「俺は…生きる…生きて…戦う…!!」
演:村上幸平
変身する仮面ライダー
概要
特撮作品『仮面ライダー555』の登場人物。第13話「敵か味方か」にて初登場。21歳。仮面ライダーカイザに変身する。
慶泉学院大学2年生。水難事故で両親を亡くしており、流星塾の一員となった。流星塾時代は身体が弱く苛められておりいつも園田真理に助けられていた(因みに真理より彼の方が5歳年上である)。
当初はスマートブレインやオルフェノクに関わることを避けていたが、第13話にて自分を探しに大学に訪れた真理を助けるため、仮面ライダーカイザに変身。
カイザギアに適合し、そのままオルフェノクと戦うことを決意。目的の一致やアイロン掛けの技術を菊池啓太郎に買われて、真理や乾巧、啓太郎とともに「西洋洗濯舗 菊池」にて共同生活を営み始める。
テニス部・フェンシング部・乗馬部の部長を兼任するというスポーツ万能ぶりで、器用且つ多才。
人物
一見すると好青年だが裏表の激しい性格で自分の意見を曲げずに押し通そうとするなど自己中心的な一面が強い。特に気に入らない相手に対しては態度が豹変し、どんな策を弄してでも徹底的に排除しようとする一面や冷淡な態度でネチネチと嫌味を言ったり、流言飛語を広げて自らのコミュニティからの排除を試みる等、質の悪いいじめっ子気質な行動を行う。
またオルフェノクという存在をとある事情から憎悪しており、彼らやそれに味方するものには基本的に徹底して冷徹な態度を貫いている。
木場勇治や海堂直也といった人間に協力的な善意あるオルフェノク達に対してもそれは変わらない。
上記の理由から嘗ての流星塾時代の同級生の一人であった澤田亜希に対しては、スパイダーオルフェノクとして大勢の旧友達を手に掛けたことに加え、激しい敵意を向けており、「お前は俺が倒す!」と宣言するほどに憎んでいる(最終的にその言葉通りに自らの手で引導を渡している)。
テレビマガジンの記事でさえ「嫌いな奴を徹底的に攻撃してくるイヤなヤツだ」などと書かれたり、演じた村上幸平氏も「ライダー史上最も性格のネジくれ曲がったヒーロー」と評するほど。
また過剰に他者からの愛情を求める、いわゆるヤンデレ のような部分もあり、特に記事冒頭の台詞は彼の歪んだ性格をよく表した名言であると言える。
後にとある動画で村上氏と共演し、問題の台詞を「決め台詞」として紹介された世界の破壊者である後輩ライダーを演じた井上正大氏も「どんな(決め)台詞だよ!?」、「それ言ったら世の中の人、大抵邪魔じゃないですか」と呆れていた。
彼の自己中心的な一面を表した部分として当初からオルフェノクに対する考え方などでそもそも性格的に相性が悪かったこともあり、更に一早く自分の本性に気がつき追及してきた巧に対しては嫌味や陰湿な嫌がらせを欠かさず行うを行うなど、頻繁に彼を邪魔者扱いとして嫌悪している(但し巧も巧で初対面から理不尽な言い掛かりで突っ掛かったり、本性を見せる前、友好的に接してきた草加に暴言を吐いたりと人として問題のある態度で接した部分もあるため嫌われても当然な所は多少あり、一方的ないじめというよりはお互い様のライバル関係という側面が強い)。
またその後、目障りな存在である巧と木場が協力し合うことを快く思わず、自ら仮面ライダーファイズに変身し、巧のふりをして木場を襲い、巧は信用出来ない人間であるという嘘を木場に吹聴するなど、2人の間に亀裂を生じさせるために過激な行動を行っている。
結局、その後の紆余曲折を経て2人は誤解を解いて和解したため、結果的に草加の目論見は失敗に終わった。
流星塾時代にいじめから守ってくれた真理に対しては上記のように好意を超えた他者へのヤンデレ的な執着心を抱くだけでなく「真理は俺の母親になってくれるかもしれない女なんだ」と母性を求めており、真理が他の男(特に木場や巧)に惹かれる事を阻止しようとしており、特に木場に対しては直接、「良くないなぁ…君はオルフェノクだろう?」と嫌味を吐くなどして牽制することも多々あった。
また、澤田に対する敵意や憎悪の理由の一つには、「彼が流星塾時代に真理をいじめていた」ことも挙がっている。
対して真理からは自分に対する好意には内心憎からず思われてはいたものの、必要以上に巧に対して冷たく当たることを叱責されたり、真実を知りながらも真理の為を思って語ろうとしなかったために反発されるなど微妙なところですれ違い、結局自身の想いに応えて貰えることは無かった。
一方、そのような人間性を持ちながら、捻くれつつも他者の考えを理解しようとする一面もわずかながら持ち合わせており、特に巧に対しては勘違いによる対立など色々なことがありつつも終盤では彼に対して敵意を持たずに歩み寄る姿勢を見せることも多かった。
また、オルフェノクとの戦闘においては互いの目的が一致すれば邪魔をする事がなく、巧が変身するファイズとのコンビネーションは非常に息が合っていた。
また啓太郎などのオルフェノクではない普通の人間や過剰に彼らに対して味方をしない者に対しては彼なりの慈悲を持っており、基本的に無関心で冷徹には見えるものの敵意を持つことはない。これが彼を演じた村上氏が「ヒーロー」と呼んでいる理由でもあるだろう。
流星塾の仲間だった三原修二に対しても損得勘定を抜きに戦う意味を説いて奮起を促している(但し、三原が少しでも巧の味方についた場合は容赦無く殴ったりしていたが)など意外な一面を見せる事もある。
オルフェノクの記号の影響が大きく、前述の通りカイザギアを使用して灰化しない数少ない人物でもあった。
更にはデルタギアを入手した際にも一度だけ仮面ライダーデルタにも変身している。
作中で唯一、ファイズ、カイザ、デルタの3つのベルト全てを手に入れ、3種類全てのライダーに変身したことがある人物である。
しかし、終盤ではオルフェノクの記号が消耗しており、カイザギアに順応出来なくなっていく。日常生活においても、正体がオルフェノクと知って尚も巧を仲間として受け入れた真理、啓太郎、三原達、そして様々な対立、共闘の末に巧との絆を確固たるものとしていく木場や海堂等と違い、頑なにオルフェノクを敵として拒絶し続ける姿勢を崩さなかったために次第に周囲との間に溝が生じ、距離を置かれていくことになる。
そして皮肉にもスマートブレインと戦う仲間達の中では(何度も仲間の輪から追い払おうとしていた巧ではなく)自分自身が一人孤立していく形となった。
この頃には彼のオルフェノクの味方をするものとは協力しない、という自らの意思がブレ始め、迷走していく様子を見せ始めることになる。
しかしそれでも考えを完全に曲げることはできずに徐々に彼と打ち解け始め、協力し合おうとする巧に対しても完全に信用することはできずに自ら巧を拒絶する姿勢を示してしまい、こうした状況を悪化させてしまうことになる。
このような彼自身が招いた状況下に精神的に追い詰められていきながらも最後までオルフェノクと戦う意思だけは失うことは無く、戦いから身を退くように促した花形の忠告にも記事冒頭二段目にある言葉で拒否し、戦いから逃げることはしなかった。
同窓会時には出席していないことになっていたが、当日塾生が書いた寄せ書きには草加の名前があり、周辺の人物から「ベルトや花形に関する重要な秘密を握っている」と目されていた。
本人は関与を否定し、また追及されることを激しく拒んでいたが、これ等の真実は本編後半で明るみに出た。
同窓会の日、自分を含んだ真理達流星塾生はドラゴンオルフェノクに殺害されていた。そしてスマートブレインの人体実験により、オルフェノクの記号を埋められて蘇生している。
しかし、草加は記憶を改変される前に脱走したことで塾生の中で唯一真実の記憶を保っていた。塾生から欠席と認識されていたのは、彼に関する記憶を改竄されていたためである。
ウェットティッシュで手を拭く癖があるが、それはこの事件で殺害された真理を抱き上げた時、両手が血だらけになった事がトラウマになっているため。
色々とあったようだが流星塾の仲間達への仲間意識は強く、TV本編でも(澤田を除く)元流星塾生達には特別な情を持っている面が度々描写され、ジオウにおいても流星塾の仲間の思いを汲んで敢えてその仲間を殺害するという汚れ役を引き受けていた。
己の信念だけに生き、愛する者のために戦った男の末路
終盤、オルフェノクの王の覚醒なくしてはオルフェノクという種族そのものに滅びの運命が待っていることを知り、これを覚醒前に倒そうとその宿主のもとに向かおうとする。
だがその時、長田結花が非業の死を遂げたことからオルフェノクとして生きていくことを決意した木場から真理を人質に取ったという脅迫電話が入る。
愛する真理か、オルフェノクの殲滅か…彼が宿願としてきたこの二つの内、選んだのは前者だった。
真理の救出に向かった海岸で待ち受けたラッキークローバーに誰の手助けも借りることなく単身で立ち向かうも善戦虚しくかねてからのオルフェノクの記号の消耗の影響もあって彼の身体は限界を迎えており、返り討ちにされてしまう。
吹き飛ばされて変身が解除され、這々の体になりながらも生き延びるために必死に逃げようとする。
その背後では投げ出されたカイザギアをそっと拾い上げる一人の男の姿があった。
「死んで…たまるか……」
生き延びる為に懸命に足掻く彼の耳に、聞き覚えのある女性の声が聞こえてくる。
それは、草加を助けようと囚われの身から抜け出してきた真理だった。
必死に自分を探し求める姿を目の前にしながらも、その存在に気付かれずに通り過ぎていく真理に必死に追い縋ろうとする草加だったが、既に声すらまともに発せられない程にその体力は消耗しきっていた。
「ま……り………」
それでも目の前で自分を探し続けている愛する人に、気付いて貰おうと声にもならない叫びを上げようとする草加。
だが、そんな草加を嘲笑うかのように突然差し伸ばされたカイザの手が彼の首を掴み上げ、容赦なく圧し折った(因みにこのシーンで字幕をONにすると(首が折れる音)とだけ表示される)。
力無く波打ち際に倒れる自身の前で、そこにいた変身を解除したカイザ――彼自身が憎み、存在を消そうとしたオルフェノクの一人である木場勇治から、嘲りと蔑みの念の籠もった嘲りの微笑を浴びせられ、孤独と絶望に打ちひしがれる中で草加は遂に事切れ、死体は間もなく灰化。
結局、最愛の人に気付かれぬまま、遺灰は風で殆ど消し飛ばされて消滅するという悲惨な末路を迎えた……。
その屈折した人物像や本編中で行ってきた数々の卑劣で外道な言動や振る舞いから考えると「自分が幾度と無く陥れ翻弄してきた人物から陥れ返されたばかりか、自分が直前まで変身していたカイザの姿でトドメを刺され、目の前まで来ていたにも拘らず、最愛の人に看取られることもなく命を散らす」という何一つ報われなかったその死に様は、因果応報、自業自得、当然の結果であるのは否めない。
だが、それでもその悲惨過ぎる最期は仮面ライダーの歴史の中でも特にインパクトのあったライダーの戦死シーンの一つとして、今も多くのファンの間で語り草となっている。
他媒体において
『555』はメディアミックスが盛んで、パラレルワールドとしての物語が多く作られた平成ライダー作品であったが、どの作品でも基本その外道や偏屈ぶりは変わっていない。
尚、『仮面ライダーディケイド』以降の映像作品への本人客演においては、カイザの姿で戦ったり変身が解除されたりなどのシーンはあるものの、草加がカイザに変身するシーンは20周年の『パラダイス・リゲインド』まで描写されていなかった。
小説『仮面ライダー555 正伝 ―異形の花々―』
鬱屈・屈折ぶりが本編以上に強調されており、数ある『555』関連作品の中でも一番の外道と化している。
具体的には、真理に固執する余り強姦同然の形で彼女の処女を奪い、以降も性行為を強要し続ける、啓太郎との子供を授かりオルフェノクと人間の共存の道を掴みかけた長田結花を惨殺する、など最早子供向け作品に存在してはならないレベル(本小説がそもそも子供向けではないのだが)。
反面、巧に対オルフェノク戦力としての利用価値を見出しているためか、彼に対してテレビシリーズのような陰湿な嫌がらせを行っていない。
彼がここまで歪んでしまった理由は、幼い頃、キャンプ中に起こったゴムボート水難事故で助けを求めた母親に我が身可愛さから切り捨てられ、孤児として引き取られた流星塾の生徒からいじめに遭うなど凄惨な人生を歩んだが故。
最期は本編同様に人間として生きる事を放棄した木場から結花の仇討ちに遭い、四肢や下顎をもぎ取られ、真理が助けてくれる幻影を見ながら惨敗。
その後は実質生き殺しに近い状態のまま、TV本編とは違いヤンデレと化した沙耶(小説版ドラゴンオルフェノク)に、死ぬまで飼われ続けるという、こちらもTVシリーズに劣らぬ因果応報な末路を辿る。
『小説 仮面ライダーファイズ』
小説『異形の花々』のその後が語られ、沙耶が寿命を迎えて灰化した後、飲まず食わずで糞尿に塗れながらも更に1ヶ月生き延び、そして死んだ後にオリジナルのオルフェノクとして覚醒し復活する姿が追加された。だが、その姿はTV版で草加が最も嫌っていたスパイダーオルフェノクのそれであった。
啓太郎と結花の息子で、人間とオルフェノクのハーフである勇介に、自身の存在についての指針を僅かながら示すなど、単純な悪役とは言い切れないところも見せたものの…終盤ではオルフェノクの本能に飲まれ、勇介に重傷を負わせ、真理をオルフェノクの巣である森へと拉致する暴挙に打って出る。
しかし、二人を助けに現れた巧が変身したファイズのクリムゾンスマッシュを喰らい、真理の手を握る幻覚を見ながら灰化して消滅するという最期を迎えた。
「きっと、まりちゃんがたすけてくれる」
その末路は、TV版最終話にて三原が口にした「本当に怖いのは、オルフェノクの力じゃなくて、力に溺れる人間の心にある弱さ」を体現したようなものであった。
『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』
TV本編の並行世界が舞台の本作では、人間解放軍の用心棒的存在として登場。本編同様仮面ライダーカイザに変身する。
人間解放軍のメンバーの殆どが形振り構っておらずボロボロの格好の中、彼一人だけは深緑色の身綺麗なロングコートというある種異質な服装となっている。
本編のように表面上好青年を装うことは無いが、裏を返せば性格は本編以上に荒れている。ファイズのいない人間解放軍にとって数少ないオルフェノクに対する有効な戦力であるがゆえ、自分こそが救世主だと主張するなど傲慢な態度を見せる。愛する真理のためだけに戦うことを包み隠さず、解放軍のメンバーに対して粗暴な言動を見せるため、周囲との衝突が絶えない。
また、本作のみ真理からは「草加君」ではなく「雅人」と呼び捨てにされており、あの啓太郎すら批判的に接している。
冒頭では帝王のベルト奪取に失敗した水原達の救援に駆け付け、カイザに変身し、市街地でオルフェノクを次々と撃破していった(因みにここのシーンでは、怪人ではなく仮面ライダーが登場した瞬間に民衆が悲鳴を上げて逃げ回るという、本作の世界観を象徴するような演出がなされている)。
その後、レオ/仮面ライダーサイガによる解放軍基地への強襲を受け、余裕を見せるように真理の肩を触りつつ変身。サイガに立ち向かうも惨敗しレオに命を奪われた。
尚、息絶える直前に笑っていたのは、村上氏曰く「結局何も手に入らなかった…。笑っちゃうぜ…」ということらしい。
ディレクターズカット版では、真理を口説こうとするが、巧の帰還を信じている彼女に拒絶されるシーンが追加されている。
また、HEROSAGAで連載されていた本作の前日譚「MASKED RIDER 555 EDITION ロスト・ワールド」では、真理に三原が好意を持っていると誤解し、三原をとある方法で謀殺。 その結果、スマートブレインに奪還されたデルタギアを元に帝王のベルトが開発されたことが語られたという設定になっている。
「スープのおかわり、貰えるかな」
「俺は君達の何人分も働いてるんだ。食事位良いだろ?」
「救世主は、この俺だ」
逆に桜庭一樹氏による本作のノベライズ版『555』では、人間的な側面がより強調される形で描かれた。
一見すれば捻くれた態度を取りながらも、TV本編ではあれ程嫌っていた巧の影響を受けたのか、内心では真理や仲間達のことを強く想っていた。
最後の最後で解放軍のメンバーを救うためにオルフェノクと戦い、相討ちとなるが、真理に看取られながらその命を散らした……。
関連作品の中で一番まともな性格で、その最期も最も報われた形となっている。
『仮面ライダーディケイド』
第4~5話の「キバの世界」編で登場。
変身者について明言されていないものの、草加とよく似た言動を取る仮面ライダーカイザが登場しており声も村上幸平が演じている。また、後に発売された玩具「CSMカイザギア」ではいずれも草加のセリフとして扱われている。
劇中ではキバーラのオーロラカーテンで何処かのスタジアムに連れて来られた門矢士の前に現れ、士が持っているディケイドライバーを奪うべく彼を襲撃する。
しかしディケイドが発動したイリュージョンの分身攻撃によって劣勢となり、分が悪いと判断しその場はオーロラカーテンで姿を消した。
「邪魔なんだよ!俺の思い通りにならないものは全て!!」
「君の力はこの程度、という事で良いのかなぁ?」
『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』
主に巧の回想シーンに登場。ホースオルフェノクのビームを受けて灰化する直前、巧に「何故だ…守るべき物の無い、空っぽの貴様が生き残り…何故俺が死ななきゃいけない…!!」という怨みと無念の言葉を残し、それが戦いが終わった後も長きに渡って巧の心を苦しめていた。
この様に、今作での彼は既に死亡している為、回想シーンのみの登場かと思われていたが……。
終盤でのバダンとの決戦中、バダンが起動したメガ・リバースマシンによって何と亡霊として再び登場。後述の台詞と共に、自分を生き返らせる為に死ぬ様に巧に迫ったが、神敬介と操真晴人の説得で迷いを振り切った巧に拒否され、巧が変身したファイズ・ブラスターフォームが発した光を受け消滅したのだった。
この作品の巧と草加は、草加の死の描写の矛盾等からテレビ本編とはパラレルな存在とも取れるが、監督の柴崎貴行によると「あれは、草加雅人ではなく悪霊で、悪霊が草加雅人を演じてたんだよ。巧の頭の中に悪霊が入り込んで記憶を書き換えた」」という裏設定が存在していたとのこと。
要は草加は既に今作でも成仏しており、劇中の草加は彼を死なせたことに対する巧の罪悪感が幻覚となって現れていたということなのだろう。
「君が生きているのはこの俺のお陰。だったら君が死んで俺が生きるのは、当然の事だよなぁ……?」
「空っぽの君には、生きる価値等無い!早く死んでくれないかなぁ……!」
『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』
『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の後日談。
『GP』共々本人は登場しないが、巧が彼と木場について僅かに言及している。
『仮面ライダーエグゼイド スペシャルショー』
ひらかたパークのアトラクションで公開されたもので、公式の映像作品ではない。
元幻夢コーポレーションのプログラマーが覚醒したオルフェノクの所持したガシャットによって、カイザギアと共に生みだされた残留思念として登場。このショーは555本編の後日談という内容になっており、自身を殺害した木場に復讐するべく行動する。
その際に宝生永夢と、同じくガシャットによってファイズギアと共に残留思念として生み出された巧と遭遇し、木場の居場所を聞くべく巧に襲い掛かった(更にこの時、永夢に巧の正体をバラした)が、駆け付けた鏡飛彩により真実(巧や木場が既に死んでいること)を聞かされると、荒れ果てながらその場を立ち去った。
その後、せめて真理の幸せだけでも守るべく単身で前述のオルフェノクに立ち向かったが、自身はガシャットに生じたバグに過ぎない為、自身の創造主であるオルフェノクに敵う筈も無く敗北。そのままトドメを刺されてしまい、カイザギアを残して消滅してしまった。
因みに、そのオルフェノクは最終的に巧ファイズと救援に駆け付けた三原デルタ、そしてカイザギアの新たな残留思念として蘇った木場カイザの3人によって倒されている。
「そもそも人間である俺が死んで、オルフェノクのお前や木場が生きている事自体、不自然なんだよ!!」
「俺は既に死人だ……!俺に残ってるのは真理の……彼女の幸せだけ……!それを汚す貴様は……この世から消す!!!」
漫画『仮面ライダー913』
本人が主人公となる漫画作品。流星塾出身という設定はそのままだが、背景設定が一新されており、辰巳家という一家に引き取られ、何不自由無い生活を送っていたが、どこか物足りなさを感じて家を出る。
辰巳家の人間の中でも特に才能豊かな人物であったことから、義弟からはコンプレックスを持たれていた。
本編同様にフェンシングの才覚に溢れており、華道においても一流というハイスペックぶりを披露。バイオリンにも長けている様子。
原作同様に真理に思いを寄せており、自らもガールフレンドに薫が、思いを寄せる少女にまゆがいたりとヒロインには恵まれている方である。
趣味はボトルシップで部屋には無数のボトルシップが飾られているが、これはガラス瓶に囚われた船を哀れなものと見なしている為で、これを「死体が一つならかわいそうだが、無数の死体ならただの景色だ」という死生観に喩えている(似た言葉にアドルフ・アイヒマンの「1人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」がある)。
手を拭く癖も原作同様だが、理由は異なり、幼少時に母と共に水難事故に遭った際、母が草加を救いかけながらも本能的に手を放し、結果的に母が死んで草加が助かり、「俺の手が汚れているからお母さんは手を離したんだ」とのトラウマによる。また、真理は幼少時にビル火災で両親と逸れ、正体の分からない誰かが真理の手を引いて救い、両親とは死別したことから、自分と真理の経験と重ねて、「自分の様な思いを真理にはさせない」「次に真理に何かあれば、俺が手を握る」という強い信念に繋がっている。
過去に自分をいじめていた塾生に「男の生き方は顔に出る」と皮肉ったり、自分の態度を快く思わない黒澤にワインを掛けられた際には彼の彼女であるアンナにワインを掛けて気持ちが揺らいでいることを指摘するなど、皮肉屋な面も本編よりパワーアップしており、黒澤が自分に土下座をしてきた姿を撮影しようとした際には逆に見下ろされた気分になったり、アンナが自分に言い寄ってきた際には死体の山と死神の幻影を見るなど、人を惹きつける独特なカリスマと人を寄せ付けない超然的な矛盾した側面を持っており、こちらの草加も相当壮絶な人生を歩んだものと思われる。
原作とは異なり、カイザのモチーフであるχから連想した「貴様等の存在は罪…そのもの!罪には罰を…!」という決め台詞が付け加えられた。
コミカルさも存在し、メタ発言も飛び出すように…。
「止せ!ページが無い…」
「急がないと料理が出来る前に終わってしまうぞ!」
『仮面ライダージオウ』
フォーゼ&ファイズ編となるEP05・EP06にて乾巧と共に登場。アナザーファイズが誕生した事で発生した歴史改変によりカイザではなくなっている。
- EP05『スイッチオン!2011』
天ノ川学園高校の生徒である山吹カリンという少女を狙っており、学校の屋上にいた彼女を襲う一面が見られた。
その後、彼女を守ろうとするツクヨミに向けて「邪魔しないで貰えるかなぁ?」と告げるが、彼を止めるために現れた巧に妨害される。
- EP06『555・913・2003』
「乾!これはお前には関係の無い話だ!」
山吹カリンとアナザーフォーゼ(アナザーファイズ)として暗躍していた佐久間龍一は彼と同じ流星塾の出身であること、佐久間の暴走を止めるために行動していたこと、カリンを襲ったのは無理矢理生かされ続けることを拒んだ彼女から頼まれてやったことだと判明した。
そして、カリンを襲ったとして逆上したアナザーフォーゼによって首根っこを絞められるが、間一髪で巧に救われる。その際、巧に「お前は俺の仲間」なのだと苦々しい顔ではあったが、初めて言葉でその奇妙な「友情(?)」を告白され、驚きを隠せなかった。
最終的に全てが終わった後は、自身を呼び止めようとする巧を手で制し、その場を無言で立ち去っていくのだった。
『ジオウ』における余談
- アナザーライダーが誕生して変化したこの歴史では、草加の(逆)ヒーロー部分がより強調された形となっており、巧との仲こそ本編に近いが、前述にもある通り、草加自身が本編の様な自分勝手さや卑劣な一面を見せなかった事もあって、「お互い素直になれない者同士」という印象が強く(『ジオウ』の作中で例えると放送当時の常磐ソウゴと明光院ゲイツ程の距離感に近い)、本編の2人の関係を見てきた者からすれば大分軟化している様に見え、協力も普通に行っている。そのため、後述する『ゲイツ、マジェスティ』出演時と併せて「映像作品の中では一番綺麗(まとも)な草加」と評されている。
- この時の草加の人物設定に関して『555』のファンからは「本編でもこの位の性格であれば、普通に好きになれた」という意見もあれば「これではただの典型的な2号ライダー。草加はもっとクズでないと草加ではない」という意見も上がっている。また、最終的にはこれまでの作品の中で初めて生存することに成功している。
- このEP05・06ではアナザーフォーゼが登場するが、上述した草加の要素からネット上では「アナザーフォーゼは草加が変身したアナザーライダーでは?」とネタにされたりしていた。実際にそう思われてもおかしくない演出がなされていたが、幸い変身者は別人であった。
- EP06での草加がアナザーフォーゼに首を掴まれるシーンは、言うまでもなく『555』本編で木場カイザに首を折られるシーンのオマージュであり、演じた村上幸平による提案で撮影されたらしい。あの時とは違い、巧に助けられたことで彼は生存することが出来たのだ。
『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』
「良くないなあ…こういうのは…。」
「じゃっ…死んで貰おうかな…。」
仮面ライダーディエンドの海東大樹、仮面ライダーアクセルの照井竜、仮面ライダーバースの伊達明と共に登場を果たした。
劇中では海東からとある目的の依頼を受けて、カイザの姿で登場。カッシーンに襲われていたゲイツを救出した(必殺技を放つ際、上記の台詞を投げている)。
ジオウ本編での出来事を微かに覚えており、ゲイツの事を「彼も仮面ライダーじゃないのか?」と海東に問い掛けている。
パンフレットによると、同作の監督を務めた諸田敏氏は村上幸平氏との仕事は初だったらしく、草加の癖(ウェットティッシュで手を拭く)については思いつかなかったと語っており、カイザに変身している際の台詞は全て村上氏によるアドリブで、台本には書かれていなかった。
また、村上氏は前述の様にテレビ本編の『ジオウ』第5・6話にゲスト出演を果たしているため、「普通はあり得ないと思うんですけど、武部プロデューサーからカイザは人気があるから」とオファーの依頼が来たことに驚いたと同時に、後述の漫画版『仮面ライダー913』の単行本の発売日が偶然にも本作の先行上映日と近かった為、タイミングが良かったと語っている。
草加が素顔でゲスト出演を果たしたのはこれで3回目となったものの、やはり今回も変身シーンは無かった。
『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』
本編から20年後を描く正当続編である本作にも登場。
本編では既に灰化して死亡し、カイザギアも失われているはずだが…なぜかカイザギアと共に謎の復活を遂げている。『西洋洗濯舗 菊池』に戻ってからは仮面ライダーカイザとして、あれほど憎んでいたはずのオルフェノクを新生スマートブレインから庇護すべく戦っている。
今作では首元に黒いチョーカーを身に付けているが…
詳細はこちらを参照。
『仮面ライダー555殺人事件』
「条太郎、バイトを雇うのはいいが…ダラダラと遊んでいる奴らに時給を払うほど、ウチに余裕があるのかな?」
「いつまで寝てる!働け!」
パラダイス・リゲインドの更にパラレルワールドな世界であるこちらでも『西洋洗濯舗 菊池』で働いている。首元にチョーカーは無くこちらはギャグ時空と言うこともあってか、本編と比べるとそこまで陰険な態度は取っておらず、仕事をせずにグータラしている巧達に手を焼いている苦労人と言う面が強い。
ただしサボっている条太郎、ヒサオ、コウタ、ケイ、玲菜を口煩げに叱る、居眠りをしている巧にお茶をぶっかけて起こしたり、動画を見ている視聴者に対して『その小さな脳味噌でよ〜く考えてくれたまえ』と安定の草加スマイルと共に嫌味ったらしく言ったりはしている。
一方で真理が買い物から帰ってきた途端に気持ち悪いほど爽やかな笑顔を浮かべたり、真理が拾ってきた金魚を飼いたいと行った際には(反対をしていた巧を押し除けつつ)真っ先に賛成するなど、真理への好意は相変わらずな様子。
また、金魚をどうするかについて巧が『どうやって食う?』と尋ねた際『刺身にするには小さすぎる』と答える、ず〜っとウェットティッシュで手を拭き拭きしながらサボり組を陰から見張っているなど本編では見られなかった天然かつコミカルな部分を見せている。
因みに、飼うことになった金魚のキンのことは(真理が拾ったと言うこともあってか)気に入ってはいるらしく、「金魚がこっちを向いている」と言われた際『俺(の方を見ているん)じゃないかな?』とこれまた草加スマイルで口にしている。だが最終的にキンが真犯人だと知ったら
「俺のことを好きにならない金魚は邪魔なんだよ……!」
と容赦なく突き放している。
評価
簡潔に言うとファンからの彼の評判は、文字通り賛否両論である。「草加がいたから『555』は面白かった」という声も多いが、極端なものだと「いなければもっと『555』を好きになっていた」という声もある。
詳しくは後述するが、彼を好む草加ファンの間でも「何だかんだで人間臭い正義のヒーロー」と見るか「生粋のクズであるが故に魅力的」と見るかで意見が割れる傾向がある。
立場の上では「味方ライダー」であるにもかかわらず、劇中ではその陰険且つ姑息で、二面性の激しい器の小さい性格や、殆ど悪役のような言動が目立つからか、一部のファンはおろか公式からでさえ正義側の仮面ライダーとして認められず、前作『仮面ライダー龍騎』に出て来るような悪の仮面ライダーとして見做されがちな風潮が強い。
特に草加を嫌うアンチ勢からは「ストーカー(演じた村上氏もしばしばそう例えている)」「自己中」「人間のクズ」呼ばわりされたり、更に過剰なものだと「仮面ライダーの面汚し」「ヒーロー失格」と辛辣な評価を下されている。
確かに、端的に言えばヒーローらしからぬ「もの凄く嫌な奴」であり、非道な行為で巧や木場を始めとする多くの登場人物に危機や亀裂を齎したことは事実である。
ただ、巧に関しては
- 前述の通り、第一印象が悪く、最初こそ巧の方が一方的に嫌っていた上に、状況的に言える筈も無い流星塾の件について散々詰め寄ってきた。
- クレインオルフェノク戦では理由を説明せずに、いきなり後ろから斬り掛かってきた。
など、彼にも原因があり、草加の行いが100%理不尽であるとは言い切れない部分もあった。
また、澤田に関しても…
- 流星塾時代に自分や(好意の裏返しといえど)真理のことをいじめてきた。
- オルフェノクになってからは流星塾の同級生だけでなく、その他の一般人も平然と手にかけるという凶行を繰り返した。
など、草加から執拗な敵意や殺意を向けられても申し開きの余地の無い悪行に手を染めていたことも事実である。
また、彼の言動を表面的に見れば、悪人扱いされても致し方無い部分はあるものの、本質的には善悪はともかく行動自体には筋が通っている。それは彼が「人類の敵であるオルフェノクを撲滅し、大切な人の幸せを守りたい」という確かな信念のもとで進み続けた証拠でもあり、見方を変えてみれば「幼少期に多くの傷・トラウマを負いながらも必死に抗い続け、自分の信念に対して、少しも迷う事無く、妥協も挫折もせず貫き通した、真っ直ぐな人間」として捉えることも出来る。
事実、終盤の彼は、周囲から半ば孤立し最早巧や木場に嫌がらせをする必要が無くなったため、結果として悪辣な一面の描写が減り、「オルフェノクの撲滅」と「流星塾の復讐」、そして「真理の幸せを守ること」という動機だけを胸に、己の身を顧みずに戦う戦士となっており、「終盤の草加は戦士として純粋にかっこいい」という意見を述べるファンも少なからずいる。
他にも、「オルフェノク=敵」と綺麗さっぱりに割り切ってこれを撲滅する事を信念とする思想は(一部の善良なオルフェノクの立場からすれば過剰且つ偏重なものであるにしても)主人公を含め己の信念が揺れ動き、苦悩する登場人物が殆どである555の作中において、稀に見る白黒のはっきりついた思想であり、『555』の複雑な人間ドラマを構築するのになくてはならない要素であった。
一方、「オルフェノクはすべて敵、そう思わなきゃ戦えないはずだ」「澤田、お前がどう変わろうとお前の罪は許されない」などの台詞から見受けられるように草加自身も心の奥ではオルフェノクの中にも人の心を持った存在がいることを自覚しており、「オルフェノクを撲滅する」という己の信念を貫くために「オルフェノクはすべて怪物であり、敵」だと強い意志と努力で無理矢理言い聞かせているということが見て取れる。
このような草加の葛藤を考えると、自分に対して偉そうな態度で突っかかってくるのにも拘らず、オルフェノクと戦うのに迷い、まともに戦闘ができなくなった巧に嫌悪感と苛立ちを感じるのは当然といえば当然である(だからといって精神的に攻撃していいと言うことにはならないが)。
加えて、「乾巧って奴の仕業なんだ」のように、何かと名言(迷言)とされる言葉はいずれもキツイ表現で言い表せているために分かり難く、またネットなどではネタにされ易い傾向にあるものの、基本的には何れも的を突いた正論を言っている(例として「オルフェノクになった者は心まで腐っていく」という彼の持論に関してだが、作中の大半のオルフェノクは、スマートブレインの介入に関係無く、殺人衝動に飲まれたり攻撃的な性格になったりしているので、一概に間違った考えとは言い切れない。巧や木場を見ている視聴者目線だと差別的な発言にも見て取れるが、彼等が異例なだけである)。
彼のそういう偏屈で「極めて自分勝手」ながらも、ある意味で人間の本質を最も鮮明に体現しているともいえる言動や、「人の心を守り続ける異形の存在」を描き出した本作においては見事な対比といえる人物像に魅力を感じ、好意的に受け入れてファンになる者も多く存在する事も事実である。
そして、「自分の正義で他人の正義を処断する」という「正義の味方」という概念が本質的に孕んでいる矛盾や傲慢さを逆説的に描き出したともいえるそのキャラクター性ゆえ、草加自身には好意的でなくても、彼あってこそ「正義」の在り方を問う『555』の物語が盛り上がったとして評価する声も多い。
総じてキャラ自体に賛否両論こそあれど彼の存在感は抜群であることは疑いようもなく、『555』のパイロット監督である田崎竜太も20周年イベントにて「ここまで追加戦士で愛されたキャラも珍しい」「『パラダイス・リゲインド』で彼が登場すると発表されて、草加が死んでたことに疑問を抱く声があまりなかった。そのぐらい存在感が強いんですよ彼」と発言している。
また、『555』の脚本を務めた井上敏樹は草加のキャラクター性について実は然程否定的な見解を持っていないとされる。曰く、
「俺ね、草加のこと悪いヤツだと思ってないのよ。どっちかというと可哀想なヤツなんだよ。すげー真理のこと好きでさ。それにあいつが死んでから「草加!草加ー!」って騒ぎ出すじゃない?そういうキャラって大成した証でさ。それまでは死ね!ってみんなから石を投げられるけど、いざ死ぬと良い奴だったなみたいな、そういう奴だよね」
とのこと。
そして巧役の半田健人氏も2024年にS.H.Figuartsの巧と草加のフィギュア発売記念動画において、草加が放送当時視聴者からめちゃめちゃ嫌われていたという話題になった際、「嫌われるということはそれは必要なんですよ。(555という)作品に。あそこで雅人がああするから良いわけで…」と草加に対して肯定的な見解を示している。
ネタ的な側面
ここまでの記載で、彼のキャラクター自体は極めてシリアスで『555』における重厚なドラマを担ったことは疑い様も無い…無いのだが、余りに度を越した陰湿さや、演じる村上幸平氏の怪演も相まって、時折シリアスな笑いを齎すことも。
「俺の事を好きにならない人間は邪魔なんだよ!」
「良くないなぁ、こういうのは…」
「じゃ…死んでもらおうかな」
「お前…死にたいんだってなぁ?」
などインパクト抜群のフレーズが複数存在しているのも、ジョーク感覚で語り易くしている要因の一つとも言える。これは脚本家の井上敏樹氏も認識しており、「草加は迫真過ぎて笑えてくるんだよ。可哀想な奴だけど」とも語っている。
また、『ゲイツ、マジェスティ』に村上氏が客演した際、スチル画の撮影でお馴染みの草加スマイルを披露したところ「ジム・キャリーみたい」とスタッフを大いに笑わせていた。
但し、いわゆる狙った「ネタキャラ」というよりも、迫真過ぎて人によってはジワジワと笑いに繋がるといったものなので、過度なネタ扱いは注意を要する。
なお、そんな彼が映像媒体中で披露した数少ない公式のギャグシーンがスーパーヒーロータイムのEDジャンクションに存在する。
それは憎むべき仇敵である北崎とトントン相撲対決に勝利し、カメラ目線で「成敗!」とガッツポーズを決めるというもの。敗れた北崎はショッカー戦闘員のモノマネをしながら昇天(?)するという、シュールな最期を迎えた。
ちなみに草加がタイマンで北崎に勝利したシーンはこれがほぼ唯一である。
巧からの評価
劇中で(露悪的な一面も含めた)草加の人となりを誰よりも理解した上で、誰よりも認め、受け入れようとしてくれていたのは、草加にとっては一番大事な人である真理でも、育ての親であった花形でも、三原を始めとする流星塾の仲間達でもなく、皮肉にも、彼が最後の最後まで“邪魔”な存在として、認めようとしなかった巧であった。
最初こそ草加を「自分勝手で嫌な奴」という悪印象しか抱けないでいた巧だったが、第23話で草加の過去や苦しみを知ってからは一転して彼に対する評価を改め、自分なりに草加に歩み寄ろうとする姿勢を見せた他、彼が前述した悲惨な結末を迎えた際には、僅かに残されていた彼の遺灰を三原と共に発見し、その死を悟ると同時に、彼の死を一番惜しんでいた。
パラレルワールドではあるが仮面ライダー大戦においては、巧は草加のことを「昔愛する者のために戦い・・・死んでった仲間がいた。いけ好かない奴だったけど…少なくとも俺よりは生きる意味を見出していた」と生き様を否定せず仲間の一人と認め、彼を救えなかったことを深く後悔していることを打ち明け、後に亡霊となって現れた彼が自分を身代わりに復活しようと目論んだ際にも、抵抗すること無くその願望(野望?)を叶えてやろうとしていた。
そして、『ジオウ』客演時には「俺はお前が嫌いだ。草加…だがな、お前は俺の“仲間”なんだよ!」と直接その内に秘めたる「友情(?)」を直接言葉にして伝えながら、窮地を救うなど、本編以上に「草加雅人の一番の理解者」であろうとしている描写が強調されていたり、『パラダイス・リゲインド』での草加の正体が、本物ではなく彼の姿を模したアンドロイドだったことを知ると「有難い、遠慮なしだぜ!」と昔の仲間を傷つけるのが本望ではないともいえる発言をするなど、オルフェノクでなければ、本当の意味での友になれた可能性もうかがわせている。
当時の視聴者からの評価
演者である村上幸平氏によれば、放映当時、巧、木場に対する陰湿な嫌がらせ行為が露骨過ぎたためか、巧や木場のファンの子からよく「たっくん(巧)や木場さんをイジメないで!」と抗議され、街で出会った子供達からも怖がられたり、睨まれたり、当時の『555』公式HPのBBSには平然と視聴者からのヘイトコメントが書かれるなど、小さな子供達やその保護者を含む視聴者達から草加が退場する回が放送されるまでは「メチャメチャ嫌われてた」そうで、脚本家の井上敏樹も「(草加が)死んで、やっと皆その魅力に気づいてくれた。生きてた時には『早く死ね』とか(そんな感想)ばっかりだった」と語っている(まあ、そうなるな)。
また、BPOに「仲間内で嫌がらせや騙し討ちをする子供番組のヒーローなんて有り得ない」、「ヒーローが嫌らしいいじめっ子の番組なんて誰が好むんだ?」などと草加(または前番組のときめく医者?)のことを示したクレームが寄せらることもあったという。純粋な悪役でもない、ましてや(曲がりなりにも)主人公サイドのライダーを演じた俳優が、このケースに該当するのは極めて稀と言える。
一方で、草加雅人が主な変身人物であった仮面ライダーカイザのなりきり変身グッズの売上は好調で、DXカイザドライバーやDXデルタドライバー、そしてトイザらス限定販売の帝王のベルトなどの合算では約50万台のセールスを記録したことが当時の超全集に記載されている(主人公のDXファイズドライバーと合わせると100万台売れたことになる)。こうした点からも、少なくとも一人のヒーロー=仮面ライダーカイザとしては、子供達から少なからず支持を得ていた点は無視出来ない。
俳優からの評価
演じた村上氏自身も最初は草加のヒーローらしからぬ人物像に戸惑いや疑念を隠しきれず、さらには一応はヒーロー役であるにも拘らず、(味方であるとはいえ)怪人である木場役の泉政行氏や海堂役の唐橋充氏よりも視聴者からの人気が低かったこともあって、脚本担当だった井上敏樹に懐疑心のようなものを抱いていた時期もあったが、井上との対話や撮影監督である田村直己が行う悪役演技の誉め殺しなどを重ねていく内に、次第に「草加雅人」というキャラクターがどういうものかを理解する様になってからは、一転して強い愛着を抱くようになった。因みに、今では村上氏は『555』のファンから「草加が好きだった」と言われるよりは「嫌いだった」と言われる方が嬉しいと言う。そして、彼の人気を実感するようになったのは、彼が劇中で死亡してからだったとのこと。
あるインタビューで村上氏は草加について「彼はヒーローだけども、普通のヒーローが言ったりやったりしてはいけないことが出来る『逆ヒーロー』」と評しており、実際に『555』放送当時は子供だった視聴者達からも「当時は大嫌いな奴だったけど、今は寧ろ大好き」、「決していいヤツではないけれど、大事な人を一途に守ろうとする姿は紛れもなくヒーローだった」という意見も少なからず見受けられ、結果的にそんな草加の在り方や評価が、ジオウの物語では生存に成功した一因にもなっている。
ちなみに近年では前述の名言「俺のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ!」は専ら舞台挨拶などでコール&レスポンスに用いている。
テーマ曲・キャラソン
「堕ちた天才」
劇伴。草加が陰湿な言動を取るシーンなどで多用された。
「カイザ、圧倒的な力」
劇伴。主にカイザに変身する際に多用されていた。
「サイドバッシャー」
劇伴。前述の「カイザ、圧倒的な力」と並ぶカイザの活躍シーンで使用されていた。また、草加が最後にカイザへ変身した際に流れたのもこの曲だった。
「Red rock」
イメージソング。劇中未使用。
イベントなどで村上幸平氏が歌唱することも多く、2019年9月13日にカバー版がリリースされた。
言わずもがな、ジャケットのインパクト絶大な「草加スマイル」も村上氏のチョイスとのこと。
余談
- 草加が初登場した第13話でのキャスト名は「草加雅人」ではなく「キャプテン」。これは前半部分に登場した「草加一郎」(フェンシング部の雅人の後輩)が彼であるというミスリードを狙ったものだと思われる。
- また、同話では乗馬していた草加に向けて、巧から「せいぜいに馬に蹴られてくたばらないようにな」という皮肉を吐かれていたシーンがあり、後に悪い意味で的中してしまった。
- 村上幸平氏は草加というキャラクターだけでなく作品そのものにも想い入れが強く、『555』終了後も井上敏樹や共演者と、何かと親密に交流したり、555に対する想いを自身のブログやSNSなどで語っている。無論、劇中では(戦闘時以外)相性最悪で最後まで打ち解けることが無かった巧役の半田健人ともプライベートでは文字通りの親友同士であり、度々ネット番組やコラム、そして『555』関連のイベントなどで『555』の思い出に関する談義で盛り上がったり、半田と一緒に『555』のセルフパロディ動画を作成するなど放送終了後も度々、本編とは真逆とも言える仲の良さを見せてきた。
- 上記のイベントには、今では様々なドラマや映画で引っ張りだこになっている澤田亜希役の綾野剛氏も動画メッセージを送っており、劇中では文字通りの”宿敵”同士で解り合えることの無かった草加と澤田だが、半田健人氏同様に共演者の中ではとりわけ仲が良く、よく話をしていたと綾野も話している。
- 草加を最終回前に退場させることは当初から想定されていたが、最終的に引導を渡す役目を木場に選んだのは井上敏樹氏の一存だったという。そのやり方も実に井上氏らしいもので、プロットを考えるに辺り井上氏は村上氏を呼び出して「もし自分が草加だったら、(555のキャラの中で)誰に殺されるのが一番嫌?」と尋ね、村上氏が「木場」と答えたところ、上記の退場劇のシナリオが制作されてしまった。これについて村上氏は、井上氏が自分の気持ちを汲んで木場以外の人物に引導を渡させると思い、正直に答え、後日(草加退場回の)台本を読んで全てを知った時には、「素直に答えなきゃ良かった…」と相当後悔したという。因みに村上氏自身はもしその場で井上の意図を理解していたら巧と答えて誤魔化そうとしたそうだが、本心では「仇である北崎もしくは花形と相討ちになる」最期を切望していたとの事。
- 木場と答えた後、「じゃあ琢磨と一緒に爆死でいい?」とも聞かれたが、「それはもっと嫌です!」と拒否したとのこと。
- パラダイス・リゲインドでの20周年スタッフインタビューでそのことを聞かれた井上氏によると、尋ねた段階で「カイザに変身した木場に殺されること」自体は決めており、いわく「カイザ(の使用者)はカイザに殺される」考えだったと答えている。もし、ここで「自分自身に殺されるのがいい」と答えていたら、カイザの反動で死ぬことに変更されていた可能性もあったとしている。
- 『555』以降も主人公と敵対する2号ライダーは数多く登場しているが、その殆どは後に和解したり、ラスボスとして対峙すれども、今際の際で主人公を認めたため、本当の意味で最期の最後まで主人公と打ち解け合ったり、認める事の無かった2号ライダーは2022年時点では草加雅人しかいない。因みに一時的とはいえ、草加や前年の2号ライダーでも成し遂げなかった、主役ライダーを殺害することに成功した2号ライダーは存在する。
- 井上敏樹氏が脚本を手掛けていた『ギャラクシーエンジェル』アニメ第四期17話に、村上幸平氏が声を演じたパロディキャラクター「カイザ・ムラカミ」が登場している。
- プレミアムバンダイより2017年9月13日に予約開始した「CSMカイザギア」を村上幸平氏が紹介する動画で、カイザギアを手にする前に持参したウェットティッシュで手を拭いたり(劇中の草加のウェットティッシュで手を拭く癖を再現したと思われる)、動画の最後で「これも全て乾巧って奴の仕業なんだ」とファンサービスを披露していた。因みにこのCSMカイザギア、本来は本編の台詞ではない「これも全て乾巧って奴の仕業なんだ」だけでなく、首が折れる音まで収録されている(首が折れる音は村上氏の希望によるものらしい)。
- 埼玉県にある草加市(読みは「くさか」ではなく「そうか」)の公式HP内の出産育児一時金の記載例において、生まれた子供の名前が「草加雅人」になっている。偶然か意図的なのかは不明。
- 母親の名前は草加花子、父親の名前は草加太郎。
- 村上氏は後に『仮面ライダーカブト』にゲスト出演している。
- ウルトラシリーズでは『ウルトラマンメビウス』で勇魚洋を演じている他、スーパー戦隊シリーズでは『動物戦隊ジュウオウジャー』でバド/ジュウオウバードを演じ、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でソノヤを演じている。これによって三大特撮ヒーローに出演した俳優の一人となった。
- ただし、いずれも草加とは真逆とも言える役柄であり、勇魚洋は裏表のない爽やかな好人物である。バドは過去の経験から少し影があるが、陰湿な性格ではなく公式HPでも「草加よりは柔らかい」と述べられている。ソノヤは井上キャラだが、敵幹部かつラスボスで敵対者の変身能力を奪ってその人物を殺害している。
- 上記のソノヤと同じ作品の登場人物である雉野つよし/キジブラザーとは愛する者に狂気的な偏愛を抱えたヒーロー、愛する者に危害を加える者には容赦しない、目的を遂行すると邪悪な笑みを浮かべる等の共通点があり、村上氏も反応したばかりか公式サイトでも「令和の草加〇人」と書かれた事もあり、更にはX(旧Twitter)で笑顔のコラボも披露した。
- 同期のニチアサでは草加雅人と共に仲代壬琴/アバレキラーとローズマリーという強烈なキャラクター性や外道な振る舞いを持つダークヒーローとダークヒロインが登場しており、当時多くの話題を呼んだ。
- 村上氏は90年代に放映されたオムニバス系のホラードラマ『木曜の怪談』の『マリオ』という回で俳優デビューをした。村上氏が演じたのはあの堂本光一氏が演じる主人公を虐めた挙句、彼が特殊な力に目覚めると、改心した振りをして視聴者と主人公を騙し、事故に見せかけて殺害しようとしたいじめ加害者『水野圭太』という役柄であった。
関連イラスト
関連タグ
仮面ライダーカイザ 仮面ライダーファイズ 仮面ライダーデルタ 仮面ライダーネクストカイザ
乾巧って奴の仕業なんだ 草加雅人なら大丈夫 草加スマイル (首が折れる音)
仮面ライダー大戦 ダークヒーロー アンチヒーロー 井上キャラ 復讐者 因果応報 ヤンデレ男子
草真理:園田真理とのカップリングタグ。
仮面ライダー913:草加雅人を主人公とするスピンオフ漫画。
類似キャラクター
名護啓介:同じ脚本家が手掛ける作品に登場する2号ライダー。こちらも一見は高潔な人物に見えるが、本性は人を露骨に見下したり、傲慢な性格であるのが共通する。しかし、物語の途中で自分の過ちを認めて改心し、最後はヒロインと結ばれるという草加とは真逆だった。
駆紋戒斗:黄色のカラーリングの2号ライダーに変身する人物。こちらも大企業に人生を狂わされて憎悪している。チームメイトからも信頼を得てリーダーとしている。主人公とは対立しながらも共闘するのも共通する。
2号ライダー変身者
外部リンク
仮面ライダーファイズ[草加雅人Ver.] | 仮面ライダー図鑑 | 東映
仮面ライダーデルタ[草加雅人Ver.] | 仮面ライダー図鑑 | 東映