フェンネル(プリキュア)
ふぇんねる
『デリシャスパーティ♡プリキュア』の登場キャラクター。クッキングダムの王族に仕える近衛隊長にして、同国を守護するクックファイターを務める壮年風の男性。
ローズマリーの上司にあたる人物だが、ローズマリーとはクックファイターの上級戦士として身分的には対等であるためタメ口で会話しており、彼とエナジー妖精が暫定的に彼の指揮下にある状態である。
近衛隊長という高い身分故、クッキングダムでは2人しか存在しないスペシャルデリシャストーンの所持者の一人であることが第26話においてプリキュア達に説明された。
ローズマリーやセルフィーユは彼に高い信頼を寄せている。
第1話で初登場。ローズマリーにコメコメ、パムパム、メンメンの眠るキャリーバッグを渡す。
第2話では、ハートキュアウォッチでの通信で、ローズマリーのペンダントが壊れていることを指摘し、ローズマリーが戦えなくなった事を知る。ローズマリーの師匠が残していた人間界での活動資金の入ったがま口財布をローズマリーに渡している(何故か大量の500円玉…)。
第19話ではブンドル団から解放されたあまねから、アジトは異空間にありゲートはランダムに場所が変わるとの証言を聞き、「その事実が分かっただけでも収穫だ」と述べた。
第29話。セルフィーユと共に登場。クッキング・クックイーンに謁見したプリキュア達に「クックファイターを代表して、わたしからも礼を言う」とねぎらい、偉大なプリキュアの案内役を仰せつかってはしゃぐセルフィーユを「うれしいのは分かるが大袈裟だ」と諌める。
セルフィーユがプリキュア達にローズマリーとフェンネルが持つのは特別なデリシャストーン…スペシャルデリシャストーンであると説明しているころ、フェンネルはローズマリーからスピリットルーが持っていたスペシャルデリシャストーンの模造品の報告を受けていた。
衛兵に化けていたセクレトルーの正体に気づいたセルフィーユがプリキュアに加勢しようと勇気を見せた所に「セルフィーユ!受け取れ!」とデリシャストーンを投げる。セルフィーユはデリシャストーンに無事選ばれたが、それでもゴッソリウバウゾーに振り回される。
ローズマリーは加勢しようとしたが、フェンネルはそれを制止する。
- 一見セルフィーユに試練を与えているかのように見えるが…?
セルフィーユの根性に触発されたプレシャス達がゴッソリウバウゾーをライトマイデリシャスで浄化したが、セクレトルーには逃げられてしまう。
第39話では、ローズマリーから通信で前話にて20年前のおいしーなタウンに行ってジンジャーと会い、何者かが周到にシナモンに罪を着せていたのを聞いたこと、そして諸刃の剣のような方法でほかほかハートの蓄積装置を作り、未来を託したなどの報告を聞く。
その直後にはフェンネルが子供時代に師匠と一緒にいる時の回想シーンがあった。
…と、昔を思い返して穏やかな表情を浮かべているとセルフィーユが入室してくる。何やら大事な報告があるとのことだが?
第40話で、海外で複数のレシピッピ達がブンドル団に奪われていることをクッキングに報告していた。
以下、ネタバレのため閲覧注意
第41話にておいしーなタウンを調査しにやって来たフェンネル。何かを探しているようだが、偶然アイススケートを満喫していたゆい親子と出会う。本人によると「新たなルートを見つけてね、この街を調査しに来たんだ」と笑顔で話した。20年前、ジンジャーが和実家にお世話になっていたのは確かであり、父のひかるも祖母と同様、凄く仲良しだったとのことである。その時の話を良ければ詳しく話してくれないかとゆい親子に尋ねた。
ゆいは歓迎するかのようにフェンネルをクリスマスパーティーに誘ってくれた。アイススケートから帰る際にゆいは「フェンネルさんが来ることをマリちゃんは知ってるんですか」と尋ねた所、彼はそれを否定していて、「急に来ることになってね。気を使わせたくないから、私が来たことは内緒にしてもらえるかな」と言い、ゆいもその約束を守った。
そして師であるジンジャーが残してくれたスペシャルデリシャストーンをゆいが見つめながら、「大切な物だから、フェンネルさんとマリちゃんで受け継いだんですね。」と言うと、何故か彼はその目をそらしていた。その様子を観たゆいは不思議そうに思ったが、フェンネルは気を取り直し、「本来は二つとも、一人が受け継ぐべきなんだ」と話した。
そして待ちに待ったなごみ亭でのクリスマスパーティーが開催。勿論フェンネルも参加した。母お手製の様々な料理を堪能し、新鮮な本マグロの解体ショー等を仲間たちと楽しむ中、何故かフェンネルだけは、浮かない表情を見せ、クリスマスメニューに現れた6匹のレシピッピ達を意味深そうにじっと見つめていた。ただし、マグロの刺身を食した際には、「実に美味しい…」と味わっていた。
ゆいの母も「よかった」と感激してくれた際にフェンネルはある質問をした。「所で、昔ジンジャーがお世話になった時、何か手紙やメモ等、こちらに残していませんか?」と尋ねた所、あきほは「聞いたことないけれど」と答えた。
- その際に、フェンネルは何故か隣に置いてあった招き猫を見つめていた…。
執事の轟氏も滅多に味わえないご馳走に感激した所、ゆいの父曰く「マグロや今日のご飯も全部ご馳走だけど、一番のご馳走はやっぱりアレだよなぁ~」という言葉を聞いたここねとらんは「ほえ?一番のごちそう?」や「それは、どんなお料理ですか?」と尋ねた所、父曰く「ゆいが小さい頃、初めておむすびを作ってくれてねぇ~、小さい手が米粒だらけで、あの美味しさは忘れられないなぁ~」という発言を聞いたフェンネルは幼少時代の自分を思い出した。
少年時代、修行後の昼食としての大量のおむすびを見てワクワクしながら待っていたところ、師のジンジャーが今日から一緒に修行する彼の弟弟子としてシナモンを招いて紹介した後に彼は笑顔で返し、友情の印としてシナモンに1個のおむすびを渡し、仲良く嬉しそうに食べるあの一時を…。
フェンネルは顔をうつ向かせ、またしても浮かない表情をし、左の拳を握りしめていた。その後彼はなごみ亭を後にし、(蓄積装置はさて置き…決めた。最後は『あの料理』にしよう)と意味深に心の中で呟く。
そして、最後(?)の1匹となるおむすびのレシピッピをセクレトルーが誘拐していた所をプリキュア達は追いかけ、彼女との最終決戦を行った。
だが、その時のフェンネルは、戦闘前にゆいが彼にお土産として持ってきたおむすびが目の前で消えても意にも介さず、プリキュア達の戦いを何故か傍観していた。
そしてゴッソリウバウゾー撃破後、おむすびのレシピッピは解放されたが、彼はそのレシピッピを掴み取った。クックファイターだから助けてくれたのかと思いきや、おむすびのレシピッピは何故か嫌がっている様子。
その光景を目の当たりにしていたプレシャス達が異変に気付いた途端、彼の左手から放たれた黒い光線がプリキュア達を襲った。
彼の手にはブンドル団のバッジに似たあのスペシャルデリシャストーンらしき物が…。
何が起こったのか理解できないプリキュア達。変身も解けた彼女達にフェンネルはとどめを刺そうとするが、駆けつけたシナモンこと門平に遮られる。
「シナモン…!?貴様ああぁぁぁぁっ!!!」
彼の姿を目にして激昂したフェンネルはついに真の姿を現した…。
そして、セクレトルーは彼に跪いた。
「お手をわずらわせました。わがブンドル団の団長・ゴーダッツ様」
そう、実はフェンネルこそがブンドル団の団長・ゴーダッツの正体だったのだ…。
かつてフェンネルはジンジャーの下で修行に励むあどけない少年であった。
しかし、ジンジャーが弟弟子としてシナモンを引き入れたことで彼の運命は変わり始めていく。
フェンネルはシナモンと共に修行に励んだものの、「自分こそジンジャーの後継者にふさわしい」と考えていた。しかし、最終的にはシナモンが後継者としてジンジャーの2つのスペシャルデリシャストーンが埋め込まれたブローチを譲渡される算段になった(この頃にはローズマリーも弟子入りしていた)。
- 何故シナモンが後継者として2つのスペシャルデリシャストーンの付いたブローチを継承する事になったかは、『アニメージュ』2023年2月号の深澤敏則氏のインタビューにて「フェンネル、シナモン、マリちゃんの3人の中で、ジンジャーから見てストーンを受け継ぐに最もふさわしい心・技・体を持っていたのがシナモンだった」と語られている。
- つまりジンジャーの裏の意図などを詮索せずに、本編中のジンジャーと弟子に関する説明台詞を素直に拾い集めればそれがそのまま答えとなる。
これに対し、フェンネルは弟弟子のシナモンに嫉妬心を抱き、シナモンにレシピボン強奪の濡れ衣を着せてクッキングダムから追放させる。
時は流れ、スペシャルデリシャストーンを継承することになったのだが、そのストーンはクッキングによって分割されて半分がローズマリーの手に渡ることになった。フェンネルはストーンを分割されたことに不満を抱いていた。
- この頃にはジンジャーの姿は無かったため、恐らく既に故人だったと思われる。
- ローズマリー曰く、スペシャルデリシャストーンは強大な力故に、2つとも持つのは危険だと判断されたのだとクッキング王が言っていたとのこと。
- フェンネルは師匠のブローチを分けられた事に不満を抱いていたが、2つのスペシャルデリシャストーンを授与される予定であったシナモンに国宝であるレシピボン盗難の罪を被せたため、真相を知らずとも「力を独占させること」にクッキング王が深慮するのは自然なことであろう。
そして、20年の歳月をかけてフェンネルはゴーダッツとして新たにスペシャルデリシャストーンを作り出していたのである。
ローズマリーのスペシャルデリシャストーンについては計画の邪魔になり得るため、あらかじめ壊れやすくなるように細工を仕掛けていた。
したがって、シナモンについて名前は聞きたくないと言ったのは、シナモンへの私怨に起因していた事になる。
かつて、ジンジャーに後継者の証である2つのスペシャルデリシャストーンの付いたブローチを手渡されていたシナモンを、若き日のフェンネルは悲しげな眼で木の陰から見つめていた…。
「誰かにとっての幸せは、誰かにとっての不幸せだ」
「笑う者の陰には、常に泣く者がいる。それが理解できないのは、お前達が常に恵まれ、奪い続けて来たからだ!」
第44話でフェンネルは、スペシャルデリシャストーンとその模造品のスペシャルデリシャストーンの力を取り込み巨大な黒猫の姿をした怪物に変貌する。
凄まじい戦闘力でプリキュア達を圧倒するが、彼女達が諦めず立ち上がると、ほかほかハートの蓄積装置が真の力を発揮し、プリキュア達を世界中の招き猫に込められた思いが支援する。
最終的に自身の作り出した模造品のスペシャルデリシャストーンは砕け散り、怪物となったゴーダッツは浄化され、フェンネルに戻る。
戦いのあとは残ったジンジャーのスペシャルデリシャストーンを没収され、他のブンドル団の団員(洗脳されていた1人とロボット達を除く)共、クッキングダムに拘束され、囚人として農作業に従事している。
結局、プレシャスがブラペを止めた時の対応と言葉とは裏腹に、犯した罪の大きさから罰せられる事を避ける事は出来なかった。
「あなたがしたことを許すことは出来ない」
「でも、だからこそ、最後まであなたを見届けるつもりよ…」
と、ローズマリーがフェンネルのいる監獄の扉の前でそう語りながら去った後、最初は黙然としたが、差し入れのケーキをゆっくりと味わい、ローズマリーも「フェンネル…」と振り向きながら、ウフッと微笑みその場を後にした。
最終回のエンドカードではゴーダッツの姿で登場しており、招き猫を携えていた。
クロスオーバー映画には現時点ではモブ出演していないが、20周年映画ではセクレトルーとナルシストルーと共にクッキングダムの牢屋の中で『ひろがるスカイ!プリキュア』の5人を含んだ歴代プリキュアを、同映画のミラクルライトを振りながら応援したかも知れない。
シリーズ初の…
フェンネルはプリキュアシリーズでは初となる、序盤辺りから登場し、長い期間味方の振りをしていた敵キャラクターである。本作のジェントルーを含め、過去のシリーズではプリキュア側に潜入・接近しても短期間で和解するのが恒例であった。
演者の三上哲氏は物語当初からフェンネルとゴーダッツが同一人物であることは知っていたが話の詳細までは知らされていなかったため「どう繋がるのだろう」と思いながら演じていたという。
また、ゴーダッツの声は加工されているが、喋り方でバレてしまう可能性があるため演じ分けで何度もリテイクを食らい苦労したとオフィシャルコンプリートブックのキャストインタビューで述べている。
セクレトルー、ナルシストルーとの関係
アニメージュ2023年3月号のシリーズディレクター深澤敏則氏のインタビュー記事によれば、フェンネルはクックファイターのリーダーという職務の裏で、ゴーダッツとして怪盗ブンドル団を結成し、その尖兵としてセクレトルー、ナルシストルーの順でスカウトしたとのこと。
セクレトルーもナルシストルーも元々フェンネルと面識があった訳ではなく、フェンネルと出会ったのはブンドル団に入るタイミングであり、「野望を抱いたフェンネルが、その尖兵にふさわしい人材探しをしていた時に出会ったという流れです。セクレトルーとナルシストルーは二人ともクッキングダムの住人でしたが、その頃にそれぞれこういうつらい思いをしていて……というメモは企画初期に作っていました。」との事である。
インタビュアーの「ナルシストルーもセクレトルーも食にまつわる鬱屈した思いを抱いており、二人からするとゴーダッツは『手を差し伸べてくれた人』だったわけですね。」という質問に対し、深澤ディレクターは「そういうことです。だから二人にとってブンドル団は居心地がいい場所で、特にセクレトルーは『ゴーダッツ様のためにレシピッピを奪う』という意識は強かったと思います。」と答えている。
シェアVS独占
アニメージュ2022年2月号のインタビュー記事にて、深澤敏則シリーズディレクターがフェンネルについて「僕の中ではフェンネルは肉食系というか、『己の力を誇示して世界を手中に収めたい!』という戦国大名的なイメージですね。」と語っている。
翌3月号のインタビューでは、「作品テーマの『シェア』とそのアンチテーゼとしての『独占』があり、その上でフェンネルは自分の力を誇示したい人物だと設定しました。人間の『欲』って色々ありますが、中でも『食欲』は生命に関わる大事な要素。そこを掌握してしまえば世界のあらゆるものを支配できるとフェンネルは考えたんです。」
つまり、ゴーダッツとの戦いに置いては「食」=「生きるために必要なもの」なのである。
第43話でゴーダッツが全世界からお料理を消し、「生きたくば、私に従え」と宣言したことに対しては、「もっとショッキングな見せ方で世界が飢餓状態に陥ってしまうような画面にもできましたが、そこは子ども向け番組ということで少しマイルドな描写になりました」と語られている。
オフィシャルコンプリートブックにて
フェンネル/ゴーダッツ役・三上哲氏
フェンネル/ゴーダッツ役の三上哲氏はキャストスペシャルメッセージにて、ゴーダッツがフェンネルと同一人物であることはどの段階で知ったかという質問に対し、「設定として同一人物であるというのは聞いていましたが、どうつながるかはわからなかったので早く先を知りたいと思いました。」と答えている。
シリーズディレクター・深澤敏則氏
フェンネル/ゴーダッツについて、シリーズディレクターの深澤敏則氏は「じつは第44話もそろそろ完成するというところで、変な話ですけど、僕自身ゴーダッツについて完全に理解できていないんじゃないかとふと思ったんです。」とインタビューで語っている。
インタビュアーの「第29話でセルフィーユに助言したのはフェンネルでしたが、セルフィーユのピンチを助けようとしたローズマリーを止めたのはゴーダッツというイメージでしょうか。」という問いに、「はい、ミスリードの意味合いもあって、フィルム上ではフェンネルが試練を与えようとして止めているように描きましたが、ゴーダッツでしょう。でもその後、セルフィーユに可能性を見て石を与えたのはフェンネルなんです」と答えている。
第42話でゴーダッツがセクレトルーを一瞥さえせず見捨てた行動について、深澤敏則氏は「ゴーダッツは、最終的にはセクレトルーを捨ててしまうのですが、それは彼女が不要になったからという意図でした。」しかし、「フェンネル/ゴーダッツが世界を手に入れて自分の気持ちを満たしたあと、その先には一体何が待っているのか、たったひとり、いずれ滅んでいく気がします。もしかしたらフェンネルがセクレトルーを置いていったのではないかと思えるようにもなったんです。自分はもうあと戻りができないところに来てしまっているけれど、セクレトルーはそこまではいっていないから、置いていったのかもしれない」との解釈を述べている。
演者について
声を演じる三上氏は今作がプリキュアシリーズ初出演になると同時に、『動物戦隊ジュウオウジャー』のオモテウリャー以来6年振りのニチアサ出演となった。
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