概要
ツチハンミョウ科に分類される甲虫のこと、漢字では「土斑猫」「地胆」と書く。
名前に反してハンミョウ(オサムシ科)ではなく、形状が微妙に似ているだけで特に近縁でもない。
幼虫時にはハナバチの身体に張り付いて巣に侵入して寄生し、巣の中の卵や蜜を食べて成長するという習性を持つ。なお成虫になると植物の葉を食べる食性に変わる。
前半身は頭部と前胸の間がくびれてスマートだが、一般によく知られる種類は全身が紺色で金属光沢があり、腹部は柔らかく小さい前翅からはみ出している。ゆえに動きは鈍いが地上を歩いて移動する。なお、ハンミョウと似た普通の後半身を持つ種類や、クワガタムシのように体が平たく大顎が目立つ種類もいる。
毒
接触すると擬死を行い、関節部分より臭気のする黄色い液体を分泌するが、その液体の中に毒性のある物質カンタリジンが含まれている。
この毒は接触すると水疱性皮膚炎を引き起こすが、イボ取りや膿出し、利尿剤などの漢方薬に用いられる。忍者は毒薬としてこの虫を利用したと伝わるが、後代にハンミョウと混同されたために実用的ではなくなった。
西洋ではこの種の昆虫(スペインゲンセイ/ヨーロッパミドリゲンセイ)はスパニッシュフライ(スペインバエ)と呼ばれ、摂取後に毒を排泄する段階で尿道の血管拡張が起こり、それが性的興奮と誤認されたことから、媚薬として用いられていた歴史がある。
なおこの毒はフェロモンのような効果を持つので他の虫を引きつけ、抵抗性のある鳥は寄生虫駆除および、自己防衛として体内に毒を蓄積するため、あえてツチハンミョウを食べるという。
主な種類
ツチハンミョウ科
ゲンセイ亜科
関連タグ
ハンミョウ:他人の空似。