概説
“東の海”ローグタウンにてロロノア・ゾロが入手した刀で、以来、現在に至るまでゾロの愛刀の一本として活躍している。
紫色の逆巻く炎のような独特な刃紋と、これまた独特な意匠の鍔が特徴。鞘は朱色。
鬼徹一派の三作目になる刀で、位列は業物。
カタログスペックだけなら他の業物にも負けない名刀であり、たしぎ曰く普通に購入するのであれば100万ベリーは必要になるとのこと。
しかし「鬼徹一派の刀」という理由から恐れられ、ゾロの訪れた武器屋では5万ベリー均一のジャンク品の山の中に埋もれていた。何故恐れられていたのかと言うと、鬼徹一派の刀は非常に切れ味に優れた名刀でありながら、いずれも「持ち主を死に至らしめる妖刀」として有名だったから。ゾロは三代鬼徹が妖刀であると説明される前から、感覚的に妖刀だとわかった。
たとえ鬼徹と知っていようがおるまいが例外なく非業の死を遂げる事からもはや鬼徹を帯刀する剣士などいないとのことで、店主のいっぽんマツもその事を説明していた。
ゾロにこの刀を薦めたたしぎも、この話を聞いて「そんな恐ろしい刀だという曰くまでは知らなかった」と頭を下げるが、その恐ろしい呪いに対してもゾロはまったく動じず、むしろこの話を聞いた上で「気に入った」らしく購入を決心。なおも止めるように説得しようとするいっぽんマツをよそに、ゾロはあろうことか抜刀した鬼徹を回転させながら投げ上げ、その落下位置に自らの腕をかざし、刃が腕を切り落とすか否かという賭けをその場で実行する。
そして、鬼徹は刃でなく峰の側でゾロの腕に接触した後、軽い音を立てて床に深々と突き刺さる。賭けに勝利し、「呪いを屈服させた」として自分の刀とすることを認めさせた。
(なお、この気概を認めたいっぽんマツは、店で秘蔵していた名刀“雪走”と共にタダで譲り、“偉大なる航路”に入るゾロへの餞別とした。)
和道一文字や秋水(共に大業物)、雪走(良業物)などと比べると位列は下だが、切れ味は抜群に鋭い(小説版ONE PIECE 千年竜伝説においては、鉄製の鎖を切断するのにこの刀を選択している。ちなみに、このエピソードは東の海編、つまりグランドライン突入前の時系列なのだが、原作においてゾロが鉄切りを習得したのはアラバスタ編の終盤である)。
むしろ妖刀ゆえなのか異常とも言えるレベルで、上述のゾロの賭けでは、床に落ちた刀が(落下による加速があったとはいえ)刀身の根元近くまで突き刺さり、はじめて実戦にて用いた“偉大なる航路”ウイスキーピークでも、石斧を受けるつもりがいともたやすく真っ二つにしてしまったことからもその異常さが窺えるだろう。このときはゾロをして「なんて切れ味だ…主人の斬りたい時にだけ斬れるのが名刀ってもんだが …なるほど、こいつは問題児だ…!!」と言わしめ、業物の定義から外れたレベルは冷や汗を流すほどだった。
なお、この時に真っ二つになった石斧の片割れがゾロの頭に当たるところだった点に注目。持ち主を死なせるという噂はこういった事も関係していると思われる。
また、妖刀であるがゆえか独特な存在感を放っているようで、ゾロは直接触れていなくても近くにあればそれが三代鬼徹であることが分かるという。
現在、ゾロが使っている刀の中では、和道一文字に次ぐ古株となった愛刀で、幾多の戦いに貢献してきた。
余談
この刀の前代である“二代鬼徹”は大業物21工、そしてその更に前の代である“初代鬼徹”は最上大業物12工の一振りとして数えられ、作中世界でも屈指の名刀であるわけだが、前述の通り三代鬼徹と同じく妖刀で、多くの名立たる剣豪に悲運の死を齎したという。そして当時のいっぽんマツの台詞が真実であるなら、現代において鬼徹一派の刀を腰に提げているのはこの世においてはゾロだけらしい。
…のだが、世界政府の最高権力である五老星の一人が、この鬼徹一派のものと思しき刀を持っており(鍔と柄の装飾がゾロの三代鬼徹と酷似している)、エッグヘッド編でゾロがその人物と交戦した際に鬼徹であると指摘している。
ワノ国編では、“三代鬼徹”の鍛造者である天狗山飛徹と、彼が保管している天狗山古徹の作刀“二代鬼徹”が登場している。
なぜこんな刀がワノ国から東の海へやって来たのか、だが……おそらく彼、もしくはその仲間が持ち込んだものと思われる。