概要
小学生の大半が知っているであろう人気漫画雑誌『月刊コロコロコミック』と後のゲーム業界へも影響を与えた人気アーケードゲーム『甲虫王者ムシキング』のプロデューサーを務めたブラック博士こと植村比呂志(掲載時はウルトラひろし名義)が手を組んで送り出した昆虫RPG。
もちろんコロコロコミックとも連動しており、宣伝として漫画家のギャル王子によるコラボ漫画『ゲーつくっ!!』(植村氏は作品中にウルトラひろしとして登場する)の連載や、コロコロチャンネルでは進捗状況を伝える動画シリーズ『世界初!!完成まで、ぜんぶ見せます!ゲーム“つくるまでっ!”実況!!』の配信も成された。
ニンテンドースイッチダウンロード専用ソフトとして3月15日より発売。価格は1980円(税込)。初セール価格は980円(コロコロ発売前の4月14日まで)。
コロコロオンラインにてかつて週刊ファミ通にてモンスターハンターシリーズやパズル&ドラゴンズ等の記事を、コロコロオンライン内では原神のプレイ記事を執筆していた大塚角満が記事を手掛けている。
キャラクターデザインは日野慎之助が担当。ツイッターで記念イラストを公開している。
https://twitter.com/Shinnosuke_Hino/status/1637185138588274689
インディーズゲームの体裁を取っており、低予算で制作されていることが事前情報では明かされている。
しかし小学館の図鑑NEOの編集部が協力しているため登場する昆虫のモデルはさながら本物と見紛うほどの完成度。本件は同社なので低予算でも可能だったと言える。
更には昆虫飼育の醍醐味である「つがいを手に入れて卵を産ませ、孵化した幼虫を大きな(=強い)個体に育て上げ、より強力な昆虫と戦う」という育成要素も発表されている。
王様戦隊キングオージャーとのコラボも発表されており、2023年注目の1作となることが期待されていたが…
あらすじ
ある日、公園の木の洞にいたオオクワガタを捕まえようとして何故か巨大昆虫と人間が共存する異世界へ飛ばされてしまう。
そこでは突然凶暴化し、目を赤く輝かせた虫達が暴れていた。
主人公は「虫使い」となり赤い目の虫達と戦い異世界の謎を解いて行く。
果たして主人公は地球に変えることができるのか!?
登場人物
「じぶんのまち」の人々
主人公
名称未設定だが外見、性別は変更不能。
頭髪が前のめりのボサボサ頭の少年で、ゲームを始めた途端カメラ目線で自己紹介を始め「まず俺に名前をつけてほしい」と迫ってくる。
お母さん
主人公の母親。
後ろ髪のボサボサっぷりに主人公との血縁を感じさせる。
店員
主人公が住む「じぶんのまち」の虫ショップの店員。
人の好さそうなお兄さんで「おじさん」と呼ばれることに抵抗がある。
さなぎ
主人公が虫ショップで遭遇した女の子。
カブトムシとクワガタムシを纏めて「カブトクワガタ」と呼んだ。
主人公よりも先に異世界に飛ばされ、虫使いとなって戦っている。
まなつ
主人公が公園で遭遇した銀髪の子供。
人と待ち合わせをしていたが、出会えなくて困っている。
異世界で主人公と再会するが、相変わらず人探しを続けている。
一人称が僕だが中性的で作中で性別が明確にされない。
異世界の人々
つよし
異世界の「はじまりのまち」に住む少年。
主人公が初めて遭遇した異世界人で、何かと面倒を見てくれるいいヤツ。
科学者
黒づくめの服を着た怪しい男。
主人公の行く先々に立ちふさがる。
村長
「やまおくのむら」の村長を務めるお爺さん。
見た目に反して声は若い。
虫使いの人々
「やまおくのむら」で行われる虫相撲大会の対戦相手。
街中で出会うこともある。
タケル
「はじまりのまち」に現れる太った少年。
主人公を勝手にライバル認定してくる。
リサ
「はじまりのまち」に現れる少女。
「幼虫のえさで乾杯しましょう」とか言ってくるやべーやつ。
ヒカリ
「やまおくのむら」に現れるメガネをかけた少年(?)
インテリっぽい雰囲気だが悪いヤツではない。
よろず屋の店主
虫のエサの販売、仲間にした虫の買い取り、虫の産卵育成を担当。
喘ぎ声を上げながら交尾する昆虫を見届けながら「オスと、メスが、こうびしました。」と言い放つ場面は衝撃的。
みかん
「はじまりのまち」の「まちのよろずや」の店主を務めるお姉さん。
主人公の持つスマホに虫を出し入れする図鑑アプリを入れ、虫使いになるための試練を課す。
ゆず
「やまおくのむら」の「むらのよろずや」の店主を務めるお姉さん。
村のよろずやより良い虫のエサを扱っていると堂々と言い張り「エサ代を稼ぐには育成したメスを売るのが効果的ですよ」というアドバイスをくれる。
見た目がどこぞのモンドの風神に似ている。
はるか
「ひきょうのたに」の「たにのよろずや」の店主を務めるお姉さん。
見た目がどこぞの夢の国の穴に落ちてワンダーランドに行ってしまう女の子に似ている。
よろず屋の店主は3姉妹で、長女がみかん、次女がゆず、末妹が自分であると明かした。
虫の育成能力は自分が一番優れていると自負しつつ、姉たちに秘密にしておくように釘を刺すなど癖のある性格をしている。
登場虫一覧
まちのごしんぼく
昼
カブトムシ:つよき(炎)/げんきアップ
ノコギリクワガタ:つよき(炎)/すばやさアップ
コクワガタ:れいせい(水)/すばやさアップ
ヒラタクワガタ:ちょうわ(草)/かいふく
夜
オオクワガタ:れいせい(水)/げんきアップ
ミヤマクワガタ:ちょうわ(草)/すばやさアップ
なぞのごしんぼく
昼
夜
むらのごしんぼく
昼
夜
たにのごしんぼく
昼
夜
DLC
雑誌特典
その他、ミヤマクワガタ・エラフスホソアカクワガタ・アトラスオオカブト・ギラファノコギリクワガタの特別カラーバリエーション(ギラファノコギリクワガタはゴッドクワガタデザイン)が付録として登場。
評価
制作発表から発売直前まで殆ど音沙汰が無かったことや発売日直前にも拘らず公式のフォロワー数が1000人程度であったことから企画を危惧する声が散見されていた。
更には公式が発売数日前になっていきなりゲーム内容とは関係ない意味不明なCMを公開しまくるという暴挙を行ったため、当初期待していたムシキングのファンも不安がる者が現れ出した。
それでも小学館と名作ゲームの生みの親の底力を期待していた者も多かったようだ。
3月15日0:00分より本作の配信が開始されたがその直後からSNS上では本作をプレイし出したムシキングファンの悲鳴が上がっていた。
CMに登場したコックである外国人の男性は月刊コロコロコミックのゲーム作品紹介コーナーにてさりげなく写真が掲載されている。
- 発売当初、ホーム画面(ソフト管理画面)で『カブクトクワガタ』と盛大に誤植しているのでソフトアイコン上のタイトルの文字とは異なってしまっていた(現在は更新データの配信により修正済)。
- ボイスが合成音声で、音声の設定ではボイスのボリューム調整の項目がなくてミュートが不可能。そのためゆっくり劇場、AI拓也(ボイスロイド)などと言われることもしばしば。
- 文字があればとりあえず読み上げる。名前入力でカーソルを動かす度に読み上げ、ステータス項目も一言一句読み上げるという謎の徹底ぶり。ちなみに下ネタ等の特定ワードを使った名前で始めようとすると、主人公の名前が消滅した状態で開始する。
- 機械翻訳したようなおかしなテキストやセリフにあまりにも電波かつぶん投げで終わるストーリー。
- 戦闘はルーレットで敵より多い数字の出目を目引きで2回引いたら勝利というもの。UIではHPバーは5段階で表示されているが実質2段階の詐欺ライフゲージ。
- ルーレットの出目の数値は昆虫の強さに依存し弱い昆虫は強い昆虫には絶対に勝てないためムシキングのようなカタルシスも存在しない。
- 一応昆虫ごとの固有スキルはあるが殆ど役に立たない。
- 全ての昆虫のモーションがほぼ共通で、クワガタムシなのに顎を使って敵を挟んだりはしない。
- 攻撃時は基本的に体当たり、フィニッシュ時は昆虫の所属する属性(炎・水・草の何れか)のオーラを纏って敵を消し飛ばすというもので、効果音がどれも汚い。
- 昆虫のグラフィックは高品質ではあるが、DLC前で24種+αと少ない上にその色違いと同昆虫の亜種で水増ししている。
- 図鑑のテキストは『小学館の図鑑neo カブトムシ・クワガタムシ』よりほぼそのまま引用されているため、ゲーム中の表記が「ヘルクレスオオカブト」なのに図鑑のみ「ヘラクレスオオカブト」表記が採用される、など図鑑とゲーム中の表記がズレるという現象が起こっている。(他にもDLC産だが図鑑では「キロンオオカブト」だがゲーム中では通りのいい「コーカサスオオカブト」、図鑑neoで「ヨーロッパミヤマクワガタ」の一亜種としてまとめて解説されているため単独の説明文がない「ユダイクスミヤマクワガタ」など)
- 前情報で散々宣伝されていた育成要素は同種の昆虫のつがいを得て交尾させると卵が孵化、幼虫に餌を選択したら勝手に成虫になるだけ。
- 数時間でクリアできてしまう薄っぺらさのため発売日当日に完走した感想が上げられる。
- 体験版では製品版へのセーブデータの引き継ぎができない。
- ゲーム内設定でセーブデータの削除ができない。
- はじめからプレイしたい時はユーザーアカウントのセーブデータ一覧画面を編集する必要がある。
以上のように天下の小学館が開発したとは思えないとんでもない出来だったのだ。
そのためクソゲーマニアに目を付けられ、(おそらく製作者が想定していたのとは違う意味で)発売日当日にトレンド入りしてしまう。
2023年度KOTY受賞候補も囁かれている別の意味で話題作となってしまっている。尚、レーティングがIARCなので仮に本当にクソだとしてもルール上KOTYにノミネートされることはないが、現在はIARCからCEROに変更されている。
あと3ヶ月早く発売されていたら間違いなく2022年大賞になっていただろう。(尤も、2022年自体クソゲーが殆どない凶作の時代だったが)
「ムシキングの復活」(厳密にはSEGAの方ではないが)を期待していたファンにとってはあまり良い評価にはならなかった。
(とはいえ昆虫のカラーバリエーションにグラントシロカブトのブルー、ゴホンヅノカブトのくろがあったり、DLC追加後には育成の突然変異で赤目甲虫を作出できるようになり、しかも赤目甲虫は通常の甲虫より強い(スキルが通常バトル中1度使えるスキルが2度使える)、ムシキングファンを意識したような要素もなくはない)
しかし、薄っぺらいゲーム性は逆に取っつきやすさにも繋がっており、ガチの昆虫好きも絶賛する昆虫のグラフィック、ベテランイラストレーターによる親しみやすいキャラクター、ツッコミどころ満載のバカゲー要素に加えてセール中のお手頃価格なこともあり、Switchセール中のソフト人気順で1位を取る快挙を成し遂げた。
また、過剰なまでの合成音声ガイドもまだ文字が読めない年齢の小さな子供を持つ親や視力障がいをもつプレイヤーからは肯定的な評価をされており、更には自分がつけた名前(あからさまに※あれな名前は弾く)もフルボイスで全キャラ言ってくれるため一概に問題点とは言えない側面を持つ。
※ただし、名前のなかに数字もあるため発音を悪用して合法的に言わせることもできなくはない。
2023年4月14日、DLCの制作が発表された。
https://twitter.com/kabukuwa_info/status/1646800667753979904
2023年11月15日、ゲーム本編と全てのDLCに加えて『図鑑NEO 特別編集版 カブトムシ・クワガタムシ』が付属してくるパッケージ版『カブトクワガタ デラックス』が発売された。
その後もDLCとして様々な虫が追加されるようになったほか、新しい大会や名前つけ等のアップデートが行われた。
……明らかにカブトムシでもクワガタでも無い虫も紛れているが……。
関連動画
公式プロモーションビデオ |
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関連タグ
インディーズゲーム 小学館 月刊コロコロコミック 甲虫王者ムシキング
クソゲー ガッカリゲー:特に「ムシキングの復活」を願っていたムシキングの古参ファンにとってはこのような評価になってしまった。
絶体絶命でんぢゃらすじーさん/でんぢゃらすじーさん邪(ゲーム版):何作品かゲームボーイアドバンスソフトを出していたキッズステーションとその後にバンダイナムコからリリースされた。しかも、いずれもバカゲー繋がりである。
水族館プロジェクト:グラフィックに極振りした収集ゲーム繋がり。ただしこちらは普通のゲームの感覚でプレイした際はとんでもなく苦痛。(現代の「釣りスピ」以下の評価になった)
異種最強王図鑑バトルコロシアム:こちらは昆虫とその他種族込み、最強ライバルのゲームで、昆虫に限らず絶滅動物までも参戦するゲーム。こちらも苦行ゲーとして知られる。(こっちは異種最強王図鑑学研と日本コロムビア)
釣りスピリッツ:上記のようなクソゲーではない方で、ニンテンドースイッチのプラットホームで発売された生き物(海)の収集作品。(バンダイナムコ)
桃鈴ねね:ホロライブのバーチャルYouTuber。甲虫ガチ勢でカブトクワガタのプレイ実況を行い、コラボ漫画『ゲーつくっ!!』に作中のキャラクターとして登場した。