「おいどんはブンドル団の怪盗スピリットルー! ナルシストルーに代わって手合わせ願おう!」
CV:かぬか光明
概要でごわす
『デリシャスパーティ♡プリキュア』に登場するキャラクターで、第25話から登場したブンドル団の新たな団員である怪盗。失敗続きで後が無くなったナルシストルーが起死回生の策として製作した自律型ロボットである。
黒色のシルクハットとマントを身に付け、雪だるまの様な丸っこい緑色の体格に、大きい黄色い目が特徴で、橙色の手袋と長靴を履いている。
ブンドル団のマークが施された胴体の中心部(人間でいう腹部にあたる)には試作段階のスペシャルデリシャストーンである紫の玉が埋め込まれており、これが動力源となっている様子。また、腹部には捕獲箱も内蔵されており、これによってレシピッピを捕獲することが可能である。
レシピッピを捕らえる時の掛け声は「ドンドン、トルトル、ブンドル~!」で、モットウバウゾーを召喚する時の掛け声は「くっつくでごわす!モットウバウゾー!」。
人物像でごわす
一人称は「おいどん」、語尾に「ごわす」を付けるなど薩摩弁で話す。彼の頭の中には過去のプリキュアたちの戦いのデータがインストールされており、ウバウゾー戦ではウバウゾーを応援する熱血漢。
ブンドル団の目的であるレシピッピの強奪に対しては強い使命感を持っているのだが、ゴーダッツという個人に対しての忠誠心はインプットされていないようで、生意気な態度でタメ口で接している。
つまり、スピリットルーはゴーダッツと言う個人に仕えているのではなく、ブンドル団という組織に仕えていると言う認識であるようだ。
強敵には違いないのだが、困っている人を助けたり方向音痴だったりとどこか人間臭いところがあり(方向音痴な部分はセクレトルーにも指摘されている)、プリキュアとの戦闘も正々堂々の勝負のごとく考えているようで、陰険で冷酷なナルシストルーが生みの親とは思えない、コミカルで思いやりのあるロボット。
しかし一方で敵役ゆえか冷淡かつ短絡的な思考を持ち、「森で迷子になったから」という理由で森の木々を全部吹き飛ばそうとしたり、レシピッピの捕獲に対しても寸分の罪悪感も抱くことはない。
尚、食事する必要がないロボットであるためか、食事という行為そのものに対して「食べる事そのものが時間の無駄、1分1秒を惜しんで前進あるのみ」として見下している。
そんなわけで、人間は生きるために仕方なく食事をしていると思い込んでいる節があり、食を楽しむという観点を全く理解できていない。
ちなみにレシピッピが奪われた場合、ジェントルー(現・菓彩あまね/キュアフィナーレ)の場合は突然味が変わり、ナルシストルーは食べ物に関する思い出が消える悪影響が発生したが、彼の場合に至っては食べ物がブロック状に変化し食べられなくなる実害が生じており、ブンドル団のはた迷惑さに拍車がかかっている。
「食べられなくする」というのは、食事という概念そのものを否定するスピリットルーの思想そのものが顕現されているとも言えるだろう。
彼の頭の中には「抹消したい料理リスト」なるものがあり(後述参照)、そこにあったピーマン料理を「苦いピーマン料理が無くなればみんな嬉しいはずでごわす」と発言しており、プリキュア達とブラックペッパーはピーマンの良いところを挙げて反論しても「苦けりゃ同じでごわす」と聞く耳を持たなかった。
撤退する時も「わからん…人間はなぜ苦い物をわざわざ食べるでごわす?」とつぶやいており視野が狭い様子がうかがえる(ナルシストルーが偏狭なデータしかインプットしてないせいもあるだろうが)。
ブンドル団の理念は「食事が好きなので、全ての食事を独り占めしたい」というもので、その手段のためにレシピッピを奪っており、レシピッピが奪われることで人々はその食事を美味しく食べられなくなるという災厄が起こっている。
しかし、スピリットルーはむしろ「食事など無意味なので、この世から食事を消し去る」ということを究極の理念にしており、ブンドル団によるレシピッピ強奪に協力すればその理念が達成できるとして動いているようだ。
スピリットルーの理念はブンドル団の理念とは本質的には相反しているが、団長のゴーダッツはスピリットルーの異質な思想や不遜な態度を全く気にしておらず、結果的にレシピッピを集めてくれるならそれで良いという寛大さを見せている。
一方、セクレトルーは「スピリットルーの人格設計は、製作者であるナルシストルーの本音の思想が反映されている」と看破している。
スピリットルーが『みんなで食べる食事は楽しい』ということが理解できないのはそういうデータを意図的にインプットしなかった為である。
もしデータにないことを理解しようと試みた場合、エラーを起こしてしまうようで、プリキュア側が彼を言葉などで説得可能かどうかは不明瞭なところ。
機能でごわす
応援する能力
召喚可能なウバウゾーのレベルはモットウバウゾーなのだが、彼に応援されると著しくパワーが強化される特徴がある。これは胸に内蔵されたデリシャストーンの力による一種のバフやチートである。
また、見た目に反して足が速いようで、男子中学生として平均かそれ以上の身体能力を持つ品田拓海の追跡から逃げ切れるほど。
スピリットルーが召喚するモットウバウゾーもナルシストルーと異なり、近くにあった調理器具に加えて自前の工具を使用して、調理器具と工具が合体したある意味異質なモットウバウゾーを召喚する。
調理におおよそ相応しくない工具を媒体に使用している点からも、彼の食や調理に対する無頓着さが見て取れるだろう。
スペシャルデリシャストーン
食事を否定するスピリットルーだが、この点に関しては「では燃料や電気なんかのエネルギーの補給はどうなのか?それもロボットにとっては食事ではないのか?」などの疑問が浮上してくるが、彼の場合「ボディに埋め込まれているデリシャストーンが、動力源やコアの役割を持っており、それが永久機関となっているのでは?」などの考察が多数見られてもいる。
あるいは「食事=『活動の為にすべきエネルギーの補給』が、味覚や個人の好悪によって煩雑・非合理になる行為」と見なしている可能性も考えられる。
そして、彼に使われているのはローズマリーの見立てではスペシャルデリシャストーンらしいが…?
なおこのスペシャルデリシャストーンは大方の予想通りスピリットルーの動力源だったらしく、第27話で最新鋭の新型捕獲箱を完成させたナルシストルーによって用済みとなされた為なのか抜き取られてしまい、機能停止した。
このことからスピリットルーは開発者であるナルシストルーの分身兼戦力であると同時に、身代わりもとい影武者のような存在なのかも知れない……。
更にロボットという点から登場人物よりは寧ろアイテムに近い。
胸部のメーターについて
スピリットルーの胸部には、何かを示すメーターが付いている。普段はほぼ常に左側に傾いており、モットウバウゾーを応援する時やたまにプリキュア達と会話する際のみ右側に振れる。
このことから、メーターの示す指標は以下の可能性がある。
- スペシャルデリシャストーンの出力
- 怒り等の感情のメーター
- 心の邪悪さ
等が挙げられる。
第27話までにおいて一度も完全に右側に振り切れた事は無く、彼も全力ではないことが窺える。
本編の動向でごわす
ナルシストルー後任の怪盗(第27話~第29話)
- 第27話
第27話でモットウバウゾーの敗北後にご飯が辛い理由を教えて欲しいとキュアプレシャスに問われ、それを答えようとした時、開発者であるナルシストルーに動力源のスペシャルデリシャストーンを抜き取られて機能停止する(この時、白目状態になった)。
- 見方によってはスピリットルーを機能停止することで彼の口から自分の心の闇をプリキュア達に知られないよう口封じしたようにも見えるが…。
彼の出撃は「僅か3話の出来事」であり、OPアニメのブンドル団のメンバーにもまだ彼は追加されていなかった。
破壊されたわけでも浄化されたわけでもないスピリットルーの今後が注目されていた。
- 第28話
機能停止した彼の本体はナルシストルーによってブンドル団アジトに持ち帰られていた。
セクレトルーから最終通告(失敗したらブンドル団に貴方の居場所は無いと出撃前に言われる)を受けていたナルシストルーがプリキュアに敗れた後、セクレトルーがストックしていたスペシャルデリシャストーンの埋め込まれた新しい捕獲箱をスピリットルーに装着する。
セクレトルーの野心はいったい…?
開発者であるナルシストルーの手を離れたスピリットルーの今後はどうなるのか…?
- 第29話
ナルシストルーが追放された後、セクレトルーの部下として働いていた。
その際、「オオセノママニ…デゴワス…」と機械的な喋り方をしていた。
どうやらセクレトルーに感情を抜き取られ、単なる労働力(兼シュプレヒコール要員)として扱われている模様。因みにスペシャルデリシャストーンをはめ込まれておらず、その動力源は不明。
セクレトルー出撃の裏で暗躍(第30話~第41話)
- 第31話
本編では出番なし。しかしこの回からOPではセクレトルーがセンターを取っており、その後ろにはスピリットルーと大量のミニスピリットルー軍団が居るカットに変わっている。
- 第32話
第32話、セクレトルーがアジトにてタブレットですすれ!ちゅるちゅる☆フェスティバルを覗いていると「戻ッタデゴワス」とスピリットルーが帰還。
「スピリットルー、ご苦労様です。いかがでしたか?」
「上々デゴワス」
「それだけですか?他にこう、こんなことがあったとか。」
「ソレダケデゴワス」
ナルシストルーの手を離れたスピリットルーの返答は機械的なものだった。
セクレトルーは汗をかきながらも
「あぁ…まあいいでしょう。引きつづきお願いします。」
と、彼に告げた。
- どうやらスピリットルーの感情を消去した負の側面が出てきてしまった模様。感情を消去したため、命令されたこと以外出来なくなってしまったのだ。
- ここに来てナルシストルーを追放した弊害が出ているが、セクレトルーはどうするのか…。
ちなみにスピリットルーが何をしていたかについては、裏で海外に赴いて順調にレシピッピを拉致していた事が40話で判明している。
- 第37話
ブンドル団アジトにて。
「ナルシストルーがクッキングダムにわれわれの情報を流そうとしている件でゴワスが、すでに手は打ったでゴワス」とセクレトルーに淡々と報告する。
その「手を打った」というのは、取調べの供述を恐れミニスピリットルー数体を刺客として送り込んでナルシストルーを始末…口封じに暗殺するという物騒な至上指令で、もはや開発者であるナルシストルーに何の感情も抱いていないようだ…。
- この暗殺計画自体は、独房へ刺客に送り込まれたミニスピリットルーがナルシストルーに見つかり捕まえられたことで、結果的に失敗している。しかも、これが更なる伏線…「復讐」として自分の首を絞める逆転の切り札になるとはゴーダッツは知る由もなかった…。
- 第39話
ブンドル団アジトでセクレトルーに得意料理を聞いていた。
次のターゲットの候補に入れるらしい。
セクレトルーは不機嫌そうな顔で、「得意料理など、わたしに必要ありません。…っていうかゴーダッツさまの願いのもとで、わたしは完璧な存在になるっての。」と答えている。
セクレトルーの過去については髪下ろしセクレトルーを参照。
悪逆非道の末の逆転敗北(第42話~第44話)
- 第42~44話
ついに発動したレシピボンの力によって世界中のあらゆる飲食物が消滅し世界が混乱に陥る中、ミニスピリットルー軍団を駆使し、人間界はおろかクッキングダムの王宮をも制圧したスピリットルー。
王宮では、クッキング&クックイーンらを拘束。おびただしい数のミニスピリットルー軍団の猛威に、衛兵やクックファイターたちはなす術も無かった。そして「キリキリ歩くでゴワス!」と捕虜にしたクッキング・クックイーン・セルフィーユらを、雑居房へ連行していく。
年末の大掃除をしていたかは不明。
ついでにおいしーなタウンのほかほかハートの蓄積装置であった招き猫達を次々と奪い去っていくミニスピリットルー軍団だったが、ほかほかハートの蓄積装置が真の力を発揮し招き猫達(と、何故かぱんだ軒のパンダ)に撃退される。
スピリットルー「招き猫が、どうしたでゴワス?モシモーシ」
スピリットルーが定時連絡をしていた最中に無線機が不調に陥る。
独房で不敵にほくそ笑むナルシストルーから、「通信機の故障かい?俺様が直してやろう」と割り込みが入った。
スピリットルーは「頼むでゴワス」とそれに答えた…。
- 視聴者「あっ…(察し)」
その矢先、おいしーなタウンで暴れていたミニスピリットルー軍団が突然機能不全に陥ってしまう。
更に華満らんのハートキュアウォッチに「スピリットルーは、返してもらったよ。元々は、俺様が作ったものだ。コントロールは、お手の物さ!!」とナルシストルーの連絡が入った。
そして自分を救ってくれたプリキュア達への恩返しと、他の団員共々捨て駒扱いにしたブンドル団への報復とばかりにナルシストルーによってハッキングを仕掛けられスピリットルーの機能が停止。それと連動する形でミニスピリットルー軍団も全て機能停止した。クッキングダムの王宮も温存勢力の逆襲によって呆気なく奪回されたのだった。
ナルシストルーを即刻粛清ではなく追放処分に留めたツケが回ってきたと同時に、37話における二の舞になったといえよう。
ある時は正義の味方・ある時は悪魔の手先 良いも悪いも…(第45話・最終回)
- 第45話
ナルシストルーに改造を施されて感情があった頃のスピリットルーに戻り、切られたお祝いのケーキをミニスピリットルーと共に笑顔で配っていた。
ブンドル団の団員では(「食事は楽しくないもの」とナルシストルーにインプットされた為)ジェントルーと同様洗脳状態・そして(その後セクレトルーに記憶と感情を消去されただの機械として活動していた為)無意識下での行動にあったとみなされたようで、収監は免れたようだ。
最終回であっさり改心してしまったように見えるスピリットルーだが、結局の所彼はロボットなので、盗難歴のある操縦機型・巨大ロボットである鉄人28号や人間が操作する万能戦艦のマイティ号と特捜パトカーであるマシンX同様に「良いも悪いもリモコン次第」なのかも知れない。
ミニスピリットルーと共にブンドル団のシンボルは取り払われ(ただし体の一部である関係で胴体に付いているシンボルはそのまま)、捕獲箱も無くなっている。そして紫色のスペシャルデリシャストーンが水色のデリシャストーンに変わっているようだが、別の石を支給され動力源にしているのだろうか?
エンディングにて、扇子を持ってローズマリーを応援する場面が描かれた。
…ローズマリーとセルフィーユが何か浮かれているのは気にしないでおこう。
エンドカードにもセクレトルー、ナルシストルー、ゴーダッツと共に描かれていた。
本編外の動向でごわす
デリシャスパーティ♡プリキュア感謝祭キャラクターショーでは出番をミニスピリットルーに取られてしまっているスピリットルーだが、配信されたミニ小説第2段では、お掃除好きな性格が高じてコメコメに弟子入りしたそうである。
余談でごわす
モチーフ
名前の由来は恐らく、精神などを意味する「スピリット」からだと思われる。
演者
かぬか光明氏はプリキュアシリーズ初出演である。
ニチアサでは昨年の『機界戦隊ゼンカイジャー』でキノコワルド、ダイキノコワルドを演じ、また6年前の『動物戦隊ジュウオウジャー』では鰐男を演じていた。
第33話から登場のミニスピリットルーも兼任している。
「ごわす」の秘密
アニメージュ増刊号の『デパプリ』Q&Aにて、スピリットルーが鹿児島弁のような「ごわす」という語尾になった理由は、何か特長的な語尾にしたいと言う案があったところ、初登場の第25話の脚本を書いた伊藤睦美氏が「ごわす」と書き、即決で採用された。その後スピリットルーのデザインが決まったとのこと。
オフィシャルコンプリートブックで明かされたことでごわす
ナルシストルーとの関係
シリーズ構成の平林佐和子氏のインタビューによれば、「スピリットルーは、まずナルシストルーの出番が長すぎるのではないかという話がきっかけで生まれたキャラクターなんです。さらに、ナルシストルーの内面を語るにしても、本人は絶対に話してくれないし、セクレトルーも言及するタイプではないからどうしようかということになり、ナルシストルーに変わるもうひとりの幹部を出しましょうということになりました。」
平林佐和子氏は同インタビュー内で「スピリットルーは途中からの登場でしたが、すごく動かしやすくて物語作りで助けられました。最終話でミニスピリットルーも活躍してくれましたしね。」と述べている。
関連イラストでごわす
関連タグでごわす
ナルシストルー:開発者。
ミニスピリットルー:子機。初めは10数体しか出てこなかったが、第44話で100体以上いることが判明した。
ルールー:プリキュアシリーズにおける、機械タイプの敵幹部繋がり(ただしあちらは容姿が人間に近いアンドロイドであり、後に組織を離反している)。また、食に対する思想はまったくの真逆でありもし相対した場合、対立は免れなかったであろう(そもそもブンドル団は食べ物を独占すべく悪事を働くので、食事を尊ぶプリキュアたちからすれば決して見過ごせない敵であることは違いない)。
コラボイラストが多数描かれている。