跡の鐘」という演目を新の花組も上演する事になるがサクラ2では「奇跡の鐘」の主役はプレイヤーが選ぶイベント(エンディングヒロイン決定イベント)なのに対して今作は主役はまたも天宮さくら固定である。
過去作もメインヒロインは優遇されがちではあったが、今作はそれ以上に天宮さくらが異常なまでに優遇されていてキャラのバランスが非常に悪いため、彼女以外のヒロインが推しになった場合、不遇冷遇どころの話ではなくなる。
- シナリオの不出来
まず槍玉に上がるのは1話の戦闘の終盤、一応は友軍なはずの上海華撃団の隊長ヤン・シャオロンが、現在の落ちぶれた帝国華撃団を目障りという理由で、敵そっちのけで天宮さくらに襲い掛かった点だろう。
その後助けに来た新の主人公神山誠十郎と合流した後は、何事もなかったかのように共闘を始める。この一連の話は新サクラ大戦のシナリオの不出来の代名詞として「上海リンチ事件」と呼称された。
セガのディレクター寺田貴治氏はヤン・シャオロンについて
「確かに嫌なヤツ過ぎましたね(笑)。でも,さくらの「絶対に諦めない!」というセリフを引き出すためには,ああいう役が必要だったんです。」(発売直前「新サクラ大戦」インタビュー。セガのキーマン3名が語る,サクラ大戦 復活への道より)
とは語っているが、味方キャラではなく敵キャラに天宮さくらを攻撃させるなどもっと良い見せ方はいくらでもあったはずである。
キャラゲーでもありキャラ人気も重要なサクラ大戦において、制作側自らがキャラ人気を下げるような事をしてしまう形になってしまっている。
その他、主人公の霊子戦闘機を用意したらお給料も払えないほど財政難になりましたと言っておきながら何の説明もなく最新の霊子戦闘機を4機も配備していたり、敵から3日待つ、と言われて何もせずあっさり3日が過ぎたり、作中に行われる大会で勝負する際、対戦相手の海外の華撃団の3人目は名前も顔も登場しないモブだったりするなど、過去作キャラクターの扱いの悪さを除いたとしても純粋にゲームの出来自体にも疑問が残る内容になっている(記事抜粋はほんの一部)ため扱いの悪さと輪をかけて批判が及んだ。
テレビアニメ版
『新サクラ大戦 the Animation』
ゲーム版が発売された翌年に放送された。全12話。
ゲームの後日談。
過去作キャラクターの封印問題については今作では話題にすら上がらず、今作でも全く解決しない。ゲームを遊んでいる事前提で作品特有の単語や細かい設定の説明が一切なしにストーリーが始まるため、初見バイバイが多数発生した。
アニメがゲームの後日談になった経緯についてはセガのディレクター寺田貴治氏は
「やはりゲームを遊んでほしいからですね。ゲームにすべて還っていってほしい。アニメを観た方に『これのもとになったものを遊んでみたいな』と思ってほしいと期待したところはありますね。」(2020年4月10日発売「アニメディア5月号」50ページより)
と明かしてははいるものの、初見からすればどういう世界観なのかも分からなくついていけずに離脱してしまう視聴者が多発した。思惑とは見事に真逆の事がおこってしまっている……というか、やるならば普通はそんなアニメからゲームへと繋がる「前日談」や、せいぜいそこからゲーム版の中盤の見せ場までという続きが気になる場面までで作るべきだろうが、何故「後日談」でいこうと思ったのかは理解が苦しむところである。
ではゲームをプレイしていた勢は楽しめたのかと言うと、ゲームでは三式光武と桜武にしか乗っていなかった天宮さくらが突然説明なしに無限に乗り換えているため困惑した視聴者も少なくない。
テレビアニメの世界はメインヒロインの天宮さくらがヒロイン確定の世界らしく、天宮さくらが神山誠十郎不在の帝国華撃団花組の隊長代理を務めている。(ゲームのヒロインは副隊長に指名される)天宮さくら以外のヒロインファンへの配慮に欠けてしまっている。
ちなみに過去作のOVAや映画といったアニメ作品は主人公に誰がヒロインとして選ばれたかは特定できないようにどのキャラのファンでも大丈夫なよう視聴者に配慮されていた。
ゲームで主役回と呼べる話がなかった東雲初穂がゲームの代わりなのか目立つ話が存在するが、神山誠十郎に選ばれた天宮さくらへの嫉妬からのカラ回りのため目立って良かったのか微妙な所である。
活躍はほぼ天宮さくらとアニメのゲストキャラクターのクラーラ・M・ルシュコヴァに取られており、アニメではアナスタシア・パルマの主役回が存在しない。
ここまでヒロイン達が複数人いることを活かせないのであれば寧ろ最初からヒロインを天宮さくらのみにしていた方が批判が出なかったのではなかろうか。
サクラ大戦と言えば舞台歌劇なのだがほぼ描写がなく、1話冒頭と最終話のラスト2回しか舞台をしている描写が出て来ない。舞台歌劇描写が少ないのはゲーム本編も同様である。
降魔人間
テレビアニメのゲストキャラクターである
クラーラ・M・ルシュコヴァとレイラ・M・ルシュコヴァの2名は
ロシアの研究者によって降魔との共存を最終目的として生み出された降魔の細胞を埋め込まれた降魔人間という設定なのだが、そもそも降魔とは日本の帝都東京への怨念の具現化なので東京からしか発生しない魔物である。
ロシアの地で降魔の研究ができるはずがない。
舞台版のセリフに「世界を降魔から守る」というものがあるため、新サクラ大戦の世界では世界中に降魔が発生しているか、魔族の総称が「降魔」と呼称されていると推測される。過去作では日本帝都には降魔、フランス・巴里にはパリシィ、アメリカには南北戦争由来などその土地の歴史にちなんだものやその土地固有の敵が出現しており、敵の名前もそれぞれ違っている。
過去作では降魔は絶対悪として共存の余地がないのだが本作は共存余地がある存在、共存思想を良しとする描写がある。過去作で降魔を絶対悪として戦い続けて来て、なおかつ現在も降魔の親玉に苦楽を共にしてきた仲間を取られている神崎すみれ、母親が降魔が原因で死亡している天宮さくらが何の葛藤もなく降魔人間を家族と受け入れる描写も相まってファンから波紋を呼んだ。
降魔が共存の余地のある存在で世界中に分布する敵、というのはシリーズの根本を揺るがすほどの設定であり、犠牲をよしとしない大神一郎達が犠牲を出す作戦を実行している点も相まって実質過去作と新サクラ大戦の世界は別世界のパラレルワールドであるのが決定的になった。
シナリオライターが過去作のサクラ大戦シリーズの設定を全く知らないで作り、地続きの世界のつもりだったが設定がズレすぎてパラレルワールド化してしまったのだと思われる。
もはや過去作のサクラ大戦と新サクラ大戦の世界は地続きの世界と言う方が無理があるレベルの設定のズレがある。
また過去作キャラが封印から救助された後ならまだしも未だ封印された状態でその敵と共存しよう!という思想が正義として描写される様がファンに特に強い懸念を抱かせる原因となっている。
恐らく正体が降魔である村雨白秋についても隕石で地上に飛来した描写があり、サクラ大戦の敵の「都市に巣くう怨霊」の設定からかけ離れたものになっている。
真宮寺さくらの扱い
「旧作の主人公やヒロイン達が全員犠牲になって封印されている」というのは上述の通りだが、シリーズの顔とも言える彼女はさらに別の意味でも雑な扱いをされている。
ストーリーのネタバレにもなるためここでは詳しくは書かないが、もはやシリーズの顔に対するものとは思えない死体蹴りにも近い雑な扱いであることは間違いないだろう。
舞台版
サクラ大戦シリーズの舞台と言えばゲームの声優がそのままの役で舞台にも上がっている事が有名だが、新サクラ大戦の舞台はゲームの声優ではなく俳優が演じている。
声優ではなく俳優舞台なのはサクラ大戦奏組という作品でシリーズの事例がすでに存在しているのだが、やはりゲームナンバリングタイトルの舞台は声優でやって欲しかったという声は少なくない。
前作シリーズ舞台は役者が何らかの事情で舞台に出演できなくなった場合はそのキャラクターは欠席扱いになり一切代役は立てず、担当声優以外には演じさせない事になっていたのだが今作は前作からのキャラクター神崎すみれを長年ゲームでも舞台でも演じて来た声優の富沢美智恵ではなく、俳優の片山萌美に渡すという事態になった。
ちなみに神崎すみれは富沢美智恵がプライベートの都合で舞台出演が難しくなった時にわざわざ大々的に引退公演を銘打ったキャラクターである。
以上の事情から既存のファンからすれば神崎すみれといえば富沢美知恵以外の演者はありえない状態だったのだが、そこに突然まったく別人の俳優をあてがわれ少なくない波紋と不満を呼んだ。
また、富沢美智恵自身も
「自分が愛して止まない、心血を注いできた神崎すみれの役を誰かに譲るということは考えられません」と語っている。
>新サクラ大戦発売前のインタビュー【特別企画】『サクラ大戦』レジェンド対談! 横山智佐さん×富沢美智恵さんが語るあのころ・いま・これからより
音楽
- スタァ誕生
作詞・藤林聖子
歌・神崎すみれ、竜胆カオル、大葉こまちによる大帝国劇場へようこそ!と歌う楽曲なのだが、神崎すみれが歌うパートの歌詞に「カタカタ無粋なシネマ」というものが存在している。
つまりは機械音がなる無粋な映画よりもきらびやかな舞台レビュウが良いわという歌詞なのだが、神崎すみれの母親は映画女優である。→神崎雛子
すみれが母親の職業をないがしろにしてしまっている。
すみれは「キネマ行進曲」という映画の素晴らしさを唄う歌を持っているキャラで、OVA轟華絢爛の3話にて映画で主演を演じる姿が描かれているキャラなのだが新サクラ大戦において突然映画を「無粋」と言い切るようなキャラにされている。
サクラ大戦の歌のパートの割り振りは音楽の田中公平氏が行っていると本人が言及している。
- 舞台の神様
作詞・マイク・スギヤマ、田中公平の合作
歌・俳優版の神崎すみれ
舞台限定の楽曲で歌唱は舞台版すみれ役の片山萌美のみ。
なのだが、「舞台の神様」とは過去作のキャラですみれの仲間のレニ・ミルヒシュトラーセの口癖であり、神崎すみれは過去作では1度もこの言葉を口にした事がない。口にしているのはレニ1人のみである。
神崎すみれ本人も神様に祈るような性格ではなく、キャラソンで『そうよ わたくしは女神なのですもの』とむしろ自分こそが女神と言ってしまうような自信家な性格なのだが、すみれの楽曲として制作されている。
歌謡ショウ「紅蜥蜴」にて落ち込む富沢美智恵演じる神崎すみれに対してレニが励ます時に「舞台の神様」と言った事から着想を得て制作したと音楽の田中公平氏が語っていたが、「舞台の神様」は初出は歌謡ショウではなくゲーム本編のサクラ大戦2の9話のレニのヒロインイベントで、それ以降レニが舞台の事を語る時によく使う口癖になるキャラ固有の言葉で他のキャラに使用できる単語ではない。
(サクラ大戦で言うシー・カプリスのヒューヒュー!やジェミニ・サンライズの「なんちてー」やリカリッタ・アリエスの「くるくるくるー」等と同等の言葉ある)
過去作の楽曲の作詞は全て原作の広井王子が行っていたため楽曲のタイトルや歌詞に設定矛盾が発生する事はなかった。
ディライトワークスとの共同開発で新サクラ大戦が発売された翌年の2020年に発表、配信が開始されたスマートフォンゲームなのだが、2020年は新サクラ大戦の騒動でまさにファン界隈が荒れている最中で、そこにさらに原作のサクラ大戦と乖離しすぎた設定のゲームが出て来たせいもあり受け入れられるファンが非常に少なかった。
スタッフとしてはシリーズ原作者として広井王子の名前が掲載されているものの、新サクラ大戦以上にノータッチであり作詞すら関わっていない。
オリジナルスタッフは新サクラ大戦と同じく音楽の田中公平のみが続投であり、メインキャラクターデザインに至っては新サクラ大戦のような久保帯人、島田フミカネといった著名な人物ですらない経歴が不明なオハラミサオという人物が務めていた。
キャラクターデザイン・モデリングが可愛くないと評判で、1部の過激なユーザーからは直接的にブ〇やブ〇イクと蔑称されサクラ革命のサジェストに登場するほどだった。
「ご当地ブ〇集め」という誹謗中傷に近い言葉まで生まれてしまった。
この点はプレイヤーや悪質まとめサイトで色物キャラをピックアップして広めていた一面もあるが、多くのユーザーからの不評を買っていた事だけは間違いなく、一連の騒動で売り上げがセールスランキング圏外にまで落ち込み2020年12月15日配信開始からわずか4ヶ月の2021年4月22日にサービス終了告知、7月20日にサービス終了された。
原作と乖離しすぎた設定
華撃団は都市防衛のための組織であるというシリーズの設定とは逆で華撃団がレジスタンス(テロ組織)化している事をはじめ、過去作キャラが一切登場しないオリジナル設定、シリーズのキモであるスチームパンクをなくす、霊子甲冑を廃止など過去作の設定を生かしていないものや真逆の設定が多い。
華撃団隊員は霊力が高い人間ではないと選ばれないのが大前提なはずなのに
咲良なでしこは華撃団隊員でありながら一般人と同じ程度しか霊力がない
などシリーズ根本をゆるがす設定もある。
そしてなぜか人並みの霊力で光武を動かしている。
そしてなぜかヒロイン達よりずば抜けて強い。
霊子水晶という霊子甲冑に搭載される物質は華撃団関係の機器にしか採用されていないはずなのに一般人の機械にも使用されている、など上げ出したらキリがなくむしろ原作のサクラ大戦の設定と矛盾していない設定の方が少ない。
時代設定は太正100年という遠い未来、現代でいう2011年設定でありえたかもしれない未来(パラレルワールド)と公言されており、サクラ大戦・新サクラ大戦と世界が繋がっていないとはいえサクラ大戦と言えばという設定をほぼなくしていて、もはやサクラ大戦を名乗る意味が本作にあるのかと言われたほどであった。
過去キャラが登場の余地がない未来の時代設定である事から登場しない事は仕方ないとしていてもサクラ大戦としての世界設定があまりにもかけ離れていたのである。
花の名前事件
「サクラ大戦の乙女たちは下の名前が花の名前ですが、今回登場する子たちも少々もじってはいるものの、全員名前は花なんです。」(ディライトワークス・サクラ革命ディレクター・池大輔)「サクラ革命」をひと足お先にプレイ!開発陣からは制作秘話も語られた先行プレイ体験会レポートより
という発言があるが、サクラ大戦のヒロインにはジェミニ・サンライズなどの星由来の名前のヒロインや、マリア・タチバナのような花由来の名前でも下の名前ではなく苗字が花の名前のヒロインが存在するため上記の発言の内容については間違いである。
制作側のトップがメインキャラクターの名前について誤情報を語っていた、細かい設定ならまだしもキャラクターの名前一覧を見ればすぐに分かる基本設定を把握していなかった事が露呈し、運営がサクラ大戦エアプだった事が発覚した。
当然既存のファンからは非難の声と悲壮が漂う事になった。
余談としてサクラ革命の女の子達の事は「乙女達」と呼称され、サクラ大戦のヒロインは「乙女」呼ばれるともあるがこれも間違いで過去作のヒロイン達は普通に「彼女」と呼ばれている。
評判と信用の飛び火
上記の通り、本家サクラ大戦とあまりにもかけ離れた内容で批判が殺到した本作だが、あくまで「別物と割り切って」プレイしてくれるユーザーが一定数出来れば、成功といかずとも多少の存続とそれによる評判回復もできた可能性はある。
だが、タイミングが余りにも悪すぎた。
本作がリリースされたのは、「新サクラ大戦」の発売の翌年。
上記で散々述べた諸事情により、「サクラ大戦の新作」に対して世間が大きな怒りと不信感を植え付けられた真っただ中であった為、こちらを見る目も従来以上に厳しくなってしまったのだ。
開発社のディライトワークスが、当時借用させて貰っている『Fateブランド』に胡坐をかいた態度を取り反感を買っていた事情も加わり、これら多方面のヘイトが運悪く一つにまとまった結果、非公式ながら廃業の署名活動まで起こる事態に発展。
ここまで来ると製作陣ももう先は無いと判断し、僅か4か月という超速でサービス終了となってしまった。もし『革命』の方が先または単独でリリースされる等、何か一つでも違っていれば、別の未来があったのかもしれない。
ホロライブ声優起用騒動
サクラ革命の公式応援大使として公式生放送などにも出演して宣伝活動を行っていたVTuberの白上フブキと宝鐘マリンを事前登録30万人を達成するとサクラ革命の声優として起用するというもの。
ユーザーからはそもそもプロの声優でない者を起用する事、VTuberを事前登録の数を増やすためのエサにしている事などから批判の声が集まりサービス開始前に炎上した。
VTuberの本人が「聞いてない」と困惑する反応を見せたことで「そもそも事務所や当人に事前告知や通達がなく、勝手に言い出しただけでは」と邪推を生んだ。
下記のリーク騒動の中でVTuberが担当する予定のキャラは(この声優起用発表時は)全くできていなかったという話もあり(真偽は不明)実際、VTuber声優キャラは実装されずにサービス終了した。
サービス終了告知の際にVTuber声優キャラ実装中止の告知も同時に発表され、VTuber起用を信じて課金した人からすれば詐欺に近いのでは?とサービス開始前も終了後も炎上を続けていた。
リーク騒動
ゲームの炎上騒動を動画にまとめているYouTuberのナカイド氏がディライトワークスのサクラ革命スタッフからリークメールをもらったとの動画を公開した。(現在は非公開設定になっている)
その中でテイルズオブゼスティリア炎上騒動で有名な元バンダイナムコ社員の馬場英雄氏がディライトワークスの社員としてサクラ革命に関わっているとリークされて炎上拡散された。
リーク内容には制作環境へのスタッフの不満がつづられていたとされ、サクラ革命のまだ発表前だったイベント名を当てているなど多少の信憑性はあるものの、全ての情報の根源であるナカイドはそれらの情報を裏付ける確かな証拠、ソースを提示しておらず、サクラ革命サービス終了以降は馬場について一切語っていない。
ITメディアニュースを取り扱うWEBニュースサイトであるビジネスジャーナルを運営するサイゾー編集部がナカイドに協力を申し出、ディライトワークス社屋付近での同社従業員へ対するアポ無し強行取材を窺わせる手段によってディライトワークス社屋に馬場が出入りしていると証言を取ったりと大事にも発展した。
漫画版の新サクラ大戦も完結し、残念ながらその後はシリーズの続編は発表されていない。
しかし、その後に発売された「スーパーロボット大戦30」にDLCとしてだがサクラ大戦シリーズより大神、さくら、エリカ、大河、ジェミニが(スマホゲームである「X-Ω」を除いて考えれば)スパロボへの初参戦を果たした。2002年から連載されていた漫画版サクラ大戦が第二幕まで無事に完結。さらには「少女☆歌劇レヴュースタァライト」や「StarHorse4」等の様々なゲームとのコラボも新サクラ大戦発売以降にも行っているため、きっとシリーズとしての人気が完全に地に落ちたわけでは無いのだろうと信じたいところである。
全くの余談になるが、後に2023年2月27日には広井王子氏が製作に関わっている「サクライグノラムス」がスマホゲームとしてサービスを開始し、僅か1ヶ月後の2023年3月31日でサービス終了が発表される事態となっている(サービス終了日は2023年4月28日)。
こちらは広井王子氏が製作の「サクラ」の名を冠するゲームではあるが、「シノビナイトメア」の続編として製作されたゲームであるためサクラ大戦シリーズとは特に関連性は無い(が、やはり関連性を疑う声も多かった)。
しかし、「サクラ」の名を冠する非常に短命なスマホゲームとして決して良くはない共通点を抱く作品となってしまっている。