概要
『トランスフォーマー』シリーズの実写映画3作目で、第一部の完結編。原題は『Dark of the Moon』。アポロ計画陰謀論を元に、地球全体を巻き込むシリーズ最大級のスケールで物語が展開された。
あらすじ
金属生命体トランスフォーマーの住む惑星サイバトロンにて善の軍団オートボットと悪の軍団ディセプティコンの戦争が勃発、数で勝るディセプティコンの前にオートボットは敗北寸前まで追い詰められ、サイバトロンは荒廃していった。戦争の終盤、一隻のオートボットの宇宙船がサイバトロンを脱出しようと飛び立ったが、その船もまたディセプティコンの攻撃により大破、宇宙の彼方に消えた。
時は流れ1969年、アポロ11号による人類初の月面到達が達成された。しかし、通信の途絶えた21分間にはもう一つの計画が隠されていた。それは月の裏側(ダークサイド)に墜落した謎の宇宙船の調査であった。調査の結果、それがエイリアンのものであること、そのエイリアンが金属でできた生命体であることは証明されたが、真実は闇に葬り去られた。
それから約40年後、旧ソ連がサイバトロン星の事柄に関わっていたとされる情報を入手したオートボットとNESTはチェルノブイリで調査を行い謎の物体を発見するが、直後にディセプティコンのショックウェーブとドリラーの襲撃に遭う。ショックウェーブが奪おうとしたものが、かつてサイバトロンからの脱出に失敗したはずの宇宙船アークのエンジンであると気づいたオプティマスは月にアークと伝説の戦士センチネルプライムが眠っている事を知り、自ら月へ赴いてアークからセンチネルを救出した。
一方、オートボット達と2度も地球を守り抜いたサム・ウィトウィッキーは新しいガールフレンドのカーリー・スペンサーと同居しながらワシントンで暮らしていた。マトリクスを巡る戦いでFBIに指名手配されたことが影響し、大学卒業後も就職先が決まらずに鬱屈した日々を送っていたものの、カーリーの上司ディラン・グルードの推薦で宇宙開発事業に携わるアキュレッタ・システムズ社に資料運搬係として入社が決まった。しかし、同僚のジェリー・ワンがアメリカの宇宙開発計画中止の事実に関わる情報をサムに託した直後にディセプティコンのレーザービークに殺され、サム自身もまたディセプティコンに襲われる羽目になる。
小説版ラスト
ネタバレ注意!
メガトロンはセンチネルに不意打ちをすると、「三つ巴の戦いだ。脱落するのは一人だ!」と告げるとオプティマスに手を差し伸べて共闘する。死闘の末、オプティマスは一瞬の隙を突いて腐食銃を奪ってセンチネルを撃ち抜き、遂にセンチネルを倒す。そしてサイバトロン星が地球の空から消えると、メガトロンは「戦いに辟易した」と講和を望み、今までのように破壊と略奪ではなく創造を試みてサイバトロンを復興したいと告げる。当初オプティマスは信用しなかったものの、メガトロンの「信じられないのならばその腐食銃で俺を殺せ。何をされても構わん。」という発言から本心だと悟り、平和と旧友が真に変身(トランスフォーム)することを望み、講和を受け入れた。こうしてメガトロンは生き残ったディセプティコン達と共に地球を去り、オプティマスは地球との絆を再確認するのであった。
登場人物
人間
主人公。大学を卒業し就活の為にワシントンに出てきているが、過去にFBIにマークされていたという経歴を警戒され未だ就職できておらず、カーリーの部屋に住まわせてもらう形で同棲している。親友であり愛車であるビーがNESTの任務で留守がちなので、代車として中古のダットサンを新たに購入している。
なお、前作までの恋人ミカエラとは失恋し、別れてしまった。
演:ロージー・ハンティントン=ホワイトリー/吹:小林沙苗
本作のヒロインで、サムの新しい恋人。かつてイギリスの外交秘書だったが、ホワイトハウスにて勲章を受け取ったサムと知り合い付き合い始めた。スペンサー家は軍人の家系だが、彼女自体は実兄が殉職した経緯から争いごとを好まず、オートボットの為に危険に身を投じようとするサムを心配している。
ディランに人質に取られたものの、シカゴでサムとバンブルビーに救出される。その後、自身もサム達に協力したいという思いから、センチネルが支配者になるかもしれない状況に満足しかけていたメガトロンを、外交秘書としての経験を活かして挑発して奮い立たせ、オートボットと人類の勝利に貢献した。かつてのG1シリーズの同名のヒロインがモデル。
演:ジョン・タトゥーロ/吹:チョー
元セクター7のエージェントでサムの盟友。これまでの経験を綴った自叙伝を出し、その莫大な印税でレストランを経営する富豪へとのし上がったが、それまでに生業としていたエイリアン調査やサイト運営などからは撤退していた。サムから今回の暗躍を聞かされるとほんの少し迷うも、結局今回も全面的に彼に協力する。
小説版では、ディセプティコン達が人間をスパイとして利用するという、セクター7時代から懸念していた事実に驚愕していた。その後、ドレッズの襲撃でクロウバーに道路に叩き付けられて負傷し車椅子での生活を余儀なくされるも、シカゴに向かったサム達を後方から支援した。
執事のダッチ(演:アラン・テュディック 吹:青山穣)は元NSA(アメリカ国家安全保障局)局員という過去を持ち、特技のハッキング技術を駆使してサム達を助けた。
演:ジョシュ・デュアメル/吹:矢崎文也
NESTの指揮官で階級は大佐。 現場指揮の他トランスフォーマーに関する情報を提供してくる人物との接触も行う。ディセプティコンに占領されたシカゴへの降下作戦を決行する。
演:タイリース・ギブソン/吹:山野井仁
元NESTの現場副官。現在は除隊してNASAの職員としてレッカーズの仲介役をしている。オートボット達がスタースクリームによって排除されたことからカーリー救出に向かうサムに協力し、かつてのNESTの同僚達を集めてディセプティコンによって封鎖されたシカゴへ向かう。
- シャーロット・メアリング
演:フランシス・マクドーマンド/吹:定岡小百合
アメリカ合衆国国家情報長官。壮年で堅物、前作のギャロウェイに並ぶ高圧的な保守主義者だが、必ずしもオートボットを敵視しているというわけではなく、自分の判断に誤りがあった際には素直に認めて謝罪する面もあり、人としても政治家としてもギャロウェイより優秀。
若い頃シモンズとは恋愛関係にあったが、今でもお互い両想いのようなところがある。また、「マダム」と呼ばれることを嫌っている。
- ジェリー・ワン
演:ケン・チョン/吹:丸山壮史
アキュレッタシステムズの副社長兼開発責任者。かつてNASAの技術開発部門に所属していたが、その際にディセプティコンに脅されて人工衛星のカメラとプログラムに細工をし、彼等の月での活動を地球に悟られないよう工作していた。だが入社してきたサムに希望を託し、やや強引にこの裏工作の情報を提供した。(この時あまりにも強引すぎてサムからはあっち系のポルノ男優扱いされていた)
その後、用済みとしてレーザービークに自殺を強要され、ややコミカルに反撃を試みるもビルから突き落とされ死亡した。
- ディラン・グールド
演:パトリック・デンプシー/吹:根本泰彦
大手会計会社の社長でカーリーの上司。父の代から秘密裏にディセプティコンと結託し、数々の裏工作を行っていた。サムの就活の推薦状を送ったりしたのも、オートボットの協力者である彼を監視下に置く為だった。
小説版では、劇中よりもやや小悪党な面が目立っていたが、内心では人類の未来が平和になることを望んでいるような趣旨の発言をしていた。
終盤、サムとの取っ組み合いの末にスペースブリッジを再起動させるも、サムに殴られてその「柱」にぶつかり感電死した。
オートボット
引き続きN.E.S.T.としての任務に従事している他、対ディセプティコンだけでなく人類の平和を乱しかねない勢力への攻撃も行うようになった。ディセプティコンの陰謀と面倒事を避けたいアメリカ政府により、窮地に陥ることになる。
尚前作に登場していて今回いないメンバーは、前日譚コミックスによるとほとんどがディセプティコンとの戦いで戦死したとされている。
各部を変形させて武装を展開することで、武装車両ではない者でもビークルモードで射撃戦が行えるようになった(玩具ではステルスフォースと呼称)。
ディセプティコン
リーダーのメガトロンは落ち延びており損傷の修復もままならないような状態だが、宇宙に散っていた同胞をかき集めて前作以上の大軍勢でシカゴに侵攻、大虐殺を繰り広げる。
- メガトロン
- スタースクリーム
- ショックウェーブ
- ドリラー
- サウンドウェーブ
- レーザービーク
- バリケード
- ドレッズ(クロウバー、クランクケース、ハチェット)
- ロングハウル(イゴール)
- ブロウル
- サイドウェイズ
- スクラッパー
- デフコン
- ポリスカーディセプティコン
リンカーン記念館付近で開かれたスペースブリッジにて出現したプロトフォームがパトカーをスキャンしたもの。
- ローダー
スペースブリッジの柱を輸送した輸送車に変形するディセプティコン。ロボットモードに変形はしない。
- ピックアップディセプティコン
シカゴ封鎖時に住民を大虐殺したシボレーピックアップトラックに変形するディセプティコン。
- スカルペル
前作に登場した昆虫型ディセプティコンの同型。メガトロンの頭部に群がっていた。
関連イラスト
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予告編