概要
ノコギリクワガタ属(プロソポコイルス属)の最大種。中でも亜種ケイスケギラファ(ssp.keisukei)は最大体長121.0mmの個体が確認されており、世界最大・最長のクワガタムシとして有名。
以前はキバナガノコギリクワガタ、オオキバナガクワガタとも呼称されていた。
ヒマラヤ山脈東端部〜インドシナ全域、マレー半島、インドネシア、フィリピンに広く分布する。
学名は「Prosopocoilus giraffa」。
種小名はキリンという意味であり、本種の長大な大顎をキリンの首に見立てて名付けられた。
前述の通り緩やかに湾曲し、内歯(顎の内側についているトゲ)が左右非対称になっている長い大顎が特徴。
大顎先端の内歯と大顎中央先端寄りの内歯が大きく発達し、大きな内歯の間には鋸歯(小さな内歯)が並ぶ。
ちなみに、通常左の大顎の方が若干長く、大型になるにつれわかりやすくなる。
前胸背板の側面前方がやや後ろ向きに棘のように張り出す。
大顎は鋭い内歯がワニの口のように並び、最も力のかかる根元の太い内歯はカブトムシやクワガタの角や大顎を切断できるほど強力だが、先端部分の挟む力はあまり強くなく、力も他のクワガタに比べて長続きはしない。
…と見られがちだが実は大顎先端の挟む力も非常に強く、似たような体格の大型種であるマンディブラリスフタマタクワガタとは倍率差にしておよそ2.5倍〜3倍近い力の差があり、スマトラオオヒラタクワガタと比較しても歴然とした差は見られないという研究結果も存在している。(参考動画)
(※ただし、これはギラファ97mmとマンディブラリス89mm、スマトラオオヒラタ84mmの比較であり、クワガタはサイズによって体型が全く異なることも考慮する必要がある。実際マンディブラリスに関しては111mmの特大個体では体も太く、総合的なパワーが桁違いに上昇していることがその後の動画で判明している。)
ヒラタクワガタやフタマタクワガタ、ツヤクワガタ等と比較するとあまり好戦的な性格では無いとされる。が、一度闘争心を発揮するとメチャメチャ強い。低い姿勢から相手の足元を掬ったり、特徴的な大顎先端で下から挟んで押し出す戦い方を得意としており、相手を木から引き剥がす力も強力。
流通は多く、特にボロブドゥール(ジャワ島産)とケイスケ(フローレス島産、ロンボク島産)はかなり安価に購入できる。
日本のノコギリクワガタよりも長命で、多産なうえ飼育も易しい部類なため、外国産クワガタの入門種のひとつとされる。幼虫は発酵マットや菌糸ビンで大型化し、100mmや110mm以上の特大個体も育てることができるが、累代する場合は雄と雌の羽化ズレには注意が必要である。
亜種
9亜種に分類される。(イラストはダイスケギラファ)
原名亜種(ssp.giraffa)
中〜大型個体の大顎先端内歯は明瞭に出現し、大顎中央先端寄りの一番大きな内歯の発達も比較的良い。体はやや艶がある。
ギラファギラファの略称でギラギラもしくは産地によってミャンマーギラファ、マレーギラファなどと呼ばれる。
ニルギリギラファ(ssp.nilgiriensis)
原名亜種に似るが、先端内歯と最大内歯の間の鋸歯が融合する個体が多い。
国内飼育品が細々と出回るが流通量は少ない。
ボロブドゥールギラファ(ssp.borobudur)
大顎は原名亜種と比較して扁平で太短く、先端内歯は大きく発達し湾曲が強い。最大内歯は発達が悪い。体は若干艶消し。
亜種名はジャワ島東部のボロブドゥール寺院遺跡にちなむ。
ジャワ産が安価に流通している。
ケイスケギラファ(ssp.keisukei)
121.0mmの個体が確認されている最大亜種。フローレス島のものはフローレスギラファとも呼ばれる。
先端内歯はやや小さく、最大内歯が長く発達する。体は艶消し。
亜種名は記載者水沼哲朗氏の次男、敬典氏にちなむ。
ボロブドゥール同様流通量は多く、流通する本種の大半を占める。
ティモールギラファ(ssp.timorensis)
インドネシアのティモール島に分布。
最大記録でも94mmと全亜種中最も小型で、ボロブドゥールに似るが大顎は細く、先端内歯の湾曲がより強い。ボロブドゥールよりも艶があり、個体によっては体色が赤みがかることで知られている。
ニシヤマギラファ(ssp.nishiyamai)
大顎はやや扁平で細く、内歯も小さい。体にはやや艶がある。
ニシカワギラファ(ssp.nishikawai)
サンギール諸島に分布。
大顎はやや扁平で太短く、内歯の発達も悪い。頭部や前胸背板は艶消し状だが、上翅には強い光沢を持つ。
マキタギラファ(ssp.makitai)
先端内歯は小さく、最大内歯も細短い。頭部や前胸背板はやや艶消し状だが、上翅には強い光沢を持つ。
ダイスケギラファ(ssp.daisukei)
ケイスケに次いで大きくなる亜種で飼育下にて119.4mmの個体が記録されている。
大顎はシャープで、先端内歯は極めて小さく消失する個体も見られる。最大内歯は細長く、比較的良く発達する。全身に艶がある。
亜種名は水沼哲朗氏の長男、大輔氏にちなむ。
メディアでの扱い
(特に甲虫王者ムシキング以降)世界最大のクワガタとして知名度、人気が非常に高く、他の大型クワガタムシを差し引いて、強くて大きなクワガタとして扱われることが多い。
仮面ライダー剣
仮面ライダーギャレン キングフォーム及びギラファアンデッドのモデル。
王様戦隊キングオージャー
主人公であるギラの名前の由来。最強国で国旗にクワガタの紋章が施されたシュゴッダムの国王(独裁者)から変身資格を奪い取り、以降母国に追われる身となる。
MOVIEバトルロワイヤル
アニマルカイザー
銀のカード(クワガタムシの中では最高ランク)として登場し、「世界最大のクワガタムシ」と記載された。ちなみにオウゴンオニクワガタは銅、ヘラクレスオオカブトは金レア。
トレジャーガウスト
コイツがモチーフ(ビジュアルはノコギリクワガタ寄り)の「エンペラーギルファ」というやつがいる。ハサミが切れないのはエンペラーギルファの仕業らしい。
DSゲーム「ガウストダイバー」の青バージョン限定で、クワガタ系のガウストでは最上位。「高貴すぎて戦いたがらない」という設定だが攻撃力は非常に高く、やる気(殺る気?)になれば強い。
ちなみに「ゴルドエンマクワガタ」「レジェンドクワガタ」なと組めばクワガタ連携でパワーアップ。ムシ系最強クラスの攻撃力を持つ一方で鈍足なのでできれば素早さを補いたい。
どうぶつの森シリーズ
人気や知名度の割に長らく虫のラインナップとして抜擢されていなかったが、これは同シリーズの虫や魚は名前を10文字以内に収めなくてはならないという制約があるため、「ギラファクワガタ」などといった名前で出すわけにはいかなかった…といった事情によるものと思われる。なおアルケスツヤクワガタなら収まるが登場しない。
「あつまれどうぶつの森」では文字数の制限が撤回されたようで、ようやく実装された。
甲虫王者ムシキングシリーズ
「ククク、ギラファ様の力を見せてやろう」
甲虫王者ムシキング
初期シリーズより登場。
強さは200。性格はアタックタイプ。必殺技はチョキ。
肩書きは「世界最大のノコギリ」
チョキの破壊力がパラワンオオヒラタクワガタと並び全ムシ中最大の110。
「生まれたところ」はネパールと記載されている。
アダー完結編ではハイパーレア(わざがG・ネックブリーカーのカード)の「生まれたところ」はインドネシアのフローレス島となっている。
「2004夏限定」で一旦排出を終了したが、「2005セカンド+」で復活。
その際にグラフィックの変更があり、より質感や顎の形状が実物に近いものとなった。
修正後のグラフィックが艶消し状にになり大顎の先端内歯が強調されているため、ボロブドゥールギラファではと言うユーザーもいるが、後述のメディアミックス作品では実物のケイスケギラファに近いデザインとなっているためモデルとなったのはケイスケと思われる。
なお、公式の児童書『甲虫王者ムシキング カブトムシ・クワガタムシ大図鑑』では原名亜種、『同2006』及び『同2008』ではボロブドゥールの標本が使用されている。
余談だが、雑誌『ビー・クワ16号』ではむし社の店長にしてムシキング監修者の飯島和彦氏によるムシキング制作チームへのインタビュー記事が掲載されており、当記事にて2004年には本作の大ヒットによりギラファノコギリクワガタの生体がどこの昆虫ショップでも品切れとなってしまったことが明かされている。
森の民の伝説
当該記事参照
今賀俊版
キングの因縁の敵として立ちはだかる。
闇の改造甲虫
「クーックックックック…」(CV:陶山章央)
アダーに操られた甲虫として登場。
怪しい笑みを浮かべながら、不意打ちや負傷したリッキーを盾代わりにするといった手段を選ばない狡猾で残忍な戦法を取る。
ポポを人質に取られ攻撃できないムシキングを一方的に痛めつけた。
後にムシキング救出にアダーのアジトへ突入したポポとスジブト、リッキーの前に現れ、リッキーと激闘を繰り広げる。
超必殺技
ブルロック
2004夏限定までの超必殺わざ。
横に回り込み、挟み込んだ後に振り回しながら締め付ける。
G・ネックブリーカー
2005セカンドプラスからの超必殺わざ。
相手の攻撃を屈んでかわした後、すかさず弾き飛ばし、突っ込んで相手の頭部に大アゴを挟みつけ、回転しながら地面に叩きつける。
ちなみに「G」は「ジャイアント」「ギラファ」の意味。
新甲虫王者ムシキング
2015 2ndにてSSRとして登場。テクニック(必殺わざの威力に影響)が非常に高い一撃必殺型。肩書きと必殺技は旧作(変更後)と同じ。
その後もとあるステージのボスの使用甲虫として登場している。ちなみに初登場した弾ではこいつを使うボスが3人(ライバル(甲本シュウor神谷レイジ)・マスターブラック・イスルギ)いた。このうちライバルのギラファのみ勝利後一定の確率でカード化して排出できた。
激闘1弾にて、ギラファケイスケレッド(ケイスケ亜種のうち、体が赤くなる個体。亜種問わず超低確率で生まれる。)が参戦する。
通常のギラファノコギリクワガタは激闘4弾で新必殺わざ「G・スパイラルバレット」を引っさげて再登場する。
超神化2弾にて新レアリティ「SGR」がイベントバトル限定のシークレット枠で登場。肩書きは「無限のカオス」、必殺技は「ヴォイドオール」。紫色と黄色の紋章をまとう。
超神化4弾では赤い目のブラック甲虫仕様のものが登場。
最強王図鑑
昆虫最強王とマンガ版の2作品にて登場。
フォツリス・ベルシコロルの噛みつきを前に物ともせず、長い大アゴで相手を挟みつけて勝利。その後クロドクシボグモ戦でも同様に大アゴで締め上げて攻撃したが、脱け出された挙げ句に背中に猛毒の鋏角で噛みつかれてしまい敗北してしまった。
漫画版では主人公サイドとして登場し、2巻の表紙も飾った。
対戦相手はデスストーカー。相手の毒で元々草原だったフィールドを砂漠に変えられ、砂に脚を取られている間に右脚に毒針がかすってしまうが、その脚を自ら引きちぎることで全身に毒が回るのを阻止。その後も相手の尻尾を切断したうえで粘り勝ちを果たした。
漫画版の個体名は「ギラ」という同じく地球に似た星にて繰り広げる物語の主人公の世界一優しい邪悪の王と(名前の由来も)同じだが、3巻では「ギラファ」とそのままな名前の表記となっている。
アニメでは本編に先駆け、9/11にアプリ版で追加されている。2期以降の本編参戦は確実かもしれない。
関連タグ
ヘラクレスオオカブト←世界最大のカブトムシ
パラワンオオヒラタクワガタ:ムシキングで超必殺わざを共有していた(変更前)。また体長やパワーは劣るものの、こちらを「世界最大のクワガタムシ」と記載する図鑑もある。
アクティオンゾウカブト、タランドゥスオオツヤクワガタ、ギラファノコギリクワガタ、マンディブラリスフタマタクワガタ、ヘルクレスオオカブト、ヘルクレスリッキーブルー:旧ムシキングで最強の強さ200(金レア)だった甲虫たち。
000.ムシキング→001.ギラファノコギリクワガタ→002.ヘルクレスオオカブト