曖昧さ回避
Concord(コンコード)とは、ローマ神話の調和の女神コンコルディア (Concordia) に由来する英語で、主に「調和」を意味する。
仏語読みはコンコルド(concorde)
pixivでは2024年に発売されたビデオゲームを指すことが多い。
ビデオゲームの概要
2024年8月23日にプレイステーション5とWindows(Steam&Epic Games)向けに発売されたFPSゲーム。
SFの世界観で16人の個性的なフリーガンナーから好きなキャラを選び、5vs5の陣営に分かれて対戦するチーム対戦型ヒーローシューター。
かつて「HALO」シリーズを手掛けていたBungieの元スタッフが立ち上げた「Firewalk Studios」による開発で、8年の開発期間を要したとされている。
2023年にソニー・インタラクティブエンタテインメントに買収された後も開発が続けられていた。
不人気によるサービス終了
2023年の「PlayStation Showcase」で発表され、2024年7月にはベータテストが行われなど、度重なるオープンテストを経てメディア露出を図るも注目が集まることはなく、ローンチ後もピーク時の同時接続数が1000人に満たないほどの低空飛行ぶりで、状況は芳しくなかった。
そんな中、同年9月4日にSIEは本作のサービス提供の中止を発表。この発表に前後してストアページは削除され、9月6日にサービス終了、購入者向けの返金対応を行う旨の告知がなされた。
ここまで発売からまだ2週間。「クソゲー」「爆死」は数多あれど、流石にほとんど例を見ない衝撃的な展開によって、皮肉にも本作はにわかに注目を集めることになってしまった。
中止発表直後は、あくまで「一時的なサービス停止と方針の見直し」と語るなど、将来的なサービス再開を視野に入れていたようであったが、それから約2ヶ月後の同年10月29日、SIEは開発元の「Firewalk Studios」の閉鎖を発表。ハーマン・ハルストCEOは「この数カ月、多くの時間を費やしてあらゆる選択肢を検討したが、ゲームと共にスタジオを閉鎖することが最善の道であると判断した」と説明した。そのため『Concord』は名実ともに発売2週間でこの世から消えたゲームとなった。
また、サ終が迫っている中だとトロフィー取得の為に操作キャラクターを投身自殺させたり敵チームで生存しているキャラクターが一人か誰もいなくなったりといった珍事が起きていた。
消費者側からの賛否と不可解な点
「売り逃げ」すらできない顛末に余程の瑕疵があったのかと思われるかもしれないが、数少ない購入者からは「ゲーム部分の骨格は意外としっかりとしており、不満点はあれど思ったほど出来は悪くなかった」という声がある一方で「方向性が分からない」とする声があるなど賛否両論の評価だった。 (「バグは無かった」や「ベータからの問題を直してない」という声もある)
リリース数か月前の時点でキャラやゲームを紹介するトレーラーが公開されており、その上PlayStation.Blogに出た6月28日の記事にてベータテストの配信日を知らせるなどゲームに関する広告がソニーから出ている。
よって発売元のソニーは一定のマーケティングを行っているのは確かなのだが、『Concord』を称賛する人達は何故かその事を無視して「販売担当のソニー側のマーケティング不足」とソニーのせいにしたがっている。
因みにソニーは日本語版の公開動画にコメントを書けないよう設定しており、シネマティックトレーラーやゲームプレイトレーラーのみならず、ベータ開催トレーラー(7月12日)などのベータテスト関連の公式動画にもコメントさせない徹底ぶりを見せている。(英語版の多くはコメント可)
これについては後述のコメント欄の指摘から、5月から始まった炎上問題を切っ掛けにポリティカル・コレクトネスに対する否定的な声が高まっていた事が関係していると考えられる。
その成果かソニーは日本での『Concord』の知名度を低い状態にしたままサービスの終了に成功しており、そのお陰で「見てもらえなかった」や「広告不足」など、日本からゲームの内容以外に理由があると解釈する擁護が出るようになった。
(「この記事が作られたのがサ終後だったのは知られてなかったからだ」という声もある)
諸説あるサ終の要因
サ終前後に出た情報から諸説あるが、その中で「ゲームの単純な魅力不足が早期のサービス終了に至った主要因ではないか」という説が有力視されている。
先ずキャラクターデザインの時点で非難が出ており、5月31日にリリースされたreveal cinematic_trailerやGameplay_Trailerが出た頃にもキャラに関する批判の声があった。
ヒーローシューター系のゲームと言えば個性豊かで魅力的なキャラクターを操作し、複数のプレイヤーがチームを組んで相手チームと撃ち合うマルチプレイのゲームであり、先ずゲームのキャラクターが魅力的かという点が重要視される(キャラに人気が集まればSNSなどを通して口コミが広まり、より注目されやすくなる寸法である)。
また、トレーラーのコメント欄にて特定の思想をうかがわせるコメントが散見されており、ゲームの内容よりもやたらキャラ背景を前面に押し出すアピールの仕方もあって、開発陣にポリティカル・コレクトネス志向の強い人物が居るという疑念をユーザーに抱かせた。
次に同ジャンルのゲームが市場に溢れかえっている点が注目されており、redditの書き込みにも「ユニークな点が無い」など、他タイトルと比べても突出した魅力が見られない事に不満が出ていた。
当作品と同ジャンルのゲームには『Overwatch』『Valorant』『ApexLegends』といったヒット作品が既に幅を利かせており、「完成した頃には既にレッドオーシャンと化していたという市場の読み違い」を指摘する声もある。
確かにもし上記のタイトルより先にリリースできれば、ジャンルのパイオニアとして一定のユーザーを獲得できたかも知れないが、その場合は「より魅力的な要素を持った後発のタイトルに取って代わられる」事になるかもしれない為、いずれにせよ結果的に長続きしなかったであろうという見方も出来る。
(上記のようにキャラクターデザインや他タイトルとの比較など、不安要素がいくつかある)
また、上記三作を基本無料と称し、「基本プレイ料金無料のゲームが既に幅を利かせており、その割高感が消費者を敬遠させたのではないか」と推測する声もあるのだが、Overwatchは続編から基本無料になったゲームであり、有料だった頃でも人気を獲得していた。
この事もあってか「ヒーローシューター系は無料有料以前にゲームやキャラクターが持つ個性や魅力が大事であり、『Concord』はキャラの魅力が無いから不人気でサービス中止したのではないか」と考えやすくなっている。
そもそも無料だったオープンベータのプレイ人数も減っていた時点で、「割高感による消費者の敬遠」に原因があるとは言い難い。
サ終後賑わう企業の話
なおサービス中止後、『Concord』を開発した企業である『Firewalk_Studios』に関する情報がネットに公開され、ゲームとは別に話題となった。
ノンバイナリーを自称して『教授(Professor)』と呼ぶよう強要していたとされる開発者についてのリーク情報やシニアコンセプトアーティストがXで行っていた問題発言など、開発陣内の思想の強さを表す情報が注目されるようになり、上記の疑惑の答え合わせとなった。
(因みにゲーム内のスタッフ紹介にProf(教授)が付いてる人物名が確認されており、『教授』を自称する人が開発に居た事が確実視されている)
ポリコレことポリティカル・コレクトネス志向の強い企業は、その強烈な思想ゆえにしばしば排他的な言動が目立つ傾向があり、批判する人達へのレッテル貼りなど過激な行動を取る事もあるため、敬遠されたり、炎上の的になりやすい。
実例としてキャラのモデルアニメーションを担当していた『Concord』の元開発メンバーがXにて、批判する人の事を「才能のない変人」と呼んで非難していた事で炎上している。
作品と言うものは作る側の感情や動機が入るものであり、作品が批判される要因から作る側の思想を切り離す事は出来ない。
思想が強すぎる余り自分達の考えを作品に入れ込み過ぎるのはポリティカル・コレクトネス志向の強い企業にありがちなケースであり、見る側遊ぶ側の事はおろか出来栄えについてすら全く考えない作品が出来て批判される事が多い。
(「強い女性像」や「包括的への取り組み」などと語って行きすぎた思想的活動をしたせいで、シリーズものの人気が落ちるという事態を招く場合もある)
余談
2024年8月に製作中と発表された、15タイトルのゲームを題材にしたアンソロジーアニメーションドラマ「Secret Level」のタイトルのひとつに選出されている。
ゲームサービス終了後の映像作品に関する動向は、公式からのアナウンスは現状なされていない。
関連タグ
セミ:開発期間と実動期間の差からこう例える向きがある。
コンコルド効果:何の皮肉か同じ語源の飛行機が似たような末路を辿ったことが由来。