前後のストーリー
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さいごのおもいで | 今回 | 我は王なり(王様戦隊キングオージャー) |
予告
じかーい、じかい
「ん?今俺を見たな?これがドンブラザーズ最後の祭りだ!悩みなんざ吹っ飛ばせ!これでお前たちとも!」
ドン最終話「えんができたな」
「めでたしめでたし。」
概要
スーパー戦隊第46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ドン最終話。2023年2月26日に放送された。かつてとんでもないミスリードがあったのだが、今回は正真正銘の最終回である。
あらすじ
桃井タロウは仲間達の元を訪れ「ドンブラザーズに入ったことをどう思うか?」と聞いて回っていた。はるかたちはそんなタロウに異変を感じる。介人によると「仕事を終えたタロウにあることが起こっている」らしい。そんな中、処刑人のソノナとソノヤが現れ……
最後の主なドンブラ中毒
- 冒頭ではるかの新作マンガが大賞を受賞し、表彰式に「タロウ以外」の全メンバーが出席する。その新作とは「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」として戦い続けた自らの日々を元にした「真実の物語」であった。決して盗作などと謂われることのない、紛れもなくはるかにしか描けない作品である。ドン1話で陣から言われた通り、ドンブラザーズとして活動したことで、見事失ったものを取り戻したのだ。
- 前回から物忘れが酷くなって明らかに様子がおかしいタロウ。まるで別れ話のようにオトモ達に質問を投げかけていく。「ドンブラザーズになった事を後悔しているのか」と……
- はるか「ぜーんぜん!そりゃあ最初は死ぬかと思ったし、地獄だったけど……タロウとかみんなと知り合えてさ、みんな変な人ばっかでホント笑えるし。私……ドンブラザーズになって、前より人間が好きになった気がする……かな」
- 真一「こんなことを言うのは少々照れるが、いい勉強をした。ほら、あの雲。風のままに流れ、消える。まさに理想の境地だが……いくら手を伸ばしても雲には届かない。そう思い知った……だから、感謝しているよ」
- 翼「呆気ないもんだ……あれほど求めた女なのに、結局手が届かなかった……何もいい事がないぜ、俺の人生。これも、ドンブラザーズのせいか?だが、不思議だな……俺はドンブラザーズでいたい。俺は戦う。誰かを愛している者の為に、誰かに愛されている者の為に……!」
- つよし「や、やめてくださいよそんなの!僕は、ドンブラザーズなんですから!……はい、僕の……誇りです!これからも、人々を守る為に生きようって、それが……自分を救う事になるような気がして……構いませんよね、自分の為に戦っても」
- 盗作扱いされたり、慣れない仕事で火傷したり、逃亡生活を強いられたり、ヒトツ鬼になったり、いろいろな事があった一年。しかし皆、ドンブラザーズになった事を後悔しておらず、人々を守る役目に誇りを感じていた。お供達の答えを聞いたタロウは「そうか、よかった」と淋しげに微笑む。
- 「“何の目的で”、“一体何と戦っているのか”」がわからないからこそ、「明確なる共通の敵がいたから利害のもとに仕方なく協力していた」という理由には絶対にならないのがドンブラザーズである。
- あれほど恋い焦がれ、命懸けで獣人の森から救出した夏美は、なぜ指名手配されているのか、何を隠しているのか、頑なに口を噤む翼が信じられなくなり、遂に翼の元を離れてしまった。夢の伏線もあったとはいえ、ほぼ全編に於いて彼女を追い求めていながら、失うのは一瞬だった。
- 夏美の質問に対し「説明してもわからない」と突き放したり、言いたい事があると言われれば「言わなくていい、お前のことはなんだってわかる」と対話を拒否する翼。当初のキャラクター紹介にあった利己的で他人を信用しない一面が、ここに来て悪い方向に働いてしまったのだろうか……
- タロウの異変に違和感を覚え、マスターに相談したお供達は、驚愕の事実を知らされる。ソノイ達が仲間になり、本来の自分の後継者であるジロウが成長した今、タロウの役目は終わり、休む時が来た。記憶を一新して、新たな人生を歩むというのだ。今までの事も、お供達との思い出も全て忘れ、戦いとは無縁の穏やかな人生を。
- タロウを召還し、普通に牢屋から出て一緒におにぎりを食べる陣。タロウを育てた罪かつ獣人を出さないために存在していた牢屋も、タロウによって獣人が平定された今なら、もはやその役割などいらなかった。しかしタロウはもう、育ての親の陣の顔すら覚えていない……
- それがいっそう伝わってくるのが、点数をつけることなく、ただ「美味い」と感想を口にするタロウの描写である。
- 最終回のラスボスに相応しく、脳人最強の極悪処刑人コンビが襲来。今までの数々の悪行のツケが回ってきて、抵抗虚しく2人に変身能力を剥奪されてあっけなく処刑されるソノゴとソノロク。最終回しか変身しないキャラに専用スーツを用意する予算はなかった模様。
- 街中で行われている結婚式に乱入し、例によって消毒剤を散布するソノシ。最終回?結婚式?……うっ、頭が……。そして案の定狙われ、ソノニとソノザにどの面案件の救助要請をするが、2人が反応する間もなく追ってきたソノヤに斬り捨てられる。ソノヤの中の人の変わらぬ邪悪な笑みが素敵。
- 更にソノナとソノヤはそのままソノニとソノザを狙う。どうやらイニザの離反とシゴロクの体たらくにしびれを切らした元老院の指令で、人間界の脳人を総粛清するのが目的だったようだ。
- タロウの最後の思い出作りにと、一緒におでんを食べに行くお供達。同席している面々が誰なのかわかっていない様子のタロウに、ソノイは「鬼頭はるか、漫画を描く」「雉野つよし、気が弱い」等々、お供達の名前と特徴を耳打ち。しかし記憶が消える速度は次第に加速し、タロウは隣にいるソノイの事すらも忘れていた。
- やりきれない思いのソノイだが、もう無理に思い出させるのはやめて、「いいものですね、おでんというのは。こうして"偶然"同じ席に着いても、心が和む」と微笑み、タロウも「ああ、いいもんだ」と笑った。もはや『偶然同席した誰か』でしかないとしても、ただタロウにおでんを味わってもらいたいというソノイの心遣いにお供達もしんみり。何この粋な悪役。
- その最中、ソノニの矢文で緊急事態を察したソノイはソノザ達と合流し、「タロウは今、仲間達と最後の時間を過ごしている。邪魔はさせない!」と戦闘開始。何このシビれる悪役。一方、抜け殻のように配送員の業務に戻るタロウを、他のメンバーはただ見送るしかなかった……
- 脳人三人衆は、いつの間にかいつもの採石場で劣勢状態。そこへ、ジロウをセンターに据えた新生ドンブラザーズ(一軍?)が駆けつけ、加勢する。そして、ソノヤに粗雑に扱われていたドンムラサメ(ムラサメソード)も、遂に自らの選択で反抗の意思を見せ、ドンブラ側と共闘。
- 一方、いつの間にか喫茶どんぶらに赴いていたタロウは、マスターから「君に読ませてくれと作者から頼まれた」と、茶封筒を渡される。それははるかが描いた、これまでタロウと共に過ごした思い出が凝縮された漫画の原稿だった。ただ最後の一枚絵、ドンモモタロウが名乗るコマは吹き出しのセリフが空白になっており……
- 処刑人の猛攻で窮地に追い込まれたドンブラザーズだが、「ハーッハッハッハッハッ!」と懐かしい高笑いが響いた。そして最終話に相応しく、天女・お神輿・エンヤライドンのフルセットを携えて、呵呵大笑しながらドンモモタロウが登場。「情けないぞ、お供達!!立て!!名乗りだ!!」勇気づけられた一同は、最初で最後の超豪華バージョンの名乗りを上げる。
「清廉潔白完全主義、ソノイ!」
「美しい花には刺がある。愛を知りたい、ソノニ!」
「思い込んだら一直線!ソノザ!」
「ジョーズに目覚めた、ドンムラサメ!」
「浮世におさらば、サルブラザー!」
「マンガのマスター、オニシスター!」
「逃げ足ナンバーワン、イヌブラザー!」
「トリは堅実、キジブラザー!」
- しかし最後に残った大トリのドンモモタロウは棒立ちのまま。もしや自分の名前も忘れてしまったのかと、固唾を呑む一同。だがタロウは思い出した。今名乗るべき自分の名前を、お供達と共に名乗ってきたセリフを。先刻見ていたはるかの漫画の空白の吹き出しに、セリフが浮かび上がった。
「桃から生まれた!ドンモモタロウ!」
「暴太郎戦隊!」
『ドンブラザーズ!!』
- 名乗りの波動で先制攻撃を食らいたじろぐソノナ・ソノヤ。「さあ楽しもうぜ!」とタロウはザングラソードのギアディスクを回しに回して思い切りパワーを溜め、処刑人の合体攻撃にもお構いなしに突っ込んでいき必殺奥義・アバタロ斬で一蹴。見事勝利を収めた。
……が、ドンモモタロウは爆炎の中、忽然といなくなってしまう。
はるか「そして、タロウは私達の前から姿を消した……」
- 最後の戦いの後、それぞれの日常が描かれる。
- 翼は同じくお尋ね者となってしまったソノニと共に逃亡生活。しかも報奨金が1500万円にまで跳ね上がっている(ちなみに現実の日本の報奨金制度の最高額は1000万円)。走りながらも、ソノニの顔がちょっと嬉しそう。
- そして今回も手配写真が撮り直されている。だから以前の被疑者写真どこいった。
- つよしはいよいよ引っ越しの最終段階に入ったが、そこに夏美が現れ、「あの……2人で、夢の続きを見ませんか?」と提案される。当初は荷物を落とし、戸惑うばかりのつよしだったが、数ヶ月後の描写を見るとつよしの左薬指に指輪があるのが確認できる。
- 真一は相変わらず、雪降る中で和傘を差しながら俳句を詠む。その際、プール内ですら外さなかった、言わば彼の代名詞でもあったネジネジをついに外して放り投げ、自身の詠んだ句(のテロップ)にぶら下げる。彼なりに、未来へ歩んでいく決意の表れなのだろうか……
- ちなみにその句は「去る君の 足跡見えず 雪の夜」。
- 翼は同じくお尋ね者となってしまったソノニと共に逃亡生活。しかも報奨金が1500万円にまで跳ね上がっている(ちなみに現実の日本の報奨金制度の最高額は1000万円)。走りながらも、ソノニの顔がちょっと嬉しそう。
- そして、日本漫画大賞を受賞してからも、はるかはソノザ編集長と共に執筆に精を出していた。そんな中……
「えんができたな」
めでたし、めでたし。
余談
スーパー戦隊シリーズの最終話としては、『秘密戦隊ゴレンジャー』以来となる純然たる一話完結形式。
前作の最終回は敵組織壊滅後に真の黒幕と戦う延長線的な位置づけだったが、本作は前話で前振りこそあったものの、殆ど単発のエピソードである。
最終的にチームとして名乗りを上げた10人だが、追加戦士のドンドラゴクウ(ドントラボルト)と商品展開主導での追加キャラクターであるドンムラサメを除けば、実はドン1話開始前の東映HPキャラクター紹介に掲載されているメンバーだけで構成されている。
なお、この名乗りによって『炎神戦隊ゴーオンジャー』から約14年間続いていた素面名乗りの連続記録が途絶えることとなった(というか元々そんな真面目に名乗らなかったし)。
ちなみにドンムラサメの名乗りはこれが初めてであり、実質最初で最後。Vシネや劇場版でまた見られる日を期待しよう。
はるかが描いた漫画版「ドンブラザーズ」の原稿の中にカブトムシのギィちゃんが含まれていたのは、次回作『王様戦隊キングオージャー』に対する昆虫繋がりのファンサービスと思われる。実際、シュゴッドにはカブトムシモチーフのゴッドカブトがいたり、シュゴッダムの王の名前の由来はヘラクレスオオカブトである。
かつて30分前の番組の最終回の日に便乗して、『最終回』と銘打たれた総集編をやったドンブラザーズだが、この回の30分前では『緊急特番』扱いでの総集編が放送されていた。一応、番組そのものより劇中劇の総集編ではあるが、ドンブラに浸りきってしまった大きなおともだちには「どこかでドンブラ最終回に関する発言が出てくるんじゃね?」との予想がされた。
クライマックスの日本漫画大賞授賞式のシーンでトロフィーを渡し役として登場する冗談社社長を演じているのは50話ぶっ通しで視聴者をカオスの世界に引き込んだ張本人・井上敏樹御大その人である。スーパー戦隊シリーズにおいて脚本家本人が顔出し出演するのは井上氏が初。なお、過去には仮面ライダー555の最終回にて工事現場の監督として出演しており、スーパー戦隊でも同じチョイ役登場と相成った。番組スタッフにも事前に知らせておらず、サプライズだったという。
マザーとムラサメについて東映HPでは「でもどうやら、まだまだお二人の声は日曜日からは離れないようですから(?)」という中の人ネタが(しかも一方は他局)。
ちなみに激走戦隊カーレンジャーの志乃原菜摘を演じた本橋由香は2024年5月31日に亡くなった為、戦隊シリーズ 及び、特撮番組の出演は最後となった。
未回収の伏線?
物語は完結を迎えたが、細かく指摘してしまえば以下のような未回収・未明のままとなっている伏線や謎も存在している。
- ヒトツ鬼を倒し歴代戦隊のギアを集めていた理由とは?
- 脳人監視隊が度々、人間を脳人レイヤーに拉致していた理由は?そして、その人達はどうなったのか?
- アノーニが人間に擬態しながら人間界に潜伏していた目的は?
- 元老院とのいざこざは?
- マザーとは何者だったのか?
- 意味深な失踪を遂げた花村ひとしの安否や、鶴の獣人である可能性を示唆させていた花村静香の真相、その後の動向は?
これらを纏めて回収することも出来たかもしれないし、作品のテーマを磨き上げる為に細かくまでは回収しきれなかったというのもあるかもしれない。しかし、『余白を残す』という形によって最終回後でも視聴者が予想や考察で取り上げて話題にもなり、作品としても「ストーリーは終えたが、タロウ達は平穏に暮らし、いつかまた戦う時もくるかもしれない」という終え方により強調を持たせている……かもしれない。
マスターの正体に関しても「只者ではない」以外の回答は出されなかったが、逆に言えばそれ以上は無いという『語らない美学』としての回答とも取れる。それでも気になるものに関しては、今後Vシネマなどで明かされるかもしれないことを期待して待つのも、自ら考察してみるのも一興だろう。
設定各種が、もしも物語に欠かせない主軸ではなく、人間ドラマを作るうえでの仕掛けの1つであれば、タロウの「嘘をつくと死んでしまう体質」や、真一の「人に空想を見せる能力」のように、回収すべき伏線というよりは一種の背景に近い。
実際、「物語としての謎」は数多く残しつつも、上記の人物関係を見ればわかるように「人間ドラマとしての伏線」はかなりきっちり回収した、本作らしい締めくくりがなされた。戦いの本質が独特な本作において、この最後の戦いでさえ、それは宿敵との決着を描いたものではなく、タロウが生きることを描いたものであった。
さようなら、全ての暴太郎
かくして、ドンブラザーズ本編はこうして落ち着くところに落ち着き全てが丸く収まる形で完結したのだが、これで「作品としての『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』そのもの」が完結した訳でもない。
2023年4月にはファイナルライブツアーも開催されるし、上記の通りVシネクストの「ドンブラザーズVSゼンカイジャー」の制作も決定している。
それを表すかのように「目指すはめでたしドーンとハッピーエンド!」と歌われてきたエンディングテーマ「Don't_Boo!_ドンブラザーズ」ではなく、オープニングテーマ「俺こそオンリーワン」がラストを飾った。
これからもドンブラザーズは、多くの物や人と縁を結び続けるだろう。
ディレクターズカット版
2023年5月3日10:00から東映特撮ファンクラブでディレクターズカット版が配信された。
関連タグ
俺の世界、みんなのセカイ←えんができたな→俺様たちが世界を支配する
仮面ライダーリバイス:こちらも終盤で主人公の記憶に関係している縁が出来た。更に、その影響を受けてなのか……。
仮面ライダーギーツ:実はこっちでも一時的とはいえ主人公の記憶の喪失が起こっていたが、こちらは自力で戻した。ただし、これは作中ゲームの敗退による仕様であり、記憶を戻す方法も判明している。
新番組予告
これは、地球の平和を守る王たちの物語。
新番組『王様戦隊キングオージャー』3月5日日曜、午前9時30分スタート!