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タランチュラ

たらんちゅら

オオツチグモ科に属する蜘蛛の通称。マッシブな体型の毛深い大型クモである。
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曖昧さ回避編集

  1. クモの種類の1つ。本稿で説明
  2. アニメ「ルパン三世 ワルサーP38」に登場する架空の組織。詳細はリンク先参照

概要編集

和名はオオヅチグモ(大土蜘蛛)という。学名「Theraphosidae」は本グループの一属の学名 Theraphosa(テラフォサ)にちなみ、これはギリシア語の thēraphion(獣、怪物)に由来する。

メディア露出が多く、に詳しくなくとも、名前を聞けば姿かたちを思い浮かべられる人は多いだろう。虫系のペットとして知名度も高く、とても有名なクモのグループである。

タランチュラの体

クモとしてはかなり大型で、最大級のものは種は体長10cm、を拡げた長さ(レッグスパン)が30cmにもなる。概ねマッシブな体型で毛深く、脚は8本全てが先端まで丸みを帯びて太い。触肢(牙と第1脚の間の肢)は脚のように発達したため、脚が10本あるようにも見える。この大きさと体型に相まって、一般のクモよりもずっしりとした印象を与える。

一方、ドワーフタランチュラと呼ばれる仲間はレッグスパンで5cm前後、高級希少種として知られるブラジリアンジュエルはレッグスパン2cm程と非常に小型な種も存在する。


このサイズになると落下が致命的になるため滑り止めには余念がなく、各脚先には鉤爪の他に付着用の分厚い毛を裏面に持ち、樹皮はもちろんつるつるのガラス板でも滑ることなく登攀可能(かつては脚に出糸器官があってそれで物を付着すると考えられたが、感覚器の見間違いであると判明)。

鋏角(上顎)のはほとんどのクモと同じく液の注射機能付きであるが、一般のクモより大きく嚙む力が強い。


生息域はアジア南~米アメリカアフリカオーストラリアの各大陸とその周辺の嶼部で、主に温暖な地域に分布している。

なお、残念(?)なことに日本には生息していない。


狩猟は基本的に待ち伏せからの不意打ち。主な獲物は大型の昆虫ムカデヤスデなどの節足動物で、大型種は小型のトカゲネズミヒキガエルなどの小型脊椎動物も捕食対象にする。


殆どの種で、雄と雌の寿命に大きな差があることで知られる。雄が基本的に数年の命であるのに対し、雌の寿命は十年を超える。脱皮にも差があり、雄は生涯最後の脱皮である「最終脱皮」を終えると以降は脱皮しない(=脚の欠損などは治らない)のに対し、雌は生涯にわたり脱皮をし続ける。また、体格も雌の方が太く大きくなる。これらの事情からペットとしては専ら雌の人気が高く、雌であることが判明した個体は値段が数倍から数十倍に跳ね上がる。


天敵編集

天敵オオベッコウバチ(英語名:タランチュラホーク、"タランチュラの"の意)で、タランチュラを専門に狩るハチの一種。タランチュラに毒針を刺して麻痺させ、卵を産み孵化すると幼虫はタランチュラを食べて成長する。


名前の由来編集

「タランチュラ(tarantula)」という名前の由来はイタリア南部の都市ターラントの伝承から来ている。それによると、ある種の毒グモに噛まれると精神疾患に陥り死に至るというもので、その治療法とされた熱狂的な踊りは後に「タランテラ」という舞曲のジャンルを生んだとされる。これが西洋全域に伝わって大きなクモの総称となった。

しかし、この地域に自然分布しているもので伝承に該当するのはコモリグモという別種類のクモの一種(タランチュラコモリグモ Lycosa tarantula)である。しかもその攻撃性や毒性は人間に対しては一般のクモ並に弱いため、前述の伝承は迷信である。ここからさらに、いつの間にか「タランチュラ」がオオツチグモ科に所属するクモを指す言葉に変わっていったのである。


危険性編集

小説や映画で噛まれた人間が即死するような描写がよくみられ、その影響で致死性のを持つと誤解する人も多い。しかし健常者のタランチュラの毒による正式な死亡記録はないとされ、特殊なアレルギー体質などの場合を除けば、このクモだとわかれば噛まれても死ぬ心配はまず無用である。

タランチュラの生息域には、オーストラリアシドニージョウゴグモヨーロッパ南部のジュウサンボシゴケグモといったより危険な毒グモが生息しており、これに噛まれる事故が起きた際に、より大型で外見が目立つタランチュラによる事故と誤認されていたという説もある。


この通りタランチュラには普通の人が死ぬ程の毒はなく、普段も非常に大人しいクモである。しかし危険を感じると後述のような反撃をしようとしたり、むやみに近づかない・刺激を与えないのが吉である。

噛まれると牙の大きさも相まってメチャクチャ痛く、下手すると数日間痛みと腫れが長引き、医師の治療を必要とする場合に発展する。

一部の種類は腹部に刺激性のある体毛を有し、危険を感じるとこの毛を撒き散らしてくる。これが皮膚や目に触れると炎症を引き起こして噛まれた場合よりも厄介な目に遭う。

ただし、この毛は一度抜けると、脱皮するまで生えてこない。

本格的な攻撃の前に前脚を上げ、一部の種は牙を鳴らす等の威嚇行動もとる。これが見られた場合は絶対にそれ以上近づいてはいけない。



人間との関係編集

ペット編集

その巨体と外見のインパクトから系の観賞用ペットとして人気が高い。普段は非常に大人しく小型のケースでも飼育でき、餌も生餌が必要だがコオロギなど比較的安価で量も少ない。湿度や温度に注意すれば長期間の飼育も可能である(雌の寿命は10年以上とも)。

慣れればハンドリングも可能でありSNS等でもそういった動画があげられているが、生体・飼育者共に怪我のリスクを高める行為でしかないため、推奨はされない。

また毒や牙による飼い主のリスクだけではなく、脱走などに及べば周辺住民や同じペットを飼っている人にも迷惑をかける場合があるため、基本的に観賞用ペットとして接するべきである。

奇虫を飼育するならイエローファットテールスコーピオンの事例は知っておくべきだろう。


食用編集

昆虫食が一般的な国や地域では昆虫と並んで結構タランチュラを食材にしているところが多い。

例としてカンボジアではよく食べられているらしく、食べた事のある人によればカニミソに近い味だとかレバーみたいな味とされている。


大まかな分類と主な種類編集

世界の様々な環境に広く生息することから、生息地域や生活様式によって総称で分けて語られることが多い。


バードイーター編集

南北アメリカ大陸に生息するタランチュラの総称。世界一有名な種であろうメキシカンレッドニーや世界最大種のゴライアスバードイーターを含む、タランチュラの顔とも言えるグループである。大人しい種・地表性の種・腹部に刺激毛を持つ種が多い。その性質から、初心者に勧められるタランチュラの大半はこのグループである。

「鳥をも食べる」といった伝承からバードイーターの名を冠するものの、地面に落ちた雛などを除き、鳥を捕食することは殆どないとされる。


メキシカンレッドニー編集

メキシコの砂漠地帯に生息するタランチュラ。

映像作品やゲームに多く登場する、タランチュラの代表格。

体長7~8㎝、レッグスパン18㎝程度まで成長する大型種。黒色の身体に脚関節が赤色である。

とても長生きな種類で、雌は最長で30年近く生きる。

警戒色とは裏腹に、性質は穏やかで毒も弱い。


ゴライアスバードイーター編集

南米の熱帯雨林に生息する、世界最大のタランチュラにして世界最大の蜘蛛。タランチュラの中でも頭一つ抜けた巨体を誇り、レッグスパンは30cmにも達する。ネズミ程度ならば簡単に捕食してしまう。バードイーターの中では気性が荒く、巨体ゆえに刺激毛も多いため飼育は難しい部類。


チリアンコモン編集

チリの高山に生息するタランチュラで、別名ローズヘアー。

体長4~6㎝、レッグスパン8~10㎝と小~中型のタランチュラで、低温さえ維持できれば飼育は容易な部類。加えて安価であったため初心者向きとされていたが、原産国チリでの保護・それに伴う輸出規制により一気に値段が高騰してしまった。国内ブリードの進展などにより、値段は徐々に落ち着きつつある。


ブラジリアンブラック編集

ブラジルからウルグアイにかけて分布する、「黒いタランチュラ」の代表格。非常に大人しい気質、美しく上品な黒色、ゆったりとした動きの可愛さなどから非常に人気が高い。一方で成長は非常に遅く、また値段も人気相応に高い、時間とお金のかかるタランチュラである。


バブーン編集

アフリカ大陸に生息するタランチュラの総称。地面に深い巣穴を掘る地中性、浅い巣穴と糸を組み合わせて巣を作る半地中性の種が多い。性質は非常に荒く、威嚇をよく行う。素早く強毒な種も多いとされ、初心者には向かないとされる。

総称の「バブーン」は、ヒヒ類の英名である。


キングバブーン編集

ケニア周辺に生息するタランチュラ。深い巣穴を掘る地中性である。アフリカの赤焼けた大地のような美しい体色と、バブーン随一の巨体の持ち主。後脚で立ち上がり前脚を振りかざして牙を剥き出しに威嚇する迫力満点の姿から非常に人気が高い。

動きは緩慢だが、攻撃速度は速いため注意が必要。



ウサンバラオレンジバブーン編集

アフリカに広く分布する、レッグスパン15〜18cm程になる比較的大型のバブーン。名前の通りオレンジ…というより黄色に近い体色で、特に脱皮直後は鮮烈かつ美しい黄色の体を見ることが出来る。バブーンの特徴そのままの強毒・俊敏な種であるため扱いには慣れが必要。


トーゴスターバースト編集

中央・西アフリカに分布するモノクロカラーのタランチュラ。地中性の多いバブーンながら樹上性の傾向がある。全タランチュラの中でも一二を争うほどのずば抜けたスピードを持つ上に性質も臆病、更に強毒とされるため、初心者には全く向かない。


アースタイガー編集

アジアに生息するタランチュラの総称。生活様式はバブーンに近いが、樹上性や樹の根元から地面にかけて巣を作る種もいるなど比較的多様。性質もバブーンと同じく荒い・速い・毒が強いとされ、初心者には向かないとされる。

総称は腹部に虎を思わせる縞模様を持つ種が多いことに由来すると言われている。


コバルトブルー編集

タイやミャンマーに生息するタランチュラ。アースタイガーを代表する種である。個体差はあるもの雌は青く美しくなることから、非常に人気があり、知名度も高い。

しかし、非常に狂暴で毒性も強く、飼育はかなり難しい。

なお、雄は雌のような美しい体色にはならない。


タイランドブラック編集

ブラジリアンブラックと並ぶ「黒いタランチュラ」の代表格だが、性質は真反対。上記コバルトブルーと同属で性質も非常に似ており、荒い・速い・毒が強いを完璧に備えた種であるため、初心者には全く向かない。


マレーシアンアースタイガー編集

マレーシアの熱帯雨林に生息するタランチュラ。地中から樹上にかけて巣を作る種である。独特の体色とアースタイガーの中でも特に大型になる点から人気が高い。なお、アースタイガーの懸念点は本種もしっかりと備えている。


ツリースパイダー編集

生息地域に関係なく、樹上で生活するタランチュラの総称。かなり大まかな枠組みであるため、性質は種によってバラバラであるが、飼育時のレイアウトは比較的似たものになる。


アンティルピンクトゥー編集

南北アメリカ間の離島に生息する、樹上性タランチュラの代表格。レッグスパンは12cm程と比較的小型。構造色による鮮やかな色彩と扱いやすさから初心者にも向くとされる。名前の通り足先がピンク色だがこちらはあまり目立たない。


グーティサファイアオーナメンタル編集

インドに生息するタランチュラ。全タランチュラの中でもトップクラスの人気を誇る超美麗種。鮮やかな青、白、黄色の体色と大型で迫力のある見た目から人気が高く、同時に値段も非常に高い。ただし、アースタイガーを上回る非常に強力な毒と臆病な性質から初心者には向かないとされる。


インディアンオーナメンタル編集

インドに生息する、樹上性タランチュラの中でもトップクラスの巨体を誇る種。レッグスパンは20cm前後になるとされる。こちらもグーティサファイアオーナメンタルと同じく非常に強毒かつ臆病とされるため、取り扱いには注意が必要。


タランチュラをモチーフとしたキャラクター編集

特撮編集

ウルトラマンシリーズ編集

仮面ライダーシリーズ編集

スーパー戦隊シリーズ編集

変身忍者嵐編集


アニメ編集

ビーストウォーズシリーズ編集

  • タランス/タランチュラス
    • ただしレガシー版の玩具ではビーストモードがコモリグモ(タランチュラコモリグモ?)をモチーフとしている。

ゲーム編集

モチーフとしたその他のもの編集

  • 新甲虫王者ムシキング(ゲーム作品)
    • 「メキシカンレッドニータランチュラ(パー、SR)」「オーナメンタルタランチュラ(グー、SSR)」「ゴライアスバードイーター(チョキ、SSR)」の3種が「おたすけムシ」として登場。
  • どうぶつの森シリーズ(ゲーム作品)
    • サソリと同じく徘徊性の虫として登場し、虫あみで捕獲し高値で売る事ができる。ただしプレーヤーがあみを手に持っている時にだけ襲いかかり、噛まれると痛さからなのか気絶し自宅前などに戻されてしまう。出現率の低さもあって虫コンプリートの障壁となるが、あつまれどうぶつの森では救済措置なのか、タランチュラが無限湧きする離島が出るようになった(これはサソリも同様)。
    • なお、あつ森では出現期間がサソリとは対照的に晩秋~春(南半球では春~秋)に変更されており、初めてプレイして突然出てきてビビった人も多いのではないだろうか。
  • プロレス技の一つ。TAJIRIによって考案された。ただしロープを使う技なので、反則扱いになる。

関連タグ編集

蜘蛛 毒グモ コモリグモ

サソリ:同じくメディア露出が多いクモガタ類としての代表格。なおこちらには少ないものの人にも致死性のある毒を持つ種類がいる。

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