「私の名はスキアヘッド」
「帝国の支配者『カイゼリン・アンダーグ』様の命により、プリンセス・エルを頂いた」
CV:宮本充
この記事は多大なネタバレを含みます。未試聴の方は注意。 |
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概要
基本的に感情を表に出すことなく無表情で、これまで登場した幹部達とは一線を画したミステリアスでただならぬ雰囲気を醸し出している。
その不気味な瞳は虚無以外の何をも映していない。
真に恐るべきは戦いに一般人の巻き添えを食わせる事も、それに伴いプリキュアを正体バレに追い込む事も、まったく意に介さないその精神性にある(前任者のミノトンが敵としては異質だった分、より際立つのかも知れないが)。
その高い実力と淡々と命令を忠実にこなす機械的な不言実行の姿勢から、主君・カイゼリンに絶大な信頼を寄せられており300年前から彼女の「教育係」を務めてきた古参でもある。
そのため公式からの言及はないものの、実質的なカイゼリンの側近的な印象を持つ。
なお、バッタモンダーからは「様」付けで呼ばれておりアンダーグ帝国内での地位は高い様であるが、カバトンやバッタモンダーの教官的な役割を担ったミノトンはタメ口で接していた(ミノトンやバッタモンダーを徹底的に使い潰したブラック上司でもある)。
容姿
右目にモノクルを掛け、頭には一対の頭角を生やしている。
黒いフード付きの外套の下には紫紺色のローブと、魔導士か邪教徒の特徴を思わせるような佇まいをしている。
能力
ただ一言唱えるだけでアンダーグ・エナジーを様々な形で行使できる。
「開け」と言っては空間転移ゲートを自在に開き、「守れ」と言っては強固な防御膜を張り、更にそれを「弾けろ」の号令一下、全方位に凄まじい勢いで破裂させた上にエナジーの散弾を四方八方に飛ばす等、攻守にわたって隙が無く緒戦においてはプリキュア4人を向こうに回し、なおも圧倒してのけた。
ただ、本人はあくまで与えられた命令の遂行を優先しているため、不必要な戦いを避けている節もある。
実際、エルをプリキュアと戦わずに連れ去る事に成功しプリキュア達が抵抗したところで事実上覆せない状況を作り出せたため、プリキュア達が仕掛けてくるまでは犯行声明だけを残して去ろうとしていた。
この点においては、プリキュアと正々堂々と戦ってからエルを攫う事にこだわったミノトンとは正反対である。
他の3幹部達とは違ってランボーグの上位種・キョーボーグを生み出すことができる。
「アンダーグ・エナジー 召喚」と唱え、モノクルを直してから跪くポーズで右手を地面につける動作をする。
最後の戦いではランボーグを同時に5体も生み出しており、「"質重視"のキョーボーグ1体="量重視"のランボーグ5体分」の召喚する際のパワーを持っていると推測される。
謎
後述する名前の由来は「影+スキンヘッド」からで、カバトンやミノトンのように動物モチーフでも、バッタモンダーのように虫モチーフでも無い。
また、これまでのアンダーグ帝国の刺客は皆、額に黒い結晶を備えていたがスキアヘッドの額には黒い結晶が無い(額では無く別の見えない部分にある可能性もあるが)。
加えて謎の新戦士降臨に際しても全く驚くそぶりを見せず、あたかもその到来を予期していたかのような様子を見せており、更には以降の行動でも敗北さえ想定済みのような言動を見せている。
他の幹部達はたまたま居合わせたり自分から誘い出したりする形でプリキュアの前に現れていたが、山奥やスカイランドの人が辿り着けない島にも能力により神出鬼没で何の脈絡もなく何処にいても的確にプリキュアの前に現れる点から「何らかの形でプリキュアを探知する手段(あるいは能力)を持っているのでは」との推測もある。
活躍
- 第31話
いずことも知れぬ場にミノトンを排除し、引きずり込んだに“陛下”の勅命を受けて行動開始する。
ソラシド写真館からの帰路、愛車を走らせるあげはの目前に突然現れた。
しかも急停止の後にバックミラーを見ればいつの間にか後ろと、まるで影法師か幽鬼のように。
未曾有の危機と異様な雰囲気に戦慄するソラ達は、自ら異空間へと飛び込まされる形となってしまう。
ゲートを抜けた先は霧深いどこかの山奥にある駐車場の廃墟だったが、そんな中で異常事態が発生する。
チャイルドシートにいた筈のエルちゃんが忽然と姿を消したのだ。
慌てて車外に飛び出たところでソラ達が見せつけられたのは悪夢のような光景……泣き叫ぶエルちゃんが空のゲートへ放り込まれる様だった。
プリキュアはこの尋常ならざる雰囲気に愕然とする暇すら与えられぬままに変身。
「私は『プリンセスを連れて来るように』としか命じられていない。今日の所はここで帰ろう。カイゼリン様のお気持ちが変わらなければ、お前達は助かるかも知れない……」
「エルちゃんを絶対に取り戻す!!」の一念で猛攻を繰り広げるプリキュア達と死闘を繰り広げている矢先、突如として上空の暗雲が吹き散らされ、そこには星の輝きに包まれた謎の少女の姿が。
その登場を待っていたかのように、スキアヘッドは標的を少女に変更。
「問おう。汝の名は?」
「─────キュアマジェスティ!」
「キュアマジェスティ───その名前、知識の宮殿に記録しておこう……。」
鬼神の如き武に圧倒され、スキアヘッドは撤退した。
初登場時から単純にエルの誘拐やプリキュア打倒だけが目的という訳ではない様子がうかがえるが、その真相はいかに?
- 第32話、第33話
武人の誇りすら無くし破壊衝動の権化に成り果てたミノトンを操り、街を破壊する。
「奴はアンダーグ・エナジーによって生まれ変わった。我等の目的を果たす忠実な僕(しもべ)としてな」
その後、ミノトンは本格的に覚醒を果たしたエル=キュアマジェスティの猛攻を浴びた末「プリキュア・アップドラフト・シャイニング」で浄化されたが、スキアヘッドはスカイランドのとある島に突如現れた太古の遺跡に洗脳ミノトンを差し向ける。
濃縮アンダーグ・エナジーをドリンク剤の小瓶に充填した物を大量に携行させ、エナジー切れ対策も抜かりなし。
しかしプリキュア達が新たな力を得た事にも、それによって洗脳ミノトンが敗れた事にも、何ら感情を動かさなかった。
「全ては判っていた事……知識の宮殿は嘘を吐かない……」
- 第34話
フリスビーを素体にキョーボーグを召喚。
しかし、どれ程相手が強くなろうとプリキュアのやるべき事は何ら変わらない。
「苦戦する覚悟なんてとっくに出来ている、大切なものを守る為ならどうって事は無い」と毅然として戦った。
- 第35話
孤独と恐怖と責任感に押し潰され、病院から姿を消してしまった女子野球部エースピッチャー・四宮たまきを捜すソラ達の前に出現し、ピッチングマシーンとミットを依り代にキョーボーグを召喚。
- 第36話
引っ越しを控えて最後の登園となるたけるとあげはが語らうソラシド保育園の園庭に出現。
落ち葉とどんぐりを依り代にキョーボーグを召喚する。
厚みの無いボディで攻撃を躱し、展開したバリアを回避して襲いかかるドングリミサイルを駆使するキョーボーグに、苦戦を強いられるバタフライとウィング。
がむしゃらに飛び込んでも、迎撃に徹しても、ジリ貧に追い込まれるだけ。
そこへ我に秘策ありと単身駆け出したバタフライがキョーボーグの頭上高く飛び上がり、バリアを踏み台にして更に高く飛びミサイルを自滅させる。
そして、間髪入れずバタフライプレス&マジェスティックハレーションで撃墜。
- 第37話
あげはとましろ、二人の思い出の跡地である田舎に何の前触れも無く現れ、案山子と竹を依り代にキョーボーグを召喚する。
- 第38話
スカイランドの夜空を照らしてきた輝石「ハレバレジュエル」が安置されている空の孤島へ来たソラ達と人知れず石を守護してきた竜族の前に突然現れ、毒キノコとハエトリソウを依り代に島全体と一体化したキョーボーグを召喚する。
自分たちが食い止めている間に竜族を安全な場所へと逃がそうとするウィングだが、地面から際限なく伸びてくる蔓相手にいつしか防戦一方へ。
戦闘中吹き飛んだ「風揺りの葉」を翼代わりに使い島からの脱出を試みる竜族達。
しかし、バタフライもマジェスティも蔓に捕らえられ竜族のリーダー格は撃ち落とされてしまう。
あわや地面に激突かという寸前、ウィングの激励に奮起したその翼は退化していたはずの飛行能力を取り戻した。
蔓の「逃げても何処までも追尾する」特性を逆用され、自分で自分を雁字絡めに縛った挙げ句に止めを刺される。
- 第39話
ジャック・オ・ランタンとペロペロキャンディーを依り代にキョーボーグを召喚。
「プリキュアの偽物」名乗る謎の存在「キュアパンプキン」が街中で怪物を暴れさせた責任は、バッタモンダーが被らされた事など知る由もなかった。
- 第40話
ウェディングチャペルの鐘とリースを依り代にキョーボーグを召喚。
- 第41話
紋田ことバッタモンダーの目前に現れ「箸にも棒にも掛からぬ落ちこぼれの分際で諦めず悪足掻きを続けるお前の存在が前々から見苦しく目障りだった」と告げる。
「力の無い者に存在する価値は無い……消え失せろ。」
そこへ静止に来たましろを前にスキアヘッドは紋田への攻撃理由を問われた端から「価値の無いモノを消そうとしているだけだ」と事も無げに返答。「悩み苦しんでる人を悪しざまに言うな」と憤慨されても上の空で、キッチンカーとパラソルを依り代にキョーボーグを召喚。
プリキュアは実質二体の強敵を相手にしているも同然の状況にあった。
「強い者が勝つ。力の無い弱い者に価値は無い……。」
プリズム「そんな事ないよ!力の有る無しで価値は決まらないよ!誰でもそれぞれに良い所が……」
プリズム主導の連携によってパラソルは停止、勢いのままにキョーボーグも浄化された。
「ほう……力の無い弱い者でも集まれば強い力となるか……」
始末再開とバッタモンダーを追わんとするが、スカイに制止される。
スカイ「何故あなた達アンダーグ帝国はこんな事をするんですか!?」
「……“愛するお方”がそれを望んでいるからだ」
スキアヘッドは同時に彼女を打ち負かし「未熟」と吐き捨てた。
この一言は後にソラの心へ一時的な棘として残ることになる。
- 第42話
ソラは前回の戦いの中で一瞬虚を付かれてしまった理由に苦悩し、気分転換にとましろ達に連れられ街中へと繰り出した。
そんな彼女の目前に突如襲来し、パーカーと道路標識を依り代にキョーボーグを召喚。
スカイは戦闘が始まってもなお動きに精彩を欠いているが、ウィングのある提案から対面することになる(前作でも主役キュアが敵のNo.2と「話がしたい」と言っていたのを思い出させる展開である)。
「誰かの為に戦っているという点ではお互い同じ、だとしたら戦わなくてもいいのではないか」「誰かの為に戦うあなたがどうして迷わず、悩まず、人を苦しめ傷つけられるのか教えて欲しい」とスカイは必死に訴え、断固たる決意のもとヒーローガールスカイパンチを決める。
なお、当話ではキラキラエナジーバリアの研究内容をなぜか知っていた事もあり、一部の視聴者から「ソラ達の近くに内通者がいるのでは?」という疑念も生まれていたが…?
- 第43話
雨の路地裏にてバッタモンダーが奪ったましろのミラージュペンを取り上げ、掌中に生成した高純度アンダーグ・エナジーを放って選択を迫る。
体内に取り込み強大な力を得るのと引き換えに自我の消滅した怪物に成り果てるか、それとも今この場で消されるか…。
意を決してエナジーを取り込み苦悶の絶叫を上げるバッタモンダーは、ましろの呼びかけに応えない。
ミラージュペンが自らの手中にあるというのに「綺麗事など吠えて何になる」と嘲るスキアヘッドの胸を突然の衝撃が襲う。
呑まれる寸前の少ない時間の中、ましろの言葉を心に響かせつつ瀬戸際で耐えていたバッタモンダーに殴りつけられたのだ。
ペンを返却されたましろの感謝の言葉を遮るように、彼の身も心もアンダーグ・エナジーは呑み込んで行く。
「必ず助ける!」と言うましろの決意も固く5人はプリキュアに変身したが、仲間は軒並み蹴散らされ立っているのは自分だけ。
破壊の暴獣と化した目の前の相手が発するのは唸り声ばかり。
それでもプリズムはバッタモンダーへの呼びかけをやめない。
プリズムは「バッタモンダーの胸に残った僅かな灯火を彼の心の輝きを消させてなるものか」と新技「プリズムシャイン」を繰り出した。
- 第44話・第45話
「プリキュア……アンダーグ・エナジーの力を上回るとは……」
前々回、そして前回と立て続けに目の当たりにしてしまった予想外の出来事に表情は全く変わらないながらどうにも心中穏やかではなさそうな様子を見せる。
なお、300年前から全く姿が変わっていないことが発覚。
アンダーグ帝国前皇帝・カイザー・アンダーグはスキアヘッドが当時のカイゼリンを戦場に連れて来たことを咎め、「役立たずの教育係め!」と罵った(恐らく「愛娘を帝国の思想も解せぬ腑抜けに成り下がらせた」という意味が込められている)。
その後、紆余曲折の末スカイランドとアンダーグ帝国は和平を結んだ。
しかし、そこにはスキアヘッドの姿はなかった。
- 第47話
スカイランドがキラキラエナジーバリアに覆われたのを受け、回復中であったカイゼリンの制止も聞かずに出撃。
プリキュア達と対峙した時にはマジェスティがノーブルの力を受け継いだ事を見抜いており、カイゼリンの事情について聞かれても「断る」と一蹴。
ランボーグ5体を差し向けて釘付けにする間にその圧倒的な力でキラキラエナジーバリアを強引に破壊しようとした。
しかしあと一歩のところでスカイとマジェスティによって阻止され、吹き飛ばされてしまう。
それでも手を抜いていた事を見抜き、力の差を悟ったスキアヘッドは「最早ここまで…」と覚悟を決め、自爆を試みる。
「せめてお前達二人の命は貰っていくぞ、カイゼリン様の為に!」
しかし、マジェスティックベールに阻まれ失敗し、スキアヘッドはバタフライのミックスパレットによる回復を拒んで消滅(戦死)した…。
スキアヘッドの自己犠牲はカイゼリンに大きな衝撃を与え、彼女を完全なる復讐鬼へと駆り立てる事になる…。
余談
名前の由来はおそらくギリシャ語で影を意味するスキアー(σκιά)+スキンヘッドであるとみられる。
最終的に死滅したTVシリーズの敵キャラとしては『トロピカル〜ジュ!プリキュア』のあとまわしの魔女以来2年ぶりであるが、対話の余地がないまま消滅した敵キャラがTVシリーズや映画を含めて登場したのは『ヒーリングっど♥プリキュア』のビョーゲンズ全般以来3年ぶりである。
演者について
スキアヘッドの事は「本性は極悪人」だと語っている。
関連タグ
イルクーボ:第1作目における元祖スキンヘッドのNo.2の幹部。
カワリーノ:第4作目における、部下を怪物化させ使い潰した冷酷非情なNo.2の幹部。仕える主が女性である点も共通。
ノーザ:第6作目における最高幹部。冷酷差や新しい怪物を使役してプリキュアを圧倒した。
テラビョーゲン:第17作目における幹部格。頭には一対の角や例の衣装等、外見がよく似ている。
バトラー:第18作目における女ボスの忠誠な側近。外道な行いがたたって改心の余地が与えられない点が共通する。
以下衝撃のネタバレ注意
続く第48話、ありったけのアンダーグ・エナジーを吸収し巨大化・暴走したカイゼリンは最大出力の「プリズムシャイン」と「アップドラフト・シャイニング」で浄化され、「力が全てではない」というかつての信念を思い出して葛藤する。
そんな彼女にプリキュアが歩み寄ろうとした瞬間、カイゼリンは何者かに刺突されてしまう。
その犯人は……
何度も教えた筈…『力が全て』
それはアンダーグ・エナジーの海から生まれた私達にとって
議論する迄も無い事だ。
カイゼリン・アンダーグ
あなたは最後まで愚かな生徒だった
なんと、消滅した筈のスキアヘッドだった。
上記の通りカイゼリンを「力こそが全て」など議論するまでもないと一蹴し、そして……。