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前後のストーリー

予告編集

Open your eyes for the next φ's!

「園田真理を預かっている」

「君は滅びの道を選ぶ勇気を持っているはずだ、人間のために」

「なら滅べばいい!俺の手で、あんたを…!」


概要編集

2004年1月4日放送。


脚本は井上敏樹、監督は長石多可男


仮面ライダーカイザこと草加雅人の退場エピソードにして、これまで暴虐の限りを尽くしてきた草加が遂に報いを受けることになる。

前作エピソードに並ぶトラウマエピソード


あらすじ編集

センチピードオルフェノクロブスターオルフェノクドラゴンオルフェノクの3体と6体のライオトルーパー、合計9体の敵に取り囲まれてしまう仮面ライダーファイズ

更に、ライオトルーパーの1体が園田真理鈴木照夫にも襲い掛かる。

それを見て漸く海堂直也は何かがおかしいことに気付く。そして、木場勇治に詰め寄り「止めさせろ!」と叫ぶも、木場は海堂の手を振り払い、殴り飛ばした。

ライオトルーパーから逃げる真理と照夫のもとに、草加雅人三原修二が駆けつけ、仮面ライダーカイザ仮面ライダーデルタに変身。ファイズに加勢するが、それでも敵の数は歴然で苦戦する3人。


その後、何とか戦いを切り抜けた草加は一人地下道を彷徨っていた。

だが、前回起こった謎の頭痛が再び草加を襲う。

激痛の余り、草加はその場で倒れてしまった。

そして、倒れた彼のもとに花形が現れ……。


一方、乾巧は木場と電話で話をしていた。木場は「オルフェノクの世界を作るという意思が変わらないとしもう話すことは無い」と言い切る。

三原は前回スマートブレインで花形と対面したこと、そして会う約束をしたことを真理と阿部里奈に教えた。

それを聞いて、真理は「もう一度会いたい」と心の中でそう呟いた。


その頃、草加は花形の手によってスマートブレインが運営する病院のベッドで寝かされていた。

花形は同窓会の日に流星塾の面々を殺したのは彼自身の意思ではなく、一部のオルフェノクの暴走によるものだったこと、そしてファイズギアを始めとした3つのベルトを蘇生した草加達に送ったことで過酷な運命を背負わせてしまったことを謝罪する。

だが、草加からすればそんな言い訳で納得出来る訳がない。

オルフェノク化した人間が力に溺れていくところを何度も見た花形は「オルフェノクは滅びるべき存在だ」と語る。

ならば自分の手で始末しようとカイザギアに手を伸ばす草加だが、またしても謎の頭痛に襲われる。

花形は「もう変身しない方が良い」と草加に告げた。


流星塾生の中で草加だけが何度もカイザに変身出来た理由、それは身体に埋め込まれたオルフェノクの記号が草加の肉体とある程度順応したためだった。

だが…何度も変身を繰り返したことでオルフェノクの記号の力が薄れつつある。


このまま変身を続ければいずれは破滅する。

その事実を花形から聞かされた草加は茫然とするしかなかった。


一方、スマートブレインの社長室では海堂が木場に照夫を襲わせたことについて問い詰めていた。

「人間を守ることが理想だったはずだ」と言う海堂に、木場は「その理想を今まで馬鹿にしてきたのは君だ」と言い返す。


海堂「俺はな……心の底で、ずっとお前を尊敬してました。本当はな、本当はお前みてぇに生きてみたかったんだよぉ!!」

木場「下らない…」


長田結花非業の死によって既に人の心を捨ててしまった木場は冷たく言い放つ。怒りに駆られた海堂は木場を殴りつけ、スマートバックルを投げ捨てて絶交を言い渡した。

その後、スマートブレインを出た海堂は、三原の元を訪れ、彼に協力を要請した。

土下座までして自身にお願いする海堂の姿に心を打たれた三原は海堂に協力することを決め、自分は行けないと花形に伝えた。


花形(もう一度会いたい…… 真理にも……里奈にも……)


そう心の中で呟く花形のもとに、木場が訪れる。

花形は木場に何故彼をスマートブレインの社長に推薦したのか、その理由を説明した。


花形「オルフェノクとは人間の進化形だ。だが、余りにも急激な進化は肉体を滅ぼす。いわばオルフェノクとは死に至る病と同じだ。放っておけば我々は滅びる」

「私が君を選んだのは君が心の底で人間を深く愛しているからだ。オルフェノクと人間は共存出来ない。君は滅びの道を選ぶ勇気を持っているはずだ。人間のために……」

「……それにしても皮肉なものだ。私が以前送った3本のベルトは、オルフェノクの王を守るために作られた…そして今、雅人達は何も知らぬまま、あの少年を守っている」


全てを聞かされ呆然とする木場。

話を立ち聞きしていた草加は、照夫こそがオルフェノクの王であると確信する。


その頃、再びスマートブレインを訪れた三原と海堂は、ライオトルーパー部隊の1人にベルトの返却を要求する。が、隊員は問答無用でライオトルーパーに変身する。

三原と海堂もそれぞれデルタとスネークオルフェノクに変身し、交戦。2人は中々のコンビネーションでライオトルーパーを追い詰めていく。


一方、花形は真理と里奈のもとへ向かっていた。

だがそこへ、草加が立ち塞がる。


草加「真理には会わせない……あんたに会う資格は無い!」


カイザギアを装着する草加に花形は警告する。


花形「止せ!前にも言ったはずだ!お前はもう変身してはならない!それに私と戦う必要は無い!」


花形は隠していた片腕を見せる。

その腕は灰色に変色しており、やがて花形の顔も灰色になり崩れ落ちていく。


花形「これでいい……」

草加「父さん…」

花形「お前は生きろ……雅人……」

草加「父さん…!」


やがて花形は灰となって崩れ去ってしまった……。

草加は灰となった花形の亡骸を握り締め悲しみに暮れる。

恨んでいたとはいえ、それでも父親としての親愛を草加は捨て切れなかったのだ。

やがて、花形の想いを受け継いだかのように立ち上がり呟いた。


草加「俺は、生きる…。生きて、戦う…!」


そして、草加は自身の敵である「オルフェノクの王」こと照夫を倒しに向かった。


同じ頃、地下駐車場に逃げ込んだライオトルーパーを追い掛けてきたデルタとスネークオルフェノクだが、ライオトルーパーの増援が来たことにより一気に劣勢となり、三原に至ってはライオトルーパーの攻撃でデルタギアが外れて変身が解除されてしまう。

スネークオルフェノクは巧を呼ぶように、三原に指示する。

三原はライオトルーパーの攻撃を躱しながら、巧に電話で助けを求める。



一方、照夫=オルフェノクの王の元へ向かう草加。

すると、電話が掛かってきた。電話の相手は木場、その内容は……!



木場「園田真理は預かっている。助けに来た方が良いんじゃないのかな?」



木場は、草加が王を倒そうと知るや否や、先回りして真理を誘拐していたのだ。

オルフェノクの王は倒したい、だが自身にとって最も大切な真理が危ない。

草加はすぐさま真理のもとへとサイドバッシャーを走らせた。


一方、ライオトルーパー軍団に苦戦するスネークオルフェノクと三原。三原は落としたデルタギアを拾おうとするが、ライオトルーパーの1体に蹴り飛ばされてしまう。

そこへ漸く三原からの電話で呼ばれた巧が到着。蹴り飛ばされたデルタギアを三原に渡す。

その隙を突いてライオトルーパーの1体が2人に斬り掛かるが、間一髪スネークオルフェノクが受け止め、この隙に巧はファイズに、三原ももう一度デルタに変身した。

巧が加勢したことで再び形勢逆転。

アクセルフォームに変身したファイズの「強化スパークルカット」によってライオトルーパー軍団は全滅した。



人気の無い海岸。そこに木場の乗った車が到着する。

後部座席には意識を失った真理がいた。


草加「木場、貴様ァ…!」

木場「やっぱり来たか」


激昂する草加を鼻で笑う木場。更にはラッキークローバーの3体も現れた。

カイザギアを装着し、変身しようとするが花形の言葉が脳を過ぎる。だが草加は迷わずカイザへと変身する。

3対1という状況でありながら、必死で激闘を見せるカイザ。だが遂に彼の肉体に限界が来てしまい、カイザブレイガンを持っている手が灰化し始めた。

それに動揺した隙を突かれ、カイザは劣勢に追い込まれた。そしてそのままドラゴンオルフェノクの攻撃で吹き飛ばされてしまい、変身解除に追いやられてしまう。


苦しそうな表情を浮かべながら草加は必死にカイザギアに手を伸ばそうとするが、彼の手は更に灰化していく。更にドラゴンオルフェノクの追撃によって、草加は波打ち際まで吹き飛ばされてしまう。瀕死の状態になりながらも、生きようと逃げる草加。

その後ろで、誰かが草加と一緒に吹き飛ばされたカイザギアを拾い上げた。


そして、防波堤に倒れ込む草加。もう起き上がる力も残っていなかった。


草加「死んで……堪るか……」


息も絶え絶えな草加の耳に、意識を取り戻し彼を探す真理の声が響く。


真理「草加君!草加君!」


しかし、真理は草加が倒れている横を素通りして行った。


草加「ま…………り………」


声すらまともに出せないほどに衰弱した草加は、それでも真理に気付いて貰おうと足搔き続ける。


だがそこへ、何と自分が先程まで変身していたはずのカイザが現れた。

そして、草加の首を掴み上げ……、

鈍い音と共に草加は崩れ落ちた。


その頃、真理から連絡を受けた巧は三原や海堂と共に草加のもとへ急いでいた。


巧「待ってろよ草加…!草加!」


その頃、草加が完全に絶命したことを確認すると、カイザは変身を解除した。カイザに変身していたのは木場だったのだ。

木場は惨めに転がる草加に嘲りと侮蔑に満ちた笑みを浮かべながら、カイザギアを持ったままその場を立ち去った。


木場が立ち去ってから間もなく、草加の死体は完全に灰となって崩れ落ち、波と海風によって肉骨粉すら残さず消し飛ばされた……。


真理「草加君!草加君!草加君!」


真理は、ずぶ濡れになりながらも懸命に草加を探し続けていた。

その草加が肉片すら残らずこの世にはいないということも知らずに………。



余談編集

今作を通して一貫してきた『オルフェノクの撲滅』という目標を果たすことが叶わなかっただけにいざしらず、登場当初から敵意を向け、時には欺き、陥れてきた木場による謀略に嵌められる形で意趣返しを受け、自身の力の象徴ともいえたカイザギアを奪われ、更にはほんの目の前まで近づいていたにもかかわらず、自身が全てを賭して守ろうとしていた最愛の人物=真理に気づいてもらえず、彼女に看取られることなく、最期はわざわざカイザの姿に変身した憎きオルフェノクである木場によってトドメを刺されてしまう…という草加にしてみれは何一つ報われず、お世辞にも戦士の散り様としても美しいものとは言い難い哀れな末路を遂げてしまったが、これまでの彼の劇中の言動や行動を考えてみると「当然の報い」「自業自得」感も否めなくはなく、そんな草加の最期を物語った今話のサブタイトルは、脚本家の手腕が光った実に皮肉が効いた題名であるといえる。


とはいえ、余りにも悲惨な退場の仕方や、皮肉にもその直前にラッキークローバーとの勝ち目のない戦いに挑まんとする際に見せた『草加史上最高に格好いい』と目された変身シーンとの落差などから、歴代ライダーの殉職シーンの中でも、とりわけファンの間で特に印象に残った最期とも言われている。


一方で、この話において海堂を騙し、巧と完全に決裂し、卑劣な手段で草加を死に追いやった木場に対する視聴者からの評価も大きく下がることとなり、中には木場の行いに対して「(草加と)同じ穴の狢ではないか」とする意見もあり、彼にもまた因果応報とも呼べるべき結末が待ち構えていた。


公式小説『異形の花々』では草加は更に無残な最期を迎えることとなる(仔細は親記事を参照)。一方で映画『仮面ライダー大戦』ではファイズと共にアークオルフェノクと戦って死んだことになっているが、これは『草加を助ける事ができなかった巧が密かに懐き続けていた罪悪感や後悔が、彼に取り憑いた悪霊によって更に改悪化されたもの』という裏設定がある。


有名なエピソードとして、草加が死ぬことは最初から決まっていた様だが、脚本の井上敏樹は草加役の村上幸平氏に「誰に殺されるのが嫌?」と聞いたところ、村上氏が「木場」と答えたことから、この回に至ったという噂がある。


....と今までは言われていたのだが、実は井上氏が2024年のインタビューで語った話によると、最初から草加は木場勇治に殺される結末になるように決めていたらしい。

(『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』インタビューより。)

つまり、たまたま村上氏と意見が一致しただけとのことである。実際その話を踏まえてみれば、そもそも序盤から草加は木場に殺されることを示唆する台詞があったり、草加が木場を陥れる展開が多かったりと、明らかにこの結末になるようストーリーが作られている部分はある。


村上氏はそのことを特に知らなかったため「(一番殺されたくないのは)木場って言ったじゃねぇかよ! い~の~う~え~!!」と思わず恨み節を零し、「正直に答えた自分がバカだった…」「(魂胆が分かってたら)適当に『巧』とでも言っときゃよかった…」と自嘲するなど、相当後悔することとなったが、そんな村上氏の恨み節が井上氏の耳に入り、自分の予想以上のリアクションをしてくれた村上氏に俄然興味を抱いた井上氏は、騙してしまったことに対する罪滅ぼしも兼ねて、彼を自宅に招いて、自作の手料理さで饗したといい、皮肉にもこれがきっかけで2人は更に親密な仲になった。

だが、後年井上氏と入魂になった後も、村上氏はこの時のことを「まだまだ井上敏樹という人が、どんな人間か分かっていなかった」と度々回顧している。よっぽど悔しかったようだ…。


因みに、村上氏本人の一番理想的な草加の最期として『仇として花形か北崎と相打ちになって死亡する』ことを望んでいたことを後年インタビューで打ち明け、後者の案は実際に井上氏にも打診してみたが『(草加と北崎との)パワーバランスが釣り合わないから無理』と一蹴されてしまったという。

花形は前述の最期を遂げ、北崎は草加が散々嫌っていた巧と何かと厳しい一面を見せていた三原に重傷を負わされ復讐とばかりに琢磨に痛めつけられアークオルフェノクに貪り殺される末路を迎えた。


関連タグ編集

仮面ライダー555 草加雅人

井上敏樹

みんなのトラウマ お茶の間の良い子号泣シリーズ


帝王トランザの栄光皇帝の握ったものガラスの幸福:それぞれ井上敏樹大先生が手掛けた日本の特撮史に残るトラウマ回。それぞれ井上氏らしい皮肉が効いたサブタイトルとなっている。


えんができたな:当回とは真逆に村上氏が演じたキャラクター他の人物から変身するための力を強奪し、殺害するという展開がある。


エマリー・オンス:退場回のサブタイに「散華」が付くキャラクター。


最後の3日間雅人、散華滅びへの序章

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