概要
スペルは「Sentinel Prime」。
作品によってその容姿や性格、作中の役割などは異なるが、多くはオプティマスプライム(コンボイ)が正義のトランスフォーマー・オートボットのプライム(指導者)を務めた時代よりも前、リーダーとしてマトリクスを担っていたプライムとして描かれている。
また、プライムの名を冠する者でありながら、強い差別意識を持っている、裏切り者であるなど司令官として問題のある人物である点はいずれの作品でも概ね共通している。
スタースクリームのような愛すべき馬鹿や憎めない悪役というポジションではなく、オートボットやセイバートロン星の腐敗を象徴するシリアスな悪役としての出番が多い(尤も、アニメイテッドの様にネタキャラ的に愛されることもあるが)。
キャラクターとして本格的に登場したのは『IDW』からだが、初出はマーベルコミック版である。
回想シーンにおいて、オプティマスにマトリクスを渡した名無しのトランスフォーマー(容姿はロディマスに似た黄色いロボット)が描かれた。その後、マトリクスの保持者としてセンチネルプライムの名前が登場し、回想シーンに登場した名無しのプライムが彼であるということになた。その後、オプティマスの前任者としていくつかのマイナーな出演を経て、IDWを皮切りに多くのメディアに出演した。
IDW
IDWパブリッシングにおけるG1世界を描いたアメコミ『メガトロン・オリジン』などに登場する、オプティマスの先々代のプライム。
元々は評議会直属の警備局長であったが、議員達と共謀して先代のノミナスプライムを暗殺し、プライムの座に就いた。以降は差別主義者・汚職議員ばかりの腐敗した評議会を率いて圧政を行い、サイバトロン星における格差社会などを生み出した(当時の部下だったプロール曰く、その政治方針は軍国主義的だったとのこと)。
しかし、そんなやり方がメガトロンとディセプティコン誕生のきっかけとなり、制圧しようと試みるも仲間の上院議員達は皆殺しにされ、彼自身もエイペックスアーマーを纏って戦った末にメガトロンの前に敗れ去った。
オルトモードは装甲車であり、エイペックスアーマーを装備した姿はもろに勇者ロボのグレート合体(アーマー側に人型形態と意思があるかは不明)を思わせる重装備と無駄な格好よさであったが、実戦経験は剣闘士として鉄火場をくぐりぬけて来たメガトロンにはるかに及ばなかったのが敗因だろう。
なお、同じ高官であったラットバットやプロテウスに比べるとはっきり言って人気はイマイチなのは、脳筋的思考が目立つ上に作中でのキャラの掘り下げが浅く美形でないからであろうか。
ちなみに
その後の歴史では、オートボット・ディセプティコン双方の視点からももっとも暴虐なプライム、かつメガトロンに立ち向かった英雄という矛盾した存在として名を残し、その遺体の頭部の行方は解らなくなっていた。
タイタンズリターン
ハズブロが2016年度にリリースした玩具シリーズ『タイタンズリターン』序章においてその傲岸かつ差別的な性格もそのままに復活。
失われていた頭部は、実は小型ロボット「タイタンマスター」のインフィニタスであったことが判明する。
更にその背後には最初の13人の一人で原初の合体戦士ネクサス・プライムがおり、彼が戦前作った階級社会は主であるネクサスの教えに従ったものだったと明かされた。
コミックでの意外な再登場だけでなく、玩具でも初のIDW版のデザイン準拠で発売を果たした。
アストロトレインへのリデコ前提のため、オルトモードはエイリアンシャトルとエイリアントレインであり、頭部が小型ロボットのインフィニタスに分離するギミックを有するが、ロボットモードはIDW版のデザインをよく再現したものとなっている。
アニメイテッド
CV:タウンゼンド・コールマン/吹:諏訪部順一
『アニメイテッド』ではオートボット軍のエリートガードの一人として登場。
オプティマスと同様にプライムの称号を持つ(本作において、プライムは最高司令官の称号ではなく、小さな部隊の指揮官である)。
日本語版ではオプティマスプライムとの混同を防ぐ為か、単にセンチネルと呼ばれる。
アゴアニメとして有名な『アニメイテッド』の面子の中でも抜きんでてアゴがでかい。
サイバトロンモードでは六輪車に変形し、地球のビークルをスキャンしたアースモードでは雪かき用ブレードを装備したモンスタートラック(大型除雪車)に変形する。
総司令官直属の部隊であるエリートガードに所属しており、オートボットのNo.2という非常に高い地位に就いている。
武器は槍と盾であり、バンブルビーの様な顔全体を覆うタイプのバトルマスクを展開する事もある。
性格は短気でプライドが高いが、たまに正論を言う事も。
また、夜中の街でディセプティコンを捜索中に猫が急に飛び出しただけで驚くなどやや臆病な一面もある(アニメイテッドのディセプティコンは数人で挑まないと勝てない強者ぞろいのため、センチネルが過剰に怯えるのもムリもないが)。
かつてはオプティマスの親友であり、女性型トランスフォーマー・エリータ1との3人でチームを組んでいたが、とある任務でエリータ1を失い、オプティオマスとは険悪な関係に。
また、この不幸な事件がきっかけで有機生命体への拭えない嫌悪感が芽生えてしまい、地球人などの有機生命体を蔑視するようにもなった。
その後エリータ1を探そうとしたがウルトラマグナスに止められたせいか、彼のことを嫌ってる節がある(クリフジャンパーにウルトラマグナスの不満を言ったり、終盤ショックウェーブに重傷を負わされても余り心配しなかったりなど)。ある意味、あの事件で今のセンチネルの人格ができあがったのかも知れない。
ただ、その一件に関してはオプティマスだけでなく自分にも非があることはハッキリと自覚しており、オプティマスも昔からの付き合いな上にそこら辺を重々承知している為か「本当はいいやつ」と評している。
その後しばらくは険悪な関係が続いたが、ピンチの際に助けてもらったのを契機に少しづづではあるが関係は改善されていき、物語終盤になってようやく和解できた。
総司令官であるウルトラマグナスが倒れた物語終盤では、No.2として彼に代わり司令官代理としてオートボット達を指揮する事になる。
なお、打ち切りとなったシーズン4ではウルトラマグナスが死去したことで正式に総司令官(マグナス)に就任する予定だったらしく、BotConなどで販売された最終回後を描いたコミックでは実際にマグナスとして活動するセンチネルが登場していた。
その性格からか、からかわれやすく不憫な目に遭う事も多い。
特に、部下であるジェットツインズからはルネチンセと呼ばれることもあった(ちなみにツインズの中の人達は前科持ち)。
とはいえ、シリーズ他作品の同名のキャラが(ほとんど描写のない古代のモブである初代を除き)自分の地位のためなら平気で他者を蹴落とすという、身も蓋もないことを言えば”オートボットどころかセイバートロンの癌”とすら言える悪辣なキャラクターばかりであることも鑑みると、嫌味なところもあるが他者を踏み台にするほどまでの外道ではなく、正論も交えているしそれなりに話は通じるし自分なりにオートボットやサイバトロン星のことを考えて行動している彼は相対的に見てまだましな方といえる。
首だけセンチネル
彼を語る上で外せないのがこれ。
日本語版第17話「ヘッドマスター、ふたたび!」(原語版第18話「Return of the Headmaster」)の回で起きた出来事である。
色々あって単身でヘッドマスターの元に乗り込んだセンチネルだが、ヘッドマスターの策にハマり…
こうなった
ヘッドマスターに身体をパクられてしまったのである。「何故、スパーク(魂)は胸にあるのに頭だけで動けるのか?」という疑問も湧くが、あの初代コンボイもバラバラに解体されてもなお生首だけで生きていたのだからきっと色々と大丈夫なのだ。
この姿を晒す直前にオプティマスへ「頼むから笑わないでくれ」と無線で話すやりとりがあったが、この姿を目の当たりにしたオプティマスは素晴らしいと思うほどに大爆笑した。
ちなみに日本語版ではいかにロボットと言えども流石に不謹慎かと思われたのか、この大爆笑するシーンはカットされているもののこの後もこの件を色々とイジられている。
前述のシーンも相まってか、センチネルはファンの間でネタ扱いされているのは言うまでもなく、pixivでも半数以上はネタイラストが占めている。
他にも前述の「ルネチンセ」がファン達の間であだ名として定着してしまったりアゴの立派さ繋がりでウラガンキンと絡まされたりするなんて事も…
本来優秀なエリートガードでNo.2であるにもかかわらず主人公のオプティマス達の活躍を奪わせないメタ的な事情の為かあまり活躍はさせてもらえない彼だが、過去にオプティマスとエリータ1を逃すために巨大クモの大群に立ち向かったことがあったりと意外にカッコいいシーンも存在している。
↑もしシーズン4が打ち切られなかったら、こんなシーンがあったのかも?
実写映画版
CV:レナード・ニモイ/吹:勝部演之
実写版3作目『ダークサイド・ムーン』にて登場した老齢のトランスフォーマー。
前作の『リベンジ』においても、キューブの影響で「ラリ」って講義中に暴走するシーンでサムが彼の名を口にしている。
眉を片側だけ上げた表情などにコネリーの要素が色濃く出ている。
声はマイケル・ベイの親戚かつ『ザ・ムービー』でガルバトロンを演じたレナード・ニモイ。
なお、声優の候補に、モデルとなったコネリーが挙がっていたという話が時折語られるが、これに関しては明確な情報ソースがなく、噂の域を出ない(TF wikiなどにもそのあたりの記述は皆無)。
実際、コネリーはこの時点で俳優業を引退している上に表舞台に一切姿を現さない隠居生活に入っていた。
オートボットの偉大なるリーダーであり、オプティマスの先代のプライムで、彼にとっての大切な師匠。
戦前を描いたコミック(日本未販売)ではオプティマス以外にメガトロンなども教育していた模様。
空港などで活躍するローゼンバウアー社製パンサー化学消防車に変形する。
武器は双刃刀「プライマックスブレード」と身の丈の半分ほどもある盾「エネルゴン(エナジョン)シールド」、そして宇宙錆(コズミックルスト)を濃縮した弾丸を放つ「腐食銃」。腐食銃からは通常の弾丸も発射できる他、消防車の放水ノズルも腕に装備している。
本作では、彼が発明し所持していたガジェットのスペースブリッジが物語の鍵となる。
サイバトロン星が戦禍に覆われた際にスペースブリッジを積み宇宙船アークで脱出。
しかし、スタースクリーム達の攻撃を受けたために宇宙船が大破し月面に不時着、船内で仮死状態となる。
宇宙船の存在を知ったオプティマスにより月から発見・救出され、前作『リベンジ』で登場したマトリクスの力により復活した。
サイバトロン星を壊滅させた戦争に心を痛めており、誰よりもサイバトロン星を愛し戦争終結を望んでいる。
地球の自然を目の当たりにして感動したり、マトリクスを献上してリーダーの地位も返上しようとしたオプティマスにそれを断り諭すなど、偉大なプライムに相応しい風格を見せた。
「自由とは全ての知性あるものに与えられた権利である」というオプティマスの芯に根付いている信念を教えたのもセンチネルである。
小説版では更に、人間の子供達が人種も思想信条も関係なく一緒に遊び大人達もそれを温かく見守っているのを見て、「人間がもっと潜在的な能力を発揮するには世界中に遊び場を作ればいいのではないか」とズレてはいるが人の善性を信じる温かみのある提案をしており、人格者ぶりを印象付けた。
※この下には映画のネタバレが含まれています。
「我が故郷サイバトロンを建て直すには、取引するしかなかったのだ!…メガトロンと」
「戦争の傷が浅いほど建て直せる、だがそのためにはディセプティコンと組むしかない…!」
しかしその実態は、故郷のサイバトロン星を復興させる為に(サイバトロン星を脱出する以前から)ディセプティコンと手を組んだ裏切り者。
事実、中盤でその本性を現してアイアンハイド(アメコミ・小説版ではツインズも)を腐食銃で撃ち抜いて殺害し逃亡した事からオートボットは見捨てたも同然の扱いをしている(メタ的なことを言えば、アイアンハイドが犠牲者に選ばれたのは、「実写TFの中でも屈指の人気を誇る彼が殺されることで、『こいつ(センチネル)は許さない』という感情を視聴者に植え付けよう」という製作者側の意図かと思われる)。
彼の目的は地球を植民地化し、サイバトロン星をスペースブリッジで地球の軌道上に転送して、地球人をサイバトロン星再建のための奴隷としてこき使う事だった(小説版ではこれは人間の協力者を裏切らせないための方便であり、実際はサイバトロン星をぶつけて地球を粉砕した上で丸ごと資源にするつもりだったと示唆されている)。
本来はメガトロンがオールスパークを入手して地球を制圧した末に行う予定だった様だが、肝心のオールスパークは失われ、センチネルは乗っていた宇宙船が前述の通りスタースクリームによって月に不時着(命令が行き届いていなかったのだろうか)。
そのためディセプティコンはマトリクスでセンチネルを蘇生するべく敢えてオートボットが月にあるアークへと向かうよう暗躍していた。
当初はメガトロンに対等に近い形で従っていたが、内心ではサイバトロン星壊滅の原因であるメガトロンを信頼していなかったのか、または元とはいえプライムとしての自尊心から生じた支配欲からかスペースブリッジの敷設作業中に突如下克上を宣言し、ディセプティコン兵への指示はセンチネル本人が下すようになる。
ディセプティコン達も二度も地球侵略に失敗し弱体化したメガトロンに見切りをつけたかのようにセンチネルにおとなしく従っており、メガトロンは戦闘にも参加せず瓦礫に座り込んでふてくされる始末であった。
戦闘能力は「プライム」の名に恥じぬもので、オートボットとNEST部隊が束になってもまともにダメージを与えることができなかった。
作中で度々無双シーンを見せていたオプティマスプライムですらも防戦一方に追い込み、更にはプライマックスブレードで右腕を切り落として敗北寸前にまで追いやるほど。ほんのわずかな隙を狙って叩き込まれたロケット弾をもろに食らうが、即座に変形して一時離脱、すぐに体勢を立て直すなど状況判断にも迷いがない。
終盤ではカーリーの挑発に奮い立ったメガトロンの会心の一撃を受け、戦闘不能に陥る。
その後オプティマスにトランスフォーマーの存続のためには裏切るしかなかったと許しを請うが、そのために仲間を裏切り多くの命を奪ったセンチネルに失望していたオプティマスに「私を裏切ったのではない。貴方は自分を裏切った」という言葉と共にメガトロンの持っていたフュージョンカノンによって胸部と頭部を撃ち抜かれて死亡したのだった(小説版では腐食銃で撃ち抜かれ、跡形もなく溶け去った)。
視聴者「やったやった!もう最高だもんね!センチネルの奴撃ち抜かれてやがってぇのざまぁみろ!HAHAHA!」
初期の予告公開時の通称は「黄色いオッサン」だったが、本編では赤くなっている。
ちなみにDVDソフトのメニュー画面では黄色のままとなっている。
ディセプティコンの壊滅とセンチネルの死亡により地球の危機は去ったが、オートボットのリーダーたるセンチネルが引き起こした災厄は人類にトランスフォーマーに対する不信感や憎悪を植え付ける事になり、この戦いの3年後を描いた4作目『ロストエイジ』では、皮肉にも人類の為に戦ったオートボット達は彼らによって狩られていく事に…
また、センチネルは人間のことを「サイバトロン星では神だった我らをマシン扱いしている」と嫌悪していたが、『ロストエイジ』では反トランスフォーマー組織「KSI」にマシン扱いされ、その亡骸を分解されるというあまりにも皮肉で無様な末路を迎えた。
因みに『最後の騎士王』では、メガトロンが新たに結託した創造主クインテッサによってサイバトロン星が地球に接近した際、月を通過した際にセンチネルが乗ってきたアークも無残に破壊されてしまった。
製作の舞台裏
美術監督のベン・プロクターはセンチネルのデザインについて「僕は日本のガンダムやエルガイムのような戦士ロボットを描きたいと思っていた。より伝統的で流線型のデザインを試しに手掛けてみたい、と言ったら驚いたことに採用された」と語っている(『メイキング・オブ・トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』より)。
実際センチネルのデザインは、機械部品がむき出しになっているそれまでのTFたちと比較すると、連続的な平面の構成が目立ち、頭部にはV字アンテナ、尖った肩飾り、半身を覆えるぐらいの巨大な盾など、日本のロボットアニメに登場するロボットの特徴が見られる。
ONE
CV:ジョン・ハム/吹:諏訪部順一
「友人諸君。アイアコンシティの諸君!エネルゴンを絶やさぬよう、全力で働く我らが救世主、労働者の諸君!君たちサイコー!」
前述のアニメテッドからスクリーンにて約14年ぶりの復活(※日本での放映時)。
見た目は実写映画版を想起させる胸部や翼のシルエットになっており、ボディカラーはメタリックブルーと銀色のアニメイテッド版を想起させるツートンカラー、「サイバトロン星における古い時代の指導者」という立ち位置はIDW版を彷彿とさせる設定になっている。
また武装においては、実写映画版のような双刃刀を装備している。
オートボット・ディセプティコンが結成される前のサイバトロン星の指導者であり、1人でクインテッサ星人に立ち向かった英雄として多くのトランスフォーマーからヒーローとして尊敬を集めている。
副官にエアラクニッドを従えているほか、過去作のビーコンを思わせる量産型兵士を引き連れて、失われたマトリクスを求めて地上へ探索に出かけているようだが……?
吹替は『アニメイテッド』でもセンチネルを演じていた諏訪部氏。
彼がセンチネルプライムを担当するのも実に14年ぶりであり、吹替情報が判明した際はファン達も「ルネチンセが帰ってきた!」と盛り上がっていた。
ただしアニメイテッドのセンチネルが体育会系の嫌味な脳筋であるなら、こちらは弁の立つ人気者といったキャラ付けであり、中の人は同じながらもキャラ付けは大幅に異なっている。
映画公開後の愛称は「ONE」とかけて「ワンチネル」。
※以下、劇中重大ネタバレ注意
「真実?生まれてすぐにコグを取ったことか?クインテッサ星人に貢いで贅沢三昧したことか?どうでもいい!」
「なぜなら真実は!私が、創る、もの!だからだ!!」
明かされたその素顔は、
クインテッサ星人に内通してサイバトロン星を売り渡した、売国奴を通り越した売星奴。
後述の動向も含めると、実写映画版センチネルの悪行が霞むほどの外道にして、その彼が真っ先に始末すると思われるほど救いようのないエゴイストであった。
元は一般のトランスフォーマーとほぼ変わらない、最初の13人の補佐官に過ぎなかったが、クインテッサ星人と共謀してプライム達を罠にかけ殲滅。かつて共にプライム達に仕えたスタースクリーム達親衛隊が離反したのも、この事実を知るが故に口封じを恐れての亡命であった。
この際に戦利品としてメガトロナス・プライムからトランスフォームコグを、ゼータ・プライムからマトリクスを奪ったが、マトリクスからは当然その非道ぶりを拒絶され消失されている。更にメガトロナスのコグからも抵抗されていたのか、劇中では武装形態にはなれどビークルモードには終ぞ変形しなかった(玩具版では戦闘機風のSFビークルに変形する。)。
以降は上記のような嘘のお題目を振りまいて自分を英雄視させつつ、協力の見返りとして傀儡政権の首脳に君臨し、プライムを僭称。そのためクインテッサ星人には頭が上がらないらしく、劇中で貢いだエネルゴンの量が足りない事を咎められていた。
サイバトロン星で労働者に採掘・精製させたエネルゴンの大半をクインテッサ星人に貢ぐのは日常茶飯事。そしてそのための労働力増員としてオライオンやD-16をはじめとした一部のトランスフォーマー達のトランスフォームコグを誕生直前に抜き取り、変形能力のない労働者ロボットに仕立てあげ、階級制度を意図的に作り出すという非人道的な所業も働いていた。
普段の労働者に対する態度も当然表向きのもの。内心では彼らを見下しており、アイアコンレースに無断で出場して負傷し、医務室で治療を受けていたオライオンとD-16に労いの言葉をかけ、2人を専用の医療カプセルで治療させる口約束を行ったかと思えば、彼らの退室後にダークウイングを向かわせて2人を地下50階の廃棄物処理場に追放、他の労働者達に『2人はレースの怪我で死んだ』とカバーストーリーを流した。これはオライオンとD-16の影響を受けた労働者達の生産量が5倍になったとセンチネルが話していた為、2人を死んだ事にして英雄扱いし、更に労働者の生産量を上げるという姑息な考えだったと思われる。
物語中盤、2人が追放された地下50階の廃棄物処理場で働いていたB-127が寂しさを紛らわす為にゴミを集めて作った人形の頭部からアルファトライオンの救援メッセージと座標データ付きのメモリーチップを発見。チップを頼りに地上に上がったオライオン、D-16、B-127、そして巻き込まれる形で同行する事になったエリータ1が座標地点に辿り着いた洞窟内で仮死状態から復活したアルファトライオンからクインテッサ星人との戦争の顛末についての真相を聞かれるも、日頃からセンチネルを尊敬していたオライオン達は信じる事が出来なかった。
しかし洞窟の近くで自分達がクインテッサ星人に跪き、廃棄物に偽装したエネルゴンを捧げている現場、そしてエアラクニッド率いる部隊に『作業員を3倍に増やせ。採掘目標まで誰も休ませるな』(原語版だと「シフトを3倍に増やせ(triple the time of every mining shift)」と言っており意味が大きく異なる)という命令を下す様をオライオン一行に目撃され、結果オライオンたちはアルファトライオンの話が事実であると受け入れ、更に日頃からセンチネルを崇めていたD-16は憧れの存在だったメガトロナスの死もあってか、強い憤りを抱くことに。
センチネル側も目撃されていたことには気づいていたようで、後にアイアコンシティのタワーの最上階にて、エアラクニッドに連行されたアルファトライオンに「洞窟の中にいたのは何者だ」と尋問する(この際アルファトライオンから『裏切り者』と非難されたが、「私は自分の未来を変えるチャンスを掴んだ」と一笑に付している)。しかしアルファトライオンは口を割るどころか「お前の負けだ」と罵ったので、逆上してこれを双刃刀で刺し殺し、エアラクニッドに「仲間を捕えろ」と命じる。
しばらくしてからエアラクニッドが連行してきたB-127とD-16、スタースクリームと一部の親衛隊員達を嘲笑い(この時スタースクリームはD-16との決闘に負けて発声回路が故障していた為、センチネルにそれを笑われている。)、D-16に「お前を殺す」と殺意を向けられても怯えるどころか胸に収まったメガトロナスのコグを見せびらかし、オライオンがD-16の左肩に貼ってくれたメガトロナスプライムのシールを剥がしてD-16の胸に貼り、その上からレーザー光線でその形になるよう焼き跡をつけるという非道を行う。その直後、オライオンが率いる労働者達とショックウェーブが率いる親衛隊のレジスタンスがセンチネルタワーを強襲、オライオンに「真実からは逃げられない!」と罪を糾弾されるが、上記の台詞を吐き捨てて開き直り、右手のグラップリングアームを兼ねたブラスターやミサイルを含めた重火力が中心の武装を展開して全方位攻撃を行い、オライオン達を圧倒し、D-16にトドメを刺そうとする。
だが、最後はオライオン達の活躍でエアラクニッドが倒され、彼女の記憶回路から抽出された悪事の記録がアイアコンシティ放送局の臨時放送にて公開された事で、その本性は民衆に知れ渡る事となった。激昂する民衆の声に動揺した隙をついて飛びかかってきたD-16共々タワーから落下、咄嗟に翼を展開してD-16を振り落とそうとするも、揉み合いに夢中で前方を見ていなかった事が仇となりシティの柱に激突、付近にある屋外ステージの屋根に墜落した事で翼が破損し、立ち上がれなくなるほどの重傷を負う。同じく負傷しながらも、自分を殺さんと怒りの形相で向かってくるD-16の前に完全に戦意を喪失し、彼に「共にサイバトロン星を導こう」と醜い命乞いをしながら這いずって逃げようとする。
一時は流血革命を良しとしなかったオライオンに庇われるが、友を奈落に落とし、完全に修羅と化したD-16によって救援に駆け付けた部下達を全て蹴散らされ、最後は大衆の目の前で上下真っ二つに引き裂かれて惨殺されるという因果応報の末路を遂げた。
そしてD-16はアルファトライオンから与えられたオニキス・プライムのコグを捨て、センチネルの死体からもぎ取ったメガトロナスのコグに換装。改名し、後戻りの出来ない所まで堕ちることとなる…。
結果としてその所業はオライオンとD-16の友情の決裂に止まらず、長年にわたり宇宙全土を巻き込むオートボットとディセプティコンの分裂・対立を招くことになった。
アニメイテッドではあくまで「イヤな奴」止まりでオートボットを裏切るような真似は最後までしなかったこと、
実写映画版では裏切り(と命乞い)こそしたもののその根底には「故郷の復興及びトランスフォーマーの存続」という大義があったことから、
ファンからも歴代センチネルの中で最も悪辣と評されている。
一応、(本人の言い分では)対クインテッサ戦争の早期終結よりも忠誠心や名誉を優先して負け戦を繰り返してなお戦いを長引かせたプライム達と評議会への失望があったようだが、それを加味してもあまりにも身勝手と言わざるを得ない。
余談
センチネルプライムの初登場が2010であるとされることもあるが、厳密に言えばこれは間違いである。2010に登場した、過去のマトリクス継承者である青とオレンジのロボットは名前が無く、脚本では単にU-Haul Robotと呼ばれていた。
その後、IDWやアニメイテッドでの活躍(?)によりセンチネルの知名度が上昇。
現実世界の2010年、時空の管理者ベクタープライムがファンからの質問に答えるAsk Vector Primeという企画にて、彼がセンチネルプライムであると確認した。要は後付けである。