概要
紫色(DNAスキャンのモデルにした個体は灰色)の蜘蛛(タランチュラ)に変身するデストロン忍者兵。原題での名前はタランチュラス(Tarantulas)。
日本語版ではいつもウヒャウヒャ楽しげに笑っている事から剽軽者のようにも見えるが、本性は極めて陰険なマッドサイエンティストであり、「悪巧みにかけてはメガトロン以上」とも言われる(劇場版パンフより)。ラットル曰く「ビョーキ」、ブラックウィドー曰く「変態」、シルバーボルト曰く「女を平気で締め上げるカス野郎」、千葉トロンからは「笑い蜘蛛」「ボケナス蜘蛛」など、周囲からの評価も散々である。
基地から離れた場所に専用のラボを設けており、常に何かを企んでは単独行動をとっている。メガトロンに対して含むところがあるようで、前述のラボでダーツの的にされたメガトロンの写真が貼られているシーンがある。他方、一流の化学および科学技術を持っている事からメガトロンも彼を手放せず、互いに利用し利用されの関係を築いている。
蜘蛛の脚はロボットモードではラウンドマシンガンと呼ばれる武器となり、この他にもアンカーを射出するウェブランチャーを装備。蜘蛛らしく奇襲に長けており、ビーストモードで忍び寄って手製のウィルス兵器をお見舞いする事もしばしば(その被害の大半がイボンコ)。ウィルス兵器からメカの発明、クラッキングまで、専門分野は幅広いようだ。
一人称は「アタチ」で二人称は「チミ」、語尾は「〜ッス」。銃を撃ちまくる際や何かを企んで時は「ウヒャヒャヒャヒャ」と奇妙な笑い声を上げ、何かにつけてお便りを欲しがる。一度、ブラックウィドーから「タラちゃん」と呼ばれた事があるが、それに対しタランスは「タラちゃんって…フグ田さんじゃないんだから」とツッコんでいた。
ワスピーターほどではないが、彼も不死身とも言えるほどのしぶとさを誇り、黒焦げにされたりバラバラになったり爆破されたり(本人は手に貼り付けられた爆弾が直撃し、余波に巻き込まれた者が死亡していたにもかかわらず)、挙句の果てにはマグマの海に落とされても次の回では大抵復活している。逆に言えばしばしばヒドイ目に遭っている。
玩具
『ビーストウォーズ』企画段階初期で開発されており、この玩具のおかげで『ビーストウォーズ』の企画が通ったという逸話がある。アニメ版の顔は玩具のビーストマスクの形状を採用しており、このビーストマスクの内部には別造形の頭部が内蔵されている。ウェブアンカーからは糸で繋がれた斧型のアンカーを射出可能。海外版と国内版とでは配色が異なり、後者はアニメに近づけたものとなっている。
2007年にBotconで公開された短編アニメ『Theft of Golden Disk』に登場した際は蜘蛛ではなくセイバートロニアンビークルのバイクに変形し、『ギャラクシーフォース』のガスケットを元にタランスへ似せたような容姿をしている。
2015年にはハズブロトランスフォーマーコレクターズクラブにて『リヴィール・ザ・シールド』版ジャンクヒープのカラーリングを変更したタランチュラスの玩具が発売。日本で『トランスフォーマープライム』放送時に発売されたエアラクニッドに付属するアームズマイクロンのイダをリカラーし、エネルゴンクリスタルを削除したアラクノイドミニオンが2つ付属している。
2016年度のボットコンでは、『コンバイナーウォーズ』のルークの頭部を変更したものが発売。こちらは6輪装甲車に変形する。
メタルスタランス
『ビーストウォーズ』終盤でインフェルノに丸焼きにされたタランスだったが、自身の情報を抜き取ろうとしたブラックウィドーに対し逆に精神をインストールしてコントロール。ボディを回収させ『メタルス』第2話にて精神を再ダウンロードし、ボディを再起動させクォンタム・サージを浴びてメタルス化して復活を遂げる。新たにビークルモードを手に入れるなどパワーアップを果たした。
ビークルモードはバイク型となり車輪による高速移動可能で、その際に「パラリラパラリラ〜」と暴走族のヤンキーホーンのような声を出す。蜘蛛のイメージアップのために、次回予告では蜘蛛の益虫っぷりをアピールしていた。
寄生者を遠隔操作する蜘蛛型ロボットや歌を歌いたくなるウィルス、序盤でブラックウィドーを苦しめたサイバーリンクなど、メタルスでも数々の驚異的な発明で暗躍している。前作と同様、単独行動が多く、メガトロンとの協力、離反を繰り返した末に遂に公然とメガトロンに反旗を翻した。その正体は・・・
正体
ジャガー「紹介しよう、デストロン諜報隊員タランスだ」
タランス「タランスでーす!!ぐふふ~!」
メガトロン「何!?よりによってあのパラリラ野郎にずっと見張られていたとはな!!このメガトロン一生の不覚!」
その正体はデストロン評議会トリプティコン評議会から秘密警察の一員として送り込まれた密偵であり、背後ではユニクロンと繋がっている。同じくトリプティコン評議会の密偵であったジャガーの戦死後は、過去の地球で歴史の改変を目論むメガトロンに協力しているが実体はユニクロンの眷属(ユニクロンズ・スポーン)として全トランスフォーマーの抹殺という最終目的を持っており、そのために暗躍を続けた。
終盤ではエイリアン/ヴォックから送り込まれたタイガーファルコンを捕えて洗脳し、サイバトロンと戦わせた隙に両軍の先祖が休眠する船アークを破壊することでタイムパラドックスを起こそうとした(彼と評議会議員達はどちらでもないユニクロン起源の出自であるため、共に消滅したりしないとの事)。だが、時空を乱されるのを許さなかったエイリアンがタイガーファルコンから離脱し、反撃を受けて洗脳装置が暴走、足だけを残してあえなく爆死してしまった。これまでは毎度酷く爆散しても死んでいなかったこともあり、演じていた長島雄一ことチョーは、タランスが死んだことを後々聞かされるまで知らなかったという。
しかし数々の暗躍の裏で、初代デストロン達が使用していた戦艦ネメシスを修復していた事が判明。終盤では形勢逆転の切り札としてメガトロンに使用され、サイバトロンを未曽有の窮地に陥れる事となる。
本編では死を迎えたが、後年の玩具独自展開シリーズでは復活を遂げる展開もあった。
リミックスでは
OPの大合唱では何故か彼が仕切っており、エビチャーハンを探していたメガトロンが怒っている。しかし、肝心のリミックス本編ではほとんど出番がなく、本人もそのことを気にしていた。ものまね合戦ではヤカンの湯が沸く音という細かすぎるモノマネを披露。宇宙空間にまで届く熱演をした後に爆発した。
今木商事のコミカライズ版
愛情というものを愚かだと見下す性格で、タイガトロンにウィルスを植え付けて洗脳、彼の恋人であるエアラザーを殺害に追いやるも、彼女の反撃で致命傷を負った挙げ句タイガートロンを正気に戻されてしまう。直後に駆け付けたコンボイに助けを求めるも当然聞き入れてもらえるわけもなく粉々にされ死亡するが、ランページのスパークの影響を受けて、ゾンビ化して復活するもコンボイに倒された。
ちなみにトリプティコン評議会の設定はカットされた為、メガトロンに対しては一応は忠誠を誓っている様子。
アーススパーク
CV:アルフィー・アレン/吹:チョー
アーススパークでは原語版のタランチュラス名義で野良ディセプティコンの一人として登場する。
外見は概ねメタルスタランスそのものだが、全体的な体型がややスマートになっている他、プレダコンではなくあくまで「ディセプティコン」なため、生物的な手足は機械的なデザインになっている。またロボットモードでも背中の蜘蛛脚で移動する事が多い。
ビーストウォーズ出身組では初めてアーススパークに登場したキャラとなったが、G1世界を軸とした他作品に出演経験のある他の有名どころを差し置いて初登場した辺り、製作陣にはタランス推しがいるのだろうか?
所属こそディセプティコンだが、400万年間つかの間の平穏と戦争を繰り返している両軍の在り方に辟易している穏健派である。
マルト一家の家からほど近い位置にある墓地に地下基地を作り、G.H.O.S.T.の捜索から逃れるべく隠匿生活を送っているが、長年の隠匿生活に飽き飽きしているようで、自筆の小説を出版社に送ったり、人間の姿を投影する飛行プロジェクターを開発し、人間社会でより充実した生活を送ることを目論んでいる。
吹替はビーストウォーズシリーズから変わらずチョー氏が担当しており、一人称も「アタチ」、口調も「〜ッス」のままだが、
- 万年単位の隠匿生活のせいか、BWタランスをモチーフにしていると思えないほどローテンション
- アジトに迷い込んで自身の巣に引っかかったナイトシェードを(ビースト版なら嬉々として拷問しそうなところを)傷つけずに追い出そうとする
- 自分の発明を手伝いたいナイトシェードを助手として引き入れる
- プロトフォームのままでいることを受け入れていた彼に、ビークルモードを持つ意味合いを教えるなど、兄弟内で孤立しかけていた彼の理解者・師として受け入れる
- そもそも発明の内容や利用目的からして平和的
などなど、BWファンが「誰っだお前!?」と突っ込むレベルで真逆のキャラクター性である。
ナイトシェードを半ば助手としてプロジェクターを完成させるが、初めて誰かに優しくされて、助けてもらったタランチュラスは別れを惜しみ、ナイトシェードを引き留め、一緒に暮らさないかと持ち掛ける。 やっぱ誰っだお前!?
しかしナイトシェードは家族といることを選び、諦めきれずドローンでひそかに後を追うと、そこでG.H.O.S.T.のエージェントとして(勝手に)登録されていたマルト一家を発見。夜に襲撃を仕掛け夫婦を誘拐し、安全に逃げられるようトランスフォーマーに関する記憶を消去しようとする。
そこへナイトシェードが救出に現れ、お互いどうにか説得しようとするもやむなく交戦。
ビーストモードを持つスペック差と、完成させたプロジェクターによる撹乱によって三人を捕らえるが、フクロウの像をスキャンしたナイトシェードによって倒され、プロジェクターも壊れてしまう。
そこへG.H.O.S.T.の機動部隊が接近、慌てて隠れようとするマルト一家を見て自身の誤解を悟り、一家を逃がすための時間稼ぎに自らおとりとなった。
「頼む、これがやり直すチャンスなら、無駄にはしたくないんだ」
「オレかっこいっ!」
……マジで誰っだお前!?
あと、チョー氏が担当するTFということもあり、EDで歌った。
アメコミでは
IDWパブリッシングが出版しているコミックのミニシリーズ『Sins of The Wreckers』にて登場。ストーリー全体の黒幕として暗躍する。
前身はメソチュラスという名前の科学者だった。大戦中はオートボットのプロールと裏取引して数々の研究を行なっていたが、口封じの為に裏切られて開発中の異空間牢獄ノイズメイズに閉じ込められてしまう。ノイズメイズの影響で廃人となり、数世紀もの時間を経てようやく脱出したメソチュラスは、独自に研究を続けて蜘蛛の変形モードを会得、タランチュラスへと変貌を遂げる。
大戦後、タランスが開発したバイオディスガイズ技術でビースト戦士となったメイヘム部隊と結託してプロールを拉致。プロールと共に開発したある研究成果を手に入れるため、自身の研究成果の数々を見せつけた上でプロールへ再び手を組もうと持ちかけるが………?
ビースト本編で見せ付けたマッドサイエンティストっぷりは『Sins~』でも健在。それどころかプロールや研究成果への執着が相俟ってヤンデレ属性も加わり、人格破綻っぷりが加速している感すらある。
ロボットモードのデザインはメタルスタランスに近いのだが、変形するのは特大サイズの生のタランチュラであり、虫が苦手な人が悲鳴を上げて逃げ出しそうな容姿をしている。メソチュラスはビースト戦士ではないので車輌のビークルモードを持つと思われるが、頭部のデザインは無印ビーストに登場したタランスの玩具の頭(ただし劇中のものではなく、あくまで玩具版の形状)と似ている。
関連動画
結月ゆかりと学ぶトランスフォーマー タランス編
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