アンダーグ帝国
あんだーぐていこく
この記事は多大なネタバレを含みます。未試聴の方は注意。 |
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『ひろがるスカイ!プリキュア』に登場する敵対勢力。
「暗黒の世界」とされており、何らかの目的で不思議な力を持つスカイランドのプリンセス・エルの誘拐を目論む。
帝国内部は所々に水晶が生えた薄暗い洞窟といった内装。
本編開始当初は全てが謎に包まれた勢力として描かれており、劇中で『アンダーグ帝国』の名前をプリキュア側が知ったのさえ第12話と遅めであった。
第16話での虹ヶ丘ヨヨの調査によると、スカイランドとアンダーグ帝国はいわば「光と影」であり正反対の2つの国は大昔に戦って以来交わることなくやり過ごしてきた経緯があるとされ、エルを託した謎の存在・一番星の予言によれば「スカイランドを滅ぼす元凶」とされている。
ところが、中盤以降「エルの誘拐」ではなく「プリキュアの排除」を視野に入れたためプリキュアが不在のスカイランドをわざわざ襲う利点はない都合上、ソラシド市を始めとした人間界とは対照的に仮初の平和を保っており滅びの運命とは程遠い様にも見えたが、遂に痺れを切らしたカイゼリン自らがスカイランドに出陣した。
300年前に当時の皇帝・カイザーが「スカイランドを叩き潰さないと、連中はいつかトンネルを掘って我らを攻めてくるだろう」と語っていたため、アンダーグ帝国はスカイランドと物理的に地続きであるらしい(おそらくスカイランドの地下にあると思われる)。
ただ、現代スカイランド側にアンダーグ帝国の詳細を知る者はいない様子。
アンダーグ帝国の住民達は、帝国の最奥に漂う〈アンダーグ・エナジーの海〉から誕生する存在である。
いずれも「アンダーグ・エナジー」と呼ばれる闇のエネルギーを宿し、無機物にアンダーグ・エナジーを注ぎ込んで誕生する怪物・ランボーグを使役する。第34話からは強力な怪物・キョーボーグも登場する。
上層部
刺客
カイゼリン・アンダーグに仕える手下達。何らかの目的で不思議な力を持つスカイランドのプリンセス・エルを誘拐する使命をもつ。
過去の人物
カイザー・アンダーグ(声:武虎) |
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カイザー・アンダーグ【プリキュア】byブラスターベア |
300年前におけるアンダーグ帝国の支配者で、カイゼリンの父親。キュアノーブルと和平を結ぶも、ある人物により暗殺される。 |
怪物
ランボーグ(声:相馬康一) |
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無題byRmouside |
アンダーグ帝国の刺客達が使役する怪物。1つの無機物に『アンダーグ・エナジー』を注ぎ込んで召喚される。 |
キョーボーグ(声:相馬康一) |
模写byRmouside |
第34話から登場。スキアヘッドが使役する強力な怪物。2つの無機物を素体にして召喚される。 |
以下、49話以降のネタバレ注意
黒幕とその入れ物
弱者はその存在すら許されない実力至上主義な弱肉強食の世界であるようで、事実カバトンは失態続きによって帝国から処刑されかけバッタモンダーは処刑を恐れて身を隠していた。
上記の思想は徹底的であるのだが、実力者の自己研鑽は良いものの、弱者はどれだけ研鑽を積んで実力を上げても 「力無き者の努力は見苦しい」と一蹴・正当に評価しない歪さも散見されており、この「個々の先天性の資質・素質だけ重視し、後天的な要素を頭ごなしに否定する」姿勢から、帝国の思想は『弱肉強食』だけではなく『優生思想』も蔓延っている模様。
刺客達は作中では「エルの誘拐」を企み1人ずつ送り込まれては連続出動しているようだが、各々エルを誘拐するためなら市街地への被害やスカイランド王家を脅迫も辞さない恐ろしい敵として描写されている。
スキアヘッド曰く、アンダーグ帝国民は「アンダーグ・エナジーの海」から誕生する存在で、刺客達は各々「アンダーグ・エナジー」と呼ばれる闇のエネルギーを宿し、ランボーグ等の怪物を誕生させたり、世界を超えるワープゲートを開く力等を持っている。
アンダーグ・エナジーは主に人間界の襲撃やプリキュアをおびき出す手段として多用されているが、刺客達の中では先鋒のカバトンが一番組織の目的に忠実に働いていた感はある。
カバトン以降の幹部は己の欲望に沿った動向をしており、バッタモンダーはプライドを拗らせて「プリキュアを倒して屈辱を晴らす」という私怨を優先し趣味で破壊活動を行っていた。
また、ミノトンはエルを捕まえてくるよう命令は受けながらも騎士道精神を重んじる武人気質から『最強』とうたわれる自分の相手に相応しいプリキュアとの戦いに備えて己の鍛錬ばかりかまけていた。
後述する「悪役会議の不在」という点からも、いまいち統率が取れていない敵勢力である。
ただし、仮に悪役会議があったとしても既存メンバーはいずれも「自分こそが一番強い存在である」と自負・誇示しており、しかも互いの性格上相性が非常に悪いため互いを見下し合ったり仲間割れを起こしたりしていた可能性が非常に高い(実際、悪役会議が描かれた3年前の敵幹部はメンバー同士の仲が悪かった)。
人間界での扱い
カバトンは人外ながらソラシド市の一般市民から姿を隠そうとはしておらず、それどころか2話目にバーガーショップを襲撃した。
一応市民に迷惑を被らせているのだが、第5話では(一応変装している状態で)何故かおでん屋店主にプリキュアに対する愚痴を語っていた。
その後もバレバレの古典的な変装でソラシド市に出没しているが、何故かソラシド市民には怪しまれていない。
これらの点から、第1話時点にて『迷惑系キュアチューバー』と周囲から見られたり、おでん屋店主と普通に会話したり、第12話ではおでん屋店主から心配されていたりと、彼から「着ぐるみを着たおじさん」と見なされているかもしれない。
第14話から登場したバッタモンダーは人間に近い容姿であるが、よく見ると肌色が薄紫色であり耳が尖っており前髪の一部が触角のように感情に連動している風に見えるため、やはり人間ではないようだ。
見た目は人間に近いため変装しなかったが、何度も建設中ビルの鉄骨の上で作戦を練っていたため第21話では作業員に怒鳴られた。
その後、第34話では偽名を名乗ってソラシド市でひっそりと暮らしていた。
第25話から登場するミノトンはカバトン同様に人外であり、第26話では変装していた……が、何故か真夏の炎天下にもかかわらず厚着で変装していた。
しかし、第31話では特に変装せず堂々とスポーツジムに通っていた。
この時の描写から、周りの人達も薄々彼らが人外の存在であるとの認識をしている様だが、深く追及しないようにしている模様。
アンダーグ帝国の構成員達は必ずしも獣人の姿をしているわけではないようだが、3人そろって額に黒い結晶を備えているため、それが帝国民(あるいは幹部)の証なのかもしれない。
前作ではデリシャスフィールドをローズマリーが展開すれば、料理の味が不味くなる等の被害だけで街が破壊されたりは無かったが、今作では一般人がいる場所で普通に襲撃して来るため現実への物理的被害がある。
ただし、ランボーグが浄化されるとキラキラエナジーによって自然と修復されるようである(シリーズ恒例の「謎修復」が今作で復活し、不自然さから基本的にプリキュアが第三者に目撃されない作品に多く見られるが、人間が関わってくる『ドキドキ!プリキュア』以降でも確認されるようになった)。
「はるか昔、スカイランドが闇の世界の魔物に攻め込まれ、絶望的な戦いが始まった際に当時のスカイランドの姫が『ヒーローが現れて青い空と皆の笑顔を取り戻してくれますように』と祈ったところ、その祈りに答えるように勇敢な戦士・プリキュアが現れ、魔物達を打ち払いスカイランドを救った」
かつて、スカイランドには現代でも既に忘れ去られた伝説がある。
第44話にてこの「闇の世界の魔物」がカイザー率いる300年前当時のアンダーグ帝国で、勇敢な戦士・プリキュアも当時のスカイランドを治めていた王女「プリンセス・エルレイン」が祈りによって力を得たキュアノーブルである事が明かされた。
また、次話ではカイゼリンの決死の行動がアンダーグ帝国とスカイランドに和平をもたらした。
つまり、物語開始以前に一度プリキュア側と敵組織が和解していたのである(歴代シリーズで最終的にプリキュアと敵組織が和解するパターンは何度かあったが、物語開始以前に一度プリキュアと敵組織が和解しているのは今作初)。
しかし、300年後の現代では当時和解のきっかけとなったカイゼリンは、かつての父親のように冷酷非情な支配者としてスカイランドを攻めるようになってしまった。
何故一度和解を果たしたにもかかわらず、アンダーグ帝国が再びスカイランドを襲うようになったのか?
それは、アンダーグ帝国を影で操っていた黒幕の仕業だった。
本作は前作と同様にメイン格として動く敵幹部が定期的に交代するタイプで、かつ幹部の人員が少ないため、1名の幹部が長期にわたって登場するのが特徴。
- 第1〜12話→カバトン
- 第14〜23話→バッタモンダー
- 第25〜33話→ミノトン
- 第34〜43話→スキアヘッド
- 第44~48話→カイゼリン・アンダーグ
- 第49話以降〜→ダークヘッド・ダイジャーグ
名前の由来は地下・地中・地底を意味する「アンダーグラウンド」をもじったもの、あるいは「暗とダーク」に掛けたものだと思われる。
また、幹部を演じた声優の一部は過去作でプリキュアの家族を演じていた。
よく間違えられるが、アンダーク帝国ではないので注意。
プリキュアシリーズ初の女性幹部が1人もいない構成の敵勢力となったが、女帝・カイゼリンがその枠を担っている模様。
また、本編開始時点で既に故人となっている固有名持ちの敵キャラクターが出てくるのも本作初となる。
トロピカル〜ジュ!プリキュアの悪役・あとまわしの魔女たち以来2年ぶりとなるラスボス以外全員改心する結末となったが、加えてラスボス(ダークヘッド本人)殲滅エンド(ただし裏ボスのダイジャーグは明確な消滅描写が無いので厳密には消息不明)なのはプリキュア史上初となる。
「悪役会議」の不在
『ひろがるスカイ!プリキュア』では、従来のプリキュアシリーズや他のヒーロー作品ではお馴染みの悪役がアジトで会議する「悪役会議」のシーンが存在せず、黒幕を除くメンバー全員がその場に勢揃いしたのも最終話が最初で最後である。
これについてはアニメージュ2023年6月号で本作のシリーズ構成・金月龍之介氏のインタビューによると、悪役会議の不在は意図的な演出であるらしく 「視聴者が本当に楽しんでいるのか分からない悪役会議を描くよりもプリキュアの出番を増やした方が良い」 との方向に舵を切った旨が語られている。
つまり、悪役会議の不在は「アンダーグ帝国の実態が視聴者にとっても詳細がわからない」演出と化している。
この点は本作の視聴体験に大きな影響を与えている。
従来作では「プリキュア達は敵の事情がわからなかったとしても、視聴者側はある程度は知っている」のが基本であり、視聴者側がプリキュア達の知らない事柄を知っている「神の視点」で作品を視聴していた。
しかし、本作は「知れば広がる世界」というテーマと前作から引き継がれている謎解き要素をコンセプトに「神の視点」が排除されているため、視聴者とプリキュア達とは同じ立場に置かれていたが最終クールからアンダーグ帝国側の内情や環境が徐々に明かされ始め、同時にプリキュア達も本格的に彼等と向き合い始める展開となった。
幻影帝国:名前に「帝国」を冠し、女ボスの側近として暗躍する黒幕が存在される敵組織繋がり。女ボスと三幹部が黒幕たるラスボスに利用されていた点が共通する。
キラキラルをうばう存在:黒幕以外の構成員全員が最終的に改心した敵対勢力繋がり。ただし、黒幕はラスボスの座を自身の抜け殻に奪われて分身共々消息を絶ってしまう。
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