「黙れ!貴様に何がわかる!俺に逆らうな!俺は常に正しい!俺が間違うことはない!」
「どうだ、これが俺の遊び心だ!」
演:加藤慶祐
変身する仮面ライダー
その解説…神に返しなさい!
『仮面ライダーキバ』の登場人物の一人。
「素晴らしき青空の会」に所属し、ファンガイアに限らず世界中の犯罪者を追って懸賞金を稼ぐバウンティ・ハンター。22歳。現代編で仮面ライダーイクサに変身する。
紅渡らからは「名護さん」(名護自身も「753」の数字表記を用いる)、麻生恵らからは「名護くん」と呼ばれる。
語尾に「~なさい」を付けるのが口癖。変身時の決め台詞は「その命、神に返しなさい!」。だが機嫌が悪い時は「お前の命、神に返せ!」、目の敵にしていたキバと相対したときには「その命、俺がもらう!」と口上も変化する。
初変身こそ第9話だが、第2話で存在が語られ第3話で登場と、2号ライダーにしては登場は早い方。
本人曰く修行の一環としてバウンティ・ハンターを行っているらしく、得た賞金は全額恵まれない子供たちに寄付している。そのかわりに捕まえた賞金首の衣服から必ずボタンをむしり取って保存するという癖を持っている。
生身のまま乗用車を足で蹴って止めたり、素手の攻撃でファンガイアをスッ転がしたり、変身してないのに紅音也が変身した仮面ライダーイクサ セーブモードにしがみついて攻撃を妨害したり、ライジングイクサを短期間で使いこなしたり、劇場版では舞台のジャニーズよろしく華麗なジャンプを見せたりと身体能力はかなり高い。また、キャッスルドランの擬態を見破るなどの超感覚もある(単に脚本家及び俳優が忘れていただけとか言わない)。また、記憶力もべらぼうに高い方で、焼肉屋で健吾の注文を一言一句間違えずに暗唱して見せた事も。(「タン塩カルビハラミ特上骨付きカルビレバ刺しセンマイ刺し特上ハツ、ビビンバクッパわかめサラダ激辛キムチサンチュでサンキューや!」と言っている。)
しかし生真面目すぎる性格と、政治家の息子という裕福な家庭生まれ故に酒や音楽などの娯楽物を毛嫌いしており、やや世間の常識からずれた行動をすることもあった。設定がパラレルな劇場版『魔界城の王』ではラブレターを送りまくったり鉄オタだったりした。またファッションセンスも良くはあるが、アウター・トップスはワイシャツ+ドレス系アウター(季節によってテーラードジャケットかジレの2択)、ボトムスはカジュアルなインディゴジーンズ、足元は革靴というパターンを(スーツや後述のTシャツ姿といった特別なシチュエーションを除いて)年中無休で固定しており、杓子定規な性格が反映されていると言える。
結婚前の男女が同棲するのは受け入れられ難いという恋愛観を持っている他、まだ若い為、おっさん呼ばわりはあまり好きではない模様。
来歴爆現!
一見すると強く高潔な人物だが、その実態は「弱者の上に立って、気持ちよくなりたいだけ」(by恵)の非常に慇懃無礼で、自分より弱いと見た者は露骨に見下す傲慢な性格。当然、倒そうとするファンガイア側の事情など斟酌するはずもなく、美しい音楽で人間を襲う衝動を堪えていたファンガイアの音楽プレイヤーをわざわざ踏みつけて壊す、愛する人を失って人を襲う気力など無くしているはずのファンガイアに襲いかかるなど余計なことも結構していた。表向きの人間性に魅かれて「名護さんは最高です!」と言いつつ師匠と慕った渡も、本性がわかってくるにつれ距離を置くことがあった。
草加雅人のように陰湿な性格ではないが、他者の価値観を決して認めず、己の正義と力こそが絶対と信じ、それを否定されると逆上する。その正義観も非常に主観的であり、どんな些細な間違いであろうと容赦なく追及する。そのことから、過去に議員だった父を汚職(実際は大したことのない書類上のミス)として告発し自殺に追い込んだ過去があり、この影響で麻生恵からは偽善者と評され嫌われている。その際父と衝突し、もみ合った時にボタンが千切れたことから、上述のボタン収集癖を持つようになった。
当初は、過去のキバの脅威とその過剰な正義感から、キバに対し激しい敵対心を持っていた。糸矢僚/スパイダーファンガイアを利用したり、卑怯な手を使っても倒そうとし、キバを川に落とし倒した(と思った)際には、「勝った……俺はキバに勝った!……勝ったんだーーー!!」と大喜びで絶叫し、その後「ファンガイアを殲滅して組織の長として世界を管理する」などと、とんでもないことを言い出す始末だったが、キバとの再戦で惨敗し深いショックを受けた以降は、
- 強盗犯のヤオイ・マサタカ(人間)をフルボッコにして、警官に取り押さえられ「放せ! 俺を知らないのか! 俺は名護だぞ! 放せ!」と叫びつつ逮捕される(嶋の「これで最後にしてくれよな」という台詞を聞く限り、警察沙汰は一度や二度ではないらしい)。
- 連続強盗犯・坂口(シースターファンガイアの人間態)をフルボッコして再び警察沙汰になり「放せ! 俺はバウンティハンターの名護啓介だ! ボタン! 俺のボタン!」とまたも警官に取り押さえられながら絶叫、ボタンに対する異様な執着心を見せる。
- 逮捕された坂口をボタン目的のためだけに、わざわざ変装して警察に潜り込み、警官隊を殴り倒して脱走させる。ちなみにここまですると、少なくとも現実世界の法律に即する限りは暴行罪と器物損壊罪及び窃盗罪(要するにいつもの753)に加えて逃走援助罪、公務執行妨害罪、公記号偽造及び不正使用の罪が追加されるので実刑間違いなしである。
- しかもその後坂口に殴り倒されて逃げられたにもかかわらず追おうともせず、ボタンGETして大笑い。完全に本末転倒。(ちなみにこの後坂口はキバに倒された)
- 嶋にイクサを奪われた自身の弱さを指摘され号泣、弱さを認めバージョンアップしたイクサを返してもらうが裏でしたり顔で笑う。
など、完全に斜め上の路線を突っ走る暴走気味のキャラになっていた。
しかし、素晴らしき青空の会が存続の危機に陥った際、次狼によって1986年に連れて行かれ、そこで邂逅した紅音也との出会いが彼を大きく変える事になる。
「本気で殴り合えば、多分お前のほうが強い。だがお前は俺には勝てない。なーんでだ?お前には遊び心が無い。心の余裕が無い。張り詰めた糸はすぐ切れる、そういうことだ」(by音也)
音也から受けたこの指摘と、その後の過去の世界での経験が功を奏したのか、現代に帰還した後はそれまでの偏屈ぶりが嘘の様に消え、渡の家の風呂に勝手に入るという音也を思わせるコミカルな図々しさ(本人曰く「遊び心」)を見せたり、ライオンファンガイアへのトドメを恵に譲る、自分からイクサの装着権を奪った襟立健吾を指導しようとするなど、他者にも目を向けるようになっていくといった良くも悪くもノリが良く、温厚な性格に変貌した。セリフの節々から世界の平和を守りたいという気持ちがより一層強まったようだ。
またこの時からコミカルな面が目立ちだし、
- おみくじで凶や大凶しか出ない事を気にし過ぎる
- 体脂肪率を気にし、その事を恵に指摘されると『世界平和』の話題にすり替えようとする。
- 盗んだイクサナックルに画鋲を仕込み、恵から「せこい…」と呆れられる(当然、健吾にすぐバレてボコボコにされ、顔に画鋲が刺さった)
- 753と書かれたTシャツを弟子の健吾に着せようとする。
- ちなみにこのTシャツはサイン入りで視聴者にプレゼントされた。その際にTシャツを着て自分の弟子になるよう勧めるという奇行を見せる。
- 再生ファンガイアが暴れ回っている所にサイレンを鳴らしながら台車を押して登場し、マイクやカンペで健吾イクサに指示を送る(当然無視され、張り倒される)
など、シリアスなキバのストーリー内でギャグメーカーとしての側面を見せるようになった。
その一方、渡がキバであることやその出自を知った時も「彼ならば人類の敵になる心配はない」と渡を信じて共闘したり、渡が塞ぎこんでも彼の復活を信じ嶋に抹殺指令の取り消しを懇願、またその抹殺指令の事を渡に伝える、誤射したフリをして健吾イクサからキバを庇う、登太牙の復讐でファンガイアと化した嶋にも止めを刺さなかった、等々と初期に比べると人格面も成長を遂げ、自身が原因の健吾の変貌、嶋のファンガイアへの異常な憎悪を目の当たりにしたこと等により自らを見つめ直し、イクサ復帰後は紛うことなき「正義」の人になり、人間的に真に「最高」と言える人物に成長した。その成長ぶりは、嶋から自身が死んだ後の青空の会を託されるほど。
…とはいってもキバが渡だと知った後に祝杯を挙げようとしたり、突如「魑魅魍魎跋扈(ちみもうりょうばっこ)するこの地獄変…名護啓介が此処にいる」だの「イクサ、爆現!」だの言い出すあたり、元の変な部分は(いい意味で)相変わらず。
物語終盤では渡と大牙の関係が泥沼化していく中、嶋から引き継いで自分から提案したカフェのマスターとの体脂肪率対決で負けてジョギングを始めるなど、暗くなっていく本筋のストーリーに対する中和剤のような役割も果たしていたと言える。
恋愛経験がなかったが、1986年に飛んだ際に真夜に初恋をし、最初に手に入れたボタンを彼女に渡した(ちなみに、このボタンは後に渡の手に渡り、名護が渡の正体に気付く切っ掛けとなった)。彼女はファンガイア(それと子持ちの人妻)だったため失恋に終わっているが、この経験も彼の人格成長に一役買っている。
後にスワローテイルファンガイア戦で恵を庇った際の傷により視力が低下して失明寸前になるも、恵のサポートのお蔭でビショップを撃破(ビショップ撃破と同時に視力も回復)。彼女の優しさに触れ結婚するハッピーエンドで幕を閉じた。
劇場版ではテレビシリーズとは異なる経緯を辿ったのか、最初から渡の正体を知っている設定であり、渡ことキバに敵対心を向ける事はなく、物語中盤のような信頼性を築いている。
平成2号ライダー特有の癖のある性格やネタ分豊富ながら、物語序盤~中盤の歪んだ性格から曲がりなりにも真のヒーローと言える成長っぷりや、イクサのかっこ良さ、終盤でのマジ熱い活躍から、ネタ方面でもガチ方面の人気もなかなか高いキャラである。
もっと名言を覚えなさい。
- 「生まれ変わりなさい。きちんと罪を償えば、あなたにもまだチャンスはあります。どんな人間にも無限の可能性があるんです。」
- 「悩むより行動じゃないかな。お父さんが迷惑をかけた方たちのために、何ができるかを考えなさい。」
- 序盤でのセリフ。このセリフを見ただけだと真っ当なヒーローに見えるが…?
- 「今だ!ライジングしなさい!ラ・イ・ジ・ン・グ。」
- 健吾の戦いで指令を下す名護さんのセリフ。唯一これだけは素直に実行してもらった。
- 「まあまあよくやった。65点といったところだな。」
- 健吾の戦いを評価して。その後はっ倒された。やたら微妙な数値なのでよくネタにされるが、65点満点だから問題ないのである。なんで75点じゃないのかについては突っ込まないように。
- 「どんな深い夜にあっても、やがて太陽は昇る。どんなに固い蕾でも、やがて花となって咲き誇る。」
- 「俺は世界の希望…輝く太陽のように決して消えることはない!」
- イクサの象徴が太陽だからか、太陽に由来する名言も多く残している。
- 「この体、その全ての細胞が、正義の炎に燃えている!イクサ!爆現!」
- イクサ爆現シリーズその2。
キャラソン
「Fight for Justice」
仮面ライダーライジングイクサのテーマソング。仮面ライダーイクサのテーマソングである「Individual-System」の名護啓介歌唱によるアレンジ版。後半で数回使用された。
「CSMイクサベルト&イクサライザー」にも収録されている。
instrumental版
第41話で使用。
名護啓介セリフ ver.Story fist
CDオリジナルのセリフ入り版。曲の合間に劇中の名護のセリフが挿入される(キャラソンではよくある仕様)。
名護啓介セリフ ver. Justice fist
CDオリジナルのセリフ入り版。曲の合間で名護が法律について教えてくれたり、説教してくれたりする。また、キバからこの曲を奪ったような発言をしているが、これは紅渡役の瀬戸康史が「Koji」名義でボーカルとして参加するTETRA-FANGが、原曲である「Individual-System」の担当アーティストである為。
「Don't lose yourself」
劇中未使用。
後の映像作品
名護啓介自身が後の映像作品に登場したことは無いが、近い口調のキャラクターが登場しており、一部は名護役の加藤慶祐が演じた。
『仮面ライダーディケイド』
仮面ライダーディエンドがカメンライドで召喚する仮面ライダーとして、仮面ライダーサイガとともにイクサが登場。
ディエンドの召喚ライダーは基本的に台詞らしい台詞を発さないが、この時召喚された2体は明確に自我をもって台詞を発している。特にイクサの口調は明らかに名護がベースであり、「待ちなさい!」、「跪きなさい!」といった台詞を発した。
声も加藤慶祐によく似ておりオリジナルキャストが担当したのではないかとも言われるがクレジットは無く、アーカイブ音源にしても『キバ』では先述の台詞と全く同じものが確認できないため、誰が声を充てたかは不明である。
『ネット版 オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー 〜ガチで探せ!君だけのライダー48〜』
『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』のスピンオフネットムービー。
火野映司が泉比奈の父親(ジェネラルシャドウ)に結婚の挨拶に行く際にイクサに変身するというエピソードがあるのだが、この際には思いっきり名護口調になっていただけでなく、シャドウに説教までしていた。
イクサの声は加藤慶祐が担当している。
『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』
武神キバを従える武将として「753」と描かれたバンダナを巻いたどこからどう見ても彼にしか見えない人物が登場。勿論俳優も名護役の加藤慶祐。
「~しなさい」という口調も健在だが、流石にイクサに変身したりはしなかった。パンフレットのインタビューによれば「名護が戦国時代にタイムスリップしたイメージで演じた」とのこと。
『ゲストに呼びなさい』名護啓介より
『仮面ライダーディケイド ファイナルステージ & 番組キャストトークショー』
麻生恵と共にイタリアンレストランを経営しているが、変身後の姿での登場となっている。
「〇〇しなさい」口調は相変わらずであり、「止しなさい、止めなさい、良い加減にしなさい」の三段活用を披露した他、あまりにうるさ過ぎると他のライダーから「お黙りなさい」とツッコマれていた。
『小説 仮面ライダーキバ』(ネタバレ注意)
本編を再構成した作品。
名護啓介は本編同様に現代編のみ登場するが、本編後半の活躍と対照的に、歪んだ正義感故に非業の死を遂げている。
最初はイクサの力でファンガイアを蹂躙していたが、存在そのものが罪であるファンガイアは根絶やしにしなければならないという考えから害意のないファンガイアの少女である鈴木深央を虐殺する凶行を働くという、TV本編のビショップがやったようなことをしたため、渡と完全に敵対関係になり、ラスボスとして渡の前に立ち塞がる。
最後はダークネスムーンブレイクでイクサシステムごと粉砕され、自身が粛清した父親の幻覚に助けを求めながら「僕は、お父さんに褒めてもらいたかっただけなのに」と言い残して爆死するという、本編と真逆の結末を辿った。もちろん恵との恋は芽生えず、結婚式もない。
同時に彼が信じる正義を持つに至る過程が少しだけ描かれてもいる。
一部の間では「過去に行って音也と出会わず、遊び心を覚えなかったルートの名護」とも言われており、あの草加雅人のように、これが本来(当初)井上敏樹が予定していた名護の結末ではないかとする声もある。
放映当時の「てれびくん」の巻末付録漫画
東映公式ではない。
やはりその濃いキャラは隠されず、異常なまでにキバをライバル視した上で、蛮機族ガイアーク(『炎神戦隊ゴーオンジャー』に登場する悪の組織)が出没していると聞いてキバに一緒に向かうように言われても、「オ オレはファンガイアとしか戦わん!」と意地を張るなど相当なキワモノとして描かれていた(勿論原作では人間の悪人とも率先して戦っているどころか、渡に試練と称し賞金首相手に喧嘩をふっかけさせたことすらある)。
遊園地のヒーローショー
いずれも公式の登場ではなく、イクサの姿で登場する(担当声優も加藤慶祐ではない)。
よみうりランド「仮面ライダードライブスペシャルショー」
色がよく似ている仮面ライダーマッハをしきりに青空の会に勧誘していた。
ひらかたパーク「仮面ライダービルド スペシャルショー」
自分が書いた「素晴らしき青空を取り戻すまでの193」なる本をビルドにキバのことを知ってもらうために読ませたり、イクササイズを教え込もうとしたりするなどキャラの濃さは相変わらずだったが、前述した本をビルドがページが分厚いことを理由に渋ると、「私の項目は飛ばして構いません!」と言ったり、ビルドとキバの共闘を見て「月に兎が夜空を翔ければ、いずれ太陽が青空に昇る」と軽口を叩くなど大人の余裕が出ていた。
余談! 俺の余談!
- じつは彼をもじった数字「753」の数字は様々な所で採用されている。イクサリオンの最高時速(753km/h)だけではなくガンバライドで意図的に狙ったり(7-053)パワードイクサーの価格が逆さ読みで0753(3570円)になったり、更には名護さんの俳優にファンから753個のチロルチョコが贈られる等様々な所で縁があったりする。
- 真剣で私に恋しなさい!に登場するマルギッテ・エーベルバッハの元ネタになったキャラクターだと言われている(主に口調)。
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