「悲しいね、弱いって」
CV:KENN
概要
この記事は多大なネタバレを含みます。未試聴の方は注意。 |
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カバトンに続くアンダーグ帝国第2の刺客で、第14話から登場(OPの映像も変更された)。
カバトンと違い人間の男性に似た姿で、緑色の長髪と道化師のような化粧が施されたビジュアル系を彷彿とさせる顔をしている。
しかし薄紫色の肌や尖った耳、触角めいた前髪が感情に連動して逆立つ描写からやはり人外らしい。
非常にプライドが高い高慢で冷酷な「ひねくれもの」(公式サイトの紹介文より)。
それなりの頻度で「弱者には手を出さない」等と嘯くが、是は「弱者は強者に従うのが当然である」との前提に基づいた言葉で、この姿勢から基本的に相手を『弱者』とこき下ろし、徹底的に「上から目線」で接する。
弱者と見なした者に対し「悲しい」「可哀想」と殊更大仰に嘆くのも、「『弱者を憐れむ強くて優しい自分』に酔いたい」為のフリでしかない。
カバトンが「自身の強さの顕示」に拘っていたのと対照的に、バッタモンダーは「他者の弱さを見下し愚弄する行為」に拘っており、微妙な差異が見られる。
故にプリキュアが「強敵」であることを認めず「強者である自分に刃向かう弱者」としか見ない等、狭量さが目立つ。
それもあり何度敗北しても認識を改めず、「プリキュアは弱者、自分は強者」という言動を繰り返す等、半ば現実逃避の域に達している節がある。
尚、カバトンがましろを『脇役』と呼んだ様に、プリキュア覚醒前の聖あげはを『外野』、それ以外の一般人のことは「強者の自分がやる事を唯黙って見ていればいい」として『観客』呼ばわりしている(18話より)。
当初は知的キャラを演じる時と本性を現した時で二重人格の様な極端なギャップを見せたが、第15話でキュアスカイの怒りを前に怖気づいて逃げ出す激しい屈辱を味わったのが契機となり負けが込む毎に段々メッキが剥がれていく。
プリキュアに負けた際の反応も次第に逆ギレ&動揺に震えるなどの醜態を晒す時間が多くなり、それに伴い言葉の端々に吃音が目立つ様になる。
特に自信のある策が破れた時程動揺している為、粗暴な言動とは裏腹にメンタル自体はとても脆いと思われる。
結果ソラシド市にやってきて以降は「エルの誘拐」よりも「プリキュアを倒し私怨を晴らす」のに躍起になっている。
「美しい街だから壊したくない」としながら嬉々として破壊活動を行うのも、ひねくれものである基本設定を念頭に置けば「自分にあんな気持ちを抱かせた奴等の大切な場所だから、ブチ壊したくて堪らない」のが本音故だろう。
鉄骨の上や時計台等、高い所で策謀を巡らすのを好む。
「バカと煙は高い所が好き」の言葉通り、街を一望し、そこで暮らす人々(=弱者)を纏めて見下せるのが楽しいのかもしれない。
過去
作中では狡猾な罠でスカイランドを震撼させソラ達を度々追い詰めたバッタモンダーだったが、第41話でアンダーグ帝国では力自慢のカバトンや武人のミノトンと比べても非力な落ちこぼれだったことが判明した。
スキアヘッドから「力も無いのに足掻き続ける姿は見苦しく目障りだった」と嫌悪され、アンダーグ帝国での立場は相当低かった様子(回想シーンではミノトンの召喚したランボーグに手も足も出ず敗れる、周囲が巨大な岩を持ち上げる中煉瓦程の大きさの石を持ち上げるのが精一杯といった様子が描かれている)。
「頑張っても報われるのは才能や力がある奴だけ。無い者は落ち葉の様に散ってしまう」(第41話より)と自嘲する程自分の弱さを悲しく思い、故にこそ策略家として生き残ろうとしたのだろう…。
そうした経緯故か近接戦闘は披露していないものの、第15話でツバサに八つ当たりした際に一瞬姿が見えなくなる程の素早い動きを見せており身体能力自体は決して低くなかった模様。
能力
ランボーグの召喚に加え後述の呪いや瞬間移動と魔法の様な能力を使う。
ランボーグを召喚する呪文は「カモン! アンダーグ・エナジー!」。
カバトンとの差違は指パッチンやそこから右頬に左手を当てるキザな仕草をする点。
能力行使時の呪文は「バッタモンモン」。
「頭脳派」を自称するだけあり、かなり悪知恵が働く策士な一面を持つ。
第15話では『プリキュア以外はランボーグを浄化できない』事を利用し10体程のランボーグを日毎に呼び出し、青の護衛隊に倒させて大量のアンダーグ・エナジーをスカイランド中に浸透させ、それを使い超巨大ランボーグを召喚した。
また、ランボーグにエルを攻撃させ助けに来ようとしたスカイ、プリズム、ウィングの3人をプリキュアの力を封じるアンダーグ・エナジーを凝縮した牢獄に閉じ込める(第18話)等々、卑怯な策を用いる。人の弱みに漬け込むのも得意で、人質を取るのも厭わない。
脆いメンタルで色々と欠陥が多いものの、プリキュア敵幹部らしい強敵といえる。
動向
- 第14話~第15話
ある時スカイランドに「超巨大ランボーグ」をけしかけ、スカイランド王家にエルを渡すよう脅迫する。
最初は稍紳士的に対応していたが、スカイとプリズムの尽力、シャララ隊長の捨て身の一撃により超巨大ランボーグが倒されると外見のイメージを上回る勢いでヒステリックに豹変。
スカイランド国王夫妻に眠りの呪いをかけ、手負いのツバサに八つ当たりし上述の呪いをかける等感情的で残虐な一面を覗かせたが、前述の激しい怒りを前に撤退しスカイとの因縁が生まれる。
なお、解呪薬のキラキラポーションを作るにはランボーグの浄化時に発生するキラキラエナジーをミラーパッドに溜める必要がある。
要はバッタモンダーがランボーグを召喚しなければ国王夫妻は永遠に目覚めないが、エル誘拐の為にはランボーグの力が不可欠であり、尚且つプライドを拗らせている彼はそこ迄考え付かなかったのだろう。
- 第16話
前回受けた屈辱によりプリキュアを倒すべくソラシド市へ襲来、ソラシド市の公園内に設置されていた鬼の的をランボーグ化した。
「あ~あ……滅茶苦茶だ。これじゃまるでスカイランドの様じゃないか。王と王妃が倒れ、護衛隊の隊長も消えてしまって……弱いってなんて可哀想なんだ……」と前話で壊滅的な被害を受けたスカイランドまで「哀れ」と断言したが、直前に青の護衛隊の激励を受けたスカイの勢いによって形勢逆転される。
- 17話
素早い動きが自慢のライン引きランボーグを呼び出し体育祭のグラウンドを滅茶苦茶にするが、スカイとプリズムの連携攻撃で倒された。
私立ソラシド学園が狙われるのは第7話以来だが、プリキュアがいる場所であると知っていたかは不明で単に破壊活動をしたいが為にランボーグを召喚し、自身は遠くから指示を出している。
- 第18話
河川敷で釣り竿型ランボーグを差し向けるも敗北。
後日、ソラシド保育園で見習い実習生のあげはを発見。
恨みを晴らすためにジョウロランボーグを召喚してプリキュア達を苦しめる。
プリキュアのピンチに不安を隠せない男児の長内たけるを守りつつ必死に奮戦するあげは。
そして、「最強の保育士として大切な人達を守る」為に自らプリキュアになると望んだあげははキュアバタフライへ覚醒した。
- 第19話
ある時『プリキュアの個別撃破』を思いつく。
その後運良くあげはとツバサとエルの3人を発見、広場に設置された3連結ゴミ箱をランボーグ化して襲わせた。
戦闘中、プリキュア達が「広場にある壁画を守っている」と察し、すかさず壁画を狙う戦略に切り替える。
然し、エルが「自分も壁画を守りたい!」と決意を示したのを契機に新たな力を得たキュアバタフライとキュアウィングに敗れる。
- 第20話
絵本コンクールに原稿を出すべく急いで市役所に向かうましろ達の前に立ちはだかる。
その際、「大切な物を破壊すれば良し、それができずとも時間切れに追い込めば良し」の二段構え作戦を実行すべく、歩行者用信号機ランボーグを召喚。
信号機の特徴による行動停止能力の前に悪戦苦闘するプリキュア達だったが、ミックスパレットの援護を受けて能力の要の赤ランプを破壊し形勢逆転を許してしまい敗北。
ちなみにこの能力は有効範囲内ならば対象は無差別らしく、敵味方双方動けなかった。
- 第21話
「山奥へ行けば誰にも会わないか」と思い立って向かった先、よりにもよってソラ達と遭遇。
「これが自分の宿命か」と鷲型鳥よけランボーグを召喚する。
素早い動きでプリキュアを翻弄するも、ミックスパレットの力で体を凍らされるわ、雹と呼ぶには余りにデカすぎる巨大氷塊を降らされるわ、ウィングに単騎決戦を挑まれるわと相手の思う壺だった。
流石のバッタモンダーも知的キャラの仮面をかなぐり捨てて負け惜しみの悪態を吐いた直後、何らかの秘策を示唆し去っていった。
それが彼の「最後の足掻き」となる事は誰も知らぬまま…。
- 第22話・第23話
スカイにプライドを著しく傷つけられた(第15話)復讐として、最終兵器を投入。
生殺与奪の選択を迫り、スカイ達を絶望的な状況に追い込んだ。
だが、あと一歩の所で兵器が動きを止めてしまい撤退を余儀なくされた。
翌日ソラをより苦しめる為に仲間達を狙いソラシド市に襲来。
限界までアンダーグ・エナジーを注ぎ込んだシャララボーグに破壊活動をさせる。
バッタモンダーは更なる強さに慢心し、バタフライから「弱い犬ほどよく吠える」との煽りを受け返す余裕を見せたが……。
ましろの手紙(全文はこちら)により再起したソラの情熱と闘志は数々の奇跡を呼び、遂にシャララ隊長を救い出した。
彼の予見では「プリキュアによって亡き者となる」筈だったシャララ隊長もミックスパレットを使った救出アイデアによって救出され、本当なら始末できた彼女をかえって生かしてしまった上にアンダーグ・エナジーを限界まで注いだ所為、キラキラポーションに必要な量のキラキラエナジーが揃ってしまうという侮りと陰湿な卑劣さが完全に裏目に出た大失策に。
バッタモンダーは失意のまま無念のリタイアとなった。
今まで彼が行っていた所為を考えるとまさに因果応報と言えるだろう。
- 第34話以降
『紋田』としてひっそりとプリキュアへの復讐を窺っていたが、最早プリキュアとまともに戦える精神状態ではなく以前の様な現実逃避もできずにアンダーグ帝国からの粛清を恐れている隠遁生活に追い込まれた模様。
事実、スキアヘッドが現れた時は(ノリツッコミの要領で最初は喜んだものの)処刑を恐れ即座に隠れている。
また、エルがプリキュアに覚醒していた事実も全く知らず、暫く見ない間に更なるパワーアップを遂げていたプリキュアに驚きを隠せずにいた。
- 第39話
ハロウィンに乗じプリキュアの偽者になって評判を落とそうと画策するも失敗。
- 第43話
第41話から「自分は何がしたいのか」と苦悩する中、ましろと遭遇。
ましろは絵本の新作で悩んでおり、それは紋田の気持ちをイメージして描いた落ち葉の物語であった。
ところがこれを読んだ紋田は、「役立たずの落ち葉にはハッピーエンドはあり得ない」と感情的にスケッチブックを破く。
この時にうっかりアンダーグ帝国の名前を出してしまい正体が露呈。
直後開き直ったとばかりに彼女からミラージュペンを奪って逃走した。
その先で遭遇したスキアヘッドにペンを取り上げられ、「最後のチャンス」を与えられる。
それは、力を得る事と引き換えに自分が自分でなくなる物であった…。
翌朝、バッタモンダーの前に現れ「話したい」と告げるましろ達。しかしバッタモンダーは自らかつての同僚が洗脳された時のような怪物へと変貌する。
だが、意識が呑み込まれる直前スキアヘッドの言葉に「自分の価値は、自分で決めるんだよ!!」と反発したましろに感化されたかのように、一瞬の隙を突いてスキアヘッドに反撃し、ミラージュペンをましろに返した。
すると直後、バッタモンダーはアンダーグ・エナジーに飲み込まれ凶暴化しプリキュア達を圧倒する。
それでも彼を助ける覚悟を決めていたプリズムは、新たな技でバッタモンダーの心に訴えかけ鎮静化させ、プリキュア・マジェスティック・ハレーションで浄化・救済された。
戦闘後、ソラにはシャララ隊長の一件もあるのか「お人好しもここまで来ると呆れる」「ボクの事なんか到底許せやしないだろうに」と皮肉りながらもましろに一言謝り満足そうに去って行った。
- 第48話
まさかの再登場。
シャララ隊長と共にソラシド市からスカイランド住民の避難に尽力した。
- 最終話
プリキュアの猛攻を浴びて逃避したダイジャーグの行き先について、帝国随一のひねくれものとしての見地から助言。
スカイランドとアンダーグ帝国の間に再び和平が結ばれた後、カバトン&ミノトンと共に主君・カイゼリンの下へ向かう。
相変わらず周囲の反感を買いがちな「ひねくれもの」で、「条件のいい職場があれば移る(要約)」と憎まれ口を叩いた途端周囲の怒りを買ってしまう。
後ろ姿のみだが何故かカバトンやミノトン、カイゼリンと共に再登場。紋田としての姿の登場ではあったが相変わらずキッチンカーで働いており、馴染んでいるようである。
余談
演者について
担当声優のKENN氏は『フレッシュプリキュア!』の一条和希以来14年ぶりのプリキュアシリーズ出演。
前回は青キュアの弟、今回は敵幹部役での再登板となる。然も彼が成り済ました『キュアパンプキン』はモチーフが野菜であり、フレッシュプリキュアのメンバーが果物の名前だった事から植物繋がりと妙な親和性も。
KENN氏と言えば、代表的なキャラクターとして遊戯王デュエルモンスターズGXの遊城十代が挙げられるが、何の因果か彼方もヒーロー繋がりの主人公であり、バッタモンダーの演者を知った一部のファンには『HERO使いがヒーローガールの敵に!?』と、十代を連想する者もいたとか。
尚、KENN氏は後に主人公がバッタモチーフの仮面ライダーガッチャードにてビートルクスを演じる事になる。
モチーフ
名前の由来は昆虫の「バッタ」と、偽物を意味する「バッタもん」を組み合わせたもの。カラーリングや狼狽したり怒ると立つ二本の前髪は、バッタを連想させる。
バッタは大量発生しては農作物を食い荒らし飢饉を引き起こすかの旧約聖書にも記された『蝗害』の原因で知られており、カバトン同様人間を害する生き物がモチーフといえる。
彼の二重人格風な振る舞いも、蝗害を引き起こすサバクトビバッタの群が形成されると、体の変色に合わせ気性が荒くなる相変異がモデルと思われる。
「おともだち」にて
「おともだち」2023年6・7月号にて先行登場したが、暗いシルエット状の姿で性別も判らなかった。
「おともだち」2023年8・9・10月号では第25話のストーリーが幼児向けの内容で描かれたが、新幹部・ミノトンのネタバレ防止の為か本来登場しない筈のバッタモンダーが登場している。