概要
クロドクシボグモ(黒毒絞蜘蛛)とは、南アメリカに生息するシボグモ科の蜘蛛の一種。
学名「Phoneutria nigriventer」。和名は他にも「ブラジルドクシボグモ」「ハラクロシボグモ」などがあり、英語ではブラジルなど生息することから「Brazilian wandering spider」(ブラジリアンワンダリングスパイダー)と通称される。また後述の経緯から「バナナグモ」というあだ名を持つ。
体長5cm、脚を広げて最大15cmほどで、同科の中では大型。全身に微毛が生えて、背面は淡い茶色で地味だが、前2対の脚の裏に派手なオレンジと黒の模様を帯びて、牙(鋏角)も赤い毛に覆われている。これらは頭と前脚を上げて威嚇する際に特に目立つ。
生態など
夜行性で網を張らないタイプの蜘蛛であり、夜間はジャングルを徘徊する。そして日中になるとシロアリの巣、岩や木の下、ブロメリア科の植物、そしてバナナの木などで休む。バナナの木で休むことと、蜘蛛がバナナの実に紛れ出荷される事故とが合わさってバナナグモというあだ名がついた。
牙は昆虫などの小型の獲物用であり人間のような大型哺乳類向きではなく、噛むのは主に警告としてであり毒を注入しないことも多い。だがその毒は人間に対してセアカゴケグモやシドニージョウゴグモより危険とされ、呼吸不全による死も確認されている。警告時には体を大きく振り上げ威嚇するがそれを振り下ろすことで毒が注入されやすいことや、人間の生活圏に近く存在することも相まって、警戒が必要な蜘蛛とされる。