エネルゴン
えねるごん
『Transformers Energon』についてはこちらの記事を参照。⇒トランスフォーマースーパーリンク
トランスフォーマーシリーズに登場するエネルギー体。扱いや形態はシリーズや回によって様々。
ちなみに日本語での発音こそ「エネルゴン」だが、英語圏ではEnergyを「エナジー」と発音するため、厳密には「エナジョン」が正しい発音となる。
『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』に準じた世界観においてはこれが母星セイバートロン星で枯渇したことがサイバトロンとデストロン間で勃発した戦争が惑星外まで波及する原因となっており、地球の豊富なエネルギーに目を付けたデストロンによって今度はそこが戦渦に巻き込まれることになる。
電力や鉱産資源、次世代エネルギーなど考え得る限りのエネルギー資源は概ねエネルゴンに変換することが可能で(現実とは根本的に性質が違うのだと思われるが地球で採掘したルビーを原料にした事もある)、サウンドウェーブが生成したエネルゴンキューブの器に鉱物を流し込んで圧縮したり、発電機に直挿しするなどの方法でエネルギーを投入することでエネルゴンに変換することが可能。
「エネルゴンクリスタル」と呼ばれる青い半透明の鉱石状の物質が宇宙各地の星の鉱脈に存在していて、土壌を潤す肥料のような効果がありその星に生息する植物、ひいてはそれを食する動物をも繁栄を促している。一定期間が経過すると自然に安定したエネルゴンキューブという安定した状態に変質するが、エネルゴンクリスタルはそうなる前の不安定な物体であり、上記の起爆性に加え、発するエネルギー量はキューブの状態よりもずっと多量でありトランスフォーマーの身体に短時間で吸収可能量を超える過負荷を与える(エネルギーが放出されづらくなるものでありキューブ状態なら危険性がなくなるわけではない)。また、彼らの生命の本体ともいえるスパークに物理的なダメージを与えもする。
古代の地球エネルゴアにはほぼ全域にわたって埋蔵されていたため、惑星規模でこのエネルギー波の範囲内”エネルゴン・フィールド”と化しており、トランスフォーマーがロボットモードを維持し続けられるのはよくて3分であり範囲内に留まるとオーバーロードを起こし回路が機能不全となり、なおも活動すると死に至る。エネルゴン波の除去装置も存在しているので、活動時間の延長は不可能ではないが、応急処置の範囲を出ない。なお、TF達が乗ってきた宇宙船には遮断装置が組み込まれているため、船内にいる限りロボットモードを維持できる。
また、エネルゴン波は電波の類を阻害するため周囲の分析にも弊害があり、無線に至っては当初半径100メートル以上の距離でしか機能しない有様であった(後に中継地点の電波塔が一部地域に設置されて緩和されている。この障害のためエネルゴアに墜落し遭難状態となったトランスフォーマー達を連れ帰るべくセイバートロン星から無人探査機が捜索に送られた事があったが衛星軌道上まで信号が届かず本星にエネルゴアに自分達がいる事を伝えられないまま帰還されてしまった)。一方、有機生命体はエネルギー波の影響を受けないので、エネルゴアに漂着したトランスフォーマー達は現地の生物の姿・性質を模したビーストモードを得て耐性を持てるようにした(既にダメージを負っていてもビーストモード状態なら進行が抑止可能となる)。他の乗組員であったプロトフォームは宇宙船が墜落する際に巻き添えにしない様エネルゴン波が届かない軌道上に射出されていたため、エネルゴアの生物をスキャンしていない状態であったがその影響から逃すことに成功している。また後に彼らとは別のトランスフォーマー達の船がこの星に墜落していた事が発覚、内部の船員達は機能停止・有機生命体をスキャンしていない状態ではあったが生存しており、この船にも上記の遮断装置が働いていたと思われる。
物語のラストでエネルゴアを実験場としていたエイリアンがトランスフォーマー達の戦いと星に設置していた施設の数々を破壊されたことで結果的に自分達の計画を妨害されたことにより、星を破棄することを決定。二つあった衛星の片方に偽装していた惑星破壊兵器を起動、エネルゴンを連鎖的に爆破させることで星を破壊し尽くそうとした。途中でコンボイが救命ポッドで(タランスがエネルゴアから脱出に使用しようとしてブラックウィドーが横取りしようとしたのを自分が操作できる様リプログラミングさせた)惑星破壊兵器に特攻させた事により破壊されエネルゴアは救われる(しかし前述のタランスの策を見抜いていたメガトロンが裏切った彼とエイリアンとの共倒れにすべくポッドに細工しておりギリギリでポッドから脱出する作戦であったがコンボイは閉じ込められた状態となって兵器と共に爆散してしまい一時的ではあったが死亡してしまった)。そして『ビーストウォーズメタルス』ではその余波で発生し惑星に降り注いだ”クォンタムサージ”の影響で殆どのクリスタルは消滅・キューブに変化したためにエネルギー波は消滅し、それに伴いロボットモードでの支障は殆ど起きなくなった。
更なる続編のリターンズではエネルゴンがしっかり管理されているセイバートロン星に舞台が移り、サイバトロンは新たな機械と有機要素が極限まで融合した新形態テクノオーガニックの肉体を獲得。エネルゴン・有機物問わず原則エネルギー補充が必要なくなり(むしろ純粋な有機物を摂取したら精神異常を引き起こしてしまっていた。後に金属要素と融合した植物が誕生しそちらは一応有害性を克服した様子)、敵側のヴィーコン自身が補給する描写はないため機械の燃料補給を行う程度で殆どストーリーに関わらなくなった。
なお、『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』第21話「二人のコンボイ」にも電気回路を持つものを破壊し、なおかつ爆発性のあるコロニアムクリスタルが登場しており、サウンドウェーブが送り込んだスカウトロボがアームで鉱石を掴んだ途端に爆発した他、この危険性に目を付けたメガトロンが偽のコンボイを造り上げサイバトロンを騙して鉱脈へとおびき寄せ、爆発に巻き込もうと企んでいた。
本作ではトランスフォーマーの活動に必須なエネルギーとしては描写されておらず、トランスフォーマーをパワーアップさせる要素として登場する。
星が正常に活動するために必要とされ生命の再生を促す鉱石。宇宙の各地に埋蔵されており、地球でも新たなエネルギー源として研究が進められるようになった。原石の色は黄色に近い。
有機生命体には無害だが、トランスフォーマーは接触するだけで損傷してしまい、まともにエネルギー波を浴びると肉体が崩壊してしまうために直接触れることができず、回収・利用にはエネルゴンを捕食し変化させられるテラーコン(そのテラーコンですら全身に浴びては受け止めきれないのかエネルゴン波にはたちまち破壊されてしまう)か、エネルゴンに完全に適応したトランスフォーマーのオムニコンの協力が必要となる。
エネルゴンを加工し、サイバトロンとデストロンそれぞれに合わせて(前者が赤・後者が黄緑色となる)調整したエネルゴンスターを装着すればエネルゴン波への耐性を得られると同時にエネルゴンを回復剤や武器の材料としても使えるようになり、オムニコンとテラーコンが有する武装「エネルゴンウェポン」を召喚することも可能となる。また、スパークに施された精神操作を弱める効果もある模様(完全にとなるとエネルゴンスターに使用される量では足りないが)。
サイバトロンはこのエネルゴンの有害性を利用したエネルゴン波を放出する「エネルゴングリッド」という防衛用の兵器や、液状に加工したエネルゴンを利用した治療カプセルも開発している。
プライマスはこのエネルギーで構成された身体を有しており、セイバートロン星に設置されたエネルゴングリッドのエネルギー源の供給源となっている他、星の地下には液体状の「スーパーエネルゴン」が存在し、浴びた者に強大な力を与えるが、真の存在意義は宇宙にエネルゴンの恵みをもたらすためであったようで(スペリオン曰くトランスフォーマーの未来への礎)、プライマスとユニクロンの創造の力と一体化しエネルゴンの太陽を作り出した。
実写映画シリーズでは第2作目の『トランスフォーマーリベンジ』から言及されるようになった。惑星に設置した精製マシン「スターハーベスター」を用いその星系の中枢となっている恒星を破壊し、そのエネルギーを吸収することで精製される(つまり核融合を起こしている水素エネルギーを変換した物質という事であり彼らの活動場所に放射能反応が残るのはこれが影響している可能性がある。とはいえ1作目では軌道上から地上に降下して数時間しか立っていない者達を対象に測定されたので宇宙空間で浴びていた放射線によるものとも解釈できる。実際地球に来て数百・数千年経過した者達が活動していたらしい場所は反応が微弱となっていたため存在の証明には至らなかったという。更に同じ家系に何代にも渡って共同生活をしていた者までいたので発生していたとしても人間に被爆を起こす程影響は与えない模様。後述のエネルゴン探知機が原子力発電所でも正しく反応していたので少なくとも純粋な水爆のエネルギーでもないらしい)とされており、地球型の惑星を有する恒星がその対象とされる。
適度に摂取できれば1万年以上新たに補給せずともトランスフォーマーはを維持できる模様(後述参照)だが、それでも長期に渡って摂取できないと肉体は錆びつくように老朽化し、部品が溢れ落ちていき記憶障害も生じるようになり、やがて死に至る。
エネルゴンはキューブ状に加工され、それに継ぎ足しされる形で保存される。それに加え膨大な知識を宿した彼らの種族の生命が誕生する源オールスパークとしてトランスフォーマー達に大切にされていた。
紀元前1万7千年前頃7人のプライム達が新たにエネルゴンを精製するため地球に訪れるも彼らには「一定の生命体が存在する場合精製を見送る」というルールがあり、地球はその条件を満たしていたために精製を断念したが、プライムの一人メガトロナス・プライムは地球人の存在価値を認めず精製を強行しようとする。
彼の兄弟のプライム達はそれを阻止しようとスターハーベスターの起動に必要なキーであるマトリクスを奪い取り、自らの命と引き換えに封印した。メガトロナスはマトリクスを手にするため探索者「シーカー」を送り込み、唯一自身の脅威となるプライムの血筋を消し去るためサイバトロン星の戦争を引き起こした結果として星は壊滅状態となり、オールスパークは宇宙に消えマシンの設置された紀元前1万年前の地球に流れ着いた。
行方を追って北極に墜落したメガトロンと共に地球人が発見・アメリカ政府が極秘に保管していたが、1作目でオートボット・ディセプティコンがその探索のために地球を訪れ争奪戦となり、最後はサムがメガトロンのスパークと融合させることで破壊された。しかしながらオールスパークに宿っていた知識は消滅しておらず一部がサムの脳を新たな器とし、その中にはマトリクスの手がかりが存在していた事で2作目における戦いが生じ、激戦の末マトリクスはオートボットが手中に収めるが、ザ・フォールンは強奪。それに伴いギザのピラミッドの内部に隠されていたスターハーベスターが起動されそうになるも、ジェットファイアの残骸と合体し復活を遂げたオプティマスによりスターハーベスターが破壊、ザ・フォールンも倒され、地球は救われた。
続編のダークサイドムーンではエネルゴンの反応を探知する装置がオートボットが共闘相手の地球人に提供しディセプティコン対策のため世界各地に設置されていた。
世界観のリブートが示唆されているビースト覚醒では宇宙各地の鉱脈に存在するタイプに変更されており、サイバトロン星にてトランスワープ・キーがエネルゴンが存在する星を見つけるために使われていたという。戦いの中敵の凶弾に倒れたバンブルビーを復活させるのもキーを探す目的の一つとなっていた。その捜索のため訪れたペルーの奥山にて生のエネルゴンを含んだ岩石が発見されるが加工されてない状態であり何らかの強力なエネルギーを受けて活性化させなければならず蘇生には至らないままであった。しかし終盤トランスワープ・キーが起動された事でそのエネルギー波が周囲の山々に広がった影響で活性化しバンブルビーは復活に成功した。
メガトロンが引き起こした戦争で減少し、母星の壊滅で脱出を余儀なくされた際に種族の存続のため、ひいては敵に利用されるのを防ぐために両軍によって宇宙各地にばら撒かれたもの。その中でも地球はかなりの量が埋蔵されており、トランスフォーマー達はこの青いクリスタル状の鉱石を液体状に加工して摂取しているが、これまでのシリーズとは違い、本作のトランスフォーマーはこれのみをエネルギーとして受けつけ、(生命の本体であるスパークが無い=絶命していても適切な処置を施せば稼働・生命反応を復活させることが可能)通常の電源では可動しない。基本的に経口摂取は出来ないらしく液状のエネルゴンを専用の器機に入れて体表に注射して補給している(イメージとしては地球人の輸液ポンプに似ている)他サイバトロン星ではエネルゴンの補給所の設備が存在しており地球のガソリンスタンドに似た感じらしい。
加えてテクノロジーの大半もこれをエネルギー源としておりそれ故か他シリーズに比べ、減少・補給のための探索活動の描写の頻度が多い。
地球人が加工したエネルギーを直接浴びると苦痛を受けるが後述のダークエネルゴンに浸食された場合は逆に除染効果をもたらしている。
保存状態では旧シリーズ同様キューブ状にされるが、本シリーズのエネルゴンは青いためキューブも青く光る。また、ディセプティコンの戦艦ネメシスなど長期保存を想定した環境では縦に4本のスリットが入った金属の容器で更にパッケージングされる。
それ以外にも以下のバリエーションが確認されている。
- ダークエネルゴン…ガイアユニクロンの血液が結晶化した紫色のエネルゴン。トランスフォーマーの死体や機械に投与すればテラーコンというゾンビ状態へと変化させる。生きたトランスフォーマーが摂取し適合すれば、強靭な生命力とテラーコンの制御能力を得られる。しかしユニクロンが源であることから逆にユニクロンから干渉を受け精神を乗っ取られる危険もある。
後にガイアユニクロンがプライムの世界の地球の核を構成している存在と発覚し長い休眠から目覚めかけた際数々の異常気象に加え火山からダークエネルゴンが噴出していた。
- 合成エネルゴン…オートボットがかつて開発した緑色のエネルゴン。地球に持ち込まれていた精製データから復元されて、強力な出力を発揮できるが入手できたデータが不完全だったのか摂取したトランスフォーマーを同時に好戦的・傲慢な性格に変えてしまう欠点があった。
- レッドエネルゴン…赤色の希少なエネルゴン。不安定で長持ちしないが超高純度のエネルギーを精製可能で数十秒ながらマッハの速度に突入して行動することが可能となる。
- 毒エネルゴン…暗緑色でトランスフォーマーにとってはエネルギー源…ではなく強力な毒性を有する。数十分触れるだけで生死を彷徨い、欠片が突き刺さっただけで致死レベルとなり、加工して拡散すれば何万人も殺害してしまえる。一命を取り止めてもトランスフォームにも弊害が出てリハビリが必要となる。ついでに言うと、凄まじく臭い。
※以下、トランスフォーマー/ONEのネタバレ注意※
トランスフォーマー/ONEでは、サイバトロン星から湧出するエネルギー資源として登場。
元々はプライマの有するマトリクスの力によってサイバトロン星から溢れたエネルギー資源で、G1シリーズ同様にトランスフォーマーにとっても必要不可欠な物質。
かつてのサイバトロン星では潤沢に湧き出ていたが、クインテッサ星人との戦争の最中トランスフォーマーを裏切ったセンチネルによってゼータプライムが殺害され、彼を正当な所有者と認めなかったマトリクスはどこかへと消えてしまう。
その結果、湧き出すエネルゴンは枯れ、地下鉱脈のみでしかエネルゴンが採取できなくなってしまい、オライオンパックスをはじめとした、起動前にトランスフォームコグを抜かれ労働ロボットという自認を刷り込まれたトランスフォーマーが作られるに至った。
採掘されたエネルゴンはマトリクスの探索と偽り地上に出ていたセンチネルによりクインテッサ星人へのみかじめ料として利用されており、限りある資源と化してしまったエネルゴンの要求ノルマを緩めないクインテッサ星人により労働ロボットはより過酷な搾取に喘ぐ悪循環に陥っている。
だが、オライオンパックスの勇気ある行動がプライム達に認められたことでマトリクスと共に新生し、サイバトロン星からエネルゴンが溢れかえったことで一件落着となった。