警告
- 所謂炎上に関する記事です。
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- 本記事は項目の肥大化とその内容に伴い『アサシンクリードシャドウズ』本記事から隔離したものです。騒動に関して、該当記事への追記はおやめ下さい。
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概要
まず『アサシンクリード』とは、UBISoft(以下「UBI」)によるアサシン(暗殺者)を主役とした潜入アクションゲームシリーズである。
シリーズを重ねるごとに様々な時代や地域が題材に選ばれ、2024年11月15日発売予定『アサシンクリードシャドウズ』では戦国時代の日本が舞台となることが発表された。
日本のアサシン的存在といえば何といっても「忍者」であり、それを主人公とした作品は10年以上前から熱望されて来たが、本作の主人公は藤林長門守の娘という設定の「くノ一」である「奈緒江」と、実在はしたが不明点が多い人物「弥助」であったことをキッカケに、海外でポリコレによる黒人のゴリ押しと思われ炎上した。
炎上当初の日本人の多くは「でも弥助は実在した人物であるし…」と見ており、「ゲームとして面白ければ良い」と楽観視する者も多くいた他、表現の自由を尊重する者から「将来の萎縮を招きかねない批判は避けるべき」という主張があった。
しかし、過去作と比較して歴史に疎い人でも分かる様な余りに雑過ぎる日本描写やそれに対し自信満々の制作陣インタビューなど徐々に怪しい箇所が浮上したため、日本でも炎上。
そんなタイミングで公開されていたコンセプトアートの中に現代の団体の画像が無断使用されていることが発覚した。
これらの要素が積み重なった結果、炎上が大加速。遂にはUBI公式が謝罪声明を発表する事態となった。
この炎上でUBI株価が一時的に約15%下落し、7月には20ユーロ割れを起こすなど、かなり大事となっていることが分かる。
9月には「スター・ウォーズ無法者たち」の販売不振を受けさらに下落。
9月15日頃には株価が11ユーロ台まで下落しており、スロベニアの投資ファンドからは株価非公開化や経営陣交代すべきとの声も上がっており、一部メディアからは「買収されてもおかしくない状況」「スター・ウォーズの不振を受け、赤字を回避するにはシャドウズを1350万本売らなければいけない」とかなり追込まれた事態にまで発展している。
また、発売中止を求める署名運動も行われている。
そして炎上に伴いウィキペディアで編集合戦が勃発、「弥助」の記事が保護される(参考)事態も発生している。
この様な惨状に至った主な理由として以下のことが挙げられているが、あちこちで炎上の種が発生しているため、全てを記事に載せ切ることが出来ない程である(この記事も炎上関連の情報が余りにも多過ぎるため、分割された様なものである)。
炎上拡大の要因
今回の炎上がここまで拡大した背景には以下の様な様々な要因が考えられる。
弥助起用について
先ず弥助という存在を誇張して主人公としていることが、炎上の中心的な理由となっている。
弥助は戦国時代の日本に実在したとされる黒人(アフリカ人)であり、イエズス会の奴隷として日本に来た彼は織田信長に気に入られて家臣として召し抱えられ、鞘巻と私宅を与えられた。
その後は時々信長の道具持ちを担ったり、信長に連れられて武田征伐に同行するなどしていた。
本能寺の変では信長が討たれた後、信忠の下で戦っていたが、光秀の家臣より降伏を勧告され、武器を明け渡して投降。
その後、明智光秀の命によって南蛮寺に送られることとなったが、その後どうなったのかの記録はない。資料の限りであると1年3ヶ月の間は日本にいたと思われる。
彼が信長にとってどのような立場にあったのかはよく分かっていない。
信長の道具持ちをしていたほか、(戦で活躍したという記録こそ無いが)わざわざ信長に戦場まで連れて行かれたりするなど、信長の身近に置かれていたことは記録として残っているため、おそらく身辺警護か世話係と考えられるが、正確には不明である。
信長の小姓であったという説もあるが、戦国史を専門とする谷口克広氏が研究した小姓のリストには弥助の名が載っていないため、正式な小姓だった可能性はかなり低い。
ただ、戦国時代の日本に来て天下人・信長に仕えたアフリカ人という稀なケースにロマンを見出すクリエイターが多く、創作世界のキャラとして『弥助』が登場することがあった(『信長の野望』や『戦国無双』では信長の部下として登場しており、後述する『仁王』シリーズではボスや味方キャラとして登場し、2023年に公開された北野武監督『首』では重要なキーパーソンとして登場していた)。
また、彼が「侍」か否かについては本作炎上がキッカケでネット上や歴史家の間で議論が分かれることとなっている。
しかしそもそも「侍」という言葉自体が時代によって意味が変わっており、特に戦国時代においては歴史家の間でも明確に定義するのは困難である(歴史学者・平山優氏は武家に武芸をもって仕える従者の総称とし、別の歴史学者・呉座勇一氏は武士と同義としており、中世の日本と南蛮諸国関係の専門家・岡美穂子氏は「侍」の定義が曖昧であるというのは、日本史研究では一般的な認識であると語っている)。
また、人に仕えるものを語源とした「侍」と明確な基準と位を持つ「武士」、更には「武将」を混同しているケースが多く、特に海外では弥助を位の高い人物と間違って認識しているものも多くいた。ゲームや創作に染まっていると混同しがちだが、歴史的観点では「刀を使う戦士=侍」ではないのである。
しかし今回の場合、まず後述する「文化戦争」によって海外から「黒人のゴリ押しでは?」という抗議が殺到した。
元来、アサシンクリードシリーズはアルタイル・イブン・ラ・アハドやバエクのように原則として現地人のオリジナル主人公を採用するのが恒例であり、異人種の、歴史上の人物である弥助の採用についてはシリーズとしては異例のことであった。そのため「日本の戦国時代が舞台なのだから、日本人の侍が主人公ではないのか」という疑問と困惑を呼ぶことになった。
日本国内においては当初は「弥助は他の作品でも似たような描かれ方をしている」などの擁護する声も少なくなかったが、本作における弥助が「歴史に語り継がれている屈強なアフリカ人の侍」とそれまでの弥助のイメージと比較してもかなり誇張されて紹介されており、宣伝やインタビューでこれが史実の弥助であるかのように扱われていたため、「流石にそれは言い過ぎ」「『本作はフィクション』と訂正しろ」と日本からも批判が起きた。
また、ファミ通のインタビューでUBI開発陣は弥助を「私達の侍」と称し「日本人ではない私達の目となれる人物を探していた」とインタビューで答えていた。
「戦国時代の日本に初めて足を踏み入れた外国人の目線を描きたかったのであろう」と考えれなくもないが、作中の弥助は完全に侍として振舞っているために『日本に初めて足を踏み入れた外国人』とは言い辛く、外国人目線での「私達の侍」と呼ぶには疑問が多かったため、「日本人の侍は主人公に相応しくない」とUBIが言ってるように受け取られて批判された。
現在はファミ通によって該当部分のみ削除されてしまっており、これがさらに批判を呼んだ(恐らくファミ通が炎上を面倒臭がったためと思われる)。
別の開発者インタビューでは「当初は2人の主人公が登場する予定ではなかった」と語っており(参考)、
- 開発陣は舞台を安土桃山時代の日本に決めた際に弥助の存在を知り、何らかの形で登場させようと考えていた。
- その後ゲームプレイについて考える際に、ステルスシーンにも戦闘シーンにも力を入れたかったため、侍と忍のダブル主人公とすることとした。
との事で、シリーズ初期のステルスメインのアプローチとして奈緒江を、最近の『オリジンズ』から『ヴァルハラ』で好評であったアクションRPG形式の戦闘において弥助を採用したようである。
また、同インタビューでは「実際に起こったあらゆる重要な出来事に弥助が立会っていたことに気付き、それは私達にとって驚きでした」と語っている。信長に召し抱えられたため、信長が関わった出来事に弥助も関与していると解釈しているのかもしれないが、仮に弥助が信長のボディーガードの様な信長の近くに置かれる立場であると仮定しても、それだけで「あらゆる重要な出来事に弥助が立ち会っていた」と考えるのは些か無理がある様に思われる。
弥助を起用した理由について「『SEKIRO』や『ゴースト・オブ・ツシマ』、白人の侍が主人公の『仁王』などとの差別化を図るためではないか」と考えもあるが、海外には根拠がない情報を真に受けて弥助のことを誇張して広めている者達がおり、先述のインタビュー記事からしても、開発陣は何らかの形で登場させようと考えていたぐらい弥助の存在を気に入っていた。
加えてUBIが公式サイトで多様性をアピールしていたこともあり(参照)、「ポリコレのために弥助を主人公として起用したのではないか?」と疑う者もいた。
海外での盛られた弥助像の元凶
炎上騒動の最中、弥助に関する書籍を複数刊行していただけでなく、ウィキペディアでは「鳥取トム」であった疑惑も浮上したことで日大准教授「トーマス・ロックリー」に批判が殺到した。
彼は著書やインタビューで弥助を過剰に盛って語っており(具体的には「弥助は戦場で先陣を切って敵陣に突入していた」「信長は弥助の黒い肌を見て大黒天の化身であると信じた」など)、彼のせいでおかしな弥助像が国内外に広まることとなってしまったため、ある意味ではシャドウズ騒動の方が氷山の一角でこちらこそ騒動の陰に隠れていた本丸といえる(その詳細は彼の記事を参照)。
なお、現時点ではこのロックリー氏とUBI及びシャドウズとの繋がりは、Appleポッドキャストで弥助の解説として呼ばれたのみであり、開発に直接関与したかは不明である。
不自然であったり、奇妙な点が多いトレーラーや開発中のプレイ動画
公開されたトレーラーが突っ込みどころ満載であった。
2024年5月15日に公開されたシネマティックトレーラーでは、
- 桜・青田・芒・鶴が同時に登場し、四季の統一感が皆無。
- 安土城天守の畳が正方形(江戸時代に薩摩藩から琉球王国に伝えられて、現地で独自に発展した「琉球畳」と呼ばれる畳)。天井や障子も妙にクソデカい。
- 信長は板張りに座らせる。森蘭丸も信長と同じ壇上にいる。上座もへったくれもない。
- 神社境内で線香を焚く。神社は神道の施設であるのに対し、線香を焚く事は香りを通して故人と心を通わすという仏教儀式であり、両者は明確に別宗教である。ただし、当時の日本では神仏習合が進んでいたため、双方の形式が混合しててもおかしくはない。奈緒江の家が当時の日本では高級品のお香を使えるか否かという問題は残るが。
- 甲冑姿のまま町中を歩く弥助と、それを尊敬の眼差しで見る人々(畏怖している…とも取れるが)。
- コレクターエディション特典フィギュアの旗に豊臣家家紋が描かれている(作中の時代設定では秀吉はまだ羽柴姓。「豊臣」の姓を与えられたのは関白を賜ってから)。
- 海外イベント宣伝で作中で弥助が着用する甲冑のレプリカを作るも、胴体部分に付いている織田家の家紋が上下逆。ちなみに家紋は商標に該当する。
など、日本人が見たら不自然に思える描写がされていたため、後述するインタビューでのビッグマウスや誇大宣伝も相まって、「文化盗用」や「歴史修正主義」と批判されている。
もっとも甲冑姿で町中を歩くことに限っては「ゲーム的表現として仕方ないのでは?」という意見もあり、歴代のアサクリ主人公もかなり周囲から浮いた服装をしていた描写はあった。暗殺者としてどうなんだというツッコミは毎回あったが。
それを抜きにしても衣装が真っ当な着用方法ではない上に商標を勝手に使った疑惑があり、更には上下逆という初歩的ミスを見落とすなど、日本支社を備える企業が年単位の調査をしたならまずあり得ないミスはフィクション故の誇張表現というには首を傾げるものであり、PVは宣伝どころか「言っていることとやっていることが異なる」「ゲーム的表現以前に開発チームに何か問題があるのでは?」と、作品への疑惑の目が高まるキッカケとなった。
当のUBIは自身に向けられた多くの批判に困惑したらしく、6月11日の4gamerの記事では「ネガティブな意見が多かったですが,肯定的な意見も少なくなかったとは思います」といっており、弥助を侍ということとした件については「あくまでゲームは歴史事実を絡めたフィクションですから」「弥助については知られていないことが多く,そこに肉付けして行くことも主人公として魅力を感じます」と発言している。
開発中のプレイ動画への批判
6月11日に開発中のゲームプレイ動画が公開されたが、
- 相変わらず四季の統一感ゼロ。
- 桜が咲いているところに田植えをし、それに対し弥助が「豊作であるな」と答えている。道端の箱や籠には柿が沢山入っている。
- 足軽を斬首する弥助。しかも町中でも平気でやる(これはシリーズ全体を通していえることではあるが、後述の記事のディレクターは「日本特有」と発言している)。
- 弥助にお辞儀をする庶民。
- 弥助が刀を右から引き抜いている(この時代の武士は利き手問わず左から抜くのが基本)。
- 弥助の戦闘BGMが、和楽器こそ使っているがヒップホップ調。
- 村入口に鳥居(実際は村ではなく山入口なのでは?との説もある)。
- ドレッドヘアーのまま兜を着用。
など、いくら開発中であることを踏まえても相変わらずツッコミどころが多い。
さらに海外メディア『Video_games』のインタビュー記事で、本作ディレクターが斬首などに関する質問に対し、「So looking at death was a day-to-day occurrence in that period, and the way most people died in Japan during that time is clean decapitations.(当時、死を目の当たりにすることは日常茶飯事でしたし、当時の日本ではほとんどの人が首を綺麗に切られて亡くなっていました)」などと回答していた。
戦国時代における斬首は戦での手柄を証明するための行為か処刑ぐらいなものであり、町中での斬首はする意味も必要性もない(なお、前者は殺した後に小太刀で、後者も大変なので滅多にやらない)。
ちなみに、当時の主武装は「槍」「弓」などの間合いが長い武装であり刀はそれらを喪失したり使えない状況下での「副武装」。現代でいうところの小銃に対する拳銃のポジションである。
当然、これらで首を切り落とすなど非合理極まりない。
さらに人間の首はその最重量の臓器とそれを守る頭蓋骨を支えるため強靭な骨と筋肉で支えられており、如何に名刀であろうとそう易々とは「出来ない」。
このため、卓越した技量の持ち主が斬首刑の際には鍔を鉛製に柄を鉄製に変えるなどの専用改造を施した刀を用いる。
言い換えたら「一般的な刀ではまず無理」であり、そもそもそんな急所は袖や兜、胴具などの防具で覆っており「丸出しにしない」。
上述した畳の形を間違える等の現代の一般人でも利用しているもの以外でも、家紋が逆様など真面目に考証していれば間違えるはずがない要素まで盛大に間違えるなど、PVや開発中映像時点で既に目立っており、さらに上記のインタビューも相まって「そもそもまともに時代考証する気があったのか?」と疑わざるを得ず、「過去作ではこうであった」という指摘では納得行かないものとなっている。
アサシンクリードシリーズ宣伝と時代考証
シャドウズに限らず、過去作においても宣伝やインタビュー等では「当時の街並みを忠実に再現」「歴史的忠実性を保った」といった文言を使っており、シリーズの時代考証性を前面に押し出している。
本作についてもXboxWireでのインタビュー記事でシャドウズゲームディレクターは「織田信長のような実在した歴史上の人物や当時の出来事を忠実に描いているので、封建時代の日本を舞台にゲームを楽しみながら、この素晴らしい時代について学ぶことが出来ます」「『アサシン クリード』シリーズは、その歴史描写と緻密な世界再現で知られています」と語っていた(参考)。
なお、このインタビューが元々英語で書かれた文章を翻訳したものであり「原文には「忠実に描いている」という文言はない」として「歴史に忠実」発言を否定する者がいるが、ファミ通の記事で「私達が本作で歴史的忠実性を保った理由は、非常に多くの話題に彩られた豊かな時代であったためであり、変える必要を感じなかったからです」と「歴史的忠実性」を語っており、しかも「著名な専門家の助けを得て、中世日本を再現するために必要な全情報を持っているかどうかを確認出来たことは幸運でした」と専門家がいることをアピールしている。
その一方で、アサシンクリードシリーズでは全作品でゲーム起動時に「このゲームは歴史上の出来事を題材としたフィクションであり~」という前置きが表示され、実際のゲーム内でも史実と異なる点は多いのが実情である。
過去作の例では、
- 『アサシンクリード』
- マスヤーフ城砦のデザイン・規模が本物と大きく異なる。
- ガルニエ・ド・ナプルスやロベール・ド・サブレら実在人物が史実より早く死亡している。
- 『アサシンクリード2』
- フィレンツェのシニョリーア広場が再現されているが、当時なかったペルセウス像がゲーム内では既に立っていた。
- 『アサシンクリード ブラザーフッド』
- 『アサシンクリード リベレーション』
- 『アサシンクリード3』
- 米国史上初めて国家反逆罪で死刑執行されたトーマス・ヒッキーが、ゲームでは刑場の衛兵として暗殺されている。
- 『アサシンクリード IV ブラックフラッグ』
- 黒髭やアン・ボニーとメアリー・リードなど、1715 - 22年の間カリブ海で暴れまわった有名な海賊達が一堂に会する場面が多々あるが、実際には彼らが活動した時期や地域はかなりズレがある(黒髭は主にキューバ北部からアメリカ東海岸の海域で活動し、バーソロミュー・ロバーツはこの時期は南米で活動していた)。
- ゲーム内の港湾では、海賊の骸骨の入れられた鉄の檻が数多く吊るされているが、実際白骨化になるまで檻に入れられること、骸骨を入れて見せしめとすることが極めて稀である。
- 作中、黒髭が討伐される戦闘の冒頭で、乗船の「アン女王の復讐号」が沈められたが、史実の「アン女王の復讐号」は1718年6月に座礁しており、討伐戦が行われた1718年11月時点で、黒髭の乗船は「アドベンチャー号」である。
- 『アサシンクリード ユニティ』
- 『アサシンクリード オリジンズ』
- 『アサシンクリード オデッセイ』
- 『アサシンクリード ヴァルハラ』
- 『アサシンクリード ミラージュ』
等、史実と異なっていたり、ゲーム上の都合や見栄えのために意図して改変されることは多い。
さらに、シリーズ主軸は超古代文明の遺物を巡るアサシン教団とテンプル騎士団との戦いであり、各作品では「エデンの果実」を始めとして超常的な力を有するアイテムが登場し、『アサシンクリード オデッセイ』ではミノタウロスなどの神話上の存在も登場するなど、ファンタジー要素も強いのが特徴である。
しかし、本作の場合は「弥助が武将の如き鎧を着ている」「日本の基本的な情景(四季ごと代名詞的な動植物等)も描けていない」「内乱が多く死が身近なのは良しとして、その死因がほとんど斬首と明言」など、歴史素人の一般人が見ても違和感丸出しの光景だらけな上、この状態で宣伝では時代考証を前面に押し出しているため、これでは「ゲーム作りへの怠慢が過ぎる」か「日本人(というよりアジア人全体)を下に見ている」かのどちらかと受取られても仕方がないだろう。
アジア人蔑視疑惑
日本向け映像に中国字幕
後日、UBIが公開した日本向けトレーラーに中国語と思しき字幕(台湾や香港などで用いられている繁体字)が使用され、動画ラストのタイトルや発売日表記も同様であった。映像自体は非公開となったが既に情報が拡散されている。
公開された映像にも問題点がしっかりとあり、その中の1つとして弥助が筆で「勇」という字を書くシーンがあるのだが、縦書きの巻物の下端から書く(筆の持ち方もおかしく、筆に付ける墨汁を入れる硯もない)というあり得ない挙動をしている。
恐らく巻物と掛け軸と混同しているのであろうが、つまりは何らかの政治的メッセージがあったというよりも、そもそも日本語がどんな言語なのかを把握していない可能性が濃厚である。
紀元前のエジプト・ギリシャを舞台とした作品では、パピルス(巻物と似ている)の描写が非常に正確であると専門家からも賞賛されていたので、尚更杜撰さが指摘されることとなった。
また、奈緒江が装備しているシリーズ伝統の暗器のアサシンブレードは、中華風の竜の頭の口から短刀が飛び出すという中華風デザインであり、字幕の一件も含めてアジア文化を十把一絡げに軽視しているとして中国や韓国などのアジア圏にも炎上が広がっている。
短刀には日本刀風の柄巻らしきものが確認出来るが、カラクリの内部に収まっておりグリップの役割を果たしていない。
その後もPVを出せば出す程日本ではなく中国・韓国文化や風土ベースとした様な描写が多々現れ、そもそも日本と中国の区別すら付いていないか、下手をすると意図的にユーザーに誤認させるつもりなのかと疑う方が自然といわざるを得ない程のものばかりとなっている。
UBIがアジアを軽視していると指摘されたのは今回が初めてではなく、『アサシンクリードヴァルハラ』でアジア版だけ流血表現が事前告知なく規制されていたことについて、UBIは中国ユーザー向けに「日本の規制に合わせた」などと語っており、後に日本向けにも「日本で発売するため関係機関(名前は出さず)との話合いの結果規制することとなった」と説明した。
しかし、派手な流血表現がある『Ghost_of_Tsushima』が同年夏に発売されたばかりであったので、「たった数ヶ月で規制が厳しくなったのか?」「UBIの嘘ではないか?」「そもそも首がポンポン飛ぶのはOKで流血が駄目なんて規制があるか?」などと疑う声も多かった。
そして実際にCEROが「その様な事実はない。そもそも過去作と同程度の流血表現のものが提出され、Z指定(18歳以上対象)で審査を通過していた」と発表し、嘘であったことが判明。
UBIは慌てて「調査した結果、社内の問題であった」などと訂正し、後に流血表現はアップデートで修正された。
他にも、無規制PC版(パッケージ版がないためCERO審査が不要)にCERO:Z表示を付けて販売するという意味不明なこともやっている(CEROがこの件をUBIに問合わせると発表したが、どういう落とし所となったかは不明)。
この一連の出来事の中で、UBIがフォーラムでの漢字使用を禁止したため、規制を批判する中国人ユーザーへの締め出し行為であるとして中国でも炎上しており、東アジアでのUBIへの不信感は既に高まっていたといえる。
ゲームを巡る文化戦争
2014年のゲーマーゲート騒動以来、ゲームに多様性を推進するポリコレ推進派とゲームから「ポリコレ的」なものは徹底的に排除しようとする反ポリコレ派の文化戦争が続いており、双方共に気に食わないゲームに対してボイコットから制作者への凸、レビュー爆撃やゲームをプレイしている一般ユーザーへの誹謗中傷・嫌がらせなどの悪質行為を繰り返している。
本作でも同様にこの文化戦争の舞台と化しており、反ポリコレ派が「UBIがポリコレのために架空の黒人をねじ込んだ」「弥助は信長のペット」と弥助の存在自体を否定または貶めたり、製作者個人に対する殺害予告や脅迫をしてスタッフが個人アカウントを削除・非公開にせざるを得なくなっている。
一方で本作を擁護するポリコレ推進派は「批判してるのは日本人になりすました白人達」「日本人は弥助が主人公で喜んでいる」と日本人を無視した勝手な代弁をしている様子が確認されている。
しかも、反ポリコレ派が批判するために日本人に成りすますという事例も起きてしまったため、上述した「騒いでるのはなりすましの白人」という意見に拍車を掛けてしまった。さらには後述する反対署名にもこれら海外の反ポリコレ派が参入して来たため、ポリコレ推進派に「署名のほとんどは外国人のもの」という言い分を与えることとなってしまった。
シャドウズやUBIの言動についての誤情報や悪意ある曲解の拡散
この手の炎上には付き物であるが、炎上が拡大するに連れてかなり曲解した情報や全くのデマも拡散してしまっている。中には「弥助は日本のあらゆる歴史で活躍した伝説の侍」「武士道はモザンビークから来た黒人が日本に伝えた、元々はアフリカ固有の文化」などといってもいないことをでっち上げる者もいた。
更には、まとめサイトやインフルセンサー、Youtuberがそういった曲解された言説やネット上で生まれたデマ情報を裏取りせずにまとめて発信したことも誤情報の拡散に繋がった。中にはインプレッション目当てに故意にデマ情報を拡散する者もいたほどである。(要はUBIと同レベルかそれ未満)
他にも、海外でのインタビューで「日本文化について謙虚となることも、このゲームが私達に与えてくれた機会の1つです。日本人ではない我々が、日本の観客に対して彼らの文化についてあれこれいいたくはありません。」といった発言を、Google翻訳などの機械翻訳を通した際に出たと思われる「日本人に日本の文化を教えたくない」という誤訳をそのまま鵜吞みにして、誤った情報を発信してしまう者もいた(参照)。
また、本作の時代考証に日系米国人のサチ・シュミット・堀という歴史批評家が協力しているのだが、彼女が「奈緒江も弥助もLGBT」といったという海外まとめサイトのデマ記事(記事の元となったUBIのブログでは「Romantically, they will also attract and be attracted to different types of people.(恋愛面では、2人は様々なタイプの人を惹き付け、また惹かれて行くであろう)」と書かれているのみである。これで2人をLGBTと呼ぶのは無理がある。)が出てしまい、「本作にポリコレを持ち込んだ元凶」と有らぬ批判が殺到する様になった。(一応、堀氏は「女性が活躍したゲームが少ない」などとフェミニズムに傾倒していると思しき発言をしてはいるが…) 。
擁護側の問題点
一方で本作を擁護する側にも、上述した「日本人は怒っていない」という勝手な代弁の他に「批判する奴は差別主義者」などの批判側に対するレッテル張りや罵倒などを行う者がいる他、IGNなどの海外ゲームメディアや業界有名人なども本作を擁護するに当たっておかしな発言をする者がいる。
IGNが「アジア人の侍は十分」という記事を掲載
大手ゲームメディア『IGN』が「『アサシンクリード シャドウズ』の侍がアジア人じゃないことに怒るのは止めよう」という記事を掲載した(参照)。
内容をざっくり要約すると、「今作もアジア人の侍であったなら、他の侍ゲームと見分けが付かなくなるだろう」「アジア人を起用するために侍や忍者が登場させるというのは一種のステレオタイプである」「『GhostWireTokyo』や『龍が如く』『ペルソナ』の様なアジア人主人公の作品が増えてくれた方が良い」というものである。
しかし、日本固有の存在である「侍」を日本人以外が演じること自体がまさに文化盗用と批判されている部分である(というか「侍」を「日本人」とそれ以外ならともかく、「アジア人」という広い括りで語っていること自体がナンセンスである)。
元大手ゲームプロデューサーの失言
元カプコン・岡本吉起氏は、本作及びUBIと全く無関係であったにもかかわらず、炎上に介入して本作を擁護した。
皮肉な事に、戦うヒロインのパイオニアである春麗を輩出するなどした『ストリートファイターⅡ』のプロデューサーである。
「世界で売れているゲームが日本で売れないのは日本マーケットの恥」とまで言い切り、批判・難色を示しているユーザー側が全面的に悪であると主張して物議を醸している。
ただ本人は「面白ければ内容は関係ない」「これはゲーム(フィクション)なのであるから」といった論調で話を展開しており、一連の背景を全く知らずに表面上の印象だけで動画を出した可能性がある。
それはそれで「何故情報も集めずに介入したのか」と批判されるが、後述のAbema企画参加者のほとんどにも類似点があった事から、「話題になってるから」という軽い気持ちで飛び込んだとも考えられる。
しかし、最大の問題は「日本のゲームプロデューサー(という職業の人間)が本作を称賛」することは、日本描写の雑さや「日本人は怒っていない」という代弁に一定のお墨付きを与えかねないという点である。
また「弥助は侍である」という立場は変えてはいないが岡本氏は後日、騒動を謝罪し該当動画を削除している。また、メディアなどが不当に自身の動画を使用していた場合はしっかり対応するとコメントしている。
著作権侵害など、UBIの倫理観の低さ
コンセプトアートにも問題があった事が発覚している。
コンセプトアートには戦国時代に存在しない筈のボランティア団体「関ケ原鉄砲隊」(この団体を知らずとも、関ヶ原の戦いが本能寺の変の18年後の1600年である事は日本史の基本であろう)の画像が写っていた。
こちらは団体側からUBIに抗議文が送られており、無断使用が確定している。公式がのちに謝罪するものの、そちらについては後述。
それ以外でも、町の描写には明治時代初期に撮られた町人などの写真をそのままトレスして使用していた。更に、奈緒江が天正伊賀の乱に巻き込まれて絶望するコンセプトアートは、よく見たら燃やされていたのは伊賀の武家屋敷ではなく飛騨の合掌造りだった。
別のものには奥多摩の祠、春日大社の灯篭、龍門石窟の盧舎那仏像(※)などを描いている。他にも相馬野馬追をそのまま掲載。本作では織田家の旗が黄色で統一されているが、これのせいで一つだけ赤色の旗が立っており、しかも強風に煽られたものがそのまま登場していてまるで調和させる気が無い。更にはガードレール・電柱・電線・軽トラック・工事現場で使うトラロープのようなものも見えるため、現代の素材を使用している可能性が極めて高い。
そうかと思えば平安神宮の応天門(應天門)と金閣寺を合体させたような建物も造ってしまっており、やはりアジア全体を舐めているレベルの杜撰さを披露している。
あまりの杜撰さにAI生成を疑う声も多い。
※:中国地方ですらない、国としての中国にある仏像。実物は左手を浄化の手として挙げ、右手を不浄の手として添えるが、これも左右反転させてしまったせいで全く意味をなさないものになっている。
これらはあくまでも社内で作品のイメージを共有する目的で作られた「コンセプトアート」であり、無断使用なども社内で使用するだけなら問題にならなかった可能性は高い……が、定価1万5800円のコレクターズエディションにはゲーム本編ディスクと、「豊臣家」の家紋入りのフィギュアに加え全34枚のコンセプトアート集も収録予定とのこと。
つまりこの著作権ガン無視パッチワークを商品として売るつもりなのである。
ただし、歴史的な写真や美術品・建造物については既に著作権が切れているものが殆どのため、安易な盗用・無断使用レッテルは慎むべきである(過去には平等院鳳凰堂のパズルを販売した会社が権利侵害で平等院から訴えられたが、裁判所は違法行為を認定せず和解した事案がある。)
これはおそらく著作権と所有権の区別がついていないことが原因と思われる。(詳細な解説は書籍・エセ著作権事件簿やこちらの資料も参照)
分かりやすく言うと
- モナリザの著作権 → レオナルド・ダ・ヴィンチにあり、死後500年以上経過しているため著作権は消滅済み
- ダ・ヴィンチが描いたオリジナルのモナリザの所有権 → ルーブル美術館にある。
といった具合である。
ゲームイベントでの展示に対する物議
JAPAN EXPO(2024年7月12日〜14日 フランス・パリ、ノールヴィルパント展示会場)
7月12日よりパリにて開催された『JAPAN EXPO』にシャドウズも出展。
しかし、Xのフランス公式アカウントが宣伝ポストに週刊少年ジャンプの漫画『ONEPIECE』のメインキャラクターのひとり「ロロノア・ゾロ」が所有している妖刀『三代鬼徹』に酷似した刀の画像を投稿。(刀自体はおそらくフランスの通販サイトで販売されている三代鬼徹のレプリカと刀掛けのセットとされ、刀掛けの『地水火風空』(仏教の五輪。宮本武蔵の剣術書『五輪書』(出版したのは大坂の陣の後。史実に忠実と語るならこの言葉はコンセプトからは矛盾している)を構成する章のタイトルにもなっている)という文字まで一致している(同サイトでは同じ刀掛けとセットで『鬼滅の刃』に登場する刀も売られている模様))。
つまり本作と無関係の品物の画像を自社のブースの宣伝に使用しているということになる。
『ONE PIECE』はフランスでも人気作品のはずだが、アカウント担当は気づかなかったのだろうか?
また同じポストに載っている日本人形風の人形の画像も、amazonで購入可能な中国製(人形自体は日本風だが、持っている笛は中国の様式)の人形である。(やはり日本と中国の区別がついていない様である)他にもテーブルの上に縦に置かれた箸が設置されていた。
ちなみに刀については「弥助の刀と紹介しているのに、ゲーム内で弥助が持っていた刀と形状が異なる」という指摘があるが、投稿には「Katana et masque de Yasuke(刀と弥助のマスク)」と書かれており、正確には弥助の物はマスクのみを指していると思われる。もっともそれでも非常に紛らわしい紹介である。
なお、上記の小道具について「ブースの展示に使われている」という話もあったり、TikTokで見られる宣伝動画においても刀が展示されている光景が映る一方で、実際に『JAPAN EXPO』に行って来た人の証言では見掛けなかったと言い、会場の取材映像にも刀や人形は映っていないなど情報が錯綜している。
これらの情報を考慮すると、あくまでSNS上での宣伝として使用していた可能性も十分あり得るのだが、いずれにしても他作品の代物を無断で使用している点は否定出来ず、どのみち問題行動である事には変わりがない。
そして他作品、しかも欧州でも人気を誇る作品に関するグッズを使っていた辺り、UBIはアジア蔑視どころか母国の人間すら馬鹿にしていると考えられる。
GAMESCOM(2024年8月21 - 26日、ドイツ・ケルン ケルンメッセ)
戦国時代にはないはずの日本盛を始め白鶴など日本の酒造メーカーの酒樽を展示。
さらにはシルエットで戦国時代にはないはずの剣道を表示。
東京ゲームショウ(2024年9月28 - 29日 日本・千葉 幕張メッセ)
舞台が日本であるにもかかわらず、出展せず映像のみで対応。開催前の26日で「諸般の事情」によりキャンセルとなった。
他作品への飛び火
シャドウズの炎上に伴って過去に外国人の侍が登場した作品についても議論の的となっている。
『仁王』
5月21日のIGN Japanの動画で引合いに出され、IGNの1人が「仁王が出た際に主人公がウィリアムであることは全然問題とならなかった」「白人であったらポリコレって呼ばれないんだよね」と発言(まずこの様な炎上騒動を擁護するに当たって全く無関係の作品を引き合いに出すこと自体が褒められたことではないが……)。
しかし弥助の起用で燃えた理由は「盛られていることを知られているから」「黒人賛美のポリコレに利用されてるから」という主に海外で起きている問題が2つあったことと、UBIが「歴史に忠実」「再現」「正確性」などと史実との繋がりを記事や映像で強調していたことにある。
対してウィリアムが問題にならなかったのは仁王というゲーム自体が分かりやすいぐらいフィクション(作り話)であった所が大きい。
ちなみに、ウィリアムのモデルは三浦按針という実在した外国人の武士(旗本の身分が与えられたと歴史資料に明記されている)であり、詳細な身分が不明の弥助とは大きく異なる。
また『仁王2』ではキャラクリエイトにより人種(妖怪と人間のハーフ)を任意に変更でき、信長の家臣として同じ黒人侍「ヤスケ」が登場する。(何なら無印でもヤスケはボス敵として出ている)
ただ、これらに関しては魑魅魍魎が跋扈し魔法みたいなことをする錬金術師やアムリタと呼ばれる霊石が出て来るフィクションである事を全面的に出した世界であるからこそ出来たものといえる。
初代主人公に白人ウィリアムが選ばれた理由についても、Team NINJAの早矢仕氏が電撃オンラインのインタビュー(16年)で「10年前から“金髪碧眼の侍が活躍する”というコンセプト」と答えており、「実在した人物がモデルであったりするので、歴史のifストーリーを楽しめる様なエピソードもふんだんに入っています」とも語っていた。
インタビューでは「日本人も外国人の方も新しい気持ちで楽しめる様に」とも語っている。さらに「歴史には残っているけれど何をやったのかハッキリ分かっていない。そこにロマンがあると思うんです」「ファンタジー要素が強いと思われますが、史実と重ね合わせて楽しめる部分もあります。歴史ファンの方にも楽しんで貰えるような骨太なゲームとなっています」とも語っており、ゲーム内では諸説ある歴史ネタ含め、歴史に興味を持つ者なら反応しそうな要素が実際に入っている。(猫の目時計や問鉄砲など)
(ソース:『仁王』はシブサワ・コウ氏の構想をなぞる新たな歴史ゲーム。早矢仕氏が語る外国人主人公のワケは)
因みに「何故黒人は駄目なの?」と言う者もいるかもしれないが、そもそも「黒人の侍」とハッキリと断定できる人物は歴史上に存在しない部分が大きい。
炎上に対するUBIからのコメント
炎上の最中、UBIのCEO・はUBI公式のインタビューの中で制作チームやパートナーに対するオンライン個人攻撃を批判した。CEOは明言していないが、IGNなどは、騒動を受けての発言と推測している。
実際上述した通り、製作者の個人アカウントに批判に交じって脅迫や殺害予告が相次いだためアカウントを閉じざる負えなかった事実はあり、過剰なオンラインの攻撃はやってはならない事ではあるが、国内外のインタビュー等で適当なことを言いまくって炎上に油を注いだ制作チームやパートナーにも非があるといえる。
また、某有名実業家が「弥助が黒人のゲイとして登場する」というXのデマポストに一言コメントしたことに対して『シャドウズ』のエグゼティブプロデューサーが反応しており、インタビューではマインドフルネスを実践していた事を明かしていた。
また、「私にとっては、彼はただヘイトを煽っているようで悲しい。しかし彼のような人物に反論してもチームとしての見解を納得してもらうことはできないだろう。」と語り、「ぜひ彼ら自身に(本作を)プレイしてほしい。それでも私たちがやっていることに納得してもらえなければ、話し合おう」とコメントをしている。
著作権侵害への対応
- 関ケ原鉄砲隊
2024年7月8日、遂に先述した「関ケ原鉄砲隊」無断使用に対して謝罪しアートブック以外では使わないと明言した(参考)。
しかし、この声明を出したのは日本支社である「Ubisoft Japan」のみであり、本家本元フランスのUBI本社や、制作担当たるカナダのモントリオールスタジオからは2024年10月現在、特に声明はない。
これではフランスの企業に抗議したら日本人が代わりに頭を下げてきた、見方によっては白人の尻拭いを日本人スタッフにやらせたという格好であり、かえってアジア人差別説が強まる事にすらなっている。
7月11日、「関ケ原鉄砲隊」関係者が「アートブックからも絵を削除するよう依頼した」とする発信を行った(参考)。20日に「当初問合わせしていた画像は削除されたが、指摘漏れがあったものも追加で削除して欲しい」と要請。
29日、関係者によると、UBIは「UBIのデータからは削除したが、アートブックは既に印刷したので削除出来ない。希望に添えず申し訳ありません」と釈明。
関ケ原鉄砲隊側からすると納得が行く結果ではなかったものの、「今回の出来事で多くの人に知って頂けた」とポジティブに捉えている。
翌日、同関係者は日本での販売元となるスクウェア・エニックスのサポートに問い合わせを行ったとのことだが、8月2日にスクエニから「我々の販売物はスタンダードエディションとゴールドエディションのみであり、アートブックが付属したコレクターズエディションに関してはUBIの販売物であるため言及が出来ない。しかし、その様な意見に関しては関係各所へと伝達する」とのことで、直接的な解決には至らなかった。
8月14日、UBIは「鉄砲隊」関係者への返答で「アジア圏のアートブックデザインは変更されたが、他地域製品は回収が出来ず、出来ることを模索し尽力したがこれ以上の対応の術がない」と語った。
その後も削除依頼は続いていたが、UBIの姿勢は依然として変わっておらず、それどころか「ご希望に添えず心苦しいがご理解下さい」と販売することを受け入れるよう要求していた。(参照)
さらに「送ることが出来ない」と修正後のデータ送付を拒否しており(参照)、「鉄砲隊」関係者は「以前修正したコンセプトアートは送って来られたのに」とUBIの対応を不思議に思っていた(参照)。
なお、「鉄砲隊」関係者はUBIの無断使用への対応は続けるが、訴訟を起こすつもりはなく(というよりそんな余裕がない 参照)、しつこく訴訟する様にいって来る者に対し、「日本という国は被害にあった団体に追打ちをする文化があるのでしょうか」と批判し(参照)、「UBIソフトを攻撃するために我々を利用しようとするのはやめて下さい」とコメントした(参照)。
これらのコメントから誤解する者が居るかもしれないが、「もし訴えた方が良いとお考えの方は私に依頼するのではなく直接弁護士や文化庁に連絡して頂けますでしょうか」と訴えに関してのコメントをしていたことから、単に自分達をUBIを攻撃するための道具としたり控訴を強要したりするのを止める様言っているのであり、「鉄砲隊」関係者は別に諦めている訳でもやる気がない訳でもない。
さらに言うとやらない理由もちゃんとコメントしており、使用料に関しても「使用料を貰うことでマイナスのイメージがついてしまうのは鉄砲隊にとって不利益の方が大きいと感じております」と答えており、UBIと関係を持つことを避けたがっている意思を表している。
そして10月21日。事態は進展を見せた。
「関ケ原鉄砲隊」の関係者の元に連絡が入り、「全世界を対象にしたアートブック内の旗のデザインを削除出来るようになった」とのことで、これにより約三ヶ月の時を要した結果本件の著作権問題がひとまず終息することとなった。
また、問題のアートブックに関しては84ページから76ページと変更され、該当のアートが削除された影響とみられている。
なお、修正箇所については旗の部分が黒塗りにされているとのこと。
- 織田家家紋(織田木瓜紋)
フランスの企業fulllifeが織田家の家紋である織田木瓜を桜の花の紋様として桜ソックスと言う名で販売しようとしたところ、一般の方から「権利侵害にあたるのではないか」として訴えがあったことにより、商品としては一旦取り下げ、Ubiの法務チームと協議するなど迅速な対応を示した。
しかし、商品として販売中止にしたわけではなく、「一旦取り下げ」のため、問題無しと判断されれば発売されるだろうとされている。
なお、これまでに商標登録されていた区分としては酒類や食品が該当しており、それ以外の商品ではこれと言った問題が生じていないため、権利侵害にはあたらない可能性がある。
現状
当初、この炎上は海外から始まったものであり、主に弥助の起用がポリコレかどうかが炎上の的であった。その後、製作者の「再現」や「尊重」などと豪語する割には余りにも雑過ぎる歴史描写、日本向けの映像に繁体字を付ける、インタビューでの「当時の日本はこうであった」と信憑性の低い情報を広めるやり方など、「敬意」という言葉を使っている割にはアジア人を蔑視してると思われても仕方がない行為を公式がやらかした上に無断使用などの問題行為の発覚が重なった結果、発売中止の署名活動ができるぐらいアサシンクリードシャドウズに否定的な日本人も多くなった。
7月23日に歴史認識に対して懸念を生じさせたことをお詫びする謝罪文をホームページとXのポストに掲載した。
しかし、謝罪文にインタビュー等で「戦国時代の日本では斬首が当たり前であった」や「弥助は実在の侍」などの根拠が薄い情報を史実であったかの様に語っていたことへの謝罪がないことへの批判や、内容が謝罪となっていないことに対する批判が起きた(UBIは作品がフィクションであることを強調してはいるが、それと同時に自身が語る歴史情報を「歴史上の実在の出来事や人物」として扱っている)。
ちなみに、日本以外からの批判も出ているのに「日本コミュニティ(japanese community)」以外には向けておらず、日本よりも先に批判している海外には謝罪していない。
本作の最終的な評価は発売されるまでわからないが、有志が本作への印象を検証したplayerxpのレポートでは、日本以外でも本作への心証は余り良くない結果となり、発売前から本作への印象は地に落ちてしまっている(レポートはUBIが株主に向けた主張が本当かどうかを確かめるための検証で出来た)。
なお、ゲーム業界に詳しいジャーナリストの調べでは、予約販売は好調な様である(参照)。
しかしUBIは何も変わっておらず、8月以降も「We are trying to create a game that is as authentic as possible. It’s something we take pride in.(私達は、出来る限り本物に近いゲームを作ろうとしています。それが私達の誇りです。)」とインタビューで自己評価しており(参照)、「自動で開く戸」や「浮いてる障子」など歴史描写どころじゃないゲームそのものの荒さが散見する映像をyoutubeで出していた。
その後もワールドトレーラーに出た謎の中国要素(特に塤)など、日本や歴史が好きな人の反発を煽る事態が発覚した。
そのせいかSNSや動画サイトなどで、シャドウズやUBIに関するツッコミが国内外からより一層出る様になった。
なお議論するにあたっては
- アサクリとの関係を問わない「ポリコレ」活動を含めた問題(例:弥助を含めた欧米の黒人ゴリ押しコンテンツの在り方)
- UBIという会社の企業としての振舞や体質に関する問題(例:権利関係の対応の粗雑さ、ゲームの中身に伴わない史実性アピールなどの制作関係者の言動と実態の不一致)
- 史実どうこう以前の『アサシンクリード シャドウズ』というゲームそのもののクオリティへの不信(例:PV上でバグが見える、結局弥助達は何を目指すゲームなのかが不透明のまま)
といった個別に論争すべき要素が入り混じって混沌とし易いので、批判するにしても擁護するにしても要点を意識する事を心がける事が必要である。
発売延期
2024年9月26日、これまでのやらかしが祟ってか、それともUbisoft社内のゴタゴタが限界に達したのか、はたまた株価下落の影響か、UBIはこのゲームの発売の延期を発表した。
発売日は11月15日から2025年2月14日となった。
しかし日本語版には返金対応に関する文章が無かった事が話題になったり延期した発売日がバレンタインデーやアメリカのある年間行事と被っている事が話題になったりと、やはり発表を起点に様々な話が飛び交うのだった。
そして延期した先の2月にはカプコンの『モンスターハンターワイルズ』(28日発売予定)が控えており、UBIとアサクリシャドウズは厳しい立場に追いやられる事となった。
さらに日本のゲーム市場において2月は直前にクリスマス〜正月商戦を終え、直後に新年度に伴う進学・就活などで出費が嵩む時期の板挟みとなるため売上は低迷する傾向にある時期であり、その少ないパイの取り合いでモンハンのようなビックタイトルとぶつかるとなると相当厳しくなる。
つまり2月への発売先送りは単なる先延ばしやUBIの経営的に伸ばせる限界がココだった、などの意図でもないなら日本での売上は期待しないか日本のゲーム市場への理解も無い、と言ってるようなものである。
また、「発売延期したなら回収出来ないと言ってたアートブックも回収できるはずでは?」とスケジュールの都合を言い訳にしてた問題の再指摘の声も挙がっている。
延期発表直後ついに株価が9ユーロ代にまで下落。その一日二日後に少し上がって10ユーロ以上になったものの、依然として予断を許さない状況となっている。(下落の仕方が11から9への急落だった為、何らかの要因で急に落ちる可能性がある)
更にフランスのゲーム開発労組STJVから10月15日から17日の3日間にかけてストライキの呼びかけをし実際初日には参加者が700人、3日目には1000人にまで膨れ上がり、四面楚歌の雰囲気が漂い出している。
補足
- アサシンクリードにおける日本
『アサシンクリード』の世界において日本というのは何も最近になって始まったものではなく、かなり前の段階から設定は生まれていた。
2009年発売の『アサシンクリードⅡ』ではyonaguni(恐らくは与那国島の海底地形)の名前が表れていたり、2012年に発売された『アサシンクリードⅢ』のオープニング映像においては日本を匂わせる描写もあった。
その時に一緒に映し出されていた絵が古代エジプトのホルスの目、ギリシア文字のオメガと神社の鳥居だったため、「『アサシンクリード オデッセイ』の次の作品の舞台は日本なのではないか?」とファンの間で考察されたこともあった(実際に発売されたのはヴァイキングの物語である『アサシンクリードヴァルハラ』だったが)。
『アサシンクリードⅣ』では作中の閲覧できる資料には、デズモンドの先祖が室町時代の日本にもいたことが分かっている。
ちなみに、アサシンクリードの世界では幕末までアサシン教団と江戸幕府の繋がりは続いており、テンプル騎士団の支援を受けた明治政府によって終わりを迎えるというシナリオになっており、それは別作品(小説。現在発売中)によって語られている。
外伝では、かつてiOS専用ゲームとして配信されるも余りに不人気だったため半年でサ終した『アサシンクリード メモリーズ』がある。世界各地を舞台としたゲームで、それには戦国時代のアサシン「ヤマウチ・タカ」が登場していたり、フランシスコ・ザビエルがテンプル騎士団の一人として日本に上陸したり、望月千代女がテンプル騎士となったり、武田信玄がシリーズを通して登場する秘宝「エデンの剣」を手にしていたり、織田信長がその秘宝を手にしたものの最期はアサシンによって暗殺され、豊臣秀吉もアサシンに敗れ、徳川家康がアサシン教団の支援を受けて関ヶ原の戦いに臨む……などなど日本要素も多い内容であった。
しかし、その不人気ぶりにUBIからは無かったものとして扱われており、『シャドウズ』と『メモリーズ』に繋がりは無いと公式発表されている。
その他にも、現代編と呼ばれるパートには日本のアサシンとしてタカクラ・キヨシという大阪(日本支部が大阪にあるため)のヤクザアサシンが登場しており、これまでに未邦訳のコミックや『アサシンクリード オデッセイ』(声だけ)、倉田三ノ路によるコミカライズ作品『アサシンクリード チャイナ』にも登場している。ちなみに日本刀を装備している。現代なのに。
- シリーズの史実性についての誤解
本作への批判の中に「『ユニティ』に登場したノートルダム大聖堂の3Dモデルは、火災後の再建に使われるくらい精巧だった」という意見があるが、そのような事実は無く、一部のメディアが「大聖堂の再建にアサシンクリードのデータが使われるかもしれない」という憶測記事を出したに過ぎない。参照1参照2
UBIが実際に行ったのは再建費用を寄付して『ユニティ』を無料配布したことのみである。(これらのニュースに対しUBIはそういった計画は無いと否定している。)
実際の再建計画ではUBIとは無関係のベルギー人建築史家が作った3Dデータを使用している。また、『ユニティ』のノートルダム大聖堂も実物とはかなり異なるデザインとなっている。
また、本シリーズの時代考証の高さについて、『オリジンズ』から『ヴァルハラ』収録されていたディスカバリーツアーを上げる者もいるが、実際のディスカバリーツアーはゲーム内マップを流用してゲームを開発するにあたって採用した説や史実と異なる部分の補足などゲーム開発の裏話を知るのがメインのコンテンツであり、ゲーム本編とは全く別物である。
- 日本におけるアサシンクリードシリーズの人気
そもそもアサシンクリードシリーズは日本においてそこまで人気が高い作品とはいえない。
2010年以降に発売された作品のパッケージ売り上げを見ても
、
発売年 | タイトル | 売上 |
---|---|---|
2012年 | アサシン クリードIII(リマスターも含む) | 163,691 |
2012年 | アサシン クリードIII レディ リバティ | 33,481 |
2013年 | アサシン クリード4 ブラック フラッグ | 85,634 |
2014年 | アサシン クリード ユニティ | 記録なし |
2014年 | アサシン クリード ローグ | 記録なし |
2015年 | アサシン クリード シンジケート | 記録なし |
2015年 | アサシン クリード クロニクル チャイナ | 記録なし |
2016年 | アサシン クリード クロニクル インディア | 記録なし |
2016年 | アサシン クリード クロニクル ロシア | 記録なし |
2017年 | アサシン クリード オリジンズ | 98,951 |
2018年 | アサシン クリード オデッセイ | 87,523 |
2020年 | アサシン クリード ヴァルハラ | 65,572 |
2023年 | アサシン クリード ミラージュ | 35,131 |
とそこまで高い売上を示してはおらず、パッケージ売上ランキングにも上位10位は愚か100位以内に入れたことも片手で数えられる程しかない(参照)。
そのため、宣伝等では目にしても実際にプレイしている人数は多くないために、アサシンクリードがどういった内容のゲームかを知っている人は少ない。
結果、過去作から続く宣伝文句を真に受けたり、先述したノートルダム大聖堂の誤解等が原因で日本国内でのアサシンクリードシリーズへの認識が、『史実にとても忠実に作られている』という非常に偏ったものになってしまっていたという背景も今回の炎上拡大の要因とされている。
- Abemaでの討論動画
7月16日、ネット放送・配信サービス「Abema」で『架空の主人公にすべきだった?「アサシンクリード」最新作なぜ炎上?問題点を議論』という番組が放送された(現在もアーカイブが配信中)が、これが「色んな意見があっていいよね」という玉虫色の結論に落ち着いてしまって大炎上した。
関ヶ原鉄砲隊を始めとした無断盗用が発覚したのが6月、UBI Japanから謝罪文が投稿され、本社がダンマリを決め込んだことにより燃えたのが7月9日、更に関ヶ原鉄砲隊のツイートによりその謝罪文の内容すら適当だったことが判明し爆発したのが7月11日である。
既に「色んな意見があっていい」という段階はとっくに通り越しているわけだが、批判側の代表という体で番組に引きずり込まれたナガサワ氏をはじめとして討論の参加者に事前の情報共有や論点の整理をする時間がほとんど用意されておらず、議論を筋道立てて主導できる人間が一人もいなかった。
その上Abema側が制作した騒動を概説するための映像が、『アサシンクリード シャドウズ』の歴史的整合性にしか言及していない周回遅れのものであった(ちなみにナガサワ氏は収録現場で初めてこの映像を見せられた)。
全員素っ裸で議論に参加させられた状態でAbemaの周回遅れの映像を見せられれば、議論そのものが周回遅れになるのも当然というものである。
この結果として番組は炎上、さらに番組の概説が出回ったことにより、表現の自由の観点から『アサシンクリード シャドウズ』に擁護的な言動を取ってしまった茂木健一郎氏を中心に、出演者たちに苛烈な批判が行われることになったが、騒動の概要を知らないのでは擁護に回るのも無理なからぬことであろう。出演者らもAbemaの不適切な番組作りの被害者といえる。
なおナガサワ氏は取材の申込みがあったのは収録の前日、それも電話取材かと思ってたら当日になって番組出演と判明したという状況であったそうな。
加えて言うなら氏はアサシンクリードシリーズのファンでもゲーム界隈の識者でもなく、部外者的立場から騒動をX(旧Twitter)上でまとめていたアマチュアゲーム実況者にすぎない。
メディアでの露出経験などない素人を、ほとんど打ち合わせもなくぶっつけ本番でスタジオに放り込んだ辺り、元々批判側を嘲笑する目的で作られた番組だったのかもしれない。
因みに7月19日に配信されたニッポンジャーナルの【全編無料】「"日本が黒人奴隷を生んだ"というデマが世界に拡散」など内藤陽介&井上和彦が話題のニュースを深掘り解説!でも当番組やその出演者について触れており、郵便学者の内藤陽介は「出演者の人たちが、結構頓珍漢なやり取りをして、問題はその凄いなんかオタクが「歴史的な事実が違う!」とかフィクションに対してですねなんか細かい因縁をつけてるなんかそういうトーンで全く問題をすり替えたような感じで話をしていたのでこれでネットが炎上しまして」と語り、昨日か一昨日からX(旧Twitter)この話題で持ち切りになっている事を話していた。
(尚、内藤氏はゲームを殆どやらないながらもアサシンクリードについて調べており、「架空のオリジナルキャラクターが主人公になってアサシンとして敵を暗殺するゲーム」と認識している)
- PureArts社製ディフォルメフィギュアへの非難
イベントにも展示された弥助の兜や奈緒江のアサシンブレードを制作したメーカーのPureArtsが、2024年9月20日に弥助と奈緒江のディフォルメフィギュアを発表。
コレクターズエディションに付属するフィギュアを真似た構図だったが、奈緒江が踏み台にしているのが千切れた注連縄が巻き付いた片足の鳥居であったことが問題視される。
鳥居は神域への門であり、注連縄は不浄な存在の封印を意味するため、それらを否定した呪物に相当すると指摘されていた。
さらにこの片足の鳥居が「長崎原爆の遺跡として残されている山王神社二の鳥居をモデルにしている!UBIは原爆ヘイト企業だ!」という言いがかりじみた説が英語圏のまとめサイトに拾われ拡散されてしまい、深刻な風評被害を引き起こしている。
その影響かyoutubeに公開されていた宣伝動画は非公開になり、商品ページも削除された。
この件について公式から告知は一切なく、黒歴史か封印作品のように扱われていたが、約1ヶ月後の10月15日にPureArts公式がデザインに問題があったと正式に謝罪、デザインを変更すると告知した。
https://x.com/PureArtsLimited/status/1846193318742434183
一応擁護すると、「秩序の崩壊」「平和とは無縁の、社会の裏側の存在」といった退廃的な世界観やキャラクターのアイコンとして、破壊された宗教的シンボルを使う事そのものは珍しくない表現であり、この手の表現そのものを一概にバッシングする事はナンセンスではある。ただし実在の宗教の取り扱いはデリケートなものであり、表現の仕方に注意を払うべきである事もまた否定はできない。
そもそもの話、コレクターズエディション付属フィギュアと違ってフィギュア制作会社による独自のファングッズであり、責任の所在をUBIに求めるのは筋違いである。
余談
- パリオリンピックの開会式(聖火の人)
2024年7月27日に開催されたパリオリンピックの開会式にて、謎の人物がパルクールを披露しながら聖火を運ぶというパフォーマンスを魅せ、日本でも話題となった。
その見た目が一部でアサシンクリードに登場するアサシンのようとも形容されたのだが、UBI公式も直々に「彼には見覚えがある」「パリへようこそ」などの匂わせ発言をしていた。
そして閉会式にもちゃっかり登場していたが、真相は謎のままだった。
なお、開会式では選手入場の際韓国と北朝鮮を間違えたり、物議をかもす演出がされたりと、その後もトラブルの類がある度に本件が引き合いに出されており、改めて影響の大きさを知らしめる事となっている。 (UBIがフランスの企業である為、引き合いに出されやすい)
もっとも、編集時点ではオリンピック運営側からの言及は特に無いため、これにまつわる加筆がある場合は本項のみに行い、必要以上の関連付けを行わないよう気を付けていただきたい。
- 署名活動
現在では有志により、本作の発売中止を求める署名運動が立ち上がった。署名サイトの当該ページは以下よりアクセス可能。(リンク)
こちらは、弥助に関する日本の歴史捏造発言の撤回をUBIに求める署名運動である。当該ページは以下よりアクセス可能。(リンク)
- 外務省の見解
なお、外務省は2010年代に弥助に関し「モザンビーク出身」「信長は弥助と名付け武士の身分を与えて家臣にした」「訪日した最初のアフリカ人」などと述べていた過去が確認されている。
もっとも、それらは全て対モザンビーク外交の場で発せられたものであった点には留意する必要があり、言わばリップサービスの形で最も相手国側が喜びそうな説を引用したに過ぎないと考えるのが妥当なところである。
とは言え、これがロックリーのような人物に「お墨付き」を与える形になった節もあり、今回の騒動に際して「弥助に関しては諸説あり、在モザンビーク日本大使館として特定の見解を示すものではございません」という見解を追加で述べているものの、既存の文章にいつの間にか書き足したのみであると、その体質には疑問の声も出ている。
そもそも海外版には注意書きをしていないため、国民の反発を宥めるための言い訳と受止れる。
時系列
- 5月16日
- シネマティックトレイラーと主人公2人の設定が公開。
- ファミ通.comがUBIスタッフへのインタビューを掲載
- 5月18日(?)
- IGNによる「アサクリ シャドウズ」擁護
- 6月10日
- ゲームプレイウォークスルーが公開。
- 6月11日
- ゲームプレイウォークスルーを踏まえたスタッフインタビュー。
- 6月18日
- コンセプトアートに「関ヶ原鉄砲隊」の画像が無断使用されているとして、団体からUBIに連絡。
- 6月19日
- NPC声優を決定するTiktokコンテストを実施するも本職声優から搾取的と批判
- 6月28日
- Ubisoft CEOが個人攻撃を批判
- 6月下旬
- 日本語吹替版のFirst Look Gameplay Trailerを日本向けに公開するも、(数時間後に非公開)。
- 7月9日
- UBIJapanが関ヶ原鉄砲隊画像無断使用についての謝罪文をXに投稿。
- 7月12日
- 『JAPAN EXPO』に出展。
- 7月20日
- 7月23日
- UBISoftが炎上騒動に対する謝罪を含めたコメントをXに掲載。改めて今作品が歴史上の実在の出来事や人物にインスパイアされたフィクション作品と釈明(参照)。
- 7月26日
- gamerant.comのインタビュー
- 7月29日
- UBIソフトのサポートより関ヶ原鉄砲隊に連絡。
- 7月30日
- 関ヶ原鉄砲隊からの経過報告UBIソフトへアートブックのシール貼付対応について問合わせ8月9日返信なし
- 7月31日
- 関ヶ原鉄砲隊から日本販売元であるスクエニへ問合せ、8月2日関ヶ原鉄砲隊に向け回答
- 8月11日
- UBI、東京ゲームショウ2024はオンライン出展のみ
- 8月12日
- gamesindustryのインタビュー記事。
- 8月14日
- 関ヶ原鉄砲隊からの経過報告UBIソフトアートブックのシール貼付対応について返答
- 8月18日
- ゲームさんぽにて弥助に関する史料をちゃんと読んでみようを公開
- 8月20日
- UBIがゲームプレイ映像を公開
- 8月21日
- ドイツのgamescomに出展
- 9月24日
- オンライン出展予定だったTOKYO GAME SHOW 2024への出展キャンセルを発表
- 9月26日
- アサシンクリードシャドウズの発売を2024年11月15日から2025年2月14日へと発売延期することを発表
- フランスのゲーム開発労組STJVがUbisoftの社員に対しストライキを呼びかける声明を発表
- 10月5日
- テンセント・ホールディングスとGuillemot BrothersがUbisoftの買収を検討している報道が流れる
- 10月10日
- アサシンクリード・シャドウズの販売権を持つスクウェア・エニックスが発売延期によるDLC無料公開の影響を受けてパッケージ版のゴールドエディションの発売中止を発表
- 10月20日
- フランスの企業fulllifeが織田家家紋をあしらった靴下を販売しようとしたところ、著作権問題にあたるという日本からの声により一旦販売を停止し、Ubiの法務チームと協議を行うと報告
- 10月21日
- 関ケ原鉄砲隊からの経過報告。全世界を対象としたアートブックから旗のデザインを黒塗り対応するということで問題が決着
関連タグ
- アサシンクリード
- アサシンクリードシャドウズ
- ポリティカル・コレクトネス
- 勘違い日本
- 日本人差別
- 文化戦争
- トーマス・ロックリー
- 弥助やないかい - 本件の便乗ネタ
- 坂上田村麻呂 - カナダの人類学者の記述やアメリカの公民権運動を切っ掛けに、海外で「黒人説」が囁かれるようになった日本の偉人。