概要
甲虫のグループの一つで、脊椎動物の死体に集り餌にする様子が見られることから漢字は「死出虫」と書き、死体を埋めて蓄えるものもいることから「埋葬虫」ともいわれる。
(画像はオオヒラタシデムシの成虫と幼虫)
成虫の体長は1cm未満から4cm以上まで、顎が発達しており触角の先が太い。
体は平たく黒い艶消し色のものが多く、種によっては前胸ないし前翅にオレンジ色の模様がある。
ハネカクシほどではないが、腹部末端が前翅からはみ出したものも多い。
幼虫は縦長いワーム状で、歩行用の脚を胸に持つが芋虫のような腹脚はない。モンシデムシなどの幼虫は白くて柔らかいが、ヒラタシデムシの場合は黒く硬い外骨格に覆われている。
甲虫の中ではハネカクシ(ハネカクシ科)に近縁。系統関係について、シデムシは長らくハネカクシとは別の科(シデムシ科)として分かれていたが、遺伝子解析によりハネカクシ科の系統に内包される(具体的にいうとフトツツハネカクシやデオキノコムシに近い)ことが判明し、2022年に発表された論文でその一亜科(シデムシ亜科)とされるようになった。
生態
多くの種は死肉食であるが、死体や糞にたかる蛆を餌にするものや、腐敗したキノコなどの有機物を食べるものもいる。
ヒラタシデムシのように、幼虫が活発に移動して餌を食べる種や、つがいの成虫が肉団子にした小動物の死肉を土の中に蓄えて、幼虫に小分けにして与える亜社会性を持つモンシデムシもいる。
特に土中に死体を埋めて、親が子に口移しで肉団子をちぎって与えるという種についてを、ジャン・アンリ・ファーブルが興味を持って記録に残している。
その習性から親子の情があるように見えるが、近年の研究では子に与える餌が少なくなると、親虫は分量を調整するため子殺しを行うことが知られている。
強烈な腐臭を放つサトイモ科の植物、ショクダイオオコンニャクに授粉者として利用される。
フィクション・創作関連
古くからフィリピンで伝承される、シデムシを使って相手に呪いをかける魔女。
原題『Restless』。2011年に公開された死の匂いが濃厚なアメリカ映画で、ヒロインの余命幾ばくも無い自然好きな少女アナベル・コットンが、アメリカのモンシデムシの習性についてを言及する。
生物科の専任教師・猫山崇は学校の中庭でシデムシを何匹も発見するのだが...
「闇一族の巻」に登場する忍者かげろうによって、ななふしの術で隠れた村雨数馬を毒で腐ってきた傷口を目標に見つけ出すのに用いられた。
第8話「肝っ玉シデムシおばさん」に登場。迷い込んだ子供を食べてしまう悪魔が棲むという、悪魔の森に訪れたハッチが出会ったのは...
第1話開幕において主人公の梶美杏理が昆虫好(こんちゅき)であるのを印象づけるために登場。
- シデムシの歌
オーガスト・ダーレス作の怪奇小説。