概要
舞台は紀元前430年、アテナイとスパルタが衝突したペロポネソス戦争中の古代ギリシア。
アサシン教団の誕生までを描いた前作よりさらに過去のため、タイトルロゴにはアサシンのマークではなく、スパルタの国章であるΛ(ラムダ)が使われている。
ゲームシステムは前作を踏襲しつつブラッシュアップしたものを採用している。
またアサシンクリードローグ以来4作ぶりに海戦がメイン要素となっており、ガレー船を操りエーゲ海の島々を旅することになる。
プレイヤーの選択でストーリーが分岐し、結末や登場人物の生死に関わってくる。
DLC
アトランティスの運命
「かつて来りし者」と呼ばれる謎の種族イスたちの遺物「ヘルメス・トリスメギストスの杖」をピタゴラスから受け継いだ主人公が、海底に沈んだ超古代都市アトランティスの遺跡を守護・管理する「守りし者」となるべく、遺跡に遺された装置を用い、仮想現実として再現された3つの試練に挑戦する。
第一の試練ではペルセポネに管理された誉ある死者の楽園エリュシオン、第二の試練ではハデスに管理された冥府、第三の試練では在りし日のアトランティスが舞台となる。
最初の刃の遺産
マケドニアを訪れた主人公が、同地で暗躍する新たなる脅威「古き結社」に命を狙われる謎の暗殺者ダリウスとその子(男主人公なら娘、女主人公なら息子)と共に、コスモスの門徒にも劣らない影響力・組織力を持つ強大な結社との戦いを描く。
これは古き結社と歴史の陰で戦いを繰り広げて来た高潔なるアサシンと「隠れし者」の系譜、その真なる源流に迫る物語である。
登場人物
主人公と関係者
『ワシ使い』の異名を持つ、本作の主人公。
プレイヤーがアレクシオス(男性)とカサンドラ(女性)のどちらかを選び、そちらが兄または姉となる(プレイ中に変更することは不可能)。
戦士の国スパルタの出身で、両親からは厳しい訓練を課せられながらも愛されて子供時代を過ごしていたが、とある出来事により国を追われ、ケファロニア島へ漂着。
その後は傭兵として暮らしていたが、家族を引き裂いた秘密結社『コスモスの門徒』の存在を知り、復讐のため、そして家族を取り戻すため果てなき旅へと乗り出す。
歴代の主人公と違いアサシンブレードは使わず、祖父の形見である折れた槍で暗殺を行う。
戦闘では盾は使わず(もうスパルタ人ではないことを表している)、片手武器と折れた槍との二刀流、または両手武器で戦う。
またかつて来たりし者たちの血を引いているため、レベルが上がると超人的な力を発揮できるようになる。
基本的には勇敢な性格だが、神託によって人生を狂わされたため、当時の人間にしては神々に懐疑的。
金銭への執着、倫理観、性的指向などはプレイヤーの選択で決まる。
- イカロス
主人公の相棒の鷲。
空から偵察を行える他、主人公のレベルが上がると敵を襲って妨害することもできるようになる。
- バルナバス(CV:佐藤せつじ)
ガレー船『アドレスティア号』の老練な船長。
豪放磊落で陽気な人柄だが、その一方で非常に信心深い。
ケファロニア島でならず者に捕まり拷問されていたところを、ちょうど船を求めていた主人公に助けられる。
主人公がゼウスの使いである鷲を連れていることから、その出会いを神の導きと考え、船長の座を譲って旅に同行する。
- マルコス(CV:塩屋浩三)
ケファロニア島の農民。
島に漂着した主人公を拾い、傭兵として仕事をさせながら育てた。
主人公にとっては恩人だが、極端に楽観的な上に金銭感覚が少しおかしく、絶えずトラブルを呼び込んでいる。
- ポイベー(CV:水瀬いのり)
ケファロニア島に住む小作人の少女。
冒険心の強いおてんば娘で、主人公のようなワシ使いになりたいと願っている。
- ニコラオス(CV:中野裕)
スパルタの厳格なる将軍。主人公の父。
- ミュリーネ(CV:井上喜久子)
主人公の母。レオニダス王の実子で、特別な血筋である。
今はスパルタを去り、行方不明となっている。
主人公と敵対する組織「コスモスの門徒」の英雄であり最高指導者。
正体は主人公の妹カサンドラ/弟アレクシオス(主人公として選ばなかった方)。
- ダリウス(CV:宮内敦士)
DLC『最初の刃の遺産』に登場するペルシア人の暗殺者。
「」
アサシンクリード2で石像が登場しており、歴史上初めてアサシンブレードで要人暗殺を行なった人物とされている。
ペルシア王クセルクセス1世を暗殺して以来、長子と共にギリシアで逃亡生活を送っている。
歴史上の偉人たち
主人公の祖父にしてかつてのスパルタ王。ゲーム冒頭では彼を操作することになる。
紀元前480年、テルモピュライの戦いで300人のスパルタ兵を率いて200万のペルシア軍に立ち向かい、壮絶な最期を遂げた。
愛用の槍は『かつて来たりし者』の作った兵器であり、その折れた穂先は孫である主人公に受け継がれている。
余談だが、中田譲治氏は映画『300』でもレオニダスの吹き替えを担当している。
知勇兼備のスパルタの名将。
同盟関係にあるコリンティアからコスモスの門徒を駆逐するため、主人公と協力する。
その際に彼と友情を築けるかどうかで、それ以降の展開が変化する。
歴史学の始まりと言える人物。
コスモスの門徒を止めるべく主人公に同行し、その知識で手助けを行う。
アテナイの政治家で、事実上の最高指導者。
スパルタ軍に対して籠城戦を行なっているが、戦争が長引いて立場が危うくなっており、しかもコスモスの門徒から命を狙われている。
ペリクレスの妻(史実では正式に婚姻関係を結んでいたかは不明)。
才色兼備の女性。
ペリクレスの政敵。
過激な言葉で民衆の不満を煽り、支持を集めている。
アテナイの哲学者。
主人公に長々と質問攻めをしてきたり、常人にはよく分からない言動を繰り返す。
古代ギリシアの医者。
医療から神罰・呪術といった要素を取り除き、臨床と観察の重要性を説いた医学の父である。
神を頼る神官と対立しながらも、患者たちを救うべく活動している。
アテナイの政治家。
常に酔ってるか誰かと寝てるかしている享楽的な人物。主人公を称賛しつつ様々な頼み事をしてくる。
バイセクシャルで選択次第では彼と肉体関係を結べる。
古代ギリシアの名高き数学者。
本作の時代にはすでに死んでいるはずだが……?
現代
- レイラ・ハサン(CV:田中敦子)
現代編の主人公。
アブスターゴの社員だったが、独断専横が祟って追われる身となり、前作のラストでアサシン教団に匿われた。
本作では正式に教団の一員となっている(前作から今作までの間の出来事は未邦訳のコミックスにて語られている)。
前作で閲覧できる資料にて「無機物に残った遺伝子を利用できる可能性」について触れられていたが、今回はそれを実用化しており、発掘されたレオニダスの槍に残った遺伝子から主人公の記憶を辿る。
- ヴィクトリア・ビボー(CV:美名)
アサシン教団のメンバーで、元アブスターゴの精神分析医。
レイラがアニムスに入っている間、彼女の体調管理などの補佐を行う。
- キヨシ・タカクラ(CV:真殿光昭)
大阪支部に所属する極道上がりのアサシン。
日本刀と火器の扱いに長ける。
レイラのプロジェクトに協力し、彼女がアニムスに入っている間周囲の警戒を行なっている。
用語
- アドレスティア号
バルナバスの所有する船で、彼から主人公に譲られる。
ガレー船のため加速中は漕ぎ手のスタミナを消費するが、最大船速時は櫂を収納して帆走するため消費しなくなる。
武装は衝角と乗員が使う弓矢・投槍で、DLCにて火炎放射器まで搭載される。
老朽船だが資材を集めることで耐久力、各武装の威力、漕ぎ手のスタミナなどを強化でき、「エーゲ海で最も危険な船」と呼ばれるまでになる。
また船体を強化すると三段櫂船になる。
- レオニダスの槍
「かつて来りし者」のアーティファクトの一つ。
テルモピュライの戦いで折れたが、穂先が主人公に受け継がれ短剣のように使われている。
シリーズファンには馴染みの深いアサシンブレード枠の武器だが、上述の通り今作ではアサシンブレードは別の人物が所持しているため、その代役にあたる。
主人公に様々な特殊能力を与えている他、純粋に武器としても業物である強力な兵器だが、レオニダス王の家系などかつて来りし者の血を引く者しかその力を発揮できない。
コスモスの門徒の持つ秘宝の欠片を集めると強化することができる。
しかし、DLCを含んだストーリーの最終章にあたるコルフ島での戦いで力を失い、とある事情からギリシャを発つことを決めた主人公からヘロドトスに譲られた。その後の消息は不明。
- コスモスの門徒
コスモス(秩序)の名のもとにギリシャを牛耳ろうと画策する秘密結社。
各地の王や軍人も構成員におり、政治、経済、戦争すらも裏から操っている。
よく誤解されるが、後世のテンプル騎士団とは無関係の組織である。
- 征服戦争
過去のシリーズにはなかった百人以上の兵士が敵味方に分かれて乱戦する大規模戦闘。
ギリシャの各都市国家を征服している兵士や指導者を殺したり、資金を盗むことで国力を下げることができ、一定まで下げると敵側の勢力が戦争を仕掛けられる状態になる。
この戦争でどちらかの勢力に参加することができ、勝利に貢献すると賞金や装備が手に入る。
基本的に侵略側のほうが難易度が高い。また、主人公以外の傭兵も参戦してくる。
- 傭兵
主人公以外にも各地に傭兵がおり、主人公に賞金がかかると付け狙ってくる。
基本的に賞金がかかっていないと襲われることはないが、ティア(傭兵ランク)を上げることで様々な恩恵を受けられるので積極的に倒して行くのも手。
- 古き結社
DLC『最初の刃の遺産』に登場。
前作にも登場した、秩序と支配を掲げる秘密結社。テンプル騎士団の前身となったのはこちら。
この時代すでにエジプトやアケメネス朝ペルシアに存在していた。
混沌を崇拝するコスモスの門徒とは時に敵対し、時に協力している。
余談
- 船による海戦がメインバトルの一つになっている関係上仕方ないこととはいえ、史実では当時「軍」という表現さえおこがましいほど小規模で貧弱の極みだったスパルタ海軍(ペロポネソス同盟最強の海軍力を持っていたコリントス海軍はアテナイ海軍に到底太刀打ち出来ない程度だったが、スパルタ海軍はそのコリントス海軍の足元にも及ばなかった)の軍船が、アテナイ海軍に負けないぐらい多数うろついており、到底負けているようには見えない。一応、劇中でも度々「海軍力で負けている」と語られる描写は出るので、史実を意識してはいる。
- 古代ギリシャという時代及び舞台の関係上、防具の下半身はスカート状となっているものがほとんどで、転んだ時や泳いでいる時などは男も女も関係なくパンモロ祭りである。このため、男主人公を選ぶと三人称視点故に野郎の下着とケツをしょっちゅう眺める羽目になるため、この辺りが気になる人は注意が必要(?)かもしれない。
- 当時のギリシャは同性愛が盛んだったため、そうしたシーンもあることに留意されたし。プレイヤーの選択次第で主人公を同性愛者や両性愛者としてプレイすることも可能である。
- 主人公は男女選択可能だが、後のシリーズであるヴァルハラではカサンドラが主人公であるとされている。