概要
南米のベネズエラとコロンビアに分布するタテヅノカブト属(Golofa)のカブトムシ。学名をそのままカタカナ表記したゴロファ・ポルテリとも呼ばれ、一部書籍や媒体ではポルテリータテヅノカブトと表記されることもある。
本属の基準種にして最大種で、飼育下では最大110mmの個体も記録されている。
ただし野外ではこのような大型個体は稀。
学名は「Golofa porteri」。
種小名は本種の標本を母国へ持ち込んだイギリス人画家、ロバート・カー・ポーター卿への献名である。
ちなみに属名は本種の現地での呼び名から来ているとされる。
他の本属に属するカブトムシと同じく雄の体色は橙色~茶色で、名の通り胸角が縦に伸びる。異様に長い前脚とノコギリ状の突起のある頭角が本種の特徴。雌はネプチューンオオカブトやサタンオオカブトのそれのように全身が黒色で体表がざらついている。
産地によって体毛の色が異なり、ベネズエラ産は黄土色、コロンビア産やペルー産は濃い橙色になるとされる。
余談だが、本種と誤同定されたエアクスタテヅノカブトやアエゴンタテヅノカブトといった別種のタテヅノカブトの標本が市場で流通することが多い。
そのこともあってか2023年1月現在、Wikipediaでの本種の記事にはエアクスの標本写真が本種として使用されている。
生態
標高1000m以上の高山帯に生息する。
ベネズエラでは雨季の6月〜7月に発生し、その時期に出る竹に近い植物(日本の竹とは異なり幹の中が詰まっていて水分も多い種)の新芽の汁を吸う。
強靭な角で相手を落とす多くのカブトムシとは異なって、長い前脚で相手の足場を無くさせながら、フェンシングのように華奢な頭角で投げ落とすというテクニカルな方法で戦う。
雑誌『ビー・クワ10号』には本種を得るためベネズエラへ向かった採集者の記事が掲載されており、生息地ではエアクスタテヅノカブトもしくはその近縁種と思われる別種のタテヅノカブトと混生していることが記述されている。
また、雄は昼行性なのに対し、雌は夜行性と性別によって活動時間帯が異なるという記録がある。
飼育
ヘラクレスオオカブトやネプチューンオオカブト、コーカサスオオカブトといった他の外国産大型カブトムシと同じ方法で容易にできる。幼虫期間は1年〜2年行かないほど。
ただし、成虫の寿命は短く他のカブトムシほど性欲が強くないため交尾にはコツが必要。また角が細長いため蛹化のときに曲がりやすく、真っ直ぐ上に伸びる角にしたければ本種に合った傾斜のある人工蛹室を作り、前蛹のときに入れてあげることを推奨される(基本的にカブトムシは傾斜のある蛹室で蛹化するのだが、本種はヘラクレス等と比較してやや傾斜が強い)。
成虫も他のカブトムシと比較すると角が折れやすい。
甲虫王者ムシキングシリーズでのノコギリタテヅノカブト
強くなった私に、刃向かう気かい?
ロケテスト終了時から登場。
つよさ100のアタックタイプで必殺わざはパー。肩書きは「恐怖の前足」。
カードに表記されている体長が65ミリメートルとだいぶ控えめな大きさとなっているが、これは頭角を省いた体長で記した資料を参考にしたためと思われる。
ゲーム上のグラフィックやカードイラストでは上翅が柑橘類の実の皮ようにざらついている、前胸背板が小さく幅も狭く厚みも薄い、前脚符節が短い、名前の由来にもなっている鋸状の頭角突起が再現されていない、といった点から別種「エアクスタテヅノカブト」の標本を元に作成したのではないかという噂が一時囁やかれていた。
しかし本作のプロデューサーであった植村比呂志氏のツイートにて、老舗の昆虫専門店兼出版社で後に本作の監修をすることになるむし社にて購入したノコギリタテヅノカブトの標本がグラフィックの元となったことが明かされた。
なお、本作のカードイラストとモデルとなった昆虫の標本を比較する児童書『甲虫王者ムシキング カブトムシ・クワガタムシ大ずかん』での標本の写真にはきちんとノコギリタテヅノカブトが使用されている。
- 後述のコミカライズ版でも同じく頭角の鋸状突起の無いゲーム内グラフィックに準じた姿で描かれていた。一応、漫画ではデフォルメ化はされていたが、ゲーム内グラフィックよりも角の長さが誇張されており「エアクスタテヅノカブト」とは十分に見分けのつく姿で描かれていた。
後のアダー完結編では、体色に艶があり、頭角突起や前脚符節も忠実に再現した実物に即したデザインとなり、体長も87ミリメートルに修正された。
キプルツヤクワガタの登場していない『甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道DS』においてはムシキング・テリーの相棒として抜擢されていた。
超必殺わざは5周年コレクションカードまでは「(スーパー)サイドロックボム」、アダー完結編以降の超必殺わざは「(スーパー)ソードアンドスフィア」。ただし後述のヤイバは超必殺わざ変更前のカードだけとなっている。
新甲虫王者ムシキング
2016 3rdより登場。レアリティはSR(旧作のつよさ160~180相当)。
肩書き、必殺技は旧作(アダー完結編以降)と同じ。
SR甲虫の中では超大型標準値でも65mmと、最も小柄なムシとなっている。
鳴き声に関しては、ロケテストバージョンにて全てのムシの鳴き声として、以降も2016ファーストまではCPUのムシを怒らせた際に発する鳴き声として使用されていた。
肝心の本人の鳴き声はというと、旧作にてカウントダウン中に発する短めな鳴き声の方が採用されておりミヤマクワガタと同様の待遇となってしまった。
2016サード後期より登場した赤目タランドゥスステージ以外には基本的に出現しないというSR甲虫としては珍しい特徴があり、実装当初は入手が極めて困難だった。(ただしバイオリンムシ、アカネクマゼミとは異なり新規記録カードを用いたSR以上確定枠には含まれるため、入手自体は可能ではあった。)
希少性だけで言えばバイオリンムシらにも劣らないものはあったものの、覚醒ヘルクレスオキシデンタリスの完全下位互換に当たる性能も手伝って特に高騰することは無かった。
激闘2弾以降は後述の「ポルテリータテヅノカブト」に統合されSRとしての再登場はしておらず、台湾版にはティティウスヒラタクワガタ共々未登場となってしまった。
そして激闘2弾より「ポルテリータテヅノカブト」が新規参戦することが判明。レアリティはSSR、肩書きは「伝家の大鋸(おおのこ)」、必殺技はパーの「ポルテリーウィップ」。
先述の通り「ポルテリ」はノコギリタテヅノカブトの学名であり、そのノコギリタテヅノカブトは参戦済みなので、だとしたらコイツは一体何なんだと思われていたが、現実のノコギリタテヅノカブトの最大サイズが大きく更新されているために別枠のSSRとする措置が取られた、つまり「SSR:ポルテリータテヅノカブト」と「SR:ノコギリタテヅノカブト」は別枠だが同種であるということが公式HPで明言された。
同種で上位レアリティなので、実質的に覚醒甲虫とも見てとれる。
肝心な性能は攻撃力 120・テクニック 110に加えお助け相性がかのアクティオンと同じグー+チョキ+パーと、スマトラオオヒラタクワガタと同等かそれ以上の攻撃特化である。
超神化3弾においてブラック甲虫として再収録。以前と同様のお助け相性に加えて、テクニックが伸びている。
超神化2弾ではチョキに炎のスーパーVブースターを持った激闘2弾仕様のポルテリーがNPC専用のムシとして登場した。
ザックの冒険編
固有名詞付き虫の「ヤイバ」が主要キャラクターとして登場し、後にカード化された。ただし角はゲームのグラフィックより長くはなっておらず、通常版との違いは色だけとなっている。
- ヒシガタタテヅノカブトやピサロタテヅノカブトよりも先に登場したため、登場してしばらくは唯一「ノコギリタテヅノカブト」とタッグ相性◎にできる甲虫だった。
今賀俊版
固有名詞付き虫の「フラッグ」が登場。外来種であるものの、病弱で戦力にならないため、カクタスに殺処分されそうになっていたが、タンゴとキングに救われる。
その後、同じく殺処分されるはずだった外来種たちとともにアルマの前に現れ、アルマはカクタスの企みに気がついたのだった。
関連タグ
- カブトムシ
- ヘラクレスオオカブト ゾウカブト : 同じく中南米の大型カブトムシ
- ゴホンヅノカブト:上翅が茶褐色、竹の汁が好物、旧ムシキングでは小型甲虫扱いだったが新ムシキングでSRに出世など共通点が多い
- タイゴホンヅノカブト…旧ムシキング(5周年コレクションカードまで)での超必殺技が同じだった甲虫。
- 胡桃(原神) : 何故か特定界隈にて、本種がこのキャラを襲うネットミームが広まっている