CV:加隈亜衣
概要
7月16日生まれのAB型。この日は語呂合わせから「虹の日」に制定されている。
料理や自然の知識が豊富でとても物知り、そして心優しい少女。
幼なじみの聖あげはや同級生から「ましろん」という愛称で呼ばれている。
プリキュアシリーズ初の異世界人と地球人の混血キュアでもある。
人物像
普段は心優しく時にはツッコミ役に回るキャラでもある。
料理や自然に関する造詣は深く、弁当を持ってくるに当たりプロ並みの創作パンを焼き、山に出れば愛好家でも苦慮する毒キノコの判別が可能など、中学生離れしたスキルの持ち主である。
ただ本人はあまり自己評価が高くなく「これといって得意なことがない」「学校のクラスメイトと違って特に将来の夢があるわけではない」ことに苦悩している。
容姿
ピンクがかった薄い小豆色のロングヘアーで、髪の一部を結い上げ後頭部辺りでシニヨンにしており白いリボンを結んでいる。瞳の色は緑。
服装
夏服
家族
虹ヶ丘家を参照。
声優について
加隈亜衣は『ヒーリングっど♥プリキュア』のラビリン以来のプリキュアシリーズ出演である。
それまで過去作でメインのプリキュア・妖精に起用された声優は後の作品に別役で起用される事が殆ど無かったのだが、過去作のレギュラー妖精の声優が別作品のレギュラープリキュア声優として再起用される史上初の事例となった。
『プリキュアオールスターズF』ではラビリンとましろの二役を演じた。
加隈はキャスト発表時のコメントで、
「夢を見ているみたいでした。事務所でマネージャーさんやスタッフさんたちにあんなに祝福してもらったのは初めての経験で、みんなの顔をちゃんと見たいのに涙で滲んでしまいました。『ヒーリングっど♥プリキュア』で一年間、ラビリンの声を担当させていただいたのですが『プリキュア』に関わっていた全ての時間や経験が自分の宝物になったんです。そんな『プリキュア』にまた一年間参加できるなんて…しかも今度はプリキュアとして…。え??夢???と何度もなってしまいますね。大好きな「ヒープリ」チームに「プリキュア」の素敵なところを沢山魅せてもらったので、今度はキュアプリズムとして、一人でも多くの方に「ひろプリ」を楽しんでもらえるように頑張ります!
とても可愛らしくて、柔らかい優しさと温もりを持っている人だなという印象でした。優しさって色々あると思うんですけど、そばにいると肩の力が抜けてしまうような、縁側でのんびり温かい美味しいお茶を飲んでいる時のような安らぎを与えてくれる、ほっこりとした優しさとぬくもりを感じました。わたし自身、ましろちゃんに憧れる部分は多いですが、彼女と悩みが似ていてこれからどうなっていくのか気になる子でした。
お話一本一本に力を感じて、パワースポットなのかな?ってくらい前向きな力を毎週もらえます。『ヒーリングっど♥プリキュア』のときも毎週放送で楽しんでくださる方の反応やグッズを身につけて街中を歩く子達を見かける度に、その想いが届いているんだなと嬉しくなってもっと頑張ろうという気持ちになりました。『プリキュア』シリーズは愛される力も愛する力も持っているところが魅力だと思っています。
みなさんの力に少しでもなれるようにキュアプリズムと一緒に歩んでいきたいと思っています。プリキュアの輪がさらに広がっていくよう願いをこめて。これから1年間よろしくお願いします!」と語った。
各話での活躍
■第1話
- Pretty_Holic』店頭のショーウィンドウにしばし見とれる。「あっ、早くおばあちゃんのおつかい済ませなきゃだよ」我に返ってお買いものメモを眺めながら、「ローズオイルにシナモンスティック…後は干したカエルって…どこで売ってるのかな?それ」と呟いた。
- その目の前に、どこからか1冊の手帳が落ちてきた。さらに悲鳴が聞こえたかと思うと、今度は赤ちゃんを抱いた青いサイドテールの女の子が落下して来た。「そこ!!どいてくださ~い!!!」とか言われても、ましろもすっかりパニクってあたふたするばかり。幸い、なぜか速度が急激に鈍り、大惨事は避けられ女の子は無事着陸した。
- その女の子は「ごめんなさい!びっくりしちゃいましたよね!」と勢いのままに、「誘拐」だの「不思議な穴」だの、訳のわからない事を一気にまくし立てる。更に、自動車やコスメを見たことがないらしく、「ここって魔法の世界~!?」とか言い出した。
- たまらずましろは「ターーイム!!」と叫んで女の子の勢いにブレーキをかけ、一呼吸おいて少し冷静さが戻った二人は、口を揃えて「これ…夢だぁ」と現実逃避。女の子はソラ・ハレワタールと名乗り、ましろがさっき拾った手帳に気付いた。それは彼女が落とした物で、大事な手帳らしい。表紙のタイトルは見た事もない文字で書かれており、ソラが「これはスカイランドの文字で『わたしの』…」と説明したところで、今度は空からカバか豚のような怪人が降ってきた。
- 「夢の中、ほんと何でもありだよ!」その怪人カバトンはソラを見つけて、赤ちゃんを寄越せと要求してきた。さらにショベルカーから怪物ランボーグを生み出して、街は大騒ぎに。ましろはほっぺたをつねって、「普通に痛いよ!これ夢じゃないの!?」と、ようやくこれが現実である事に気付く。
- そんな中、ソラはましろに赤ちゃんを託した。「ソ…ソラちゃんだっけ?一緒に逃げ…」ましろが止める間もなく、ソラは無謀にもランボーグに向かって歩を進めようとする。「行っちゃダメ!」と、思わず手を引っ張って引き留めようとしたましろは、彼女の手が震えている事に気付いた。勇敢そうに見えても、本心ではこの子も怖いのだ。それなのに、なぜ……。
- ソラは「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやりぬく…それがヒーロー!」と叫ぶと、時間を稼ぐから逃げろと言ってランボーグに突っ込んでゆく。彼女の勇気を無下にはできず、ましろは後ろ髪を引かれる思いでその場を逃げ出したが、すぐにカバトンとランボーグに追いつかれてしまう。
- 「その子を渡すのねん!」凄まれても、懸命に拒否するましろ。そこに「やめなさい!」とソラが待ったをかける。しかしランボーグに手酷くやられたらしく、体はボロボロ。倒れた彼女が落とした手帳を、カバトンが拾い上げた。さっき説明しかけていたその手帳のタイトルは『わたしのヒーロー手帳』。ヒーローとしての心構えや、ソラのヒーローに対する熱い憧れがいっぱいに綴られていた。
- そんな思いを踏みにじるがごとく、カバトンは手帳をビリビリ引き裂いて「力の無いヤツは!!ガタガタ震えて!!メソメソ泣いてればいいのねん!!」と笑いながら愚弄する。あまりの仕打ちに「ひどいよ!!もうやめて!!」と叫ぶも、カバトンに睨まれたましろが後ずさりした時、ソラが立ち上がった。激痛に耐えながらも。その瞳に闘志を燃やすソラは「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやりぬく…」と己を鼓舞するがごとく言い放つ。彼女がランボーグに立ち向かった際にも発した言葉を、ましろも反芻するように呟いた。「それが…ヒーロー!」
- ソラの雄姿を見た赤ちゃんが「ぷいきゅあ~!」と叫ぶと、ソラはキュアスカイに変身し、ランボーグを一蹴する。完全に呆気にとられたましろ。変身を解いたソラに「あなたって…ヒーローなの?」と尋ねると、「わたしにもわかりません!」とのお返事で、ましろも「アハハ…」と笑うしかなかった。
■第2話
- ランボーグとカバトンを蹴散らしたはいいものの、周りには人だかりができており、あたふたするましろを尻目にソラは「皆さ~ん!安心してくださ~い!もう安全で~す!」と呑気に人々に手を振る。パトカーのサイレンまで聞こえてきても「何の音ですか?」ときょとんとしたままなので、彼女の背中を押して退散。
- 家に案内されて立派な大邸宅に圧倒されたソラから「もしかしてましろさんって、この世界のプリンセス…ましろ姫ですか!?」と口走る。出迎えたましろの祖母・ヨヨは、興奮して取り留めのないましろの説明を聞いても、「大変だったわね」と受け入れてくれた。ましろはプリキュアについて百科事典に載っていないか祖母に尋ねるが、自身も帰れぬ上に手荷物入りのリュックを祖国に置き去りにしていたソラは凛々しく叫ぶ「わたしの事より、この子をお家に帰してあげる方法を見つけるのが先です。約束したんです、パパとママの所に帰してあげるって…ヒーローは泣いている子供を絶対に見捨てません!!」。
- ところが逆にエルちゃんを泣かせてしまい、お腹が空いているのかもと推察するも二人はおろおろ。しかしこうなるのを知っていたかのようにヨヨはミルクを用意しており、飲ませてあげて一安心。さらに彼女の計らいで、元の世界に戻る手段が見つかるまで空き部屋に住まわせてもらう事になった。
- 「ごめんなさい、わたしできるだけ早く出て行きます。家のお手伝いも…だから…」恐縮しきりのソラに、「大丈夫だよ」とましろは答えるが、ソラは恭しく片膝を突いて「ましろさん、今日のご恩は決して忘れません。今よりわたしソラ・ハレワタールはましろさんを守る騎士となり、全身全霊忠義を尽くし、貴女をお守りする事を────」と礼儀正しくも堅苦しい口上を述べる。ましろは面食らいながら「騎士とかいらないよ。お友達からお願いします!」と返し、異世界で『友達』と言ってくれる人が出来たソラは「はい!」と感激の面持ち。そしてましろが着替えや明日は買い物に行く事などをしゃべっている間に、どっと疲れが出たソラは秒速で寝入っていた。
- ソラの着替えを購入するためにお買い物に出かけた最中、駅前のショッピングモールやエスカレーター、喋る案内ロボットとカルチャーショックの連続でソラは狼狽えまくる。
- ようやく洋服店にたどり着くも、小さい頃からヒーローになる事ばかり考えて、服の事まで気が回らない生活を送ってきたため何を選んだらよいかわからないソラから「わたしの服を選んでもらえませんか?」と頼み込れ、自身がチョイスした服を購入。
- 「どうしてそんなにまでしてヒーローになりたいって思ったの?」「本物のヒーローを見てしまったから──でしょうか」小さい頃、行ってはいけないと言われていた森に迷い込んで悪霊に襲われたソラは、突如現れた謎の人物に助けられた。「あの日わたしは本物の…わたしのヒーローと出会ったんです!あの人みたいになりたい…その為に毎日トレーニングをして、ヒーロー手帳をつけて…」だがその手帳はカバトンによって無情にも破かれてしまった。「あの手帳、そんなに大切な物だったんだね…」気遣うましろに、ソラも淋しげに頷いた。
- その時、助けを求める声が聞こえ、見るとカバトンがハンバーガーショップを襲っていた。彼が作り出した自動販売機型ランボーグのペットボトルミサイルから、ソラに手を引かれて逃げ回るましろだが、ソラの手が震えている事に気付く。だがソラは「未熟です…憧れのあの人の背中は遥かに遠い…でも!でも今は───ヒーローの出番です!!」と決然と叫び、キュアスカイに変身する。
- ミサイル攻撃にお姫様抱っこで救われ、「ソラちゃん、気をつけて」と声を掛け、にっこり笑って大きく「はい!」と返事するスカイ。拳打や蹴りのラッシュでミサイルを弾き飛ばし、とっておきの大型ミサイルもキャッチして「大回転プリキュア返し」で投げ返すと、ヒーローガールスカイパンチで勝利する。
- 変身を解いたソラの手を、ましろが取った。騒ぎになる前にその場を去ろうとするが、ましろはソラの手を引っ張って連れていく。着いた場所は『Pretty Holic』だった。「これ、ヒーロー手帳の代わりにならないかな?」先日自分が見とれていた手帳を差し出して、プレゼントさせてほしいと申し出る彼女に、「だ…駄目です、貰えません!どうして…」と遠慮するソラだったが、ましろの「本物のヒーローを見ちゃったから…かな?」という言葉を受けて、笑顔で受け取った。自分よりも赤ちゃんを両親の元に帰してあげたいという献身的姿勢、たとえ怖くても悪と戦う勇気を持ったソラは、ましろにとっては紛れもなくヒーローだった。そして、そんな二人の姿を魔法の鏡越しに眺めるヨヨは「物語の始まりね」と謎めいた微笑を浮かべるのだった。
■第3話
- エルがいつまでたっても泣きやまず、パパとママに会いたいのではと察するましろ。せめて顔だけでも見せられないかとソラと共に考えていると、ヨヨが「できるわよ。これを使えばスカイランドと通信できるわ」とミラーパッドを持ってきた。「実はわたしはスカイランド人なの」終盤で明かすような重大な秘密を第3話であっさりカミングアウトする祖母に、ましろは絶句。
- 通信のエネルギーとしてスカイジュエルが必要とのこと。「わたし、スカイジュエルを見つけて、エルちゃんをパパとママに会わせてあげたい!」「わたしも同じ気持ちです!どこへなりとも行きます!」そしてソラとましろの冒険の旅が始まる……!という展開にはならず、「うちの裏山にあると思うわ」と、またもあっさりしたヨヨの一言でズッコケる。
- ピクニック気分で裏山へお出かけ。なかなか泣き止まないエルちゃんにタンポポの綿毛を吹いて飛ばして見せ、ご機嫌を直した手並みを「こうしてエルちゃんが好きそうな物がわかったのも、きっとましろさんの優しさの力ですね!」とソラに褒められて、頬を染めて照れる。その後も毒キノコを一目で見分けたり、自作のくもパンを御馳走するなど、物知りで器用なキャラを披露。
- スカイジュエルを入手し、通信がつながった相手はスカイランド国王と王妃で、エルちゃんがプリンセスだと知ってびっくり。その会話の中でヨヨが「スカイランドのハイパースゴスギレジェンド名誉博学者」という肩書と判明。
- 手帳に今日の出来事を記録しているソラに「ソラちゃんは淋しくないの?」と尋ねる。「わたしにはやる事もあるし、大丈夫です。それに…隣に友達がいますから!」その返ってきた答えに、照れて赤面しながら笑い合った。
■第4話
- ソラの早朝ランニングに付き合うも、体力がなくてヘトヘト。ソラがいつの間にか平仮名を書けるようになっていたと知って、ドリンクのボトルから虹が出るくらい握り締めて驚く。1日5個ずつ覚えるという地道な努力に感服し、「わたしも毎朝ランニングを続ければ、ソラちゃんみたいに強くなれるかな?」と聞くと、ソラは首を横に振り、「ましろさんは…今のましろさんのままでいいんです」と微笑む。
- 幼馴染の聖あげはがやって来た。初対面のソラは「別の世界から来ました」と簡単に口を滑らせ、「タ~イム!!」と静止しようとするましろを尻目にどんどん墓穴を掘りまくる。やむなく「ごめんね、あげはちゃん。でも友達の秘密は言えないよ…」と言い訳して、あげはも引き下がった。
- あげはが入学を志願する保育専門学校へ同行して待っている間に、ソラから将来何になりたいか聞かれるも、これと言って夢を持っていなかった自分に気付き愕然。周りから取り残され、しかもこれといって特技もないとあれこれ苦悩していると、目の前をカバトンそっくりの子豚が歩いて行き、キノコを囮にしたあからさまな罠にかかろうとしていた。
- 「え?どういう事?豚さん?…っていうか、あの罠何?昭和の罠?しかもあの毒キノコ、こないだ川で見たやつだよね?怪しい…どこからどう見ても、これってカバトンの罠…!」心の中で延々とツッコミを入れる。そしてカバトンとソラの「お釈迦様でも気が付くめ!」「な…なんて狡賢い!」というやり取りを見ながら「コントかな?」とポツリ。特技なしとか言ってたけど、ツッコミの才能はあるようだ。
- ところがその間にソラはミラージュペンを奪われた上に、ランボーグに捕まって大ピンチ。エルちゃんを守るようソラに託されたましろは、断腸の思いであげはと共に校舎内に逃げ込むが、ランボーグの小型分身体が追跡してくる。屋上まで逃げたところで、カバトンはソラと引き換えにエルちゃんの身柄を要求してきた。
- 「ソラちゃんを助けなくちゃ」と呟くましろをあげはは止めるが、「それでも…それでも行かなくちゃだよ!!」と叫ぶと、その友達を思う心からミラージュペンが生み出される。「わたしがプリキュアに…!?」
- その間に分身体ランボーグは屋上のドアを破る勢いで迫って来ていた。自分に自信が持てないましろは「早くプリキュアにならなきゃだよ……でも、わたしなんかじゃ…」と焦りつつも、ミラージュペンを掴む勇気が出せない。そんな彼女にあげはが「本当に大事な事を言わせて」と声を掛けた。
- 子供の頃、引越しする事に納得できずに家を飛び出し、泣きじゃくっていたあげは。探しに来たましろに「ましろんは悲しくないの!?」と叫ぶが、ましろは「悲しいよ…でもわたしが泣いたら、あげはちゃんはもっと泣いちゃうでしょ?」と自分も涙を流しつつも、懸命に笑って見せた。その姿にあげはは、優しさとは強さであると教えられたのであった。
- 「『わたしなんか』?そんな事言うな!ましろんには優しさっていう誰にも負けない力があるんだよ!」あげはの叱咤を受け、そして今朝方のソラの「今のましろさんのままでいいんです」という言葉を思い起こしたましろは、ありのままの自分を受け入れる事を決意し、ミラージュペンを手に取った。「ヒーローの出番だよ!」そして第二のプリキュア・キュアプリズムに変身する。「ふわり広がる優しい光!キュアプリズム!」
- 分身体の攻撃を軽くいなしたつもりが、はるか遠くまで飛んで行ってしまった。「えぇ~!?パワー強過ぎでは!?」 それでもぐさま戻ってきてキックでお返し。カバトンが落としたミラージュペンを取り返したソラは変身してランボーグ本体を仕留め、プリズムもヒーローガール・プリズムショットで分身体を倒して初陣を飾った。
- ソラ「ごめんなさい!わたしが未熟なせいで…!わたしなんか放っておいてくれれば……」「ダメだよ…。『わたしなんか』なんて言っちゃダメ」そう耳元で囁いたましろはソラの両手を握り、「ソラちゃんはわたしの大事な友達なんだから。ねっ?」と念を押し、ソラも頷く。二人の絆はまた一つ強くなったのだった。
■第5話
- ヨヨから「プリキュアとはスカイランドを救った伝説の戦士」と聞かされ、「エルちゃん、もう安心だよ!伝説のヒーローが味方だよ!」とくるくるスピンしながら大興奮。ハイテンションのままランニングにソラを誘うが、「そんな事より、この世界とスカイランドを繋ぐトンネルは何時開いてもらえるんでしょうか?」と、ソラは険しい表情でヨヨに詰め寄る。驚くましろを尻目に、我に返った彼女は謝りながら部屋を飛び出てしまったが、ヨヨは「優しい子ね」と呟いた。
- 不機嫌な理由がわからず。あれこれ尋ねてもソラは無言のまま。「!! もしかして!プリズムショットの『ひろがる~』ってとこ、スカイパンチの真似したから怒ってる?」思い当たる節を述べたが、もちろん違う。ソラ「ましろさん、プリキュアにはもう変身しないで欲しいんです」
- ソラはここ最近、プリズムが敵に斃される悪夢ばかり見ている事を打ち明ける。「心配してくれてありがとう。でもね、エルちゃんを守らなくちゃ。それにはさ、一人よりも二人の方がよくない?」ましろが説得しても、「一人でやります。わたしがもっと強くなればいいだけの話です!」とソラは頑なに拒む。
- カバトンが召喚した電車型ランボーグにソラは変身して単身立ち向かうも、ランボーグのパワーに吹っ飛ばされてしまう。エルちゃんを抱いたままでは加勢もできず困っていると、ベビースリングが宙に浮くゆりかご状に変形した。ヨヨが準備してくれていたらしい。感謝しつつ、ましろもプリズムに変身に入るが、スカイはなおも「わたしは大丈夫です!」と意地を張っていた。
- 身を隠した路地裏で、再度共闘を申し出ても「できません……友達だから……ましろさんはわたしの初めての友達だから!」と、スカイは本音を吐露しながら拒絶した。全てはましろの傷つく姿を見たくなかったから。ヨヨが先刻「優しい子」と言ったのも、ましろを戦いに巻き込みたくないソラの思いを見抜いていたからだった。
- そしてソラは子供の頃、ヒーローに助けられた日から、自分もヒーローになるべく鍛錬を続け、遊ぶ事も友達を作る事もせず、自分を厳しく律し続けてきた過去を告白する。「───でも……友達が出来ました。我儘です、わかってます!でも怖いんです!ましろさんが傷つくなんて、そんなの絶対に嫌だ!」スカイのあまりにも純粋で真っ直ぐな思いに、プリズムもかける言葉がなかった。
- 「だったら一人の方がいい……わたし、一人で戦います!」そう決めつけたスカイは、追ってきたランボーグから逃げ回りながら、「わたしが囮になります!」「二言目にはそれ言うよね!もう一人じゃないんだよ!」「一人じゃないから怖いんです!」とプリズムと口論を続けた。更にビルの上を横スクロールゲーム風に走りながら「わかったよ!友達が傷つくのが怖いっていうなら、わたし友達やめる!たった今からわたし達は友達じゃなくてパートナー!…って事でどうかな?」「そんなの言葉遊びです!」「じゃあ相棒!コンビ!ペア!他に何かある?」「知りません!」と、言い争いはだんだん漫才チックに。
- ランボーグに追いつかれ、エルちゃんを守ろうと飛び出したプリズムの姿に悪夢が重なり、悲鳴を上げるスカイ。だがプリズムは光の目晦ましでランボーグの動きを止めながら、スカイに語り掛ける。「───ダメだ、『友達』以外の言い方見つからないや。パートナーとか相棒とかそうじゃなくて、あなたはわたしの『友達』。あなたが心配だよ、助けたいよ。気持ちは同じ。それって一緒に戦う理由にならないかな?」友達が心配なのはお互い同じ。その真摯な訴えが、遂にスカイの心を動かした。
- 「やろう──スカイ!」「はい、プリズム!」それを聞いたプリズムは「やっとその名前で呼んでくれたね」と微笑んだ。「ましろさん」ではなく「プリズム」。単に守り守られる関係ではなく、これからは一緒に戦うパートナーで友達。その姿を見て喜んだエルが新たなスカイトーンを生み出し、二人は合体必殺技プリキュア・アップドラフト・シャイニングでランボーグを浄化した。戦いの後、「もうちょっとだけ手を繋いでいてもいいですか?」と言うスカイに、プリズムも笑顔で手を握り返し、仲良く夕陽を見つめるのだった。
■第6話
- 中学校の制服に着替えているましろ。新学期のようである。ましろの制服姿を見たソラは目を輝かせ、登校するましろについて来た。てっきりお見送りと思いきや、ソラ「昨日のテレビ面白かったですね~。今夜はどんな番組をやるんでしょう?この前わたし、逆立ちしたままどれだけ歩けるかっていうのをやってみたんですけど…」「あれ…?」ソラ「そうそう、エルちゃんって眠ってる時たまに一人でお喋りしてるんですよ。可愛いですよね~」「あれれ…?」ソラはマシンガントークを続けたまま、いつまで経っても帰る気配がない。
- ましろがうっすらと冷や汗をかいているのも気付かず、ソラはそのまま学校の中まで入ってきてしまった。さらに先生に注意されて、「学校は誰でも入れる場所っていうのがスカイランドじゃ常識」と口を滑らせるもので、ましろは大慌てで口止め。
- 平謝りしながらソラは帰って行ったが、授業中もましろはソラのことが気になって仕方がない。仲田つむぎに昼食を誘われ、思わず「ソラちゃんも…」と傍らを振り向いてしまうなど、ソラ欠乏症は深刻の一途に。
- ようやく放課後になり教室を飛び出してゆくと、校門のところでソラとばったり。息を切らせながらもソラは「ましろさんにどうしても伝えたい事が……!!わたしはましろさんと一緒に───!!」と切り出してきた。ドキドキしながら聞いていたましろだったが……。
- そこに無粋極まりないカバトンが乱入。ソラ「尺の無駄です!と言うか、あなたの出る幕は1秒だってありません!」ましろ「邪魔しないで!」身も蓋もなく一喝した二人は変身してランボーグを倒した。
- 夕陽に照らされた帰り道、なんとなく無言だった二人は同時に「あの───」と口を開いた。「ましろさん……わたしはましろさんともっと一緒にいたいです!」「わたしもね、今日同じ事考えてたよ。ソラちゃんがいないと、時間が過ぎるのがゆっくりだな~って」ましろもソラも同じ気持ちだった。そしてヨヨの計らいで、ソラも中学校に通う事が決まる。
■第7話
- ソラの初登校の日がやってきた。仲良く学校へ。しかしソラは、出身を聞かれて馬鹿正直に「スカイランド」と答えたり、「恥ずかしがり屋なのかな?」という声に、「そうです!わたしはもう滅茶苦茶恥ずかしがり屋です!」と無理矢理話を合わせるなどして、ましろはハラハラ。
- 体力テストでも目立つまいとしたのに逆に全種目で新記録を出してしまい、落ち込むソラ。「これでは皆さんと友達になれない」と嘆くのを聞いたましろは、今まで友達がいなかったソラが、クラスメートと仲良くなりたい一心で、無理に自分を抑え込んでいる事に気付く。
- ましろはソラを学校の屋上に連れてゆく。学園が出来た頃からあるという満開の桜の木を見せながら、ましろは入学した頃、新しい友達とうまく話せなくて悩んでいた事を告白する。そんな時、この桜の木を見て元気をもらい、肩の力が抜けてみんなと仲良くなれたのだという。「ソラちゃんは今のままのわたしでいいって言ってくれたよね。ソラちゃんももっと肩の力を抜いて、いつものソラちゃんでいいと思うな」励まされたソラは、改めてクラスメートの前でありのままの自分を出した自己紹介を行い、拍手で迎えられた。
- 校内に侵入し、購買のパンを買い占めたり、学食のカレーを飲み干したりの狼藉を働いていたカバトンを発見。メロンパンを平らげ、「目を閉じれば北の大地でたわわに実ったメロン達が舞い踊るようなのねん!」とご満悦のカバトンに、「そのパンは形がメロンっぽいだけでメロンは入ってないよ!」とシビアなツッコミを入れる。
- 桜の木をランボーグ化されて怒った二人は、変身してランボーグを倒す。「転校初日……いろいろあり過ぎてあっという間に終わってしまいました!」と呆然のソラを「終わりよければ全て良し、だよ」とフォロー。仲田つむぎ・吉井るい・軽井沢あさひのトリオとも仲良くなり、ソラの学校生活は上々のスタートを切る事ができた。
■第8話
- エルちゃんが手の届かないベッドの上にあったはずのガラガラを手にしていたという奇妙な出来事があったとソラから聞くも、「きっと掴まり立ちして自分で取ったんだね」と気にせず、呑気にエルちゃんの成長を喜ぶ。
- ソラがエルちゃんの部屋に忍び込んだ謎の少年ツバサを捕獲した。カバトンとグルなのかと疑うソラは学校も休んでエルちゃんの側にいる事に。幸い疑いは晴れて二人は仲良くなったが、昨晩ソラがツバサに突っかかる姿を見ていたましろは、学校が終わるや大急ぎで帰宅。「みんなも『最強の健康優良児が休むなんて!』って動揺してるよ。学園はちょっとしたパニックだよ」との事。
しかし一番パニックなのはましろだったかも。
■第9話
- UFO型ランボーグに到達すべく、自分が発射台役でスカイを射ち出すスカイラブハリケーンを敢行するも失敗。ランボーグがエネルギーを充填しているらしき状態を見て、「ねぇ、なんかやばそうな予感がしてるのわたしだけかな?」と呑気な事を言い、スカイが「いいえ、やばやばです!」と答えてから避けようとしたが、破壊光線に巻き込まれ、敢え無く二人そろって失神。早よ逃げろや。
- 駆け付けたあげはの発案で、2度目の挑戦ではスカイを蹴り上げた後、さらに光球を放つ事で彼女を押し上げようとするも、これも上手くいかず。蹴りと光球発射の2段階の反動で、ビルの屋上にベチャッと叩きつけられただけに終わった。ちなみにその後3度目でようやく成功。
■第10話
- 両親に手紙を書くましろ。新しくできた友達・ツバサや、ソラは夢に向かって頑張っている事を記し、「ツバサくんもソラちゃんもすごいな」と呟いた後、ましろの表情が曇った。「でも…わたしは……」
- ツバサがプリキュアの仲間になった歓迎パーティーをしようと提案。料理の希望を聞くと、ヤーキターイが食べたいと言う。プニバード族のお祝い料理らしく、素材もこちらの物とは違うようだが、見た目はほぼたいやきなので、まずはみんなでたいやき作りにトライ。ツバサの求める味に近づけようと、いろいろな具材で試してみる事に。
- 追加の具材の買い出しに行く道中、ツバサに礼を言われ、ソラにも「ましろさんの料理には食べた人を笑顔にする不思議な力があるあるんです」と褒められたましろは照れながら、初めて料理をした時の事を回想する。仕事が忙しい両親のためにおにぎりを作ってあげようとしたが上手くできず、気付いた2人が一緒に作ってくれた。その時のおにぎりの味は忘れられない思い出の味となっていた。「もしかしてわたしにとってのヤーキターイみたいなものかも」
- それを聞いたツバサは「ボク、気付きました。ボクはヤーキターイを食べたかったんじゃなくて───」と言いかけるが、焼き芋屋に化けたつもりのカバトンがちょっかいをかけてきた。しかしツバサの食べたかった物が気になるソラとましろに完全に無視され、ブチ切れてランボーグを召喚する。
- 接近戦でスカイとウィングに押されたランボーグは、非力なプリズムに標的を絞って狙い撃つ。なんとかしのぎ切って、「わたしはまだ戦えるよ!力を合わせればきっと勝てる!」とスカイとウィングを鼓舞するも、カバトンに「空も飛べねェ、身軽でもねェ、な~んにもできねェYOEEE雑魚が何言ってやがる!」と嘲笑されたプリズムは、己の自信の無さを突かれた事でたじろいでしまうが……。
- スカイとウィングは「それは違う!プリズムは誰にも負けない優しさと、周りを照らす輝きを持っている!!」と叫びながら猛反撃。勇気づけられたプリズムは、「わたしの大切な友達に手出しはさせないよ!!」とプリズムショットで巨大焼き芋ミサイルを消し去り、勝利した。
- ツバサの言葉の続きは「本当はただヤーキターイを食べたかったんじゃなくて、両親と一緒に食べた楽しい時間を過ごしたかった」だった。それを気付かせてくれたましろに礼を述べ、「味は違っても、今日みんなで作ったのが、ボクにとってのヤーキターイです!」と言うツバサに、ましろもソラも笑顔で応える。歓迎パーティーが終わった後、両親への筆を走らせるましろの顔は、喜びと自信に満ち溢れていた。「パパ、ママ、今日はわたしの中の輝きを一つ、信じられる日になりました」
■第11話
- みんなでらそ山へ行き、「ソラ吾郎のらそ山クエスト」に挑戦。楽なコースと険しいコースがあったが、ソラが登り甲斐のある方を嬉々として選び、「ましろさん!行きますよ!」と手を取られては逃げられず、「えっ?わたしもそっちなの?」と悲鳴を上げながら引っ張られていった。後刻、ツバサと合流した時にはもうヘトヘト。
- ツバサから多少強引なあげはに対する愚痴を聞かされるが、「あげはちゃん、わかってくれると思ったんじゃないかな。ツバサくんの事信じてたから」と、先日カバトンによってエルちゃんが攫われそうになった時、あげはもツバサと同じく怒っていた事を引き合いに出し、「エルちゃんを思う気持ちは同じだよ」と、ソラと一緒になってツバサを諭した。
■第12話
- カバトンがソラに一騎打ちを申し込んできた。カバトンがどんな手を使ってくるかとましろ達は心配するが、ソラの決意は固い。「どんな手かはわかりませんが、それでも勝つのが…」そう言いかけた彼女の台詞を引き取り、「ヒーローだよね?」と続けたましろは、「決戦までまだ3日もあるし、いい考えがあるんだ」と、何か思いついたご様子。
- そのいい考えとは山籠もりでの特訓だった。山へ向かう車中で、あげはに「特訓って何するの?やっぱ滝に打たれたり?山の主と戦ったり?山の頂上で必殺技の修行したりする感じ!?」と聞かれると、「そう!正にそういう特訓なの!」と目をキラキラさせて大興奮。まあ特訓するのはソラだから…。
- 決戦前夜、ソラと二人で星空を眺めながら語り合う「きれいだね」「はい」「いよいよ明日だね」「はい…でもなんだか眠れそうにないです」「そっか、わたしも─」いい感じになってきたところで、「ボクもです」とツバサが会話に割り込んできた。ましろやみんなの応援で力づけられたソラは一騎打ちに勝利。しかしカバトンは「もし負けたらプリンセスには手を出さない」という約束を破ってエルちゃんを捕まえようとする。ましろはツバサと共に変身して加勢に入り、アップドラフト・シャイニングで完全勝利。
- その戦いの最中、カバトンの背後にはアンダーグ帝国なる謎の敵の存在があった事が判明。しかしましろは「ソラちゃん、ツバサくん、まだ色々と心配だけど、こんな時こそ元気を出していかないと」と二人を鼓舞する。
■第13話
- エルちゃんがあんよができるようになった。その記念にファーストシューズを買いに行くが、どれも気に入らない様子。さらに、他の客が買おうとしていた靴が気に入ってしまって駄々をこね、みんなで窘めていると、その女性客が靴を譲ってくれた。恐縮しつつ、ましろが「本当にいいんですか?これって誰かにプレゼントする靴ですよね?その子ががっかりしたりしませんか?」と尋ねると、女性は「これでよかったんや…」と淋しげに言い残して去って行った。
- ヨヨが取り組んでいたスカイランドへのトンネルが完成。しかしそれは、ソラ達がスカイランドへ帰らねばならない事を意味する。あげはを呼んでみんなで最後の食卓を囲むが、「ましろん、明日はどうするの?」と聞かれてもましろは上の空。もう一度聞かれて、エルちゃんを一緒に送り届けてからスカイランドを観光して帰ると取り繕うも、突然訪れた別れに心の整理がついていないのは明白だった。
- ソラと同じベッドで寝ようとしたが、あげはのいびきがやたらうるさくて眠れず、外の空気を吸いに夜のお散歩。最初は戸惑ったが、今はソラシド市を第二の故郷のように感じるというソラの横顔を無言で見つめるましろ。慌てて取り繕い、「明日、靴を譲ってくれた女性を捜しにいきましょう」と言うソラと同意するましろの姿を見て、あげはは「泣いたっていいのに…いい子達過ぎるよ」と呟いていた。
- 昨日の女性・宮田緑を見つけて靴を返そうとしたところ、彼女は孫へのプレゼントを買おうとしたが、海外赴任になる息子夫婦との別れが辛く、涙を見せれば息子達も心苦しくなると考えて、靴はましろ達に譲り、空港への見送りも行かないという事情を明かした。「そんなのダメだよ!『嫌だ』って、『淋しい』って、『ずっと一緒に暮らしたい』って本当の気持ちを言わないと」しかし飛行機の離陸予定時刻にはもう間に合わないことを理由に緑は靴を受け取らなかった。
- だがソラとましろはプリキュアに変身し、緑を運んで空港へ向かう。何とか息子夫婦の出発に間に合い、孫娘に靴をプレゼントした緑は、やはりこらえきれずに泣いてしまったが、彼女も息子夫婦も、涙と同時に笑顔も浮かべていた。その光景を遠くから見つめるソラとましろの頬にもとめどなく涙が流れる。そして二人は自然と手を繋いでいた。これが今の自分達の本当の気持ち……。
- ひとしきり泣いた後は、二人とも元通りの笑顔。ヨヨとあげはに見送られたましろは、ソラ・ツバサ・エルちゃんと共にスカイランドへと向かう。
■第14話
- スカイランドに到着し、無事エルちゃんと国王夫妻が再会を果たせて一安心。王妃に「あなた達はスカイランドのヒーローです」と讃えられ、「ヒーローだなんてそんな…ねぇ~」とましろは謙遜するが、隣で「スカイランドの…ヒーロー───!」と目をキラキラさせて素直に喜ぶ地元民2名。
- アンダーグ帝国の脅威を伝え、これからもプリキュアとしてエルちゃんを守る手助けをしたいと志願している時、一人の女剣士が姿を見せる。最初呆然としていたソラは感無量の様子でその背中に抱き着き、ツバサはやおら興奮している。尋ねたところ、彼女は王宮を守る青の護衛隊隊長・シャララ。世界で一番強い剣士らしい。そのシャララ隊長こそがソラが長年憧れていたヒーローだったのだ。
- ソラが青の護衛隊の見習い隊員として紹介されている間。ましろはツバサと街の食堂へ。「王様が『これからもプリンセスの傍にしてもいい、ナイトとして』と言ってくれた」とニヤニヤしつつ呆けているツバサに、「『子守役として』って言ってなかった?」と、鬼のようなツッコミを入れる。その食事の間も、「上手くやれてるかな?」と気になって仕方がなくソワソワ。
- 差し入れとして大量の食料を買い込み、「こんなに要ります?」とツバサに聞かれるが、「要る要る!うちのソラちゃんをよろしくお願いしますって事!」とニッコリ。
- ところが差し入れを届けに行った先では、ソラが護衛隊員のベリィベリーと一騎打ちの真っ最中。ソラがましろの自分の名前を呼ぶ声に気を取られた隙を突いて、ベリィベリーは猛攻を加える。しかし最後はソラの逆転勝ち。
- 護衛隊の制服に着替えたソラは今までの思い出を回想しつつ、「ましろさん、出会ってくれてありがとう。これからもずっと友達でいてくれますか?」と感謝の意を伝え、ましろも「もちろんだよ」と握手を交わし、二人は変わらぬ友情を誓った。
■第15話
- 連日、シャララ隊長率いる青の護衛隊と共に、襲い来るランボーグを次々と倒すスカイ。悲願いが叶ってって正式に護衛隊の一員となり、スカイランドを守るソラの雄姿をうれしく思うましろだったが、同時にもう自分がここにいる必要がない事も感じていた。
- ましろはツバサに、明日ヨヨに連絡してトンネルを開いてもらい、ソラシド市に帰る事を打ち明けた。「学校行かなきゃだし、それにわたしが居なくてもスカイランドは大丈夫だってわかったから。住む所が変わるだけ。トンネルを通ればいつだって会える。何も変わらないし何もなくならない。だってわたし達は友達だから、でしょ?」努めて明るく振る舞うましろだったが、「エルちゃん、元気でね。お腹出して寝ちゃダメだよ。ちゃんと歯磨きは仕上げまでしてもらうんだよ。あんまりツバサくんにイヤイヤ言っちゃダメだよ。それと───」と悲しげにエルちゃんの頭を撫でる。「わたしの事、忘れないでね……」淋しいけれど別れの時がやってきた……と思いきや、事態は急変する。
- バッタモンダーが超巨大ランボーグを出現させ、「プリンセスを引き渡さなければ爆発でスカイランドをアンダーグの闇に呑み込ませる」と脅迫してきた。プリキュアの力であの爆弾を浄化するようシャララ隊長に依頼されたましろとソラは、アップドラフト・シャイニングを放つもランボーグの抵抗に遭い、プリズムとスカイの体力は消耗してゆく。
- 「もう限界…でも──!」「諦めない!!」二人は決して諦めず、歯を食いしばりながら技を出し続ける。そこへシャララ隊長が加勢に駆け付けるが、アンダーグエナジーに呑まれて消えてしまった。絶叫するスカイに引っ張られ、プリズムも最後の力を振り絞り、ようやくランボーグを浄化した。
- 王宮に侵入したバッタモンダーはスカイの怒りによって退けられるも、国王と王妃がバッタモンダーの闇魔法で昏睡状態になってしまったため、ソラが「帰りましょう、ソラシド市に。王様と王妃様を治す方法をヨヨさんに調べてもらうんです。それにバッタモンダーはエルちゃんを狙ってる。スカイランドに一人置いていくわけにもいきませんし。わたし達三人がばらばらになるのもいい考えじゃありません」と決断。ましろは、ソラがまだシャララ隊長を失ったショックから立ち直れていないのではないかと「無理しちゃダメ」と気遣うが、彼女は隊長が残していた置き手紙とペンダントを見て、必ずまた会えると確信していた。かくしてましろ達はスカイランドに別れを告げ、ソラシド市へ帰還した。
■第16話
- スカイランドでの出来事をヨヨとあげはに報告し、「どうしてアンダーグ帝国はスカイランドを襲うの?」と尋ねるましろ。ヨヨが調べたところ、スカイランドとアンダーグ帝国はいわば光と影のように相反する存在であり、大昔に戦って以来、交わる事なく過ごしてきたらしいが、なぜ今になってスカイランドを襲いエルちゃんを狙うのかはわからないという。
- そのエルちゃんを励ますべく、みんなで人形劇『えるたろう』を熱演。想像図の中では、犬役のソラとキジ役のつばさが口元に犬メイクやくちばしをつけていたのに、猿役のましろのみほぼすっぴん。
■第17話
- 体育祭での選抜リレーに当然のごとくソラは推薦され、「リレーって何ですか?」と尋ねるカルチャーギャップもフォローするいつもの光景……だったはずが、ソラが「わたしにバトンを渡すリレー選手をましろさんにお願いしたいのです!」と言い出した。まさか自分が選ばれるとは思っておらず、ましろはびっくり仰天。
- 「リレーに於いて重要なのはバトンパス。わたしへ繋ぐ大切なバトンを託せるのはましろさんしか居ません!」ソラから熱烈なプロポーズ(?)を受け、クラスメイトからも「ソラちゃんと言えばましろちゃんだよね」と認定された事もあり、「ソラちゃんにそこまで言ってもらえるならって」と、大役を引き受けたましろはリレーの特訓を開始する。
- 「早く走るコツは、前だけを見て走る事です!」というソラ理論や、ツバサの科学的アプローチなどを受けて、特訓に励むましろ。「ましろさんの足は転がるボールと同じです!上半身の力を抜いて、転がる力に身を任せましょう!」というイメージトレーニングにも、「はい、ソラコーチ!コロコロコロコロ…!」と何とかついてゆく。あげはやエルちゃん、両親にも応援され、遂に体育祭の日がやってきた。
- いよいよリレーの開始が迫ってきて緊張を隠せず、「ソラちゃんはどうしてそんなに元気でいられるの?」と尋ねると、ソラに「だって…信じてますから。ましろさんが最高のバトンを渡してくれるって」と励まされる。いざリレーが始まると2年2組チームは快走でつなぎ、5番手のましろはトップでバトンを受け取った。懸命に走るましろの目にアンカーのソラの姿が見え、ソラはバトンを受け取る体勢に入った……と思った瞬間、ましろは足がもつれて転倒してしまう。
- たちまち3人に抜かれて最下位になり、ましろは混乱と絶望に打ちひしがれかけたが、懸命に立ち上がって再び走り出した。「とにかく前だけを見て走る事です!」というソラの言葉が脳裏をよぎる。全力を振り絞り、バトンをソラに渡したましろが見守る前で、ソラは凄まじい激走で3人を抜き返し、逆転優勝を果たした。
- それを見届けて顔がほころんだのも束の間、一転して沈んだ表情になったましろは気が抜けたようにその場にへたり込む。ソラ「ましろさん、勝ちましたよ!」「うん…やっぱりソラちゃんはすごいよ!…もう目にも止まらぬ速さっていうか……ほんとビューンって……」辛うじて受け答えするましろは、素直に勝利を喜んでいるとは思えない、何かがこみあげてくるのを懸命にこらえていた。そしてソラに背を向けて走り去ってしまった。
- 水飲み場で顔を洗っているところに、追ってきたソラにましろは、背を向けたまま言った。「わたし…走るの苦手だし…リレー選手だって自信なくて……なのに自分にもできるって思っちゃったんだよ。みんなとたくさん特訓したから…ソラちゃんみたいに速く走れなくても、ちゃんと走れるって……。でも…大事なところで転んじゃって…それが悔しい…!ごめんね。ソラちゃんが頑張ってくれてせっかく勝てたのに、こんな事言っちゃって……」振り向いたましろの瞳には大粒の涙が浮かんでいた。あんなに練習したのに、みんなが応援してくれたのに……それに応えられなかったましろは、自分の不甲斐なさが悔しくてたまらなかったのだ。
- その告白を聞いたソラは頭を下げた。「───ごめんなさい!わたし言いました。『勝つ為にはましろさんのバトンパスが必要』だって。それは半分は本当と言いますか…もう半分はただ…友達と一緒に走りたかったんです。だからましろさんが転んでしまった時、ほんの少しだけ諦めてしまったんです。負けるかも知れないけどしょうがないって。でもましろさんは転んで悔しいとか、追い抜かれて悲しいとかじゃなく、ただひたすら前を見て走っていた。ましろさんのその走りがわたしに火を点けてくれたんです。絶対に勝つんだって、何が何でも1位になるんだって!ましろさんはわたしに最高のバトンを渡してくれましたよ!」譬え転んでも、ましろは諦めなかった。ソラはバトンと共にその想いを受け取ったからこそ勝てたのだ。ソラの言葉を聞いたましろに笑顔が戻った。
- 「自分でも意外だったな、涙が出るくらい悔しいって思ったの初めてだよ」ソラに「ましろさんが出会ったのはどんなましろさんですか?」と尋ねられ、「思ってたより負けず嫌いで、思ってたより走るのが好きな自分…かな」と答える。ヨヨにも「ましろさんはエルちゃんと同じ、歩き出したばかりの赤ちゃんのよう。自分の中の可能性に気付いてどんどん成長していく」と褒められたましろは、ソラと一緒の日課のランニングをこれからも続ける事を決意し、軽く拳を握り締める。消極的で自分に自信が持てなかったましろが、大きく成長した一日だった。
■第18話
- バッタモンダーに『外野』扱いされたあげはを、「そんな事ないよ!あげはちゃんは大切な仲間だよ!」と擁護する。ましろにとってはあげはは今も昔も大事な存在だった。
- そのあげは主役回のため出番は少な目なれど、あげはが実習中は家に泊まると聞いてソラと一緒に喜びのダンスをする、実習の様子を物陰からこっそり見守る、彼女がキュアバタフライに変身を遂げて歓喜するなど、様々なリアクションであげは分を堪能。
- そして実習終了後、あげはが帰ってしまい、「あげはちゃん、また泊まりに来てほしいなあ」と淋しげに呟いていると、まるで聞こえたかのようにあげはがやってきて、虹ヶ丘家に同居する事を宣言する。
■第20話
- みんな外出しているので、ましろ一人でエルちゃんのお相手。ねだられるまま10冊近く絵本を読み聞かせる。
- あげはがバイトを始めた『Pretty Holic』を訪れる。バイトの先輩の菜摘は、ましろが『Pretty Holic』のファンだと聞き、店内のレイアウトに関する意見を求めてきた。ましろのアドバイスにより、即興で人魚の絵を描き上げた彼女はましろのセンスを褒めた上で、絵本コンテストに挑戦してはどうかと勧める。
- ソラやあげはに後押しされたましろは、公園のベンチで早速物語を考え始めるが、桃太郎やシンデレラの二番煎じになってしまい、好調なのはセルフツッコミのみ。通りすがりの親子に危ない人扱いされてしまう。
- 筆がさっぱり進まないましろを見かねたソラは「わたしが先走ったばかりにましろさんを困らせてしまった」と謝り、ましろは「褒めてもらったのは嬉しいけど、みんなみたいにこれをやりたいって気持ちにはなれなくて…」と答えた。以前から、将来の夢や目標をあまり意識していないましろの性格が、こんなところでブレーキをかけてしまっていた。
- 一方エルちゃんは公園の砂場で、買ってもらったばかりのおもちゃのシャベルやバケツで砂遊びをしていた。そこにやってきた男の子が、そのおもちゃに触りたさそうな顔で見ていたが、エルちゃんは新品のおもちゃを手離したくなくて、頑として貸そうとしない。ソラやツバサが叱っても聞き入れず、ましろが「エルちゃんの大好きなこのおもちゃで、友達と一緒に遊べたらきっともっと楽しいよ」と優しく説得しても駄目。そうこうする内に、男の子は母親に連れられて帰ってしまった。頭の痛いソラとツバサを横目に、何事かを思いついたましろは急いで家に帰り、部屋にこもって絵本を描き始めた。
- そのまま日が沈んでもましろは描き続ける。無理をしているのではと心配したソラが紅茶の差し入れを持ってきても、脇目も振らず没頭したまま。だが、そっと部屋を出ていこうとするソラに、ましろは声を掛けた。「ありがとうソラちゃん。なんかね…すっごく楽しいの!」その瞳は、活き活きと輝いていた。
- みんなの協力を得て、ようやく絵本は完成。しかし時計を見ると午後3時で、締め切りまであと2時間しかない。急いで提出場所の市役所に向かっていると、例によってバッタモンダーが現われる。ましろが大切に抱える封筒が何か大事な物で、しかも急いでいると察した彼は、底意地悪くランボーグで妨害してきた。
- その信号機型ランボーグの信号が赤になると、プリキュア達の動きも強制停止させられてしまい、青になると動けるが、切り替わるタイミングが掴めず攻めあぐねている内に、締め切りは刻一刻と迫ってくる。焦るプリズムだったが、スカイ「次に青に変わったら構わず行って下さい!!」ウィング「そうですよ、あんなに頑張ったんだから!」バタフライ「わたし達いっつもプリズムの優しさに支えてもらってる!だから今日くらい思いっきり応援させてよ!」3人の声に後押しされ、ミックスパレットの力で強化されたスカイが赤信号を破壊した隙に、「行ってきます!」と駆け出す。その甲斐あって何とか間に合った。
- 後日、コンテストの展示会場では、大賞を獲った菜摘の作品が飾られていた。その彼女に「ましろんさんの絵本も凄く素敵だった。わたしもいつかあんな風に優しい世界が描けるようになりたいな」と賛辞を贈られたましろは笑顔になる。
- ましろの絵本『ブランコ』は、「女の子が男の子と一緒にブランコになると、森の動物達も集まり、みんな仲良しになる」というストーリーで、友達と仲良くする事の大切さをエルちゃんにも理解してもらえた様子。「コンテストには落選しちゃったけど…わたし、これからももっと描いてみたい。エルちゃんや誰かの心に届くような絵本を────」ましろは確かな未来の道標を見つけたのだった。
■第21話
- 野菜畑に向かう道中、「お昼ごはんは採れたて野菜を食べようと思って、ちょっと特別なお弁当だよ」と予告。生野菜をつけて食べるためのカレーマヨ、たらこクリームチーズ、ハーブヨーグルトのディップソースを用意する等、料理の腕前はさすが。
- 今日はソラ共々出番は少なかったが、「今日は夏野菜いっぱいの手作りカレーだよ」ソラ「カレー!?お昼にカレーマヨを食べてから、口がカレーの口になってたんです!あっ、わたしは中辛が好きです」「甘口と中辛、両方作ってあるよ」ソラ「両方食べます!おかわりします!」と、最後は漫才で締めくくる。
■第22話
- シャララ隊長の目撃情報が多発しているとベリィベリーから聞いて喜ぶソラだったが、その姿は煙のように消えてしまうらしい。ソラの表情が翳ったのを見たましろは、「本当なのか嘘なのか、ここで話しても始まらないと思います。引き続き捜索を続けて、何か情報があったらまた教えてください」とフォローする。
- ソラの部屋を訪れると、ヒーロー手帳を相手ににらめっこしていた。あの日、シャララ隊長がソラに書き残してくれた『立ち止まるなヒーローガール』という言葉を手帳に書き写そうとしていたところらしい。「何でもかんでも手帳に書いてるソラちゃんが隊長さんの大事な言葉をまだ書き写してなかったなんて意外だよ」ソラは「この手帳に書いた事は絶対に守らなくてはいけないが、しかしシャララ隊長にもしもの事があったら、自分は前に進めるだろうか?」と自問し、絶対に守れる自信が無くて、書き込む踏ん切りがつかなかったと告白する。
- だが、「足が止まりそうな時も、先刻のように隣にましろさんがいて、背中を押してくれる。今日なら書けそうな気がします」と前向きになったソラは、『立ち止まるなヒーローガール』と手帳に書き込み、エルちゃんと一緒に「絶対ヒーローになるぞー!!」と元気よく拳を突き上げる。ましろはそんな彼女を「きっと…なれるよ」と頼もしげに見守っていたが、ソラの懸念が悪夢のような形で現実になるとは、この時は想像も出来なかった。
- みんなで買い物に行った帰り、ソラが突如シャララ隊長の名を叫んで走り出した。そのまま見失ってしまい、見つけた時、ソラはスカイに変身してランボーグと既に戦っていたが、倒されて気を失っていた。ましろはプリズムに変身して光球でランボーグを攻撃し、ウィングがスカイを助け出した。
- ところが再び光球を放とうとすると、意識を取り戻したスカイが、必死の叫びと共にプリズムの前に両手を広げて立ちはだかる。「撃たないで!!隊長なんです!!あれはシャララ隊長なんです!!!アンダーグエナジーのせいで、シャララ隊長がランボーグに…」
- 信じられない事だったが、スカイの瞳からとめどなく零れる涙を見れば、それが真実だとわかる。「そんな…嘘…」愕然となるプリズムの前で、スカイは膝をついて泣き崩れ、消え入りそうな声で言った。「助けて…ましろさん……。」いつも明るく元気なスカイがこんな弱々しい姿を見せるなんて…。かける言葉も見つからず、プリズムはスカイを労わるように抱き締める事しかできなかった。
- そこでバタフライが、浄化技ならアンダーグエナジーを消せるかもと、タイタニック・レインボーを繰り出そうとする。しかしその時、バッタモンダーは口元に悪魔のような笑みを浮かべた。「何かがおかしい…でも何が?」エルちゃんも同じく不吉な何かを感じたようで、「だめ~!」と叫んでバタフライとウィングを制止する。「バレちゃったか」彼は恐ろしい罠を仕掛けていたのだ。
- スカイランド王宮に侵入したあの日、スカイの鬼気迫る怒りに負けて退却する途中、バッタモンダーは瀕死のシャララ隊長を見つけていた。そこでアンダーグエナジーを注ぎ込んで傷を治すと共に、このランボーグ=シャララボーグの素体に仕立て上げたのである。もし浄化技でアンダーグエナジーを消そうものなら、それによって命を繋いでいるシャララ隊長も殺してしまうかもしれない。プリキュア達がもし気付かないままシャララボーグを倒したなら、種明かしして絶望に叩き込む事ができるし、気付いたら気付いたで攻撃ができなくなる。どちらに転んでも、バッタモンダーにとっては最高の、プリキュアにとっては最悪の展開になるという寸法だったのだ。「好きな方を選べよ。隊長を斃すか、隊長に斃されるか」
- 唖然となったままのスカイとプリズムにシャララボーグが迫ってきたが、その動きが急に止まった。「あぁ!これからってところで…人間にアンダーグエナジーを注ぐのはそもそも無理があるんだよな」計画が狂って憮然となるバッタモンダーをバタフライとウィングが急襲するも、彼はシャララボーグと共に素早く撤退した。「何度でも何度でも遊びに行くよ。君達の心がズタズタになる迄…」という捨て台詞を残して。
- 何とかピンチは脱したものの、最悪の状況は変わっていない。その場にへたり込んだままのソラを、「隊長さんを助ける方法、きっとあるよ…ねっ?」とましろは慰めるが、ソラはぼそりと「どんな方法があるって言うんですか…」とネガティブに返すのみ。ましろ・あげは・ツバサの背筋に冷たいものが走る。仲間の慰めに、こんな投げやりな返事をした事などなかったのに…。
- そしてあげはとツバサが前向きな励ましの言葉をかけても、「やめてください!!ヒーローなんて…わたしもう…戦いたくない!!!」と、ソラは半狂乱で泣きじゃくる。絶望と恩人の命が懸かっている恐怖で、彼女はすっかり我を失っていた。そしてその手に握り締めていたミラージュペンが消失、スカイトーンの輝きも消えてしまった。ソラはもうプリキュアになれないのか?夕闇迫る中、一同は言葉を失う……。
■第23話
- 昨日のショックも癒えぬまま、ソラは学校を休んだ。気になるましろは授業も上の空で急いで帰宅したが、机の上にミラーパッドとヒーロー手帳を置いたまま、彼女は姿を消していた。ヒーロー手帳に「わたし、ヒーローにはなれませんでした。さようなら」という書き置きだけを残して。
- 愕然となりながらも、「やっぱり今は一人にしておいてあげよう。周りからわーって言われたらソラちゃん、きっと…」と傷心のソラを気遣うましろに対し、ツバサはスカイランドにソラを迎えに行くと強硬に主張。「何の為の仲間なんです?何で一言相談してくれなかったんだ!!」との言い分もよくわかるだけに、ましろも無理強いはできない。結局、あげはとツバサだけが現地に行く事になったが、ソラの母レミに、「今のソラを受け入れてあげて。お願い。あの子には少し時間が必要なの」と懇願されては引き下がらざるを得なかった。
- 日課として定着した朝のランニング。しかし隣にソラの姿はない。ましろははるか高い大空を見つめた後、何かを決意したかのような顔になり、帰宅して手紙を書き始める。
- それを封筒に収めた時、ツバサから「街に例のランボーグが現われた」との知らせが。ヨヨに「これ、ソラちゃんに渡してくれないかな?」と手紙を託し、ましろ達は出撃した。しかしバッタモンダーによって限界までアンダーグエナジーを注ぎ込まれたシャララボーグは、前回よりもはるかに強くなっており歯が立たない。
- その頃、失意の内にスカイランドの自宅へ帰っていたソラは、ヨヨから手渡されたましろの手紙を読んでいた。「ソラちゃんへ。覚えてるかな?わたしが初めてプリキュアになった時、ソラちゃんすっごく反対したよね。『ましろさんが傷つくなんて嫌だ』って。『自分がもっと強くなる、だからましろさんはプリキュアにならなくていい』そう言ってくれたよね。だから───」「今度はわたしの番だ!」ボロボロになりながらもプリズムは叫ぶ。わたしが戦うのだ、ソラの分も、ソラの為に。
- 「隊長さんの事はわたし達に任せて。大丈夫だよ。ソラちゃんはプリキュアにならなくていい。戦わなくていい。お家でゆっくり休んで、元気になってほしいな。最後に一つだけ。『ヒーローになれなかった』なんて言わないで。だってソラちゃんはとっくの前からもうヒーローなんだから。」ソラはましろを想い、滂沱の涙を流した。「じゃあまたお手紙書くね、わたしのヒーローさん」戦うのが怖くて逃げだした自分を、ましろだけはまだヒーローと呼んでくれる。ソラの心に再び勇気の炎が燃え上がった。「行かなくちゃ…友達が待ってるから!!」
- 何度打ちのめされようともシャララボーグに立ち向かうプリズム・バタフライ・ウィング。だが体力の限界は近づいていた。心折れかけたプリズムが、ふと空を見上げた時、その瞳は一転して歓喜に輝いた。「ヒーローの出番です!!!」ソラが、キュアスカイとして帰ってきたのだ。「ソラちゃん…!」プリズムの前で、スカイはシャララボーグを圧倒し、「ましろさん!!!」と手を差し伸べた。プリズムはしっかりとその手を握り締め、アップドラフト・シャイニングで浄化する。
- 解放されたシャララ隊長を、バタフライがミックスパレットで回復させている隙を狙い、バッタモンダーは魔法で何かしようとしていたが、プリズムが鋭く叫んだ。「動かないで!!1ミリでも動いたら…絶対に許さない!!」それは奇しくも、スカイランド王宮にてスカイがバッタモンダーに対して発したのとほとんど同じ怒りの一喝だった。バッタモンダーは、その時と同じように気圧されて動けない。
- シャララ隊長は目を覚まさなかったが、スカイは「きっと大丈夫」と揺るがない。半狂乱で泣き叫んでいた先日とは別人のように、今日は仲間がしてくれた事がきっと成功すると信じている。プリズムは、そんなスカイを見て微笑んだ。その想いが通じたか、シャララ隊長は復活し、スカイは涙の抱擁を交わす。悪あがきするバッタモンダーにもあえてトドメを刺さず、「どんな嫌がらせをされても負けないくらい強くなります」と凛として言い放つスカイの完全勝利だった。
- 「わたし、未熟です。でも未熟なりに前に進みます」仲間達に感謝するソラに、ましろはヒーロー手帳を手渡した。「ソラちゃん、この手帳…もう1回貰ってくれるかな?」満面の笑顔で受け取るソラ。もう二度とこの手帳を手放す事も、ヒーローを諦めると言い出す事もないだろう。「絶対ヒーローに…なるぞー!!!!!」満天の星空に向かってソラは改めて叫ぶのだった。
■第24話
- キラキラエナジーが溜まり、キラキラポーションが完成。一同はスカイランド王宮を訪れ、国王と王妃を目覚めさせた。エルちゃんと両親が感動の再会を果たす様子を見たましろは、「家族みんな一緒が一番だよね」と笑顔で呟く。
- 国を救ったヒーロー・プリキュアの姿を一目見たいという国民の要望に応え、広場でパレードを行う事に。しかし用意されたのは大きな乗用鳥。あげはは物怖じせずに簡単に乗ったが、運動神経にあまり自信のないましろは「わたし、乗れるかな…」と尻込み。
- さらにソラが「いいですか、コツは『ヒョイッ』『スーッ』『ラッタッター』です!」と、体育会家ならではのフィーリングのみの説明をした為、ますます困惑。挑戦しようとしたものの、不安と緊張でジト目になってしまい、妙に圧のあるその表情にビビった乗用鳥に逃げられる。その後ベリィベリーの指導のおかげで、何とか乗れた。
- 草原にてみんなで休憩。出された菓子を見て、「わぁ~、こっちにもボールドーナツがあるんだねぇ」と言ったところ、ツバサに「やだなぁ、ドールボーナツですよ」と訂正され、「ぼーなどーる?どーな…?」と混乱。ヤーキターイとかチシューとか、ややこしいスカイランド食文化。
- 食べてみると地上界のドーナツとは少し違う食感だが、ソラやツバサにとってはごく普通の味らしい。「やっぱり違う世界なんだね。ソラちゃんやツバサくんと、わたしとあげはちゃん───見た目は変わらないのに、別々の世界の人だなぁって……奇跡みたいだなぁって思うの。絵本に出てくるようなお城があって、不思議な鳥さんに乗ったのも、不思議なドーナツを食べてるのも、みんなと出会えた事も…この奇跡がずっと続くといいなぁ…」ソラと出会ってからの半年余りは、ましろにとっては正に奇跡のような幸福な時間だった。
- そこでアリリ副隊長に呼ばれて王宮へ行くと、国王から再びエルちゃんを預かってもらえないかと頼まれる。実はエルちゃんは国王夫妻の実子ではなく、1年前に空から現われたのだ。そして空の一番星から聞こえる声から「この子はスカイランドを救う運命の子。旅立ちの日が来るまで育ててほしい」と頼まれ、承諾した国王夫妻はエルちゃんを我が子として育て上げたのだった。
- そして今日、エルちゃんに『運命の光』が宿ったのを見た夫妻は、それが旅立ちの印だと悟り、エルちゃんをプリキュア達に託す事を決意した。別れに涙を浮かべる王妃の「きっと大丈夫。ここを離れてもあなたには守ってくれる温かな家、家族がいるんだもの」という言葉に、ましろもエルちゃんと過ごした日々を思い起こす。エルちゃんは勿論、ソラ・ツバサ・あげははもう、ましろにとっては家族と言える存在。プリキュアを信じてエルちゃんを託してくれた国王夫妻の為にも、ましろ達はアンダーグ帝国からエルちゃんを守り抜く事を誓う。
- パレードが始まろうという時、空にはぽつんと一つだけ黒い雲が浮かんでいた。その『いじわる雲』のせいで人々の祝福ムードに水を差されそうになっているのを見たましろは「わたし達で何とかできないかな?スカイランドの晴れた空、エルちゃんに見せてあげたい」と提案する。もちろんソラ達も同じ気持ちで、4人はプリキュアに変身。スカイとプリズムはアップドラフト・シャイニングで『いじわる雲』を消し去り、バタフライとウィングは空に飛行機雲でエルちゃんの顔を描いて、人々を歓喜させた。
- 「同じ空の下、奇跡みたいな出会いでも、運命で繋がって、わたし達家族みたいに同じ時を過ごしてる。それが今はすごく嬉しい」スカイ「今だけじゃありません、これからもです!」そして舞台は再びソラシド市に……。
- 放映日の7月16日はましろの誕生日。番組からバースデーカードが披露され、pixiv絵師からも多数祝福イラストが投稿された。
■第25話
- ソラシド市に帰ってきたはいいが、運命の子たるエルちゃんに今まで通りの接し方でよいのかわからず、「すっごく普通のごはん食べさせちゃってるけど、いいのかな?もっと豪華なご飯じゃなきゃダメなのかも?」と悩むましろだが、ソラは「ましろさんの作るご飯はすっごく美味しいですから!それにエルちゃんが好きなのはおにぎりとバナナですよ」と気にせず。安上がりに育った『運命の子』。
- みんなでソラシド自然公園にピクニック。エルちゃんが動物と会話できるらしい事がわかり、他にも才能が開花したら空を飛んだり、怪力になったり、目からビームが出るのではないかと想像する一同に、「そんなのハイパー凄すぎ赤ちゃんだよ~!!」とパニック。ましろは更に「ご飯んにももっと拘るべきかも!お料理の勉強しなきゃだよ!」とあたふたするが、あげはに「運命の子だろうと、世間のパパとママもどう育てたらいいか悩んでいるのは同じ」と諭され、ソラ・ツバサと共に納得。
- どうぶつふれあいコーナーでは、モルモットを抱っこして、「ぷいぷい鳴いてるよ~、ぷいぷい!」と大喜び。
- アンダーグ帝国の第三の刺客ミノトンの挑戦を辛うじて退けた後、再びどうぶつふれあいコーナーへ行くと、エルちゃんが見ず知らずの女の子に自分の菜っ葉をあげて、一緒にウサギに餌を与えながら「なかよち!」と笑う光景を目にする。いつかの絵本コンテストで、ましろの絵本『ブランコ』を見た時の反応と同じ。以前は見られなかった、他の人と仲良くするという事を覚えた彼女の成長を喜びつつ、「エルちゃんは今優しく育っている。だから今はこれでいいのかな」とましろ達は、これからも試行錯誤しながらもエルちゃんを育ててゆくのだ。
■第26話
- 久々に両親が帰国する事に。「あぁ~!早く会いたい!ほわっほわの真っ白綿雲、ま・し・ろ・ちゃん♡」相変わらずの溺愛ぶり丸出しの父あきら。「やめてよパパってば~、もう子供じゃないって言ったでしょ~」とむくれて見せたものの、久しぶりの再会が待ち遠しくて仕方がない。当日はももぞら空港へ、みんなでお出迎えに出発。
- 両親の搭乗機の到着時間まで空港内を散策している際、天野翔子という女の子と出会う。翔子はパイロットの母親が操縦する旅客機に、父親と共に乗るのを楽しみにしていたが、ミノトンが召喚した携帯扇風機型ランボーグの発生させた上昇気流で悪天候に変わり、これでは飛行機の発着ができない。「翔子ちゃんはママの飛行機に乗るのを楽しみにしてたのに!」
- ランボーグを撃退して天気も回復し、翔子は母親の飛行機で無事飛び立って行った。そしてましろも「ちょっとわくわくしてるかな。みんなの事早くパパとママに紹介したいし!」と笑顔。両親と再会を果たした後、食事したりショッピングに行ったりと、親子の時間を過ごす……のだが、一番のハイライトはお土産としてあきらからみんなに配られた、「I♡MASHIRO」の文字が入った上に、ハートマークの中にましろの顔写真がプリントされたTシャツ。ましろは耳まで真っ赤に。
- そして別れの時、両親の乗る飛行機は飛び立つ。その大切な仲間達の顔を見遣りながら、「パパ!ママ!行ってらっしゃい!」と元気に手を振るましろだった。「あっと言う間に楽しい時間は過ぎて、パパとママはまた海外に旅立ちました。前に見送った時は凄く淋しかったけど…今はみんながいるから────」
- 今回はツバサとましろのダブル主役回であったが、最後のTシャツでほぼ持って行かれた感あり。pixiv絵師も大喜び。
■第27話
- 花火大会が楽しみで落ち着かないソラを宥め、「夕方まであと少しの辛抱だよ、ソラちゃんも待っている間ネイルやってみる?」と勧めるましろ。
- 誤ってミラーパッドの中に吸い込まれたましろ達は、ピンクットンの特別トレーニングを受ける事に。「このトレーニング、何だか可愛い感じ」と、ましろはメイク関係らしきカードを引いたが、手違いでソラが引いた体力系フィールドに挑む羽目になってしまう。目の前にそびえ立つのは、地上4、5階建てくらいの高さの螺旋階段の塔。「ひぇ~、あそこまで行かなきゃなの?階段めちゃめちゃ長過ぎだよ~!」悲鳴を上げ、「近道がある」と言われて案内されたのも塔の頂上からぶらさがっているクライミングロープという有り様で、「無理無理!絶対無理だよぉ~!」と早くもお手上げ状態。
- やむなく階段を登り始めたものの、体力に自信のないましろにとっては過酷な苦行で、遂に体力切れで座り込む。「ソラちゃんがいたら、こんな時…」その時、ましろのの目にソラの幻影が写った。「大丈夫です!ましろさんのペースで1歩1歩進んでいけば。さぁ、一緒に行きましょう!」いつものようなソラの明るい笑顔に励まされたましろは立ち上がり、気力を奮い起こして、再び登り始める。「もう少し頑張れそうだよ、ソラちゃん!」
- へとへとになりながらもようやくゴールが見えた。先に課題をクリアしていた本物のソラが笑顔で手を振り、あげはとツバサも励ましの声をかけてくれる。ゴールの瞬間、足がもつれて転びそうになったが、ソラ達が手を取って支えた。「ソラちゃんがわたしに手を貸してくれた気がして…きっと今までもそうやってたくさん力を貰ってたんだね!」ソラ「それはわたしも同じです。今日だって、ましろさんの言葉に助けられてゴール出来ましたし」あげはとツバサも同様。みんなそれぞれ仲間の言葉を思い出し、勇気を与えられた事で、苦手なジャンルもクリアできたのだった。
■第28話
- ベビーアパレルショップにて、みんなでエルちゃんの服選び。しかしましろが無難に可愛い服を勧めても、最近はすっかり洋服にこだわりが出てきた上におしゃべりも達者になったエルちゃんからは「う~ん…ちょっとちがう!」と流暢に否定された。ちなみにましろが勧めた洋服は、ピンク色で、赤いリボンの飾りがついたワンピースである。可愛らしいデザインではあるものの、エルちゃんの好きなデザインではなかった模様。
- 早乙女姉妹のマネージャー加古がエルちゃんに目をつけ、「あなたならきっとモデル界のプリンセスになれる」と言うのを聞いて、例によって「エルちゃんは元々プ…」といとも容易くバラしそうになるソラ。ましろも慣れたもので、すかさず口を塞ぎ「『もっとプリンが食べたい』?もう食いしん坊なんだから!」と誤魔化す。
■第29話
- にわか雨の中、ずぶ濡れになったソラが帰宅。タオルを差し出して、彼女の足元にある薄汚れたネコのぬいぐるみに気付き、「あれ?どうしたのその子」と尋ねると、ソラは声にならない悲鳴を上げて完全にパニックになる。ソラが先刻雨宿りのため街外れの洋館に入ったところ、このぬいぐるみが話し掛けてきたので、慌てて逃げ帰ってきたのだという。
- 「えっと…このぬいぐるみがソラちゃんについて家まで来たって事でいいのかな?」状況を整理してみたものの、にわかには信じ難い話。あげは曰く、その洋館は現在空き家らしいが、ソラは「連れてって」という声を確かに聞いたと主張する。「じゃあソラちゃんが聞いたのは…」と考え込んだところで、無邪気なエルちゃんが「おばけぇ!」と誰もがあえて口にしなかった核心をズバリと突いたため、真っ青になったソラはガタガタ震えながら物陰に隠れる有り様。「ソラちゃん、怖いの苦手なんだね…」
- すっかり怯えたソラが「あの洋館に返しに行きましょう!」と叫んだ時、本当にぬいぐるみがひとりでに動き出し、驚くましろ・あげは・ツバサ。しかしエルちゃんが無心に話し掛け、ぬいぐるみも懐いている姿を見たソラは己の偏見を反省し、「わたしで良ければ力になります!」とぬいぐるみの手を取るが、その表情は依然として引きつり気味。怖いものは怖いのだ。「ソラちゃん、やっぱり怖いんだ…」
- 持ち主を探す事になり、翌日は街へ。ぬいぐるみに抱き着いたまま眠っているエルちゃんの顔を覗き込みながら、「ソラちゃん、まだ怖い?ぬいぐるみっていい物だよ。抱っこすると安心できるし。一番最初に出来る友達みたいな物だよ。わたしも大事にしてたよ」と、まだ怖がっているソラにぬいぐるみの良さを説いた。『友達』という響きにソラの心も動かされつつあったが……。
- その時、突如ぬいぐるみが宙に浮き上がって誰かを追いかけ始めた。ソラはすぐさま後を追うも、周囲の人々がざわついていたため、ましろは「えっと、あれはネコ型ドローン!いやぁ凄いですよね!最近の技術って!」と誤魔化すのに大わらわ。
- 翌朝、ソラが血相を変えて「ぬいぐるみがいなくなった」と言う。実は彼女の夢の中にぬいぐるみが現われ、今日いきなり空を飛んだのは、自分の持ち主と似た女の子を見かけたからという事、自分は持ち主の女の子が洋館から引っ越しする際に置き忘れられた事、それ以来ずっと彼女を待ち続けている事などを教えてくれたそうで、「その友達の代わりにわたしが一緒にいます」とのソラの申し出を断って、「あの子を待つ」と別れを告げて消えてしまったというのだ。
- 「わたし追いかけます!約束したんです、ネコさんのお友達を捜すって!」真剣な表情で訴えるソラ。ましろはもちろんその話を疑う事無く同意し、一同は街外れの洋館に向かった。ところがミノトンの邪魔が入り、ランボーグ化した洋館の中にプリキュア達は吸い込まれる。
- スカイだけが離れ離れになり、プリズム達は超巨大な柱時計や箪笥型ランボーグに悪戦苦闘で逃げ回る。ぬいぐるみを見つけたスカイと合流し、なんとか脱出した後は、プリズムショットをスカイがキックで叩き込む阿吽の呼吸の攻撃で勝利に繋げた。
- ミノトンも退却し、帰ろうとした時、洋館の前に止まったタクシーから降りた親子の会話が聞こえ、ソラはその女の子・りほがぬいぐるみの持ち主だと気付く。りほは引っ越しの際にうっかりぬいぐるみマロンを置き忘れてしまい、それからなかなかここに来る機会がなかったという事情を母親が説明してくれたが、肝心のりほは、置き去りにされたマロンが怒っているとでも思ったのか、俯いたまま近づいてこようとしない。
- だがソラはマロンの手を動かし、「ずっと待ってたニャ」とマロンに代わって思いを伝えた。りほも堰を切ったように「マロン!会いたかった!置いて行ってごめんね!」と泣きつく。りほ親子とマロンを見送るソラの顔は明るかったが、このたった3日だけの付き合いだった小さな友達との別れが淋しいというのが、ましろには手に取るようにわかった。だからましろは何も言わず、ソラにそっと肩を寄せて微笑んだ。ソラもそのましろの気遣いに微笑み返す。「ぬいぐるみっていいですね」「ねっ…」
■第30話
- しかし水着回につきもののカナヅチ担当がそのソラ。ツバサやあげはのコーチングがいまいちと見るや、「ここはわたしの出番かもだよ!」と運動関係では珍しく名乗りを上げ、「小学生の時、スイミングスクールに通ってて、水泳8級なの!」と髪をかき上げてドヤ顔。
- ちなみに、地域や認定組織によってばらつきはあるものの、「8級」は良くて中位、大抵ほぼ一番下のクラスらしい。
- まずは水に浮くために「力を抜いて、ふわり~って、空に浮いてるような感じで」とましろ流のふんわりしたイメージで指導するも、力も気合も入り過ぎのソラはなかなか浮く事ができない。とりあえず海を楽しもうという事になって、シュノーケルや浮き輪で水に慣れたり、スイカ割りやかき氷を楽しむ。かき氷で頭が痛くなって「夏だねぇ~」、ビーチバレーではソラの強烈なスパイクで腰を抜かしながら「平気平気…夏だねぇ~」とひたすら夏をエンジョイ。
- ソラと並んで腰掛け、一息つきながら「海…スカイランドの湖とはまた違った美しさがあります」「夏休みの最後に来られてよかったね。みんなでさ」と感慨に耽っていると、ソラが「泳ぎの練習をすっかり忘れていました!」と慌て出した。「大丈夫だよ、泳げると思う。ソラちゃん、力が入り過ぎてたから。越えなければならない壁とかじゃないんだよ。海、楽しかったでしょ?だったらもう大丈夫」だがましろはいかにも彼女らしい感性でソラがきっと泳げると確信していた。
- その後ランボーグが現われ、海中に引きずり込まれたスカイはピンチに陥るが、トレーニング中のましろの言葉を思い出したスカイは、自然と体の力が抜けて泳げるようになっており、皆を助けて逆転勝利を収める。
- 夕陽を眺めて談笑するソラ達の横で、ましろは両親宛の手紙を書いていた。「パパ、ママ、なつやすみももうすぐおわりです。ことしのなつはたのしいことがありすぎでした。みんなといっしょにいたから、さいこうのなつやすみになりました。ほんとにすてきな…なつだったねぇ~」(小さいお友達に配慮してかオール平仮名)。ふとソラと視線が合い、手を振って笑顔を交わすましろ。ソラ達と過ごした今年の夏は、ましろにとって忘れ得ぬ大切な思い出になったのだった。
■第31話
- スケッチブックに描いた絵を元に、創作したお話をエルちゃんに読み聞かせるましろ。「昔々ある所に、一人の村娘がいました。村娘は街へおつかいに出かけました。すると…ぴゅ~!空の上からヒーローガールが!」エルちゃんはすぐさま「そら!ましろ!」とキャラクターのモデルを言い当て、ましろもにっこり。
- ところがちょっと席を外した隙に、エルちゃんがデカデカと自分を落書きしてしまった。「これ、えるだよ!」とご満悦のエルちゃんに、「エルちゃんは後でお花の中から可愛く誕生する予定だったんだけど…」と苦笑するも、せっかくのパパとママの馴れ初めの図…じゃなくてましろの力作を台無しにしたとあって、ソラは「めっ!ですよ」と叱るが、エルちゃんは「そら、きらい」と拗ねてしまう。
- 「プチいやいや期」になったらしいエルちゃんのご機嫌を取るべく、みんなで写真館に行き、プリキュアのコスチュームを着せて記念撮影。満足して寝入るエルちゃんを見つめ、ふと感傷的になったソラが「いつかエルちゃんはスカイランドに帰ってしまうが、出来る事ならずっと成長する姿を見ていたい」と涙を浮かべ、ましろは「いつか離れ離れになる日が来る。でもそれは今日じゃないよ」と慰める。そう、別れなど唐突に来る筈ではなかったのに…。
- あげはが、道路のど真ん中に立っていた黒いフードの男に気付き急ブレーキを踏むが、男はいつの間にか車の後ろに回っていた。危険を感じたあげはは全力で逃げ出し、ソラまでもが「あんなに冷たい目、見た事がありません…!」と戦慄が止まらない。今まで以上に強大なアンダーグ帝国の刺客が現われたのだ。
- 振り切ったはずの男は車の上に飛び乗っており、一同を車ごとどこかの山奥に転送させる。そればかりかエルちゃんを攫って黒い球体に閉じ込め、異空間へと転送してしまった。「嘘だよ。こんなの嘘…さっきまであんなに楽しかったのに…こんなのきっと悪い夢…!!」しかしそれは悪夢ではなくまぎれもない現実。黒いフードの男の正体は、アンダーグ帝国の女帝カイゼリン・アンダーグの腹心、スキアヘッドだった。
- 変身したプリキュア達に興味すら示さず、そのまま退却しようとするスキアヘッド。逃がすわけがなく、4人がかりで猛攻を加えるが、瞬間移動・バリア・闇のエネルギー弾などの多彩な魔法を駆使する彼に圧倒され、皆傷つき倒れてしまう。
- だがプリズムは挫けない。「──絶対に…取り戻す!」いつもなら奮戦するスカイの後に続くケースが多かったが、今日はOP映像のようにスカイの手を取って、彼女を引き起こし、抗おうとしていた。エルちゃんを助けたいという強い思いがプリズムを突き動かす。その熱き心に応えるかのように、空から救世主が舞い降りた。突如現れた謎のプリキュア・キュアマジェスティがスキアヘッドを退けたのだ。
- まばゆい光が収まるとキュアマジェスティの姿も消えており、呆然となるプリキュア達の耳に「ぷりずむ!」という声が聞こえ、木陰からひょっこりエルちゃんが顔を出した。奇跡的にアンダーグ帝国の魔手から逃れてきたらしいエルちゃんの元気な笑顔を見て、変身を解いて涙ながらに駆け寄るソラ・ツバサ・あげは。そしてましろは泣き崩れる。「エルちゃん…怖かったよね。ごめんね…!ごめんね…!!守ってあげられなくてごめんね…!」
- 安堵と、エルちゃんを守れなかった自責の念がごちゃ混ぜになって滂沱の涙を流すましろの頭を、エルちゃんが優しく撫でた。「なかないで、ましろ」「もう絶対に離さないからね!!」ぎゅっとエルちゃんを抱き締めるましろ。もう絶対に離さない。絶対に守ってみせる。どんなに敵が強くても、どんなに厳しい戦いが待ち受けていようとも……。
■第32話
- 朝ごはんの準備の時も、昨日の戦いを思い出して不安になり、気もそぞろでトーストを焦がしてしまう。「これからの事を考えると心配だよね…」と悩み、前向きなあげはに励まされていると、エルちゃんが唐突に「える、きゅあまじぇすてぃなの!」と爆弾発言。
- とはいうものの、エルちゃんはいざやってみようとしても全然変身できず。とりあえずあげはに任せ、残る3人はそれぞれ強くなるための自己研鑽を開始。ましろは食事面からのアプローチで、ビタミンたっぷりレモン果汁入りヨーグルトを作っていたが、食べて元気になれば変身できると思ったエルちゃんがそれに手を出してしまい、お口すっぱいすっぱいで大変。
- アンダーグエナジーを注ぎ込まれて怪物化したミノトンが街で暴れ回る。「エルちゃんはわたし達が絶対に守る!」と必死に戦いながらもピンチに陥ったプリキュアを、「だめ~!」とエルちゃんが飛び出してきて庇う。プリズムやスカイが止めるのも構わず、「みんなだいじ!だいすき!えるも…まもる!!」そう叫んだエルちゃんは、遂にキュアマジェスティに変身し、一同の危機を救う。
- 戦い終わって元の赤子の姿に戻りすやすや寝入るエルちゃんを見て、「こんな小さな体にあんな力があるなんて…」と驚いていると、あげはが「みんな、どう思う?心配は心配だけど、これからはわたし達の目の届く所で一緒に戦った方がいい気がするな」と提案してきた。同意するツバサ、「最強のエルちゃんを守る為、わたし達はもっともっと強くなるだけです!!」と張り切るソラを横目に、ましろは素直に頷く事ができない。一緒に戦うって…本当にそれでいいのだろうか?しかし気勢を上げる仲間達に水を差すようで、ましろはその疑問を口に出せず、「うん…」と小声で答えるのみだった……。
■第33話
- 「きゃ~!やめて~!助けて~!もうダメ~!」怪物に見立てたぬいぐるみに襲われている設定のましろを、「ばーん!おりたちゅけだかきしんぴ!きゅあまじぇすてぃ!」とエルちゃんが助けに入り、キュアマジェスティごっこに興じる二人。
- エルちゃんはすっかりご機嫌だが、ましろの中ではまだ疑問が燻っていた。「エルちゃんノリノリだけど、ほんとに大丈夫なのかな…」。そこへ、スカイランドに行っていたヨヨから連絡が入ったとのツバサの声が聞こえ、元気よく走って行くエルちゃんを追いかけようとして、「エルちゃん待って!走ったら危ないよ~!」と言っている自分の方が、ゴミ箱につまづいてしまう始末。
- 全員でスカイランドへ向かい、国王と抱き合って喜ぶエルちゃんの姿を見て声を漏らす。ヨヨに怪訝な顔をされるも、平静を装って呼び出された用件を聞くと、湖の底から突如大昔の遺跡が出現したのだと言う。しかし入口がどこにも見当たらず、石碑には「全ての人を救う究極の力がこの地に眠っている。その力を手に入れなさい、運命の子よ」と書いてあった。『運命の子』であるエルちゃんならば隠された入口を開く事ができるかもしれないと考えたヨヨは、エルちゃんと一同を呼び寄せたのだった。
- そんな話を聞いてもましろの不安は増すばかり。ヨヨの予想通り、エルちゃんが手をかざすと遺跡の隠れた入口が出現し、みんなが勇んで入ってゆこうとするのを見て、たまらず「ねぇ!ここって危ない場所かもしれないよね?」と引き留める。一同の視線を浴びて「中にはトラップが仕掛けられているかも」と取り繕いつつ、「やっぱり…エルちゃんを連れて行く訳にはいかないよ。わたし達だけで行こう!」と主張した。
- あげは「エルちゃんを危ない目に遭わせたくないのはみんな同じ。でも遺跡がエルちゃんを呼び、エルちゃん自身も運命に向き合おうとしている。わたし達に出来るのはエルちゃんを守ってサポートしてあげる事」「キュアマジェスティになったエルちゃんはすごく強いし、けど…」すると当のエルちゃんが「える、いきたい!いっしょにいこう、ましろ!」と笑顔で誘いかけてきた。ましろはこらえきれなくなって泣きそうになるが、それを見たエルちゃんの方が泣き出してしまい、「ごめんね、ごめんね~、一緒に行こうねぇ」と譲歩する結果に。「う~ん…ダメって言えないよぉ~」
- 正当な継承者にだけ道は開かれるらしく、エルちゃんが進む先は罠や危険に遭遇する事もなく、スムーズに遺跡の中を進む一同。冗談を言い合いながらリラックスしているみんなを見て、心配し過ぎだったかと安堵するましろだったが、「でも、もしもこの先エルちゃんが怪我したら?痛い思いをしたら?そんなのやっぱりやだよ…」と心に湧き上がるネガティブな思いを抑える事ができなかった。
- たどりついた遺跡最深部には、エルちゃんに似た少女が本に手を伸ばす巨大な壁画があった。エルちゃんが壁画に触ると、ソラ・ましろ・ツバサ・あげはのような4人の姿が浮かび上がり、次の瞬間ヨヨ以外の、プリキュアである5人は壁画の向こうの、最後の部屋に転送される。そこにあった光の球から1冊の本が現われ、エルちゃん曰く「まじぇすてぃくるにくるん」というこの本が究極の力らしいのだが、封印されていて開かない。
- その時遺跡が揺れたかと思うと、ミノトンが地響きと共に現れた。彼は遺跡の封印も障害も、全て力尽くでこじ開けて強行突破してきたのだ。変身したプリキュア達に翻弄されるミノトンは、アンダーグエナジー入りの強化ドリンクを飲んでパワーアップし、逆襲してきた。爆炎と煙で仲間の姿を見失い、焦りながらマジェスティを探すプリズムは注意が疎かになり、ミノトンのエネルギー砲を喰らいそうになる。だがバリアを張ってプリズムを救ったのはマジェスティだった。
- ミノトンの猛攻はなおも止まず、マジェスティが「クルニクルン、わたし達に究極の力を!」と訴えかけると、クルニクルンが輝き古代文字を映し出す。その光を浴びたプリキュア達は、知らないはずのその文字の意味を自然と理解していた。『プリキュアの心を一つに重ねた時、クルニクルンの奇跡のページは開かれる』
- 「みんな!クルニクルンに手を重ねて!」マジェスティの声で、一同は先刻の壁画と同じようにクルニクルン目がけて手をかざしたが何も起こらない。「どうして!?わたし達の心は一つのはず!」悲痛な声を上げるマジェスティ。その間にミノトンは更に強化ドリンクを多数飲み干し、最大級のエネルギー砲を放つ。辛うじてクルニクルンが防御してくれたが、ミノトンの猛威の前では破られるのは時間の問題だった。
- 突如プリズムが叫んだ。「わたしのせいだ!!エルちゃんを戦いに巻き込みたくないって思ってるから…だからクルニクルンの力が目覚めないんだよ!!」『心を一つにする』事がクルニクルンの力を引き出す条件なのに、この期に及んでもエルちゃんが戦う事に納得できないプリズムの心が、発動を妨げていたのだ。ウィング「そんな事言ってる場合ですか!!?このままじゃマジェスティもボク達も…!!」「わかってる!」プリズムは、どうしてもエルちゃんを心配する自分の思いと折り合いをつけられない。その間にバリアが限界となり、粉々に砕け散った…!
- だがまたもマジェスティが渾身の力で新たなバリアを張って一同を救った。バタフライもバリアを重ね、プリキュア5人は総出で力を合わせて持ち応える。「エルちゃん、ごめんね。わたしが守ってあげなくちゃいけないのに…」謝るプリズムにスカイが言った。「ましろさん、エルちゃんの気持ちを信じてあげて下さい!エルちゃんだってわたし達が心配で、わたし達を守りたいんです!わたしには解ります…だって、あの時と同じだから!!」それを聞いたプリズムははっとなって思い出す。自分がプリキュアになった時、「ましろさんが傷つくのは嫌だ」と涙ながらに共闘を拒絶したスカイに対して、自分は……。
- 「あの時、ましろさんはわたしに言ってくれました!」とのスカイの言葉を引き継ぐように、マジェスティも微笑んで"その時の台詞"を口にする。「───ましろ…『あなたが心配だよ。助けたいよ』気持ちは同じ。それって一緒に戦う理由にならないかな?」プリズムはようやく悟る。キュアマジェスティとなった今、エルちゃんはもう守られるだけの存在ではない。自分がスカイを守りたいと思ったように、エルちゃんもみんなを守りたいのだ。
- 5人の心は今こそ一つになった。クルニクルンの閉じられたページが開き、新必殺技プリキュア・マジェスティックハレーションが炸裂し、アンダーグエナジーに染まり切ったミノトンは浄化され、正気を取り戻した。礼を述べた彼が去った後、マジェスティとプリズムは笑い合う。「フフフ…プリズム、大好きよ」「わたしもだよ、マジェスティ」守り守られる関係から、お互いに守り合って戦う仲間へ。絆の形は変わっても、『大好き』という気持ちは変わらないのだから。
■第34話
- 新作の絵本を携え、ソラシド図書館での読み聞かせ会に向かう。もう10冊目であり、あげはやソラに絵本作家になることを勧められ、「絵本作家…なれたらいいなぁ…」と、今まで意識していなかった将来の夢が膨らむのを感じるましろ。だがその姿を、物陰から(と言うか、出くわしそうになって咄嗟に隠れた側溝の中から)バッタモンダーが見ていた。プリキュアに敗れてアンダーグ帝国に帰れなくなり、人間界で極貧生活を送る彼は、こんな事になったのは彼女達のせいだと逆恨みして、ましろの夢を潰す事で復讐しようとする。
- 数組の親子を前に新作『プリンセスのはなぞの』を朗読し始めたが、男の子の兄弟がふざけあってばかりで、全然物語を聞いてくれない。挙句には外に出て行こうとするので、「まだ途中だよ?」と引き留めるも、「だってつまんないんだもん」とストレートに拒絶されてしまった。幸い他の子供には好評で、称賛してくれる母親もいたが、さっきの2人には何がつまらなかったのか…?
- あげはに慰められ、気を取り直してスケッチをしようとしたが、先刻のショックが尾を引いていてまるで筆が進まない。そこに通りかかった青年の落とし物を教えた事で、その紋田という美大生との会話が始まるが、まさか紋田の正体がバッタモンダーで、ましろの絵を酷評する事で自信を喪失させるのが目的だとは知る由もなかった。
- しかしバッタモンダーが批評する前から、ましろは先の件で落ち込み気味。事情を聞いて内心では嘲笑しつつも、「君、絵本作家になるのかい?プロの作家になれば悪く言われる事は避けられないんじゃない?それが嫌なら描くのをやめるしかないよ。僕も描いた絵をつまらないって言われた事あるけど…」と親身になるふりをすると、「それで?紋田さんはどうしたんですか?」とましろは食いついてきた。「いや別に。僕は何とも思わなかった。だって僕にはちゃんと悪口言われる覚悟があるからね」と答え、『そんな覚悟もないならやめてしまえ』とトドメを刺す予定だったが…。
- そこにソラが現われ、ツバサとあげはまで加わり、いつ正体を見破られるかと生きた心地もしないバッタモンダー。一方ましろはエルちゃんにブランコに一緒に乗るよう誘われ、「ブランコ、なかよし!」という彼女の言葉に、自分が最初に描いた絵本『ブランコ』の最後のページの「きれいだねえといいあって、みんなすっかりなかよしになりました」という言葉を思い出していた。エルちゃんはましろの初めての作品をちゃんと覚えていてくれたのだ。
- そして今度はスキアヘッドが出現し、新怪物キョーボーグを召喚。ランボーグとはレベルの違う強さに「どうすれば…」とたじろぐプリズムだったが、スカイの「決まってます…いつも通り戦うだけです。相手がどんなに強くても関係ありません!」という言葉に、「だよね…苦戦する覚悟なんてとっくにできてるもんね」「大切なものを守る為ですから」「どうって事ないわ!」とバタフライ・ウィング・マジェスティも続き、誰一人闘志を失っていない。その仲間達の頼もしい『覚悟』を知って、プリズムの中でようやく答えが出た。「そうだね…」と納得の笑みを浮かべ、茂みに隠れて戦いを見守っていた紋田ことバッタモンダーに「紋田さん、わたしわかったよ!」と心の中で礼を言いながら、プリズムはみんなと力を合わせてキョーボーグを撃破する。
- その夜、自室で「必ずしもみんなが面白いって言ってくれるとは限らない…でも…」とましろは自分に言い聞かせるかのように呟く。後日、道路工事現場で交通整理のアルバイトをしているバッタモンダーと偶然出くわしたましろは、再会を喜びながら目を輝かせてまくし立てる。「わたし、紋田さんのおかげで自分の気持ちがはっきりしたんです!!わたし絵本を描くのが好きで、それを読んでもらえるのが嬉しくて…だから1人でも喜んでくれる子がいるなら描き続けようと思って!わたし、紋田さんの覚悟を見習って絵本作家を目指す事にしました!」
- 更にバッタモンダーの手を取って、「紋田さんも頑張ってください。思い通りにいかない事もあるけど、目標に向かって頑張る紋田さんは素敵です。わたし、応援してますから!」と励まして走り去って行く。目論みがすっかり外れて、ましろの夢を潰すどころか、逆に明確な目標を持たせる後押しをする形になり、でも「俺、応援されるなんて初めて…」と心の温もりを感じ、それでもやっぱり「いやいやいや!お前の応援なんかいらねえし!」と複雑な心境のバッタモンダーを残して、ましろは希望いっぱいで駆けてゆく。「描こう!これからもたくさん、思いっきり!」
■第35話
- 昼休みでもお構いなしに、まだ部活に入っていない大物ソラを勧誘しに来る体育部軍団に対して、久々の「タ…ターイム!」と待ったをかける敏腕マネージャーましろん。何とかお引き取りいただくが、次に女子野球部が現れた。先頭に立つ二人、扇かなめと四宮たまきを見て、「女子野球部のたまかなコンビだ!!」と一転してましろは頬を赤らめる。
- 野球部の並々ならぬ熱意を感じたのと、たまきがひじを痛めて投げられない事情を聞いて、ソラは特別コーチを引き受ける。ましろもくもパンを差し入れ。
- 「わたしもたまきさんも一人じゃない!」とのスカイの声が聞こえたかのように、プリズムを先頭に駆け付けるプリキュア達。更にスカイが「プリズム!」と一声叫んだだけで彼女の狙いを察し、光球を作って投げ渡す。スカイは受け取って剛速球でキョーボーグをダウンさせるという阿吽の呼吸で勝利した。
■第37話
- みんなでましろが小さい頃のアルバムを鑑賞。
- あげはと一緒に写っている写真もあり、とある大木の前で二人でハートマークを作った写真を撮った際に仲良くなったらしいが、あげはもましろも仲良くなったきっかけの記憶が曖昧。その場所に実際に行けば思い出せるかもと、一同は思い出の木を訪ねる事に。
- ただ、その肝心の木の場所も二人ともはっきり覚えておらず、写真を撮ったヨヨは知っているようだが、曰く「自分達で探した方が宝探しみたいで面白いわよ」との事で、まずは情報を求めて、当時お世話になったせつこおばあちゃんの家へ。そこからあちこち歩いて探したり聞き込みをしたが、なかなか手がかりが掴めない。
- 夕陽に輝くススキ野が広がる小道で、「ここはみんなと見つけた新しい思い出の場所だね」とその光景に見とれつつ、とりあえず帰ろうとしたところで、エルちゃんの帽子が風で飛ばされてしまった。それを追いかけるソラとツバサの姿を見たましろとあげはは、あの時も同じように風で飛んだましろの帽子を、あげはが追いかけた事を思い出す。
- 写真をよく見ると、帽子はまだ木に引っ掛かったままなのに、二人はハートマークを作っている。帽子を取り戻せていないにもかかわらず、なぜ仲良くなれたのだろうか?そこでせつこおばあちゃんが、あの木は去年の台風で倒れたため伐採された事を思い出した。行ってみるともう切り株しか残っていなかったが、ましろとあげははようやく記憶が甦っていた。
- 風で飛ばされた帽子が木に引っ掛かってしまい、泣きべそをかくましろを慰めつつ、あげはは木によじ登って取りに行ったが、滑り落ちて膝を擦り剥く。「あげはちゃん、いたいいたいだもん、病院行こ!」と気遣うましろに、「ありがと!でもほんとに平気だから!」と笑顔で返すあげは。ふと見上げると、リスが2匹帽子の中で仲良くどんぐりを食べていた。「きっと気に入ったのかも」と、帽子は取り返さずそのままリスにあげる事にした二人は笑い合う。
- そこでもじもじしながら「あっ…あのね、わたし、ほんとはあげはちゃんとお友達に…」と切り出すましろに、あげはは「もう友達だよ!そうだ、これからは『ましろん』って呼んでいい?」と満面の笑みで答えた。かくして二人は仲良くなったのだった。思い出の木は切り倒されたものの、ブランコに作り変えられて公園に残っていた。懐かしい思い出を探しに来て、今日みんなと新たな思い出を作る事ができたのを喜びながら、ましろ達は記念撮影する。
- しかしそんな思い出の場所にまで、無粋にも現われるスキアヘッド。カカシ型キョーボーグの竹槍二刀流に対し、「わたしに任せて!」と自ら進み出たプリズムは、プリズムショットを連射。「あの頃は見ている事しかできなかった。けど…ゆっくりだけど、少しずつだけど、今のわたしなら!」そして同じ箇所を狙い撃って竹槍を破壊した。もう昔みたいな泣き虫じゃない。「よっしゃ!やったねプリズム!」成長を喜ぶバタフライの声に頬を染めながら、プリズムはみんなと一緒にキョーボーグを浄化。「何故わたし達を狙うの!?」とスキアヘッドを問い詰めるが、彼は「お前達が知る必要は無い。私だけが知っていれば良い事だ」と言い捨てて去って行く。
- 帰宅後、新しくできた思い出の写真を眺め、ソラがくしゃみをしてみんな変顔になった1枚を見て笑い合う。「またみんなと行きたいなぁ…その時はわたしもあの思い出の木も、今より大きくなってるかな…」ましろが見つめる写真の中の切り株には、新たな若芽が育ち始めていた。
■第38話
- スカイランドの鳥達にとって灯台のような道標の役割を果たしていたハレバレジュエルの光が消えた為、プリキュアメンバーで調査に行く。
- スカイランドの宿場町のにぎやかな様子に「すっご~い!お祭りみたい」と目を輝かせたり、ジャングルの探索で「よ~し、どんどん行こう!」と張り切って言った直後に、「どんどん…どんどん…」とヘトヘトになっていたり、大きな足跡を発見して滝のような汗を流し青ざめる等、リアクションを見せる。
■第39話
- 「知っていますか?ソラシド市に隠れ住む魔女の噂…」「ハロウィンの日にはその魔女の館を訪ねてごらんなさい…魔女とその仲間達が甘~いお菓子を用意してあなたを待ってますよ!」
- 今日はハロウィン。虹ヶ丘家の『魔女の館』としての飾りつけは本格的過ぎて、入ってきた子供達はビビりまくり。お菓子をもらってようやく笑顔になった子供達を見て、「わたしね、ハロウィンって特別なお祭りだと思うんだ。いつもならお話しない人とだって、いつもと違う服を着て、『トリック・オア・トリート』の言葉一つで繋がれる。そして笑顔が広がって行くの。ハロウィンって、本物の魔法みたいじゃない?」と総括。
■第40話
- テレビの結婚式特集を、ソラと仲良く視聴。「わたしの村では、結婚する二人が、まず村中に聞こえるくらいの大きな声で『わたし達、結婚しまーす!!!!!!!!!!』と力いっぱい叫ぶんです。その声を聞いた村の人が集まって、みんなで一晩中ダンスでお祝いするんです」とスカイランドの風習を聞き、「何かそれも楽しそう!」と目を輝かせる。
■第41話
- 「今度こそ──目指せ入選!だよ」以前落選した絵本コンテストに再度チャレンジする事を決意。ところが肝心のテーマが決まらず頭を抱える。「やっぱり楽しいのがいいのかな?それともインパクト重視?全米が泣くような感動物にすべき?」等々、顔芸を披露しながら悩みまくって、「このまま何も思いつかなかったら、時間がどんどん過ぎて地球がぐるぐる100回回っちゃうよ!」とすっかりパニック。
- 公園で落ち葉を眺めたり、みんなに励まされて元気が出てきたので、落ち葉を題材にしたストーリーを考えていると、キッチンカーでアルバイトをしていたいつぞやの美大生・紋田がやってきた。その正体がバッタモンダーとも露知らず、ましろは彼と会話を始める。
- 「頑張っても上手くいかない事ってあるよね」と、ましろの夢を挫くためにネガティブな話を始めたつもりの紋田だったが、それはいつしか自分の境遇と重ね合わせた嘆きに変わっていた。アンダーグ帝国で特訓を強いられても、パワー不足でついていけず、いくら頑張ろうとスキアヘッドのような優秀な者には敵わない…。「夢なんて見ない方がいい。辛い思いをするだけだから。どうせ最後は落ち葉みたいに落ちて消えてなくなるんだから…」
- ところがましろは凹むどころか、「紋田さん、辛い思いをしてるんですか?」と逆に彼を励ます。「落ち葉を見ていると惨めになる」という言葉にも、「落ち葉は全然惨めじゃないですよ。木は寒い冬を乗り越えるために葉を落とし、落ちた葉っぱは土になって木の栄養になるんです。枯れた色も綺麗だし、落ちても頑張ってるって感じで。落ち葉、わたしは好きですよ」と返す等、ましろはどこまでも前向きだった。その姿勢に、逆にいたたまれなくなった紋田は、ましろの前から逃げ出してしまった。
- 「──この俺が苦しそうだって?解ったような事を…お前に俺の何が解る!!」ましろの温かい言葉に揺れ動く紋田の前に現れたのはスキアヘッドだった。「────何をしている?何故まだのうのうと生きている?お前は何時もそうだ。何の力も無い落ちこぼれの癖に諦めが悪い。足掻き続けるお前の姿は見苦しく目障りだった。プリンセスを連れ去る任務を放棄し、プリキュアに執着し、挙句敗北した。力の無い者に存在する価値は無い、消え失せろ。」ましろとは対照的に、スキアヘッドの一言一句は冷酷無情。紋田の全てを否定した上で、彼を処刑しようとした。
- 「やめて!!どうしてこんな事するの!?」そこへましろが割って入った。「価値の無い者を消そうとしているだけだ。」「紋田さんをそんな風に言わないで!」「そいつについて話す事すら時間の無駄だ。」ましろとの押し問答にも一歩も譲る事のないまま、キョーボーグを召喚するスキアヘッド。ましろは紋田を逃がし、駆け付けた仲間達と共に変身する。
- キッチンカー型キョーボーグに叩きのめされるプリキュア達。「強い者が勝つ…力の無い弱い者に価値は無い」冷然と言い放つスキアヘッドの言葉を物陰で聞き、歯噛みしていた紋田だったが、プリズムは彼の思いを代弁するがごとく、「そんな事ないよ!!力の有る無しで価値は決まらないよ!!誰でもそれぞれにいい所が…!」と反発した。
- 攻防一体の厄介なパラソルを、プリズム・スカイ・ウィングが連携で地面にめり込ませて動きを止め、バタフライがバリアでキョーボーグの突進を食い止めつつ、マジェスティが反撃するという流れで、皆の力を合わせたプリキュア達はキョーボーグを倒した。スキアヘッドは「力の無い弱い者でも、集まれば強い力を見せるか」と、プリズムの主張も一理あるかのように認めた後、「何故こんな事をするんですか!」というスカイの問い掛けに、「愛するお方がそれを望んでいるからだ」と意外な言葉を残して姿を消した。
- 夕暮れの中、ましろは紋田を探すが、彼の姿は見当たらなかった。葉っぱが散って淋しいと言う仲間達に「でも終わりじゃないよ。冬を乗り越えたらまたきっと…」と答えたましろは、「絵本のテーマ、決まったよ。読んで楽しいだけじゃない。苦しんでる人を元気づけるような──そんな絵本を描くよ!」今日の紋田との会話の中で、彼を励ましてあげたいと感じたましろは絵本のテーマも決まり、皆と笑顔で帰って行く。だが、ましろは気づいていなかった。一同の最後尾を歩くソラの表情が曇っていたことに……。
- 一方、こっそり聞いていた紋田は「バカな奴め。俺を敵とも知らないで…庇ったって何の得にもならないのに。枯れた落ち葉は地に落ちて踏み躙られるだけだ。なのに…」と毒づいていたが、その脳裏に「落ち葉、わたしは好きですよ」というましろの言葉が木霊する。前向きに夢へと進む彼女に対し、自分は…。紋田は複雑な思いを抱えたまま、枯れ葉舞い散る道を歩き去ってゆくのだった。
■第42話
- ましろは先日からいつもと様相が違うソラが気がかりになっていた。ツバサの研究資料を受け取りにシャララ隊長がやって来て、観光案内をしている間もソラは何か考え込んでいる。帰宅後もヒーロー手帳とにらめっこして沈んだままのソラを隊長がトレーニングに誘ったので、ましろは物陰から耳をそばだてる。
- 隊長に何かあったかと問われたソラは、スキアヘッドの「愛するお方がそれを望んでいる」という台詞が気になって、なぜ自分は攻撃の手を止めてしまったのかがわからないと悩んでいた事を打ち明ける。「一人で考えて答えを出したい」と言うソラに、なぜ相談してくれないのかとツバサが食って掛かったが、シャララボーグの一件の時のような事ではなく、あくまで前向きに一人で考えたいとソラは決めていた。ましろは納得して「わたし達にできる事があったら協力するから」とここはひとまず見守る事にする。その言葉通り、戦闘時はマネキン型キョーボーグをプリズム達が4人がかりで引き受け、その間にスカイがスキアヘッドと対話するのを後押しした。
■第43話
- 先日の紋田との会話にヒントを得て、絵本執筆に取り組むましろ。食事中もぼーっとしていてみんなに気遣われる。「そのくらい真剣に描いてるなら、絵本コンテスト入選間違いなし」とあげはに褒められた事で、今更のように、絵本コンテストに応募するために描き始めたのを思い出す。今のましろの中ではコンテストよりも、苦しんでいる人を元気づけるような本を描きたいという思いの方が強くなっていた。
- 風で木から吹き飛ばされた『おちばくん』が「ボク一人では何もできない」と悩むあたりまでは描けたもののそこからが難しく、公園で一人考えていたところで紋田の姿を見かけた。「よかったらわたしの絵本を読んで貰えませんか?実はこの絵本、紋田さんとお話しした事を元に描いてるんです」と、スケッチブックを差し出して頼み込み、「どうすれば、この『おちばくん』の物語をハッピーエンドにできるかなって、ずっと悩んでて…紋田さんが落ち葉を見ても辛い気持ちにならずに済むような、そんなお話にしたいんです」と相談するが、絵本を読み終わってましろのその言葉を聞いた紋田の顔は怒りに歪んでいた。
- 「君が悩むのも当然だよ、なぜだと思う?……役立たずの落ち葉にハッピーエンドなんて有り得ないって、内心じゃお前も気付いてるからだよ!!」声を荒げて激昂しながら、紋田はスケッチブックをビリビリと引き裂く。「落ち葉にだって意味がある!?落ち葉が好きだ!?そんな綺麗事で誰が救われるって言うんだよ!!そもそも全部お前らのせいじゃねえか!!!お前らのせいで俺は負け犬のままアンダーグ帝国に帰る事もできない!!」
- ましろに声を掛けられる直前、紋田は「何の力もない落ちこぼれの癖に、足掻き続けるお前の姿は見苦しく目障りだ」とスキアヘッドに詰られた事を思い出し、鬱々とした気持ちのまま思い悩んでいた。そこへ現れたましろが、まるで自分への当てつけのような落ち葉の物語を見せたために、感情が抑えきれなくなり暴発してしまったのだ。だがましろは、彼が思わず口を滑らせて発した言葉を聞き逃さなかった。「アンダーグ帝国? ───バッタモンダー……」
- 咄嗟に紋田はましろからミラージュペンを奪い取り、バッタモンダーの正体を現した。降り始めた雨の中、しばし二人は対峙する。「全部……嘘だったんだ…」「ああ、そうさ!」「なんで、そんな事……」「オマエの心を滅茶苦茶に傷つけるためだよ!どうやら大成功みたいだなァ!ウハハハハハ!!」
- 哄笑するバッタモンダーだったが、ましろの口から出たのは思いもよらぬ言葉だった。「よかった…。紋田さんが苦しんでたのも嘘だったんだ…」ましろは悲しげではあるが、同時に安堵したかのような微笑を浮かべていた。バッタモンダーの笑い声が止まり、罪悪感が彼の心を苛んだ。
- 「でもあの時、スキアヘッドがあなたを狙っていたのは…」「そうだよ!任務に失敗したから俺は消されちまうんだ!」それを聞いたましろは、更に予想外の事を言い出す。「わたし達ならあなたを助けられるかもしれない!ううん、助けてみせる!だからミラージュペンを返して!」敵であり、騙していた俺を助けるだと?しかし狼狽するバッタモンダーを見つめるましろの眼差しは真剣そのものだった。
- 救いの手にすがるかのように、ふらふらとましろの方へ歩み寄って行ったバッタモンダーだったが、あと少しの所で踏みとどまる。「あっぶね!そうはいくかよ!ペンを取り戻したら俺を始末するつもりだろう!バレバレ過ぎて笑えるぜ!」と嘲笑して見せたものの、ましろの凛とした視線は揺るがない。「お…俺はオマエを騙してたんだぞ!それに…」その台詞をましろが途中で遮った。「助けるよ」その毅然とした言葉に、バッタモンダーは逆にいたたまれなくなり、「お前にはわかんねェよ…何の価値も無い落ち葉の気持ちはな───!」と、小声で言い捨てて姿を消した。ましろは降り続ける雨に濡れたまま、その場に立ち尽くす。ソラが迎えに来た時、様々な思いがごちゃ混ぜになったましろは言葉にもならず、ソラの胸でひたすら泣き叫ぶのみだった。
- 一方、バッタモンダーはスキアヘッドに見つかって、ミラージュペンを没収されていた。さらにスキアヘッドは「お前に無価値ではないと証明するチャンスをやろう。それを取り込めば強大な力が手に入る」と、アンダーグ・エナジーの球体をバッタモンダーに与える。だがアンダーグ・エナジーを取り込めば、人格は消滅し、後に残るのは強力な怪物だけ。恐怖に震えるバッタモンダーに、スキアヘッドは冷酷に命じる。「嫌だと言うならこの場でお前を消す。さあ、自分が無価値ではないと証明してみせろ」
- 帰宅したましろから事の顛末を聞き、バッタモンダーの卑劣さに憤るソラ達。しかし当のましろは「いっぱい嘘つかれたし、ひどい事もされたけど、バッタモンダーの事、今はあまり怒る気になれないんだよ」と複雑な心境を吐露する。強者や優秀な者でなければ価値がないとされるアンダーグ帝国で、虐げられたバッタモンダーの胸の内が解るような気がしたからだった。「得意な事も将来の夢もなかったから、自分には何もない気がして。でも…」
- 『ましろさんは、今のましろさんのままでいいんです』『わたしなんか?そんな事言うな!そんな事誰にも言わせるな!』『プリズムには、誰にも負けない優しさがあるんだ!』『プリズム、大好きよ』ましろの周りには、温かく見守り、時には叱咤し、価値を認めて励ましてくれる仲間がいた。「今は違う。自分は自分のままでいいんだって気付けたから」それを聞いたソラは、バッタモンダーに破かれた物を拾い集めてセロテープで繋ぎ合わせた、薄汚れたスケッチブックを手に取り、こう呟いた。「何もできないって悩んでいる『おちばくん』は、ましろさんだったんですね」ましろははっとなった。
- 「楽しいだけじゃない。苦しんでる人を元気づけるような、そんな絵本を描きたいと思ってた。あの時、落ち葉を見て辛そうにしてた紋田さんみたいな人を少しでも元気にできたらって……。でもこの絵本はわたしのお話でもあったんだ」自分には何もできないと思っている『おちばくん』は、紋田と自分の姿。でもわたしには仲間がいるけど、彼は本当に一人ぼっち…。ましろの心は決まった。「みんな、お願いがあるの!ミラージュペンは必ず取り返さなきゃいけないけど、その前にわたし、バッタモンダーと話したい!」その志にはもちろん誰も異論なし。雨が上がった後、ましろ達は公園へと急ぐ。
- そこではバッタモンダーが待ち構えていた。「戦う気はないよ。あなたと話したいだけ」「話す?やっぱりお前は何もわかっちゃいない。俺にはもう…そんな時間なんか無えんだよ!!!」バッタモンダーはアンダーグ・エナジーの球体を取り出した。あれを使ったら、いつかのミノトンのように、理性無き怪物になってしまうのでは?
- 「今日こそお前らを倒す!!そして俺の強さを証明する!!」そう叫びながらもバッタモンダーは躊躇を見せていたが、スキアヘッドの声に追い立てられるかのごとく、アンダーグ・エナジーを取り込んで、筋骨隆々の強化怪人態へと変貌する。スキアヘッド「アンダーグ・エナジーは強大だ。使い途の無い無価値な存在にさえ、これ程の力を与える。力を持たぬ者に価値など無い」スキアヘッドに、ましろの怒りが爆発した。「価値が無いなんて───あなたが決める事じゃない!自分の価値は、自分で決めるんだよ!!」
- 「変身出来ず何の力も無いお前が、自分には価値が有ると吠えた所で所詮は綺麗事だ」と意に介さぬスキアヘッド。しかし消滅しかけていたバッタモンダーの心には、ましろの声が届いていた。「自分の価値は…自分で決める…!」バッタモンダーはスキアヘッドに飛び掛かると、ミラージュペンを奪い返した。バッタモンダー「いい加減ムカついたから殴っただけだよ、おっさん!!」
- 反逆行為にも表情一つ変えず、「馬鹿め、やはりお前は無価値な存在」と断じるスキアヘッドにも、「ああそうさ、俺は馬鹿だ!でもな、俺は無価値なんかじゃねえ!!」そう言い返し、バッタモンダーはミラージュペンをましろに投げ渡した。だが礼を言う暇もなく、増大したアンダーグ・エナジーに彼の人格は呑まれてしまう。「必ず助ける!!」固く決意したましろは、皆と一緒に変身した。
- 強大なパワーで、次々とプリキュア達を蹴散らすバッタモンダー。スキアヘッド「お前も諦めが悪いようだ。弱い者が足掻き続ける様は目障りだな」「あなたの評価なんかどうでもいい!!バッタモンダーを助けるって覚悟は決めたから!!わたしは!!絶対に諦めない!!!!!」敢然に立ち向かうプリズムの心からの叫びを聞いたバッタモンダーの胸が輝き、苦しみ始めた。まだわずかに、心の輝きが残っていたのだ。
- 「お願い!消えないで!!…ううん、わたしが…照らし出してみせる!」プリズムは、太陽のようにまばゆい光の球を生み出した。「きらめけ!プリズムシャイン!!!」その光はアンダーグ・エナジーの中に消えつつあったバッタモンダーの心を照らし、彼の肉体は放心したように座り込む。プリズム達はマジェスティック・ハレーションでバッタモンダーを浄化、スキアヘッドは撤退していった。
- 「まさか本当に助けるとは。お人好しもここまで来ると呆れるね」元に戻ったバッタモンダーは前と変わらぬ口調で憎まれ口を叩くが、その顔は憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとしていた。シャララ隊長の件も水に流してくれたソラにも、素っ気ないバッタモンダーだったが、小声でましろに「破って…ごめん」とだけ謝罪の言葉をかけて去って行った。ましろはそんな彼の後ろ姿をうれしそうに見送っていた。「大丈夫、自分の輝きを信じる事ができたなら、きっと─────」
- 後日、ましろの絵本はコンテストで大賞を受賞する。「ボクの素敵なところは、ボクが決めちゃえばいいんだ!川をぷかぷか浮く事も、空を飛ぶ事だってできるよ!わぁ!さあ行こう、広がる世界へ!」希望に満ちて、虹の彼方を目指し飛んでゆく『おちばくん』の姿は、今のましろとバッタモンダーのようだった。
■第44話
- スカイランドの草原に謎のトンネルが開いたとの知らせを受け、乗用鳥で現場に向かう一同。ましろも第24話であれだけ苦労した乗用鳥を、しっかり乗りこなしていた。
- しかし怪しいものは見当たらず、女性が一人佇んでいた。ましろ「ここで何をしてたんですか?」女性「あれを見ていた。立派なものだな…悲しみの涙の上に建つスカイランドの城……」だがその直後、女性の姿は戦闘装束に変わる。「私はカイゼリン・アンダーグ。アンダーグ帝国の支配者。」とうとう敵の首領であるカイゼリン・アンダーグ自らが出陣して来たのだ。
- カイゼリン「プリンセス──300年待った。あの時の恨みを晴らさせて貰う!!」エルちゃんに手は出させまいとプリキュアに変身したが、カイゼリンにマジェスティック・ハレーションを跳ね返され絶体絶命大ピンチに陥る。その時、マジェスティクルニクルンが光を放ち、エルちゃん・ましろ・ソラの3人以外の時間が停止。
- 更にクルニクルンが輝き、3人は街の中へと転送される。そこでましろ達は乗用鳥の馬車に乗った少女に出会う。乗用鳥は「このお方はスカイランドの、プリンセス・エルレイン様ですよ!」だと言う。エルちゃん以外の「スカイランドのプリンセス」の登場に驚き、「ましろさん!説明してください!」「むしろソラちゃん説明して!」と慌てながらよく見ると、周囲の街並みも見慣れたいつもの街と違っている。そして見た事のないプリンセス……ましろとソラはすっかり混乱。
- どうやら3人は、マジェスティクルニクルンによって300年前のスカイランドに連れてこられた様子。エルレインに「嵐の夜、魔物が攻めてきて、姫が天に祈ると勇敢な戦士プリキュアが現われた」と、ヨヨから聞いた伝説を教え、「自分達は未来からやって来て、この話はこれからスカイランドに起こる事」と訴えてみたが、突拍子もない話であり、エルレインは信じてくれなかった。ならば論より証拠と、ソラがプリキュアにチェンジして見せようとするも、なぜか変身できない。続いて「わたしやります!」とましろもチャレンジしたがやはり不発。
- その夜、カイザー・アンダーグ率いるランボーグの軍勢がスカイランドを襲撃。プリキュアに変身できなくとも生身で果敢に奮闘するソラだが、もはや如何ともし難く、ましろとエルレインはソラを救出して街の外へ逃げ延びる。嘆き悲しむ人々の姿を見て、自分も一筋の涙を流したエルレインが一心に天に祈ると、その姿はプリキュアへと変わった。「今日からわたくしはプリキュア。降り立つ気高き神秘、キュアノーブルです」ましろとソラは伝説の誕生の瞬間を目の当たりにする。
■第45話
- 街の復興のお手伝いとして、パン屋の女性と一緒に食料を無償で提供。ヤーキターイと一緒にくもパンがズラリと並んでおり、「この子の焼いたパンはほっぺた落ちる美味さだよ!」と背中をバンバン叩かれつつ絶賛された。
- カイゼリンの自己犠牲に目が覚めたエルレインとカイザーは和解し、スカイランドとアンダーグ帝国は和平を結ぶ。しかし、現代に戻ると時は止まったままで状況は変わっていなかった。ましろはエルレインが和平宣言した時の言葉を叫び、カイゼリンに昔の優しさを思い出させようとしたが、逆に今の彼女の憎しみの炎に油を注ぐ結果になった。一体何が彼女を変えてしまったのか…?
■第46話
- 海外の両親とパソコンで通話中、クリスマスツリーを飾っていない事に気付かれる。先日のカイゼリンとの戦いなどもあって、ツリーを飾るどころではないのだった。何とか誤魔化し、「パパとママは離れていてもましろちゃんを応援してる」と気遣う両親に笑顔で応えた。通話後、Pretty Holicに買い物に行く。
- そのカイゼリンらが何時攻めて来てもおかしくないと、国王の指示によってスカイランドの街には避難してきた人々が集まっていたが、皆不安で元気も笑顔もなくなっていた。スカイランドには、地上界のクリスマスとほぼ同じ『スリクマス』という風習があり、人々を喜ばせるべくみんなでパーティの準備に勤しむ。ましろはレミと料理担当。
- 飾り物を作っている時、ソラが「何だかいつものわたし達に戻ったようです」としみじみ呟く。最近は激戦が続いていたが、思えば歓迎会、ハロウィンパーティー、挙式ごっこなどをして、いつもみんな笑顔になっていた。ましろもそんな自分達やスカイランドの人々に思いを馳せ、「ニコニコ楽しい気持ちがみんなにも伝わるといいなあ」と願う。
- スカイランドのサンタクロース・ターサンを助けて子供達にプレゼントを配り、ツバサとあげはが休んだ後は、ソラと二人きりに。「これ、プレゼントだよ」Pretty Holicで買った手帳をソラに贈ろうとするが、ソラからのプレゼントも全く同じ手帳。お互いに同じ事を考えるほど心が通じ合っていた二人はそっと手を繋いだ。「ましろさん…この世界を守りたいです」「一緒に頑張ろう。メリー『クリスマス』、ソラちゃん」「メリー『スリクマス』、ましろさん」その時、スカイランド城に謎の光が現れ…。
■第47話
- 謎の光が輝くスカイランド城に駆け付けてみると、何と少女の姿に急成長したエルちゃんの姿が。そこへ一番星が降りてきて、エルレインが現われた。ましろ「300年前、戦いを終わらせた優しいカイゼリンは、今スカイランドを滅ぼそうとしている。どうして変わっちゃったのかな?」だがあいにく彼女もましろ達が300年前の世界で見た事以上の事は知らなかった。スカイランドとアンダーグ帝国の友好はしばらく続き、カイゼリンとエルレインも誕生日には手作りのプレゼントを贈り合う程仲の良い友達だったのに、突如アンダーグ帝国は交流を絶ち、全く音信不通になってしまったのだという。
- 何が起こったのかもわからぬまま歳月が過ぎ、年老いたエルレインは最後の力で将来の備えとしてマジェスティクルニクルンを作り出し、その魂は一番星となった。300年スカイランドを見守り続けてきたが、1年前アンダーグ・エナジーの急激な高まりを感じたため、エルちゃんを生み出して国王夫妻に託したのだ。
- そして今日エルちゃんを急成長させ、全ての力を与えた(クリスマス風に言えば、プレゼントした)事でエルレインの役目は終わった。「エルちゃんと会わせてくれてありがとう!」礼を述べるましろ達に微笑みを返し、エルレインは天に帰ってゆく。彼女は最後に「皆が手を取り合って一緒に暮らす素敵な世界がずっと続きますように」との祈りを残したが、悲しいかなアンダーグ帝国にはその思いは届く事なく、スキアヘッドが命を賭した戦いを挑んできた。
- スカイランドのバリア破壊を阻まれ、スカイとマジェスティを道連れの自爆も失敗し、力尽きたスキアヘッドは「もっと私に力があれば、愛するあなたを守れたのに……申し訳ありません、カイゼリン様……。」と言い遺し、カイゼリンへの愛に殉じて消滅した。そこへ現れたカイゼリンは、「300年前、キュアノーブルが和平を裏切ってカイザーを手にかけた」という衝撃の事実を明かす…。
■第48話
- カイゼリンは、スカイランド国民の噂話を真に受けたキュアノーブルがカイザーを闇討ちにしたのだという。昨夜エルレインから聞いた「アンダーグ帝国が一方的に国交を絶って音信不通になった」という話とはまるで違っているが、カイゼリンが嘘をついているようにも見えない。「───スカイランドを…貴様達プリキュアを消し去る事ができるなら…この身が無くなろうとも構わぬ!!!」憎しみを爆発させたカイゼリンは、アンダーグ・エナジーを取り込んで、モンスターカイゼリンに変貌してしまう。
- アンダーグ・エナジーとカイゼリンを切り離すべく、プリズムはプリズムシャインを放つが、憎しみの虜となったカイゼリンの心には光が届かない。しかしバタフライに「闇に呑まれたカイゼリンの心を見つけ出す、それができるのは優しい光だけ。ましろん、あなたにならきっとできる!」と託され、プリズムは、2度目のプリズムシャインのエネルギーをチャージし始めた。「照らしてみせる、カイゼリンの優しい心を!」
- バタフライとウィングが街を守りに行き、スカイとマジェスティがカイゼリンと激しい攻防を繰り広げる中、エネルギーを溜め続けるプリズム。「まだ大きさが足りない…今プリズムシャインを撃っても、きっとさっきと同じ事にしか…」焦燥に駆られるも、その思いを察したスカイに「落ち着いて下さい!!わたし達が何時間でも食い止めますから!!」と励まされ、「もっと広がれ!わたしのプリズムシャイン!絶対にカイゼリンの心を取り戻すんだ!」と辛抱しながら、力を蓄え続ける。
- その間にバタフライとウィングが、破壊されかけていたスカイランド城のバリアを修復。「カイゼリン!みんなを守りたいその気持ちが、アンダーグ・エナジーの力を上回ったんだよ!」スカイ「そうです!これって!『力が全てじゃない』って事になりませんか!!?」二人の叫びを聞いたカイゼリンは動揺し、一瞬隙が出来た。それと同時に、十分なエネルギーが光球に満ちる。「きらめけ!!プリズムシャイン!!」思いを込めた眩い光がカイゼリンの心を照らし、アップドラフト・シャイニングで浄化された彼女は元に戻った。
- しかし安堵したのも束の間、カイゼリンは何者かの槍に体を貫かれ…。そこへ姿を見せたのはなんと、戦死したはずのスキアヘッドだった。
■第49話
- プリズムは、バタフライにカイゼリンの治療を頼もうとするが、スキアヘッドは「やめておけ。アンダーグ・エナジーの海から生まれた者にとって、光の力は毒だ」と遮った上で、全ての真相を明かす。実は、彼こそがカイザーを手にかけた真犯人でありカイゼリンは記憶を操作されキュアノーブルが裏切ったと思い込まされていただけだったのだ。
- 彼はアンダーグ・エナジーの化身「ダークヘッド」として本性を現し、「この女を取り返したいのなら来るがいい」と退却。罠と分かっていても、プリズム達はアンダーグ帝国へ突入する。「行こう!!カイゼリンを助けに!!」
- トンネルの先ではランボーグの軍勢が待ち受けていた。足止めを志願したウィングとバタフライにその場を任せ、スカイ・プリズム・マジェスティは先を急ぐ。すると次は水の中からスライム型ランボーグが現われ、エネルギー波で攻撃してきた。それをマジェスティックベールで防いだマジェスティが、「何してるの!早く行って!」と今度は二人を行かせようとした。
- 「ふと思ったの────どうしてわたしにはスカイトーンを生み出す力が…不思議な力が備わっていたんだろう…どうしてわたし達は5人なんだろうって…。わたしはね、こう思うの…。大きなプリンセスは1人だった。辛かったんじゃないかな? 一緒に戦う仲間が欲しかったんじゃないかな? 一緒に泣いて、笑って、励まし合う仲間が──だからきっと、彼女の使命を受け継ぐプリキュアは…わたし達は5人なんだよ!行って!!こんなの押し返してすぐに追いつく!!わたしを…仲間を信じて!!!」あの小さかったエルちゃんが成長し、いまや自分達を命懸けで守ろうとしている。その思いを無碍にできず、プリズムとスカイは断腸の思いで走り出した。「立ち止まるな、ヒーローガール!」彼女の叫びを背に受けながら…。
- 地下深くへと降下する岩石のエレベーターの上で、「二人になっちゃったね…」とぽつりと呟くプリズム。スカイはそんな彼女を勇気づけるがごとく、「わたし、最初は一人ぼっちでしたから。隣にいてくれて嬉しい」と微笑んだ。二人は手を固く握りつつ帝国の最深部に、ダークヘッドの前に辿り着いた。
- 二人のコンビネーションはダークヘッドを圧倒したかに見えたが、突如プリズムは激しい頭痛と全身の変調に見舞われ、そのまま気を失ってしまう。アンダーグ・エナジーの海の瘴気にやられたのだ。そして意識を取り戻したプリズムが見たものは、黒い堕天使のような姿になり果てたスカイ…ダークスカイと、勝利の雄叫びを上げながら彼女の体を乗っ取るダークヘッドだった。スカイはプリズムを助けたい一心で力を求め、"入れ物"を求めていたダークヘッドの策略に嵌ってしまったのだ。
- 「ソラちゃん!!!」プリズムの叫びが聞こえたダークスカイは、虫を潰すかのごとくプリズム目がけて襲い掛かってきた。しかしプリズムは逃げない。視線も逸らさず、毅然としてその場に立ったままで、ダークスカイをしかと見つめる。信じているから。ヒーローがこんな事で負けるわけがないのだから。
- 「わたし…負けません!!!」スカイも懸命に自分自身の闇に抗っていた。体内でスキアヘッドが「お前はもう私の物なのだ!」と叫ぶも、遂に彼女は己に打ち勝った。「信じて待っている人がいる限り、何度だって立ち上がれる。きっとそれがヒーローだから」微笑むプリズムと、うなずくスカイ。そしてプリズムの手のひらから光が迸ると、ダークヘッドは絶叫と共に消え失せ、スカイも元の姿に戻った。「おかえり、キュアスカイ」「ただいま、キュアプリズム」
- 「生まれや世界が違っても、あなたはわたし達と同じだから。それじゃ理由にならないかな?」とプリズムは理由を推測する。一時的に道を誤ったものの、正しいと思った事を信じ抜き、平和を願っていたカイゼリンもまたヒーローなのだと。そして「友達になりませんか?」と差し出されたスカイの手をカイゼリンも固く握り、カイゼリンの心も救われたのだった。
■第50話(最終回)
- ダークヘッドはダイジャーグとして襲いかかるが、プリキュア及びカイゼリンに追い詰められソラシド市へと逃避・侵攻する。カバトンの協力も得て追撃したプリキュアはヒーローガールせかいパンチとマジェスティック・ハレーションでダイジャーグに対抗し、ダイジャーグはその身をキラキラエナジーと化して青空へと消え去った。
- 「本当に終わったんだよね?」勝利した事に半信半疑のプリズム達だったが、確かに長い戦いは終わった。スカイランドにもアンダーグ帝国にも平和が訪れた。だがそれは同時に、ソラ達の使命が終わり、スカイランドに帰らねばならぬ事も意味していた。
- 転校する事になったとクラスメイト達と挨拶を交わし、野球部からもらった寄せ書きを見せるソラに、ましろは「淋しくない?」と尋ねる。ソラ「淋しくないって言ったら嘘になります。でも住む世界が変わるだけ。トンネルを使えばいつでも会えますから!」「ソラちゃんの言う通り、住む世界が変わるだけ。トンネルを使えばいつでも会える…」心の中で、自分に言い聞かせるましろ。理屈ではわかっているけど…。「どんなに離れていたってわたし達は友達だし、一緒に過ごした時間がなくなっちゃう訳じゃない。でも…それでもやっぱり淋しいよ。お別れなんて悲しいよ…」
- 沈みゆく夕陽の中、いよいよソラ達が帰国する時がやってきた。何か別れの言葉を口に出そうとして言い淀むましろに、エルは「ましろ、ぎゅっとして」と両手を広げ、近づいたましろを抱き締める。「あったかい…大好きだよ、ましろ」「わたしもだよ、エルちゃん」エルと言葉を交わしたましろの瞳に涙が浮かんだ。
- そしてソラの前に立ったましろだが、お互いに言葉が出てこない。気を遣ったエルとツバサは、先にトンネルに入り帰って行く。ようやくましろがおずおずと切り出した。「やっぱり、スカイランドに帰るの、明日にしない?」ソラが困ったような顔で微笑んだ。
- 「明日お休みだから、くもパン焼くよ、ねっ?それが無理なら、これから一緒に夜ご飯食べてから…」ソラ「────ましろさん」ましろもはっとなった。すっかり我を忘れて取り乱している。いくら引き延ばしても、より別れが辛くなるだけなのに…。「変、だよね…わかってるよ。住む世界が変わるだけ。トンネルを使えばいつでも会える。それに、どんなに離れていたって────」もう限界だった。ましろは顔を覆って泣き崩れた。
- 「どんなに離れていたって、わたし達はプリキュアです」ソラの優しい声に頷くものの、涙が溢れて止まらない。握手しようと手を差し出しても、顔を上げられず見えていないましろに、ソラがおどけて言った。「これまで、何回手を繋いだか覚えていますか?わたしのヒーロー手帳によると、何と142回!…なんて、これは冗談ですけど…」
- ソラが精一杯なごませようとしてくれているのに、いつまでも泣いていられない。「ましろさんの笑顔が大好きです!だから、笑ってお別れしましょう?」そう言うソラの瞳にも大粒の涙が浮かんでいた。それを見たましろも再び涙が溢れかけるも、懸命に笑顔を作る。「やっぱりソラちゃんはヒーローだよ。本当に強くてかっこいい…」「───そうじゃないって、ましろさんが一番知ってる癖に」涙、笑顔、そして固い握手…。
「─────こうしてわたし達の長い冒険は終わりました…。」
- 翌朝、ましろは気分一新しながら決意していた。「わたし、絵本を描く事にしました。それは空から降りてきた不思議な赤ちゃんと、その子を守るヒーローガールと、そして普通過ぎる女の子のお話。その仲間は空を飛ぶ勇敢な男の子と、優しくてかっこいいお姉さん……」
- その時、庭にトンネルが開き、「おはようございます、ましろさん!」聞き慣れた元気な声と共にソラ・ツバサ・エルの姿が。「ど、どういう事~!?」ソラ「遊びに来ちゃいました!」ツバサ「昨日大袈裟にお別れしたばかりで、ちょっと恥ずかしいですけど…」エル「ねぇ、朝ごはん食べよう?わたしお腹空いちゃった」
- 腹ぺこのエルは元の姿に戻り、ツバサもつられてプニバード態になるというユーモアな見慣れた光景にましろは笑い出す。もちろん声を聞きつけたあげはもやってきて、彼女は満面の笑顔でいつも通りの朝ごはんの支度を始めるのだった。
「冒険は終わっても、わたし達の物語はずっと、ずーっと広がり続けていく。
この空みたいに無限に輝きながら─────!」
- ましろはこの一年で体験した出来事をスケッチブックに描いた。その後、スカイランドとの交流を通じて「夢」への志をさらに高めていった。
特別出演
- 4人でアニマルタウンのふれあいパークに訪問。
映画
- ソラ、プリムと並ぶ作品の実質的な主人公の一人で、プリズムチームのリーダーとして参戦。
- ふしぎな世界でローラと出会う。一緒にソラを探すのを手伝うことになる。
- あまねと共にレッサーアークに襲われていた妖精を助け、「プカプカ」という鳴き声からプーカと名付ける。
- 次回作の『わんだふるぷりきゅあ!』の映画に登場。先輩である『魔法つかいプリキュア!』と参戦する。
- 終盤、横浜に現れたムジナの暴走を止まるため奮闘に苦戦するわんだふるぷりきゅあの前に駆けつけた。
関連イラスト
関連タグ
ひろがるスカイ!プリキュア キュアプリズム 白キュア 虹キュア ブルーチーム
雪城ほのか/キュアホワイト:白キュア、物知りな点、両親が海外赴任していて祖母と暮らしている点、主人公との関係性など類似点が多い。
美翔舞/キュアイーグレット:こちらも上記と同じく白キュアで、名前の頭文字に「ま」が付いている、髪型がハーフアップシニヨン、おとなしくて優しい性格でありながらツッコミ役、物知りな点、いつも眼鏡をかけている母親がいる、美術系が得意、主人公との関係性だったりと共通点が似ている。
歴代2号キュア
歴代白キュア
夏海まなつ→虹ヶ丘ましろ