概要
『トランスフォーマー』シリーズのうち、基本的には『マイクロン伝説』、『スーパーリンク』、『ギャラクシーフォース』、すなわち『マイクロン三部作』にて登場した小型なロボットを指す。アメリカを始めとした英語圏ではミニコン(Minicons)と呼ばれている。
通常のトランスフォーマーと同じく、乗り物からロボットへ変形し、中~大型トランスフォーマーと合体して強大なパワーを引き出す事が出来る。彼らは言葉を話す事は出来ないが、代わりに電子音を発して相手とコミュニケーションを取っている。(ただし、ウィーリー等ごく一部のマイクロンは劇中で言葉を話しており、後年のシリーズやアメコミ等では普通に会話しているシーンも見られる)
また、これとは別に『Transformers: Classics』、『Transformers: Exodus』、『トランスフォーマープライム』『トランスフォーマーアドベンチャー』にも同名の種族が存在する。
サイズが小さく製造費も安く済んだ為、シリーズを通してアニメ未登場の玩具のみのキャラクターが多数存在し、玩具の販促キャンペーンの景品として無料配布される事もあった。
なお、pixivでイラストを検索する際、「マイクロン」だけで検索すると「マイクロン伝説」もヒットするため、マイクロンのみの作品を検索したい場合はマイナス検索やオプションの「タグ(完全一致)」を利用しておこう。また、マイクロンタグがない場合もあるので、マイクロンの個体名で探してみるといいかもしれない。
マイクロン伝説・スーパーリンク
400万年以上前に誕生し、地球へやってきた第3の種族のトランスフォーマーで、マイクロンパネルと呼ばれる板状の物体(メイン画像右上の物体)に変化し眠りについていた。彼らは中~大型トランスフォーマーと合体する事でエボリューション(パワーアップ)させる能力を持っており、サイバトロン・デストロン両軍のトランスフォーマーのパートナーを務めた(メイン画像)。この他にも三体一組のマイクロンチームが登場し、各々の三体が合体して武器等に変形する事が可能である(上画像)。その特異な能力で自軍を強化し宇宙征服に利用しようとするデストロンと彼らの自由意志を尊重し戦いに巻き込まれる境遇から解放しようとするサイバトロンによりマイクロンの争奪戦が展開された。
基本的にパネルから覚醒する際に大型トランスフォーマーから注がれたイメージをスキャンして得たビークルに変形する(覚醒後にスキャンした者は何故かインストール中頭を回転させていた)。精神的なリンクにより会話するのだが上述のように口から出るものは電子音状の言葉であり、大型トランスフォーマーとのコミュニケーションは難がある一方地球人の子供達は容易に意味を理解することが可能となった。
一部好戦的な者もいるものの、基本的には平和主義者であり、セイバートロン星を出てきたのも自分達の存在がトランスフォーマーの戦いを拡大させてしまっていたのを回避するためにデストロンから逃亡してきたからであった。デストロンの襲撃を受けながらもサイバトロンの全面協力でいくつもの銀河を超えた先の太陽系へとワープしたが宇宙船が月面に激突、半壊した船体の一部が地球に墜落したのに伴いパネルの大部分が地球中に射出されてしまいそのまま休眠する事となる(一部は古代の地球人が発見しその力の恩恵を受けて作り上げたオーパーツレベルの文明の痕跡が残されているが、同時に強力過ぎる力を持て余して戦争が引き起こされた事が原因で滅亡してしまったケースも存在したという。)。セイバートロン星側からも存在を忘れらそうな長い年月が流れたが400万年後地球人の少年ラッドとその一行が墜落した船体を発見したことで宇宙船のシステムが再起動しその存在を示す信号がセイバートロン星へと発信されたことでマイクロンの行方先が判明、捕獲に向かったデストロンと阻止しようとするサイバトロンとの戦いが地球へと移るのであった。
その正体はユニクロンの細胞から誕生した存在であり、サイバトロンとデストロンの争いを激化させその負の感情を利用したユニクロンの復活と両軍を共倒れさせる為の駒にされるべく生み出され、トランスフォーマーと合体するエボリューションも本来は合体した相手を乗っ取る為のものであった(依存作用を招くためか一度エボリューションした相手への帰属意識が芽生えるようになる。パートナー関係が成立することやデストロンにより目覚めさせられたマイクロンが協力的になるのはそのため)。恐らく電子言語も大型トランスフォーマーに意図を理解させられないためのもの。
ストーリーの終盤で並行世界に迷い込んだラッド達は、マイクロン達に利用された挙句ユニクロンに吸収されるという末路を辿ったトランスフォーマー達を目の当たりにするが、地球人の子供達が時空を超えて生まれて間もないマイクロン達と接触した事で彼らに意志と平和を愛する心が芽生え(子供らしい性格の者が多く地球人とのコミュニケーションが容易だったのは地球人の子供を基本として生まれた精神構造であることからきている)、ユニクロンの目論見とそのために生み出された自分達の宿命に逆らい始める歴史を辿ることとなる。地球へと旅立ったのもユニクロンからの逃亡に加えて自分達に心を与えてくれた種族達に将来出会うためという意味があったからであった。
復活していったマイクロン達は自分達の力や両軍の戦いに振り回されつつもサイバトロンが殆どを保護下に置かせる事に成功。黒幕の暗躍からユニクロンが復活する時が近づいたのを察知し宇宙が破滅するのを阻止するべくユニクロンと戦うためセイバートロン星への帰還を決意。そしてユニクロンの脅威を知り、サイバトロンや地球人達を案じたスタースクリームが命がけでメガトロンを説得したことで三種族は共闘の体勢が築かれる。
連合軍をものともしないユニクロンの隙を作るべく復活の鍵となった三つの武器を構成するマイクロン達を解放するためコンボイ達やラッド達は体内に突入。そこで待ち構えていたユニクロンの本体が自身の反逆者たるマイクロン達を自我を消失させる制裁を下し彼らを取り込もうとしたが諦めずマイクロン達に呼びかけたラッド達の言葉でマイクロンの意思は復活、再度の決別を果たした。
「僕達は、平和を愛するマイクロン。僕達に争いはいらない…ユニクロンはいらない!」
それに伴い吸収されていた武器を構成するマイクロン達も解放されてユニクロンは弱体化、激怒したユニクロンは一行を始末しようとしたがコンボイにより本体を破壊されたことで機能停止、一行が脱出した後どこかへと姿を消した。
ユニクロンとの戦いが終結した後は、一部を除く殆どの個体が新天地を求めて宇宙へと散らばり、サイバトロンの元に残留したエネルゴンセイバーとクリフジャンパーの3体1組で構成された2チームのマイクロン達が続編の『スーパーリンク』に登場した。彼らは主人公・キッカーの移動手段や武器として活躍したが、ストーリーが進むに連れて登場回数も次第に減っていった。
ギャラクシーフォース
惑星ギガロニア出身のトランスフォーマーの一種族として登場。巨大サイズのトランスフォーマー達と共存しており、都市を星中に建設するのを主な生業としてる彼らの助手として活動する者が多い。第45話「大きな星の小さな町」に出てきた博物館の解説によると、元々ギガロニアのトランスフォーマー達は進化に伴い身体サイズが大きくなる傾向にあったが、巨大化の弊害に直面した結果、もう一つの進化の形として小型トランスフォーマーであるマイクロンが誕生したという経緯となっている。
それを表すように彼らの主な役割は狭い場所での行動や大型タイプを操縦してフォローすることだという。
登場したマイクロンのうち、ホップ(CV:桑島法子/吹:ブライアン・ドラモンド)、ブリット、バンパー、ルーツ(下画像左の小さいTF)の4名は、かくれんぼ中に誤って脱出ポッドの中に入ったまま宇宙で遭難していたところをベクタープライムに助け出され、彼と行動を共にするようになった。ちなみに劇中で会話能力を持っているのはホップのみであり、彼は言葉を話せないマイクロン達の通訳に回る事もあった。
プライム
劇中のものは設定が大きく異なり、「最初の13人のプライム」の一人として、マイクロンの先祖となるマイクロナス・プライムの存在が語られている。本作では金属を貪り食う害虫的種族として「ミニコン」という生物も登場するが、マイクロンとは異なる生物である。
日本版の玩具には、劇中でトランスフォーマーが使用している武器に変形する、組み立て式のインジェクションキットとして「アームズマイクロン」が付属したほか、アニメでも本編終了後のミニコーナーとして「アームズマイクロン劇場」が放送された。
ただ日本版の玩具では海外版に付属していた劇中に近い形状の武器がアームズマイクロンに差し替えられることも少なくなく、ギミックの代わりに劇中の再現性が犠牲になっていることも多々あった。
- アームズマイクロン
トランスフォーマー達の武器がエネルゴンの影響で意思が宿ったとされる者達(劇中未登場のトランスフォーマーとセットになっている者や劇中では使用していない武器になる者も多い)でいわゆる彼らのマスターであるトランスフォーマー達はその事に気づいていないとされる(劇場では時々トランスフォーマー達が割り込んできて干渉する描写があるが)。
オートボット側はヒューマノイド型に変形し名前はマスターの名前からアルファベットを二つ引き抜いたのを組み合わせており(例:オプティマスプライム(Optimus Prime)→オーピー)、ディセプティコン側はモノアイのメカアニマルの姿をしてモチーフ動物の名前を捩った(例:ゴリラ→ゴラ、蟹→クラブ→グラ)名前を持つという特徴をしている。
アームズマイクロンは合体して「コンボウェポン」と呼ばれる武器になる事が可能なほか、それぞれ丸、六角形、台形の3種類の形状と多数の属性(色)を持つエネルゴンクリスタルを有しており、同じ属性で形状が違うクリスタルを3つ揃える形で合体したものはより強力な「スーパーコンボウェポン」と呼称され必ず固有の武装名が付く。(例:オーピー+ビーツー+アルエ=スターセイバー)
アドベンチャー
小型のトランスフォーマーの総称で、様々な種族(後述)が存在する。この作品におけるサイバトロン星の法律の一つとして、「マイクロンは単体で危険な現場に、無断では出てはいけない」というものがある。未成年者扱いに近いのだろうか。
- 警備兵タイプ
タイプ下半身が2輪の動輪となったオレンジのヒューマノイド型で、フィクシットなどが該当する。基本は修理用のスパナや溶接トーチが腕から展開するが、赤いビーム上のケーブルや様々な銃火器を内蔵している。ビークルモードではなく大型トランスフォーマーに対応した工具などに変形する。
- ディスク型
オートボット陣営のマイクロンで、ディスク(円盤または手裏剣)に変形する。ジェットストーム、スリップストリーム、アンダートーンが該当する。
基本は上官のオートボットの腕に装着し、戦闘時に射出される。劇中ではドリフト、ラチェット、サイドスワイプがパートナーを務めていた。
- ミサイル型
ディセプティコン陣営のマイクロンで、ミサイルに変形する。ダイブボム&エアレイザー、グラシウス&スウェルター、スライスダイス、トーポー、アクシオン&セオレムが該当する。
基本は上官のディセプティコンの腕や肩に装着(クレイジーボルトは口内に収納)し、戦闘時に射出される。劇中ではフラクチャー、レザーパウ、クレイジーボルト、シマコアがパートナーを務めていた。
- サイクロン族
ディセプティコン陣営のマイクロンで、自立走行可能な球体に変形する。ランサック&バックトラック、ブラジオン&クラウト、ハンマー&アンヴィル、バック&フォースなどが該当する。
かつてはディセプティコンの貴族に愛用されていた。
球体モードでもレーザー銃を展開することが出来、他のマイクロンよりも獰猛で強力であるが、性格は子供並みに幼稚という短所もある。
基本は上官のディセプティコンの腕や肩に装着し、戦闘時に射出される。劇中ではオーバーロード、ビスク、クイルファイアがパートナーをしていた。
- ハイパーマイクロン
第四期から登場するマイクロン。武器や防具に変形し、装備者を強化することができるほか、自由に操ることもできる。エアロボルト、バズストライク、ソートゥース、トリケラショット、バッシュブレイカー、ウインドストライク、ランスロンが該当する。
スタースクリーム達から逃れるために遺跡発掘に協力する事を条件にディセプティコンのスカベンジャーズに協力しているが、発掘のためには手段を選ばないスカベンジャーズ達に不満を抱いている。
- マイクロナス
CV:エイドリアン・パスダー/吹:井上和彦
最初の13人のプライムの一人である原初のマイクロン。海外設定では聖遺物「キメラストーン」を使い、他の12人と合体して力を与えたとされている。精神の世界でオプティマスに聖剣「プライムソード」を渡し、彼が復活するまでの間修行を行っていた。そしてかつての兄弟の一人メガトロナスの復活を感じ取ると、他のプライムたちと共にオプティマスに自分達のスパークを注ぎ、シュプリームオプティマスプライムとして復活させた。
『マイクロンの章』では、メガトロナスという脅威が去ったことでもう力は不要と考え、オプティマスに注いだ自分達のスパークの力を回収するも、結果としてオプティマスのパワーダウンを招いてしまった。
余談
- G1期にはミニボット、ヘッドマスター、ターゲットマスター、マイクロマスターという種族・カテゴリーがあり、原点・先祖のような存在である。
- 2008年8月に発売された缶コーヒー・BOSS(コンビニ販売分)におまけとして付属したトランスフォーマーのフィギュアの中に、クレーン車に変形するクレイドンと潜水艦に変形するシーウェイブのいずれかのマイクロンが封入されていた。これは元々海外で発売されていた『Transformers Cybertron』のジャイアントプラネット・ミニコンチーム3体セットのリカラー品なのだが、その中で飛行艇に変形するオーバーキャストのみがこのおまけとして含まれておらず、同セットの中で唯一日本未発売のマイクロンとなった。