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ヘラクレスオオカブト

へらくれすおおかぶと

ヘラクレスオオカブトは鞘翅目・コガネムシ科・カブトムシ亜科・ヘラクレスオオカブト属に属する昆虫の一種で、みんなの憧れた「昆虫の王者」である。
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概要編集

世界最大カブトムシヘルクレスオオカブトとも呼ばれる。

中南米に分布し、各地の熱帯の雲霧林に生息するが(原名亜種を除き)大型の亜種は標高1000m〜2000mの山岳にしか見られない。


大きく伸びる2本の角が特徴。喧嘩の際はこの角を駆使して、頭角を動かして相手を掴んで投げ落とす戦法が得意。

上翅は黄色~山吹色をしており、満腹になったり湿度が上がり体内の水分が増えると上翅が黒くなる。これは原産地の雲霧林で湿気の差で色を変え保護色として機能しているのではないかと考えられている。

稀に青白い上翅の個体も現れる(後述)。


頭角先端の曲がり具合や突起の数や形状、胸角突起の位置や長さ等によって10を超える亜種に分類されている(こちらも後述)。


学名はDynastes hercules

名前(種小名)の由来はギリシャ神話の英雄ヘラクレスから。

ヘラクレスが大地のエネルギーを吸収する不死身の強敵アンタイオスと戦った際に、アンタイオスを天空高く持ち上げて締め潰して倒したことから、長い角で相手を高々と挟み持ち上げるこのカブトムシに名が冠せられたとされる。

ヘラクレスは山をも割るとされた怪力無双の英雄であったため最大最強のカブトムシの名前にふさわしいネーミングだと言える。実際に両者を結びつけた作品もあるが、神話においてヘラクレスの象徴とされるのはライオンである。


そもそもギリシャにカブトムシはいなかったりする。

ヘラクレス


飼育編集

長寿なカブトムシであり、飼育の仕方次第では1年以上も生き続ける個体もいる。その大きさから察せるように大食いでもあり、角が大きいので餌を与える場合は大型カブトムシ用のゼリーを与えるか、平皿に盛り付けて与えるとよい。

幼虫期間は雌雄差や個体差があるが、平均して1年数ヶ月〜2年程度もかかる。そして幼虫も大きく育つためには蛹になるまでに大量の昆虫マット(土)を食べて成長する。


頭角と胸角で挟む力が非常に強いため、手や指を挟まれて怪我をしないように注意する必要がある。

また、基本的にはおとなしい性格だが体が大きいのもあり、狭いケースで飼うとストレスが溜まってしまう。雄幼虫の多頭飼育もオススメできない。ごく稀に雌を殺してしまうことがあり得るので、交尾の際は注意が必要。


元々人気のある種で累代個体が専門ショップや愛好家の間で盛んに取引されていたが、ムシキングのブーム等により大きなペットショップなどでは扱う所も出てきた。


人気故に通常の個体よりも大型になりやすい、角が太くなりやすいといった『血統もの』の個体もトップブリーダーの手で品種改良され、高いものでは数十万円で取引されている。


戦闘能力編集

世界最大・最強のカブトムシの肩書きを持つだけに日本産カブトムシに比べてとても力が強く、アクティオンゾウカブトと並び世界で最もパワーのある昆虫と言われるほど。その突進力は電灯のガラスをぶち割るほどであり、正の走光性を有するため生息地付近の自治体では街灯に金網をしているところもある。

ただし凶暴なことで知られるコーカサスオオカブトとは異なり性格は基本温厚で、身の危険を感じたときにのみ戦おうとする。


亜種編集

12亜種に分類されている。亜種の判別方法は雑誌『ビー・クワ18号』をもとにしている。

2003年、亜種の特徴が曖昧な個体群の存在やレクトタイプ標本(記載後に模式標本として定められた標本)の産地を決定付けられていないため、本種の全ての亜種をシノニム(無効名)とし、仮にレクトタイプ標本の産地を決められても島嶼型と大陸型の2系統にしか分けられないとの見解をラトクリフ博士が発表した。


そのため一部のサイトやフリー百科事典では「ヘラクレスオオカブトの亜種は全てシノニムにされている」という記述も散見されるが、この説は反対意見が多数を占めており、なによりも約20年前の情報であるため信憑性はそれほど高くないと言える。

そもそも本種は基本的に亜種間の差がだいぶ大きく、それを地域変異として纏め上げるのはいくらなんでも無理があると言うのが実情である。



ヘラクレスオオカブトムシ亜種図鑑 第1版

原名亜種(ssp.hercules)

領グアドループ諸島のバセテール島およびドミニカ島に分布。一般的に「ヘラクレスオオカブト」と呼ばれるのは本亜種であり、マニア間でヘラクレス・ヘラクレスもしくは略してヘラヘラと呼ばれることもある。

ドミニカ島では沿岸部〜内陸部まで広く生息している。

現地では一年中見られ、特に7〜9月に多く見られるとされる。

最大亜種とされ、2022年現在宮崎県のブリーダーが育てた182.8mmの個体が飼育下での最大記録となっている。


頭角先端の突起は短い三角形になり、中央〜基部(根本)に2〜4本の突起を持つ。

ヘラクレス亜種の中でも特に胸角が太くなるのが特徴でパチセラスと呼ばれる太角の個体は前胸背板との境目がなくなり、ランスのような形状になる。飼育者によっては太ければ太いほど良いと考える人もいる。


上翅の色は黄土色〜白黄色で比較的強い光沢を持ち、雌雄共に小楯板は大部分がツルツルしており、体毛の色も薄い。

フランスでは保護種指定(日本でいう天然記念物のようなもの)されており、島外への持ち出しは法により禁じられている。

また、『ビー・クワ56号』によるとフランス国内では飼育も禁止されているとのこと(他亜種の飼育は可能とされる)。


ヘラクレスリッキー(ssp.lichyi)

ベネズエラボリビアに広く分布。

原名亜種に次いで大型になる。

詳細は当該記事を参照。


ヘラクレスエクアトリアヌス(ssp.ecuatorianus)

アンデス山脈アマゾン川中〜上流域にかけて分布。

上翅の黄色みが強い。

詳細は当該記事を参照。


ヘラクレスモリシマイ(ssp.morishimai)

ボリビア西部〜中央部に分布。

全体的にコンパクトでがっしりとした体格をしている。

頭角は太短く、先端が強く湾曲する。先端突起は基部が幅広く、中央〜根本突起は2〜4個。胸角突起は基部寄りで長め。

要約するとリッキーとエクアトリアヌスの中間のような形態をしており、研究者に寄ってはどちらかの亜種の変異の範疇とされることもある。

また、上翅は光沢の強い黄色みを帯びた黄土色をしている。体毛は全亜種中最も黄色みが強い。

ちなみに亜種名のモリシマイは日本の昆虫研究家である森島啓司に由来する。


ヘラクレスオキシデンタリス(ssp.occidentalis)

パナマ南部〜エクアドル北西部にかけて分布。

胸角が長細いのが特徴で、ホソヘラクレスという通称がある。

詳細は当該記事を参照。


ヘラクレスセプテントリオナリス(ssp.septentrionalis)

メキシコ南部からパナマ北部にかけて分布。

頭角胸角共に細く、胸角基部の湾曲が強い。

胸角突起は基部に付く。上翅は濁った黄褐色。

小楯板は全体的にザラついており、体毛は黄褐色。

前述のオキシデンタリスに似るが頭角の湾曲が弱く、オキシデンタリスの頭角の先端がヘラ状になるのに対し棒状になり、中央突起が四角くなる点で区別できる。

胸角突起も本亜種の方が大きい。

また、オキシデンタリスに比べて本亜種の方が前胸背板がザラついている。


ヘラクレストリニダーデンシス(ssp.trinidadensis)

トリニダード・トバゴに分布。

頭角が太短い。頭角先端突起は棒状で、中央〜基部突起は1〜2本で先端がやや尖る。

胸角は太めで、胸角突起は基部寄りに付く。

体毛の色は原名亜種やブリュゼニ(後述)に寄る。


ヘラクレスブリュゼニ(ssp.bleuzeni)

ベネズエラ東部に分布。

頭角が短め直線的で先端が尖っており、胸角突起はやや長めで基部寄りに付く。前胸背板はザラついており、上翅は黄土色で光沢が鈍い。

日本国内に生体が僅かしか輸入されなかったため流通は少ない。トリニダーデンシスに含める説もある。


ヘラクレスレイディ(ssp.reidi)

セントルシア島、マルティニーク島に分布。

最大105mmとヘラクレス亜種の中では小型で角も太短い。

詳細は当該記事を参照。


ヘラクレスパスコアリ(ssp.paschoali)

ブラジル東南部に分布。

頭角が前半分で湾曲し、先端がフックのような形になる。頭角先端突起は小さく、中央突起はほぼ消失している。

胸角突起は中央よりやや基部寄りに生える。

上翅は光沢の強いオリーブ色。

小楯板はハート型にザラつき、体毛は白黄色をしている


ヘラクレスタカクワイ(ssp.takakuwai)

ブラジル西部に分布。パスコアリやエクアトリアヌスに似るが頭角突起が無く、胸角突起も殆ど消失している。日本国内ではブリュゼニ以上に珍しく、流通は皆無。


ヘラクレストゥクストラエンシス(ssp.tuxtlaensis)

メキシコ南部(ベラクルズ州サンタマルタ山塊)に分布。

小型で、頭角は細長く突起は持たない。

最も北に分布する亜種とされているが、小型個体の雄2頭が記載された以降に標本が得られておらず、セプテントリオナリスの小型個体ではと存在が疑問視されている。


青い上翅を持つ個体編集

稀に青白い上翅の個体が現れ、ブルーヘラクレスと呼ばれ珍重される。このような個体が出現する確率は諸説あり、約5%(20頭に1頭)〜0.01%(1万頭に一頭)と言われている。


しかしこの体色は先天的なものでなく、日光に当たり続けたことによりクチクラ層という紫外線から身を守る層が劣化・崩壊し結果青白く見えていることが殆どである。

これは以下の理由が根拠となる。

  • 基本的にブルーヘラクレスは標本、しかも古いものに多い。更に生体として得られたブルーヘラクレスも体が傷だらけであったり体毛が抜け落ちていたりかなり長期間自然界で生き抜いてきたような個体ばかりである。
  • ブルーヘラクレスの標本や写真の上翅をよく見ると通常個体には見受けられない大量のひび割れ(クラック)が入っており明らかに上翅が傷んでいることが見受けられる。
  • 1万頭に1頭だとしても、日本で飼育されている養殖ヘラクレスオオカブトの全頭数を鑑みると未だにブルーヘラクレスと呼べるほど青い個体は出現しておらず、更に先天性である場合遺伝するためニジイロクワガタの改良品種のように血統が出回っていないと不自然。
  • 生体、標本関係無く長期間日光に晒したり紫外線ライトを当て続けると簡単に色が飛び所謂ブルーヘラクレスの体色となる。

雑誌『ビー・クワ63号』では生まれつき上翅の黄色の色素が欠乏した個体(生体)の写真がブルーヘラクレスとして載せられているが、どちらかと言えば白色や灰色に近い色合いであり、巷に出回っている標本やそれを撮影した写真とはかなり色合いが異なる。



メディアでの扱い・関連キャラクター編集

トリビアの泉編集

番組の1コーナー「トリビアの種」にて


世界中のカブトムシが戦ったら一番強いのはどれなのか

という視聴者からの投稿が取り上げられ、「PRYDE カブト祭り2005」が開催された。

ヘラクレスオオカブトは決勝戦で国産カブトムシに1本取られはしたものの、見事優勝を飾った。

その後のエキシビションマッチではコーカサスオオカブトと対決。こちらも最初に1本取られたものの続けて2本取り返して勝利、世界最強の座を死守した。



甲虫王者ムシキングシリーズ編集

比較的知名度の高い4亜種(および本作オリジナルの特殊個体)が旧作から登場、新シーズンで1亜種が追加されている。

世界最大のクワガタムシたるギラファノコギリクワガタと並び、最古参の強さを誇っていた。


なお、シリーズを通してヘクレスオオカブト表記が採用されている。



百獣大戦アニマルカイザー編集

ゲーム上に表記される名称(英語版でも「Hercules beetle」で亜種の指定はなし)に亜種の指定がないが、学名の欄には「Dynastes hercules hercules」と記載されているが、頭角形状はどちらかというとモリシマイの方が近い。

他の亜種は本作には登場しないが、「ブルーヘラクレス」が登場する。


最強王図鑑フランチャイズ編集

『昆虫最強王図鑑』でオオカレエダカマキリクロドクシボグモオオエンマハンミョウを撃破し準優勝に輝く。

続く『異種最強王図鑑』ではスミロドンに体長は大きくはしてあるものの足りず(後書に「もう少し大きくした方が面白い戦いになったかもしれない」と記載された)初戦敗退したものの、マンガ昆虫最強王図鑑では主人公に抜擢されるなど知名度故に優遇されている。展覧会版トーナメントでもベスト4と、その強さは健在だった。


さらにアニメ版では4話にて極地でのホッキョクグマとのバトルを行い、変温動物ゆえにバトルフィールドの寒さに苦戦を強いられるものの、飛行の落下の際に角が偶然ホッキョクグマの腹に突き刺さりなんと幸運にも勝利をつかんだ。ちなみに戦闘サイズは図鑑版と異なり2m近くにまで達する。


また、この対決はアニメ史上初の寒冷地帯の生物の登場であり、アニメ史上初の本に書かれていないオリジナル戦でもあり、最強王図鑑史上初の戦いの舞台はどちらか一方のハンデにならないように、両者の生息地に近い環境に設定されるルールが無視(カブトムシだけに)された例でもあるように見えるが、ヘラクレスオオカブトの爪が食い込み体温上昇に繋がったため、結果あまりハンデにはならずに済んだ。


ちなみに先述の角が腹に突き刺さったホッキョクグマの顔はとある生物解説系Youtuberの発言がきっかけであの人が毒を盛られたことに気付いた顔のようだとトレーラー公開時からいじられていた。


次戦は25話で、対戦相手は再びオオエンマハンミョウ

挨拶代わりの奇襲攻撃を見切って跳ね返した他、長い角による投げ攻撃を何度もお見舞いして攻撃した。暫くして背中をよじ登られてしまったが、硬く丸みを帯びているヘラクレスオオカブトの羽には相手の大アゴが刺さらず、そのまま振り払って無防備になったところを、再度角で捕えつつ内側のトゲを食い込ませて勝利した。


その後40話にて遂にトーナメント戦を繰り広げられることが決定。対戦相手はスピノサウルス

相手の踏みつけ攻撃を羽で受け流した後、飛翔して森の中へ姿を隠しヒット&アウェイ戦法を披露したり、目の前で急降下して相手の胸部にしがみつき突っつき攻撃、更に無理矢理引き剥がした際に鋭い爪で相手の皮膚を裂いたりとスピノサウルスを苦しめた。その後トドメの突き刺し攻撃をお見舞いする……が、寸でのところでスピノサウルスが長い口による白羽取りで角をキャッチ。そのままひっくり返して柔らかい腹部を踏まれ敗北した。(ヘラクレスオオカブトを始めとする昆虫はひっくり返されると自力で起き上がることが出来ない弱点がある)

相手こそ違えど、本作でもトーナメント初戦敗退という形となったものの、2期で最大のライバルたちとの対決を期待する声も多いなど、その人気は計り知れない。


角の形状から登場しているのはヘラクレス・ヘラクレスである可能性が高い。


必殺技はライジングスピアーホールド・ユー・タイト。ライジングスピアーはアニメ版にあたっては偶然のライジングスピアーだが、アプリ版ではライジングスピアー表記。







仮面ライダーシリーズ編集

最強のカブトムシという印象の強いヘラクレスだが、仮面ライダーシリーズではどういうわけかコーカサスオオカブトが上位互換に位置付けられることが多い。


スーパー戦隊シリーズ編集


カブトクワガタ編集

ヘルクレスオオカブトを参照。


その他の関連キャラ編集

やはりというかなんというか、ムシキング以降の作品が圧倒的に多い。


関連タグ編集

甲虫 カブトムシ

ディナステス属


ネプチューンオオカブト:同属。やや小ぶりで前翅の色は黒のまま変化せず、左右に短い角が2本あり、下の角の反りが激しいのが見分け方。

グラントシロカブト:同属。ホワイトヘラクレスとも呼ばれる、小型の白いカブトムシ。

ギラファノコギリクワガタ:世界最大のクワガタムシ。


外部リンク編集

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