概要
ゾウムシ（象虫）とは、甲虫目のうちゾウムシ上科に分類される昆虫の総称。狭義では古典的なゾウムシ科やそれに近い類、すなわちオトシブミやチョッキリ、（後にゾウムシ科に再分類された）キクイムシなど名前に「ゾウムシ」が付いていない仲間以外の種類を指す。
世界中から9万以上（ゾウムシ科のみでも8万以上）の種が知られ、甲虫どころか動物全般的にも規模最大級の上科や科である。
カミキリムシやハムシなどに近縁で、草食であることと後述の足元の構造が共通している。
特徴
サイズは米粒より小さいものから4cm程のものまで、体型や色も種類により様々。
多くの種類はゾウの長い鼻のような口吻を持つ（キクイムシはこの特徴を二次的に無くしている）。ただしこれは蚊やカメムシのように顎が針状に変化したものではなく、あくまで頭部前半が伸長したものである。そのためL字状に折り曲げる棍棒状の触角が吻の途中から生えて、吻の先端も典型的な顎を持つ口である。
足元の部分は見かけ上4節しかない（普通の昆虫は5節）。そのうち前3節が丸みを帯びて、腹面の微毛により滑らかな表面でも難なく登れる。
全てが草食で、口吻先端の顎で果実に穴を開け、その中に産卵し、蛆状の幼虫を住みつかせるものが多い。例えばドングリの中から出てくるどんぐり虫も、シギゾウムシというゾウムシの一群である。一方、葉を巻いたり糞球を作ったりするなど、イレギュラーな生態を持つ種類もいる。
また、甲虫である時点で既に硬い外骨格を持つが、一部のゾウムシ、例えば沖縄に生息するクロカタゾウムシは更に硬く、手や足で圧しても潰れない上に、あのヤマアラシの棘も刺さらないどころか先端がしなるほどである。
人間との関わり
前述した食性のため、多くのゾウムシは害虫扱いされており、中でもコクゾウムシ（蛄䗐、強䖹、蚲、𧑐蟥、䗘𧌏、䗸）は食糧害虫として名高く、虫よけを置いていなければ米びつの中などに発生するので要注意。昔話『宝下駄』に出てくる権三虫の正体はコクゾウムシだと言われている。
東南アジアやパプアニューギニアでは、ヤシの害虫でもあるヤシオオオサゾウムシの幼虫が地域により食材とされ、クリーミーな味を持つ。
雑木林を中心にみられるオオゾウムシは日本在来のゾウムシの中で最大の種で性質は輪をかけて温和。食性も樹液や果物・根菜と柔軟なため昆虫ゼリー・バナナ・リンゴなどに容易に食いつく。
性質や生活環境がよく似ているコクワガタと併せて飼育しても喧嘩しないため、ほとんど手がかからないことでも知られている。
成虫は飼育下で平均5年とされもっと長生きした例も報告されていることから、上手に飼育できれば相当長いあいだ共に過ごせるだろう。
フィクション・創作関連
モチーフとしたキャラクター
関連エピソード
- ディグモン（デジタルモンスター）
- 2020年末に記載されたゾウムシの新種 Demyrsus digmon の学名の由来となっている。
関連タグ
シムウゾ：ゾウムシに擬態するウンカ（ヒロズアシブトウンカ）の種類。前後逆さまにゾウムシに似せることから、ゾウムシを逆読みにした名前が付いた。
