概要
1682年-1722年。
『大航海時代』最後にして最大の海賊とされ3年の間に400隻を超える船を捕獲した。
異名の『ブラック・バート』とは、バーソロミューが浅黒い肌だったことと、紳士的な高貴な雰囲気を醸し出す性格だったことを『準男爵』とかけたもの。
略歴
ウェールズ出身であること以外、海賊になるまでのことはよく分かっていない。37歳の頃に奴隷船プリンス号に二等航海士として乗り込んでいたが、ハウエル・デイヴィスという海賊に襲われ、ロバーツは捕えられてしまう。
デイヴィスは捕虜を無理やり海賊団に入れることを好まない人物だったが、それまでの仕事に嫌気が差していたロバーツは自ら海賊になることを志願し了承される。
その約6週間後、デイヴィス海賊団は北アフリカのポルトガル領であるプリンシペ島を襲撃しようとするが、待ち伏せに遭い船長のディヴィスが戦死してしまう。残された乗組員による投票の結果、ロバーツが船長の座を引き継ぐことになった。海賊になってから6週間で船長というスピード出世であり、カリスマ性が半端なかったことを示している。
その時のロバーツの言葉は「俺は両手を泥水に浸してしまった。こうなれば平水夫ではなく船長になってやるさ」だったという。
その後、デイヴィスの仇討ちとしてプリンシペ島の要塞を攻撃し、陥落させてしまう。単なる逆恨みとも言えるが、仲間たちから人望のあった前船長の仇討ちは自分への信頼を高めるために必要だった。また海賊たちは守備兵たちの逃げ込んだ街まで焼き討ちしようとするが、ロバーツは地形的に不利であること、損害に見合う利益が期待できないことを説明して諦めさせており、このときから高い統率力を見せていた。
その当時1720年はすでに各国が海賊対策や航路の警備に本腰を入れており、海賊黄金時代は終末に向かっていた。
すでに黒髭のような名高い大海賊も殺されるか、ベンジャミン・ホーニゴールドのように恩赦を受けて廃業し、次々に姿を消していた。
そんな時期にもかかわらず、その後約400隻の船舶を攻撃し、5千万ポンドもの物資を略奪、最も成功した海賊の一人となった。
旗艦『ロイヤル・フォーチュン号』を筆頭に、大小合わせて20隻もの海賊艦隊を率いていたという説もある。
そんなロバーツだったが1722年、イギリスの軍艦スワロー号に補足されてしまう。ロバーツは普段から海賊団の規律を守ることを重視していたが(後述)、それにもかかわらずこの時手下たちは泥酔していたため逃走が遅れてしまった。それでもロバーツはいつものように決め台詞を吐いて仲間たちの士気を上げ、恐れずに戦ったという。
しかしついにスワロー号が放った葡萄弾(乗員を殺傷するための散弾)が喉を貫通して戦死してしまう。普段から「自分が死んだら晒し者にされないよう、死体に重石をつけて海へ沈めろ」と命じていたため、部下たちはそれに従いロバーツの死体を処分し、戦闘を続けた。
しかしリーダーを失った海賊たちは次第に追い詰められ、降伏した。
囚われた仲間のうち白人はほとんどが死刑または強制労働の刑(環境を考えると半ば死刑のようなもの)に処され、黒人は奴隷として売り飛ばされた。
身代金を支払えた者、海賊経験が浅い者など、極わずかな乗組員が無罪放免されている。
ロバーツの死を以って海賊黄金時代は終わったと云われている。
掟
海賊=無法者というイメージが定着しているが、実際の海賊は当人たちなりに厳しい掟を設けており、特にロバーツ海賊団の掟は厳格だった。
- 乗組員全てに平等な投票権・投票発起権を与えること。
- 仲間内で金品を窃盗したり横領した者は孤島置き去りの刑。
- カード、サイコロを使った賭博は禁止。
- 午後8時消灯にし、以降の飲酒は甲板にて月明かりのもとでのみ許可する。
- ピストルやカットラスの整備の徹底。
- 女性や子どもの捕虜を乱暴目的で船に連れ込んだら死刑。
- 戦いの中で船を見捨て降伏した者は、死刑もしくは孤島置き去り。
- 船上での口論禁止。岸に着いた際にピストルまたは剣での決闘により決着をつけること。
- 収益は役割別に平等に配分。戦闘において負傷した者には手当てを別に支給する。
- 安息日には音楽隊による賛美歌を奨励。
と、こんな感じである。
当時は多くの国で奴隷制度が合法で、白人でも庶民の基本的人権など考慮されないことが多かった。
そんな中で『平等な権利』に加えて戦傷手当まで支給される海賊団は、虐げられてきた者たちからすれば(仕事が犯罪であることを除けば)ホワイト企業のようにさえ見えたことだろう。
事実、奴隷だった黒人が脱走して海賊になるケースは多かった。
なお、決闘のルールは「背中を向けあって立ち、同時に振り向いてピストルを撃つ。それで決着がつかなければ剣で戦い、先に相手に傷を負わせた方を勝者とする」というもので、卑怯な手を使った場合は制裁を受けることになっていた。
備考
- 善玉海賊ではない為、悪事は散々やったが婦女子には僅かだが優しく、仲間思いだった。
- お洒落好きな伊達男系イケメンであり、近代のステレオタイプな海賊のイメージである黒の海賊帽子にオーバーコート、戦利品の大振りなアクセサリーを身につけて派手な身なりをしていた。また首から提げたダイヤモンドの十字架はポルトガル王に献上されるはずの物だった。