概要
コガネムシ(黄金虫)は甲虫の名前で、広義から順に次の意味に使われている。
本項は「1.」を基にコガネムシについて述べる。
一般にコガネムシと呼ばれる甲虫は、ナミコガネをはじめとするコガネムシ科の種類である。この科は非常に多様で、ハナムグリ(カナブンなど)やカブトムシ、フンコロガシも含まれる。
コガネムシ科に属さず、自ら独自の科として区別されるコガネムシもあり、次の通りに挙げられる。
- アツバコガネ
- コブスジコガネ
- センチコガネ
- ニセコブスジコガネ
- ヒゲブトハナムグリ(コガネムシ科に含める場合がある)
- フユセンチコガネ
- マンマルコガネ(後にアツバコガネの亜科として分類される)
- ムネアカセンチコガネ
これらの甲虫は、丸い体・つぶらな複眼・吸盤を持たない鉤爪状の足元・櫛状に開閉する触角が共通点として挙げられる。
それ以外の外見的特徴は種類により様々で、長い脚・立派な角・ふわふわな体毛・美しい色や光沢を持つものがいる。後者はナミコガネなどが該当し、コガネムシ(黄金色に輝く虫で黄金虫)という名前の由来となっている。
樹液に集まるカブトムシや花粉を食べるハナムグリ、植物を食い荒らすマメコガネなど、総じて草食のものが多い。一方、菌類を食べるムネアカセンチコガネや、糞を食べて自然界の掃除屋なフンコロガシやセンチコガネもいる。
数cm以下の中~小型種が多いが、ゴライアスオオツノハナムグリやヤンバルテナガコガネ、ヘラクレスオオカブトなど5~10cmを超える大型甲虫も含まれる。
系統的にはクワガタムシやクロツヤムシに近縁で、共に「コガネムシ上科」という更なる大グループを構成する(具体的にいうとニセコブスジコガネがクワガタムシに近い)。これらのグループは平たい体型のため一見してコガネムシとは随分異なるが、複眼や足元の構造は一緒で、触角も同じ基本形で若干異なる(長いL字状で櫛状部分が開閉しない)程度である。
独特なコガネムシ
ここでは典型的なコガネムシ(コガネムシ科のナミコガネやドウガネブイブイ、マメコガネなど)以外の種類を列挙する。
- ハナムグリ
- カブトムシ
- コガネムシ科のうちカブトムシ亜科のこと。オスが発達した角を頭部と胸部(もしくはその片方)に持つものが多く、それを使って喧嘩する。
- テナガコガネ
- コガネムシ科のうちテナガコガネ亜科のこと。オスが発達した前脚を有し、それを角のように使って喧嘩する。
- クワガタコガネ
- マンマルコガネ
- アツバコガネ科のうちマンマルコガネ亜科(旧マンマルコガネ科)のこと。背面の表皮と脚の縁を表にして全身を球状に丸める。
- 糞虫(食糞性コガネムシ)
コガネムシをモチーフとしたキャラクター
カブトムシ、フンコロガシをモチーフとしたものはそれぞれのページを参照。
- コガネムシ怪人(仮面ライダーBLACK)
- スカラベオルフェノク(仮面ライダー555)
- スカラベアンデッド(仮面ライダー剣)
- コレオプテラワーム(仮面ライダーカブト)
- コガネギン(地球戦隊ファイブマン)
- コガネ(王様戦隊キングオージャー)
- はじきコガネ(風来のシレン)
- コガネモチ(ピクミンシリーズ)
余談:コガネムシは金持ちか?
2004年に『ピクミン2』のCMソングとして替え歌の『種のうた』が発表されたことからこちらで知った方も多いかもしれない。
この『黄金虫』には「黄金虫は金持ちだ」という一節があるが、この黄金虫はコガネムシではない。
ゴキブリである。
古来より日本家屋はものすごく隙間風が多く、オマケに貧乏な家ではゴキブリの喰うエサもないため、ゴキブリは棲みつきさえしなかった。ゴキブリが住んでいられたのは、隙間風もなく、エサも頻繁にあるお金持ちの家だけだったのである。
故に、ゴキブリの中でも特に明るい茶色でピカピカと光るチャバネゴキブリは黄金虫と呼ばれ、金持ちの象徴とされていたのだ。
…という説があるが、ゴキブリをコガネムシとよんでいたのは群馬県高崎地方であり、童謡『黄金虫』の作詞家の野口雨情は茨城県北茨城市出身である。茨城県でゴキブリをコガネムシとよんでいたという事実は確認できていない(タマムシではないかという説もある)。
参考:枝重夫『月刊むし』2010年6月号(472号)「童謡"黄金蟲"はタマムシだ!?」