概要
『トランスフォーマー』シリーズに登場するオートボット(サイバトロン)の戦士。各作品ごとに別人で微妙に設定が異なるものの、いずれも赤いボディ、頭部の突起(角)、血気盛んな性格が踏襲されている。ちなみにかつて使われた日本語名の「クリフ」は英語版においては時折愛称として使われることも。
以下の作品のほか、『スーパーリンク』にて、マイクロンのホッパー、チャージ、ランウェイが合体した姿もクリフジャンパーという名前だが、小型のトランスフォーマーという点以外の共通点は皆無で、コンセプト的には『マイクロン伝説』に登場したバンブルの後継と言える。
トランスフォーマーでの悲運の戦死者と言えば実写版において壮絶な最期を遂げたジャズ(マイスター副官)が印象的だが、「プライム」での悲惨な末路以降、その役割を何故かクリフが引き受けるようになっている。つまりトランスフォーマーにおける歩く死亡フラグポジションとなった。
G1(クリフ)
CV:ケイシー・ケイサム/吹き替え:喜多川拓郎
初代アニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の日本語版ではクリフという名称だった。正義の軍団サイバトロンに所属する戦闘員で、ポルシェ・924ターボに変形する。「デストロンの奴らを2、3人血祭りにあげてきます!」の台詞が有名。
※上記の台詞はコンボイに偵察の任務を下された際に発言。なお、原語版のまま翻訳すると「ディセプティコンの奴らのケツを蹴り飛ばしたいぜ」であり血祭り発言は日本版の翻訳を担当した平田勝茂が脚色した結果である。
とはいえ偵察任務なのに、命令を無視してメガトロンを暗殺しようとするなど、血の気が多く後先を考えない性格なのは確かなので、ある意味この脚色も間違っていないのではあるが。
深紅のボディや気性の荒さが似ているからか、時折アイアンハイドと同一視されることもあるが、アニメ本編や玩具では似た形状のバンブルと入れ替わっていた事もある。その言葉通り様々な武器を使いこなしてデストロンと戦おうとするが、そのサイズや直情的な性格が災いして返り討ちに遭う事も。上記のセリフをかました後も、同行したハウンド諸共コンドル相手に返り討ちにされてしまった。
また、早とちりから裏切ったと思い込んでしまったリジェに対し「抓るなり殴るなり覚悟はできてるぜ!」と身を投げ出すなど、素直に謝ったりすることができないらしく、ツンデレ属性も持ち合わせる。
日本語吹き替え版では1人の声優が複数のキャラクターの吹き替えを兼任している場合が多く、喜多川はクリフの他にもグリムロックなどを担当している。
『トランスフォーマーザ・ムービー』ではマイスターと共にムーンベース1で偵察任務中にユニクロンの襲撃に遭い、避難シャトルごと吸い込まれユニクロンの餌食となる所だったが、マイスター共々寸前で助けられ一命を取り留めた。
バンブルとの関係性
バンブルとは変形する車種が全く異なるのだが、玩具が同じミニボットサイズで変形パターンが全く同じなため、しばしば「単なる色替え」と勘違いされることが多いのだが、当時は赤いバンブルや黄色いクリフといったエラー品も発売されていたので無理もないことである。そのためかG1シリーズ以降も製造コストの削減も兼ねてかバンブルを赤くしただけという形で玩具が発売される事も多く、上記の赤いバンブルはマスターピース版で実際に商品化されている。
その後、アースライズシリーズでは念願の完全新規でアニメ版G1シリーズに準じたプロポーションで発売された(今回は逆にバンブルがクリフと一部パーツを共用したリデコ品となった)。
なお、ビークルモードに関してはこちらでは三菱・スタリオンに似た乗用車に変形する。
アニメイテッド
CV:デビッド・ケイ/吹:伊丸岡篤
『アニメイテッド』ではオートボットの情報部員という立ち位置だが、気の短かさは相変わらずの模様。バンブルビーやワスプと同じくコンパクトカーに変形する。アニメでの活躍の機会には恵まれなかったが人気は高く、劇中ではロングアーム長官に謎のスクラップの始末を頼まれたシーンが印象的である。
アニメ未登場のミラージュ(リジェ)と一緒のイラストが多いのは、G1の一件もさる事ながら、ムック本「Allspark Almanac」第2巻にてミラージの解説を彼が行っているため、関係がなくもない。
アーケードゲームの『ザ・シューティング/ザ・チェイス』ではカードをスキャンしなかった場合、彼のダメージverを使用する事になる。
プライム
CV:ドウェイン・ジョンソン、ビリー・ブラウン(43話)/吹:杉山紀彰
『プライム』に登場するオートボットのチーム・プライムに属する戦士。久々にバンブルビーとは異なるデザインとなり、ビークルモードも牛の角を模したボンネットマスコットが付いたマッスルカーである。
格闘戦に秀でるほか、両腕に3連エネルギーカノンを仕込んでおり火力も抜群。陽気でノリの軽い戦士といった性格付けがなされている。ヒマだからといってディセプティコンの出現を期待する一面もあり、例によって血の気が多い。登場話数は極端に少ないが、本作の方向性を視聴者の頭に刻み込む重要な役割を担っている。憎めない性格とアーシーとの関係などから、このプライム版も人気が高い。
オプティマスプライム達と共に地球で活動していたが、第1話で大量のディセプティコンビーコンと戦って大ダメージを負った末ディセプティコンに拉致され、スタースクリームの爪でスパークを貫かれ殺害される。さらにその亡骸は第2話でダークエネルゴンを注入されたテラーコンクリフジャンパーへと変貌した。最終的にはエネルゴン鉱山の爆発に巻き込まれ消滅する。
原語版でクリフジャンパーを演じるのはザ・ロックとして有名な元プロレスラーで現俳優のドウェイン・ジョンソン。全体的にマッシブさが強調されているのは演者を意識してのことと思われる。いわゆるシーズンプレミアのスペシャルゲストスターであり、出演は序盤のみに限られている。そのため、第43話の回想シーンではビリー・ブラウンが声を担当。
ドウェインの声はどちらかと言えば野太いが、日本版では少年・青年役の多い杉山紀彰が演じており、イメージがまるで異なる。
Fall of Cybertron
CV:ノーラン・ノース
日本未発売のゲーム『Fall of Cybertron』では、『トランスフォーマープライム』の前日談という設定を考慮してか同作寄りのビジュアルとなった。ただし、『トランスフォーマージェネレーションズ』(日本では『トランスフォーマーユナイテッド』ブランドで発売)にてハズブロより発売された玩具はバンブルビーの頭部を変更したのみに留まっている。
ゲーム中ではジャズと行動を共にし、消息を絶ったグリムロック達の捜索に向かう。性格設定はどちらかと言えば初代後半寄り。
シャッタード・グラス
初代アニメ同様オートボットのミニボット部隊の一員。突然、善悪の反転した『シャッタード・グラス』の世界へと迷い込み、直後にオートボットと接触するも、オプティマス・プライムに攻撃され重傷を負ったところをメガトロンに救われる。それ以降ディセプティコンと共に行動している。G1世界とシャッタード・グラス世界を繋ぐ唯一の接点とも言えるキャラクターである。
本作のディセプティコンは卑劣漢や野心家の多い本来の世界のディセプティコンとは対照的に正義感の強い者や温厚な人々が集まっているので、そんな彼の粗暴な行動と言動に戸惑う事が多いが、クリフジャンパーの方もG1世界との凄まじ過ぎるギャップに難儀している。また、本シリーズでは女性が苦手という意外な一面が明かされている。
なお、今回のクリフジャンパーおよびG1世界は、厳密には初代アニメ版と同一の存在ではなく、マーベルコミックス版から派生した世界「クラシックス」(変形!ヘンケイ!の海外版)の住人である。
QTF
CV:蒼井翔太
『キュートランスフォーマー』第二期『さらなる人気者への道』の第10話に登場。ダイハツ・コペン XPLAYに変形するヒャッハー!
デザインは第一期の終盤で登場したバンブルを赤くしたもので、番組中でも「バンブルの色違いでお馴染み」とはっきり言われてしまったヒャッハー!(上記の通りで間違いなのだが…)
血の気が多いというよりも、正義の味方らしからぬ躁の入ったテンションの高い性格をしており、語尾に時折「ヒャッハー!」を挟んでくるぜ、ヒャッハー!特にヒャッハー時には舌がはみだしており、G1とは違う方向で危ういキャラになっているヒャッハー!
過去作品のクリフ達とはかなり印象が異なるが、これは一期に登場したランボルからの差別化と、演じる蒼井のイメージにないキャラクターにしたかったとのこと。(監督のツイート)
とはいえG1で印象的だった血祭り発言も冒頭で述べており、アメコミなども含めて考えると「正義の味方とは思えないやんちゃな性格」という点においては過去作品のクリフにも通じるものがある。
だが、そんな彼も意外にアドリブには弱く、「こんな続篇は失敗する」というテーマから始まったアドリブパートで話題を振られると内容が主旨から外れてしまい、バンブルビーから「続編、どこいった!?」とツッコまれてしまった。更に「ユニクロン三部作」における制作側の迷走をネタにした回では、回のネタが迷走するという椿事となった(監督のツイート)。
実写映画版
CV: アンドリュー・モルガド/吹き替え:中村和正
実写映画第6作目『バンブルビー』にて登場。サイバトロン星で戦っていた他のオートボット達と同じくデザインはG1シリーズを強く意識したものとなっているが、最後までビークルモードには変形しなかった。
サイバトロン星を発った後に土星の衛星にてディセプティコンのシャッターとドロップキックに捕まり、他の惑星へと散った仲間達の居場所を吐かせるために激しい拷問を受け続けるが、「私はクリフジャンパー」と答えるのみで頑なに口を割らなかった。だが、最悪のタイミングでバンブルビーからの通信が入ってしまい、利用価値がなくなったことで用済みとなり、ドロップキックにボディを真っ二つに両断され死亡した。
ちなみに1作目から5作目(最後の騎士王)までは映画に全く登場せず、バンブルビーのリカラー品として玩具が細々と発売されたに留まっていたが、2020年には「スタジオシリーズ」にて劇中のデザインを再現したクリフジャンパーが発売された。劇中では披露しなかったビークルモードへの変形も可能で、流線型のサイバトロンビークルに変形する。
ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー
CV:マイルズ・ルナ
NETFLIXで配信されているオリジナルアニメ『ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』ではこれまで同様、バンブルビーの同型機として登場。赤いサイバトロンビークルに変形する。
前哨基地にて、基地がショックウェーブの放ったウイルスに感染したことを報告したが、そのまま通信が途絶し行方不明となってしまった。