概要
『週刊少年ジャンプ』2020年20号から2021年7号まで連載されていた、長谷川智広によるギャグマンガ。全4巻。読切『森林守護者モリキング』(単行本2巻末に収録)が好評につき連載が開始された。
カブトムシをはじめとする昆虫たちを擬人化した漫画であるが、そこは鬼才の長谷川。安穏とした話になるはずもなく、人間界の常識を逸脱した狂気溢れる世界が読者を待ち受けている。
あらすじ
都内の昆虫大好き少年・藍川翔太はカブトムシの幼虫に「モリキング」と名付け、そんなに虫好きでもない姉・勝子と共に羽化を今か今かと待ちわびていた。しかしサナギを破って現れたモリキングは、頭から角を生やした全裸の美少年となって変態(生物学的用語)した!
実は今年は、数億年に一度昆虫たちの世界で最強の「王」を決める「森林王」決定戦の年であった。昆虫と人間(約1名)、深い愛を受けて育ったモリキングは、昆虫の為に人間を滅ぼそうとする虫たちにNoを突き付けるべく、人間社会のモラルからちょくちょく逸脱しつつ森林王を目指すのだった。
登場昆虫
人間昆虫(昆虫人間?)のキャラクターの名前は、該当する虫の名前のアナグラムになっていることが多い。
森林王候補
藍川モリキング(あいかわ-)
山梨県韮崎市の王都メガロコナラ出身のカブトムシ(オス)。イケメンに変態(生物学的用語)する力を得た。
真桐王香(まきり おうか)
勝子と同じアルバイト先で出会い仲良くなった親友。しかしその正体は森林王候補者の1人で、オオカマキリから変態(生物学的用語)した肉食系女子(生物学的用語)。
左村王器(さむら おうき)
森林王候補者の1人。オオムラサキから変態(生物学的用語)したヤクザ風のワイルドな青年。左目に大きな傷跡がある。学名はSasakia charonda(ササキア・チャロンダ)。北海道栗山町出身で、王国を束ねる「王家紫組」に属する。
鈴桴愛王(すずばち めお)
森林王候補者の1人。オオスズメバチから変態(生物学的用語)した黒ギャル風の褐色少女。学名はVespa mandaarinia(ヴェスパ・マンダアリニア)。高知県四万十市出身。
戦闘時にはお尻から針が生える。
鍬田王我(くわた おうが)
森林王候補者の1人。オオクワガタから変態(生物学的用語)した青年。頭にクワガタを模した大顎が生えている。学名はDorcus hopei binodulosus(ドルクス・ホペイ・ビノドゥロスス)。
護衛虫(ソルダード)
詳細は護衛虫を参照。
地球王(ホシキング)候補
世界から選び抜かれた4人の候補達。
ヘラクレス
ヘラクレスオオカブトから変態(生物学的用語)したツートンカラーの髪に2mくらいある長い角が特徴の青年。学名はDynastes hercules(ディナステス・ヘルクレス)。モリキングと同じく人間になるのを拒否した。
コーカサス
コーカサスオオカブトから変態(生物学的用語)した鎧を着た巨漢。読み切りに登場したアトラスオオカブトと酷似している(どちらも同じカルコソマ属に属している)。学名はChalcosoma chiron(カルコソマ・チロン)。モリキングと同じく人間になるのを拒否した。
筋肉娘の俺っ娘。別名オバケコロギス。地球王決定戦第一回戦でモリキング・王香チームと大食い勝負で対決した(モリキングはお冷一杯を飲んで満腹になった)。学名はSia ferox(シア・フェロックス)モリキングと同じく人間になるのを拒否した。
貴族風の衣装を着た男性。生きる価値があるのはあるのは美しく強いもののみと考え日本の虫たちを見下している。黒白目。学名はDorcus titanus palawanicus(ドルクス・ティタヌス・パラワニクス)モリキングと同じく人間になるのを拒否した。
その他の昆虫
モリキングと王牙の師匠。タヌキに捕食された。学名はDorcus rectus(ドルクス・レクトゥス)
王香の体内に住んでいた寄生虫。厳密には昆虫ではないが変態(生物学的用語)した。(本来のハリガネムシは変態をしない)
学名はGordioidea Rauther(ゴールディオイデア・ラウザー)。人間になったかどうかは不明。
メネラウス
地球王の進行役をしているモルフォチョウから変態(生物学的用語)した老人。学名はMorpho Fabricius(モルフォ・ファブリシウス)
人間になったかどうかは不明。
登場人物
藍川家
藍川勝子(あいかわ しょうこ)
本作のヒロインにして人間サイドの主人公(ワトソン役)。
ポニーテールの美少女だが、自意識過剰な高校1年生(読み切り版では中学3年生)。作中No.1の常識人であり、どんな異常事態にもツッコミを入れる。彼女がいなければこのマンガは成立しない(意外にも作者初のツッコミヒロインだったりする)。
柔道日本一記録を持つが、中3の時に体育以外の全教科で赤点を取ったことがある。
藍川翔太(あいかわ しょうた)
翔子の弟で昆虫大好き小学3年生(読み切り版では小学6年生)。
モリキングのどんな天然発言もすべてマジで受け取る純粋すぎる心を持つ。
カブトムシの学名をスラスラ言えるほど昆虫の知識も豊富だが、その情熱は若干常軌を逸している。
※藍川姉弟の名前はカブトムシ好きの芸能人の哀川翔に因む。
藍川晟(あいかわ じょう)
勝子と翔太のパパ。顔つきは翔太似。顎髭に眼鏡といったよくある父親スタイルの成人男性。モリキング(幼虫)を買ってきた張本人。
人間に変態(生物学的用語)していたモリキングを勝子の彼氏と勘違いしてひと悶着を起こす心配症パパ。夫婦のヘソクリでマウンテンバイクを購入したことが家族会議の議題に挙げられたことがある。また、勤続20年の祝い…ではなく自分へのご褒美として買ったプリンの事で家族を疑うと言った子供っぽいところがある。
王香のせいで禿げたり、王我が家に襲来した際には家族を守ろうとするもあっという間に全裸にされるなど、つくづく気の毒な父である。
藍川夏(あいかわ なつ)
勝子と翔太のママ。常に笑みを絶やさない穏やかな性格。少々ドジだが、意外と順応性が高く、息子と共にモリキングを快く受け入れた。夫を尻に敷いている。
藍川秋雄(あいかわ あきお)
勝子と翔太の母方の祖父。久しぶりに遊びに来た藍川家でモリキングの存在などに驚愕しつつも、モリキングに孫達を託した。
藍川冬子(あいかわ ふゆこ)
勝子と翔太の母方の祖母。孫の翔太や娘の夏と同様、細かいことは気にしない順応性の高い性格で、モリキングの存在をすんなり受け入れた。
その他
花井桜(はない さくら)
翔太の同級生で藍川家の隣家に住んでいる少女。翔太に密かに想いを寄せている。
翔太と並ぶ純粋過ぎる性格の持ち主で、庭で幼虫だった王器とルリを見つけて保護し、変態(生物学的用語)した後に犬のチャッピーに続くペットとして飼うようになった(一応両親からの承諾は得ているが、父親は号泣していたらしい)。
というかこの2人に限った話ではなく、この町の小学生には昆虫人間たちは何の違和感もなく受け入れられている。純粋な子供たちである。
ちなみに「花井」という姓は、作者の前々作『恋のキューピッド焼野原塵』のヒロイン・花井ユリ子と同じ。
勝子の親友。黒髪ショートの少女が一美、両目隠れの少女がヒロ子。よく二人組で行動しており、モリキングを勝子の彼氏と勘違いしているが、勝子の紹介で王香と仲良くなった。
的場甲一(まとば こういち)
翔太がモリキングを購入したペットショップ『ペット天国』の店長。モリキングと王我に自分が昔使っていた道場を修行の場として提供した。
用語解説
森林王
数億年に一度生まれるという昆虫の王。地球で最も数が多い生物である昆虫を従える事は、地球の生態系そのものを支配するに等しいのだという。
何故か今年は人間に変態(生物学的表現)する候補者が5人も登場している。
作中ではカブトムシのモリキング(関東・中部ブロック)、オオカマキリの王香(東北ブロック)、オオムラサキの王器(北海道ブロック)、オオスズメバチの愛王(近畿・中国四国ブロック)、オオクワガタ(九州ブロック)の王我の5人であったことが判明した。
護衛虫(ソルダード)
森林王候補直属の部下。2匹まで認められる。
関連イラスト
関連項目
恋のキューピッド焼野原塵/青春兵器ナンバーワン:狂気溢れる前々作と前作。
テラフォーマーズ:昆虫人間同士のバトルという点は共通しており、この作品自体もきれいなテラフォーマーズ、ギャグ寄りのテラフォーマーズとも呼ばれている。
ジャングルはいつもハレのちグゥ:こちらでもアレの擬人化が登場している。
侵略!イカ娘:作中舞台が夏、擬人化した生物が主人公である点で共通。
甲虫王者ムシキング:間違いなく元ネタ。命知らずにも2巻でこれに関する質問を送ってきた読者がいた。さらには本編にもこれだと思われるカードや筐体が出てきた。