曖昧さ回避
- 坪内逍遙の子ども向け小説「おしん物語」の主人公。ちなみに、この小説が何かと言えば『シンデレラ』の翻案作品である。明治時代の日本にローカライズされたため「王子様→華族の若君」「魔法使い→弁天様」「シンデレラを憐れんで→おしんの家事への励みと忠孝を尽くす姿への褒美」「舞踏会→園遊会」「ガラスの靴(サイズ合わせ)→扇子(閉じられた扇子の柄を当てる)」「王子様が探す中でシンデレラは義母姉に抑え込まれる→若君が探す中でおしんは自ら外へは出ず一度は自分の幸せは棄て自らの忠孝を貫くため義家族に譲ろうとする」など軽く挙げただけでも多くの点が変更されておりほぼ別物と化している。原典以上に「主張する事の醜さ」「恩讐談(良いことをすれば誰も何も言わずとも良い酬いがある)」を提示する側面が強くなっている。
- 昭和58年期NHK連続テレビ小説作品。および同作の主人公。本作で詳述。ちなみに前述した坪内逍遙の物語とは(一応)無関係(カブったのは偶然)とされている。
連続テレビ小説『おしん』
1983年(昭和58年)4月4日から1984年(昭和59年)3月31日まで放送されたNHK連続テレビ小説第31作。NHKテレビ放送開始30周年記念作品。全297話。
8月15日から8月20日までの6日間は、『もうひとりのおしん』放送につき中断。連続テレビ小説では、『鳩子の海』以来の1年間放送となった。
平均視聴率は52.6%、最高視聴率は1983年(昭和58年)11月12日放送(第186回「戦争編・東京の加代」)の62.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。これは現在までのビデオリサーチの統計史上、テレビドラマの最高視聴率記録である。
後にスリランカ、インドネシア、フィリピン、台湾、香港、ベトナム、アフガニスタン、シンガポール、エジプト、イランなど世界66か国や地域で放送され、苦難に遭いつつも決してあきらめず、明治、大正、昭和を生きた主人公・おしんの姿が、日本だけでなく世界各国で人々の共感を呼び、「おしんドローム」という言葉を生み出した。2011年現在、「世界で最もヒットした日本のテレビドラマ」とされ今もなおファンが多く根強い人気がある。一方、当時の視聴者からは「おしんなんかよりももっと厳しい逆境から這い上がった人が現実世界にはいくらでもいる」という批判もあった。
2003年4月からは、放送20周年記念で1年間に渡って通常放送と同様、毎週月曜日~土曜日の夜7時30分からNHK衛星第2テレビジョンで全話再放送され、放送終了後の7時45分からは藤原勝也が司会進行で『BSおしんだいすき』という次回の話の予告や視聴者からのお便りなどを紹介した5分間のミニコーナーがあり、小林綾子や丸山裕子、今福將雄がゲストで登場することがあった。なお、当番組が放送されていたため、2000年から12月1日に放送されている『デジタルドリームライブ』は、この年に限って15分遅い放送開始となっている。
朝日新聞2010年9月25日付のbeランキング「心に残る朝ドラヒロイン」アンケート結果では、本作の田中裕子が第2位だった(第1位は樫山文枝『おはなはん』、第3位は国仲涼子『ちゅらさん』)。
作品では、おしんの幼年期の苦労を描いただけではなく、義理や周りを見ることなく他人を押しのけてまで銭儲けをしてもいずれ自分を追いやってしまう、人として本当に大切な物は何かというメッセージが、おしんが人生の歩みの中で出会ってきたたくさんの恩人の言葉を通してちりばめられている。
総集編がBSと地上波で放送された。
1999年再放送データ
BS2 1999/10/25~1999/10/28、20:00-21:30
地上波 2000/03/20~2000/03/23、21:35-23:05
メディア化
連続テレビ小説の放送50周年を記念し「おしん総集編」が2011年11月25日にNHKよりDVDリリースされた。
【収録内容】
・DISC.1 第一話「最上川・ふるさと」 第二話「結婚・大震災」
・DISC.2 第三話「流転」 最終話「最上川・時の流れ」
・DVD2枚組 ・収録時間354分/画面サイズ4:3/モノラル/カラー/日本語字幕
物語
1983年(昭和58年)早春、北へ向かう特急列車の中である老婦人が座っていた。彼女の名は田倉(たのくら)しん。
三重県志摩半島各地に16店舗を構えるスーパーマーケットチェーンの創業者・経営者でもある彼女は、デパート級の大規模店となる第17号店新規開店というめでたい日に行方を眩ましてしまった。家族一同が騒然とする中、おしんとは血こそ繋がらないものの、義理の孫として育てられた大学生・八代圭(やしろ けい)は昔、おしんが語ってくれた思い出話を頼りに、山形県の銀山温泉へ捜索の旅に出る。その地でおしんを探し当てた圭は今すぐ三重へ戻るよう説得するが、おしんは帰ろうとせず山形の山奥にある廃村に行こうとしており、話を聞かない。だが圭はおしんの願いを叶えてあげたいという気持ちになり、彼女をおぶって雪深い山道を進み廃村へと辿り着いた。そこがおしんの生まれ故郷であり、雪の中で廃屋となっていた我が家を見たおしんの眼には涙が浮かんでいた。
そうして、おしんは圭にこの家出は自分が生まれてからこの80年以上の人生で一体何を得て、何を失ってしまったか。また、自分のことだけしか考えない経営方針に突き進む息子・仁(ひとし)を、どこでそういう息子にしてしまったのか、を振り返るための旅だと打ち明ける。
そして、おしんは生まれてから80年以上にもわたる出会いと別れを繰り返した波瀾万丈の人生を振り返る。
(ここから先は少女編、青春編、試練編、自立編、太平洋戦争編、再起編、完結編の7シリーズに分ける)
映画版
2013年にキャストを一新した上でリメイクされた。しかし、全297話を109分に収めるという無茶をやらかしたことに加え、朝ドラ版の絶大な人気故か興行収入は振るわず大コケとなった。
余談
裏番組にTBS系列で「おゆう」(放映期間:1983年4月4日 - 9月30日(全130話)、放映時間:毎週月曜日 - 金曜日、12:40 - 13:00)が放送されたが視聴率は「おしん」にはかなわず苦戦を強いられた。そのためヒロイン(おゆう:浜尾朱美)の相手役の幸吉を演じた陣内孝則は「こちらがだいこん飯を食べるハメになった」と述べている。神山ひさを演じた赤木春恵はこの「おゆう」にも出演している
ごきげん歌謡笑劇団に歳を取ったおしんと言う設定でゲスト出演した回がある。