天高くひろがる勇気!キュアウィング!
CV:村瀬歩
概要
『ひろがるスカイ!プリキュア』第9話から登場するプリキュア。夕凪ツバサが変身する。
イメージカラーはオレンジとされているが(→橙キュア)、黄キュアの要素も併せ持つ。(→黄キュア)
「夕暮れがモチーフである」とプロデューサーは明言している。
最大の特徴は、レギュラーメンバーとしては史上初の男子プリキュアという点。加えて彼はプニバード族という人間態を持った鳥妖精であり、所謂亜人プリキュアにも該当する。
名前の通り「翼」が題材で、それを持つ生物である鳥類全般がイメージとなっている上、変身者自身も鳥という親和性を有している。
妖精キュアの登場は『キラキラ☆プリキュアアラモード』のキラ星シエル/キュアパルフェ以来6年振りの登場である。
加えて、基本メンバー扱いの妖精キュアは男子プリキュアと同様に史上初であり、人外の基本メンバーは『スター☆トゥインクルプリキュア』の羽衣ララ/キュアミルキーに続いて2人目である。
OPアニメには第1話時点から登場しており、公式サイトでデザインと声優も公表されているが、変身者については第9話まで不明であった。
年齢は12歳ということだが、ツバサは学校に通っていないため、小6と中1のどちらに当たるかは不明瞭。前者だった場合はシリーズでも珍しい小学生プリキュアに当たるのだが…。
容姿
妖精態・人間態では丸まっていた鶏冠が広がったアホ毛と、鳥の尾をイメージした足元まで届く細いアンダーポニーテールが特徴で、不死鳥の様な印象を与える。
正面から見るとザンバラなショートヘアで少年らしい印象を与え、歴代の赤キュアに通じる特徴を押さえている。
コスチュームは変身者の苗字と相まって、夕暮れを思わせるカラー。
後述のように男子プリキュアである点を考慮したためか、キュロット(ショートパンツ)タイプの衣装であるが、右腿には妖精時につけているリボンタイが巻かれている。
戦闘スタイル
本作中のプリキュアで唯一浮力に加えて推力と自在滞空を伴った飛行能力を持ち、素早く飛び回り相手を攪乱させながら、ヒット&アウェイの格闘を仕掛ける三次元戦闘を得意としている遠距離肉弾戦型である。
無論空を飛ぶ敵に対しては、他のメンバーより強いアドバンテージがとれる。
飛行自体は人1人を抱えながらでも支障がない程可能であり、自身へのリスクを伴う超低空飛行をもそつなくこなし、これらの能力を併せて仲間や民間人を救助する事がある。しかしながら変身者が最年少で小柄だからか、単純なパワーはやや劣る典型的なスピードスタイルである様子。
戦闘勘は秀でているようで、自身の飛行能力を活かした交戦手段を持つ一方、上述のように膂力に欠けている故か単純明快な戦闘は不得手に見える。他方、戦闘よりスケールの広い戦術面においては上述の戦闘勘と変身者の向学心の賜物が併さって開化しており、特徴の一つを成す。場況と敵を分析し、自身の飛行能力を活かした幻惑攪乱行動を取り、仲間の能力を把握した上で彼女達に援護行動を要請、変身前諸共何かと行動を共にする事が多いバタフライには「僕を頼ってください!」と働きかけ、果てはスカイやプリズムにも「後は任せた!」「今です!!」等と浄化技発動の合図を発出する司令塔要員ともなる戦術家である。
基本的には敵を攪乱させてチャンスを作り、スカイとプリズムによるフィニッシュに繋げる事が多い。その一方で自身が人間とは異なる種族たる事を活かしたであろう超変身能力を宿しており、後述のプリキュア・タイタニック・レインボーアタックにて有無を言わせずランボーグを浄化する事もある。
キュアマジェスティ加入後はプリンセスである彼女を守ることにこだわりを見せるものの当初は彼女の高い能力に逆に助けられる事もあり、もどかしさを感じていたが、後半ではキョーボーグに捕らわれたマジェスティを救出することに成功するなど実力も向上していった。
持ち技
夕焼けの空をバックに、飛行しての全力突撃を行う浄化技。ランボーグの機体を貫通して手負い若しくは浄化へと導くが、仲間や民間人等の生命体に誤撃した際は物理ダメージを与えてしまうリスクを孕んでいるようである。名前の通り、貫いた相手には大きな翼のエフェクトが広がる。
男の子なのでヒーローガールではないからなのか、スカイやプリズムと違って「ひろがる」の部分を伸ばさずに発声する。
第40話にてツバサとエルが結婚。アンダーグ・エナジーに囚われたキュアマジェスティをこの技で救出、ウィングとマジェスティは深い絆で結ばれる事となった。
キュアバタフライとの合体技。ウィングはバタフライが持つミックスパレットの力で巨大な火の鳥に変身し、そのままカッコよくキメる…のかと思えば虹色の巨大なプニバードに変身し、ランボーグをプレスするという可愛らしいオチのついた技になった。
ウィング本人は「もっとかっこいい技が良かったです。途中まではいい感じだったのに…」とやや不満な模様。
掟破りとなったシリーズ初の「男子プリキュア」
主人公が青キュア、過去に妖精役に起用した人物をプリキュア役として再起用と様々な前例を破って来た本作だが、「メインキャラクターとして男子のプリキュアが登場且つ担当声優も男性が起用される」と言うこれまでにない展開を迎える事になった。
これまでの男性プリキュアと言うとキュアゴリラ・キュアセバスチャン・キュアファイヤーの様にコミカルに描かれたり、キュアアンフィニのようなゲスト戦士等あくまで非レギュラーのキャラであった(特にキュアアンフィニの誕生は驚きと歓迎の声をもって迎えられ、ニュースサイトでも取り上げられるほどに)。
また、前作であるデリシャスパーティ♡プリキュアにはプリキュアたちのサポーターとしてローズマリーやブラックペッパーの男性キャラクターが年間を通してのレギュラーキャラとして登場。男性キャラクターとしては異例のグッズ展開も成されるなど新しいことに挑戦する土壌作りは既に出来上がっていた。
プリキュアの生みの親である鷲尾天氏は「以前、いずれ時代が過ぎれば、プリキュアは女性に限らなくていいというお話をした※1 気がしますが、もしかしたらこのタイミングなのかなと。新しいイメージ、新しいキャラクターをどんどん入れていっていい。今年は20周年の節目でもあり、皆さんのご理解を仰ぎながら、男子のプリキュアを誕生させた」と話している。
※1「女の子たちに熱狂してもらえるなら、変身しなくてもいいし、アクションをしなくてもいい。男の子が仲間に加わってもいいとまで思っています。女の子たちがちゃんと喜んでくれる作品になっているなら、『プリキュア』も変わっていってもいいと思うんです」
(講談社『プリキュアコレクションふたりはプリキュアマックスハート(上北ふたご著)』鷲尾天独占インタビュー)
事実、近年はジェンダーによる価値観や固定観念も変わりつつある時代に差し掛かっており、プリキュアに限った話で言ってもシリーズを積極的に見る男児層が以前に比べてかなり増えた(※2)。「もう男子でもプリキュアを見ていることを人前で恥ずかしがらなくて良い」「男の子でもプリキュアを好きでもいいし、プリキュアになりたいと思っていい」という考えが主流になりつつある中で、彼の存在は男児ファンという新たな層を爆発的に獲得する決定打になったと言えるだろう。
ちなみに、先述のキュアアンフィニの登場回では主人公が「いいんだよ!男の子だってお姫様になれる!」と励ますシーンがある。
※2…時代の変化の他、初期のプリキュアを試聴していた層が20年近く経って母親になったために流れで視聴しているという事情もあると思われる。
ところが、そんな鷲尾氏や制作陣の想いやファンの声がある一方、最大のスポンサーであるバンダイの商品開発は非常に消極的であり、プリキュアコスチューム(通称「プリチューム」)はキュアウィングだけハブられる形となり、キュアウィング好きの男児が悲しむ事態が発生。
これは男児向けのコスプレ衣装の売上予測が不透明な以上、採算が見込めない場合を危惧した結果による措置だと思われるが、せっかく勇気を持って実現させた鷲尾氏やひろプリ制作陣の想いを無下にするこの事態に対し批判が殺到している(似た様な事例で言うならば、やはり三大特撮ヒーローの女性戦士の商品展開での扱いだろう)。
プリキュア男性キャラの衣装“除外”が物議 ネットに広がる落胆の声「運営さんに届いて」
この対策として、ネットでは「試作品のコスチュームをイベントに置いて対応すればいいのでは?」「試作品のコスチュームを着用して撮影する子供たちを数えた上で、その統計で発売するかどうかを決めるべきでは?」といった意見も提案されている。
なお、このような不遇な事例は他にもあり、キュアウィングのプリキュアスタイル(植毛ドール)もプリチュームと同じく発売されていない、プリキュアコーデドールに関してはキュアウィングとプニバードはあるのに夕凪ツバサのパーツが付属されていない。
また、食玩類においてもアソートに偏りがあり、1箱内が8個or10個のものでも各キャラ×2ではなく、ウィングは1つしか入っておらず、スカイ・バタフライ・マジェスティのいずれかが3個入っているようになっている。
お陰で逆に入手難易度が上昇し、キュアウィング難民なる言葉が出たり、転売ヤーに狙われてしまったりなど、総じて玩具面でどこか可哀想な扱いを受けてしまっている。
- この件で、過去のプリキュアシリーズで玩具面で不遇な扱いを受けたプリキュア(この件とか)のファンの怨嗟の声が掘り返される事となり問題の根深さを物語っている。
……………と物議を醸していたらプレミアムバンダイで無事販売が発表された。9月に予約開始。
また、この騒動の反省を活かして、プリティストア各店舗では、9月15日より『ひろがるスカイ!プリキュア』の全キャラ(スカイ・プリズム・ウィング・バタフライ)勢揃いのなりきり衣装で撮影ができるフォトスタジオを鋭意準備中。
一方で、騒動から発表までの期間が短かった事から「水面下では準備が進められていたが、上述の批判を受けて慌てて発表したのでは?」という意見もあった。
関連イラスト
関連動画
余談
イメージカラーについて
ビジュアルが発表された後、唯一ひろプリメンバーの中で彼だけ何キュアなのかが曖昧になっていたことがあった。
全身オレンジ、というカラーリングや赤みがかっている点はキュアサニーに近しかったため、同じように赤キュアの分類に入るのか、オレンジであっても衣装に黄色の要素はあるから黄キュアの分類に入るのか、それとも容姿通り橙キュアになるのか、一体どこに入るのか気になっていた人が多かった。
彼のデザインを見ると一番目立つのは先程の通りオレンジ色だが、従来ではオレンジ色が衣装に多めに使われていても、別の色(黄キュア、赤キュア)に分類されていたプリキュアしかいなかった。
しかし最初の概要にもある通り、プロデューサーの鷲尾によると『キュアウィングのオレンジは、夕暮れをイメージしています。』と明言しているため、メインカラーはオレンジで初の正規の橙キュアとなった。
そしてもう1つ注目したいのが2023年2月8日発売の、プリキュアオールスターズ さがして!プリキュアという公式の本で、彼は橙キュアだが黄キュアに分類されていた。更に変身シーンでも、黄色いハートなどのエフェクトが入っていたり、衣装にも先程の通り黄色い部分は無い訳ではないので、黄キュアでもあるといえる。
なので、このことから彼は「オレンジ主体の黄キュア」、つまり「橙キュア/黄キュア」と言うのが妥当だと言える。このことは黄キュアのメンバーの欄も参照。
名乗りについて
各プリキュア(キュアスカイ、キュアプリズム、キュアバタフライ)の名乗りには本人の名前を連想させるものが多いが、
- 例
- 無限にひろがる青い空……スカイは空の英語。
- ふわりひろがる優しい光……プリズムは光を屈折させる多面体
- アゲてひろがるワンダホー……アゲハチョウ
これらに対してキュアウィングは「天高くひろがる勇気」と特に名前から連想させる名乗りでは無い。
後に登場したキュアマジェスティの「降り立つ気高き神秘」も名前から直接連想させる名乗りでは無いが、マジェスティの意味である尊厳をある程度理解出来る内容となっている。
関連タグ
戦隊ヒロイン(モモレンジャー):性別は逆だが同じ立場と言える存在。
DancingStarプリキュア:シリーズ初の男性だけのプリキュアチーム。
歴代3号キュア
キュアヤムヤム←キュアウィング(→キュアソウル)→キュアニャミー
歴代黄キュア
キュアヤムヤム←キュアウィング(→キュアソウル)→???
歴代橙キュア
キュアウィング→???
歴代男性キュア
(キュアアンフィニ→)キュアウィング→???