前後のストーリー
概要
2003年11月9日放送。
澤田亜希/スパイダーオルフェノクが最期を迎えた回にして、乾巧/ウルフオルフェノクが人間として生き、ファイズとして再び戦う決意を固めた回でもある。
あらすじ
新たなツール・ファイズブラスターで乾巧が変身した仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム。
真紅の身体から繰り出される攻撃に、北崎/ドラゴンオルフェノクは初めての敗北を味わう。
変身を解いた巧に、戻ってくるよう頼む園田真理。
しかし、草加雅人/仮面ライダーカイザがそれを許さなかったため、巧は「すまない…」と真理に言い残してその場から去ってしまう。
その後、重苦しい空気に満ちた菊池家の食卓にて、真理は菊池啓太郎や草加と共に夕食を取っていた。
巧が今何処でどうしているのか心配している啓太郎は自分の無力さに涙を流し、真理はそんな啓太郎を励まし、草加は真理や啓太郎が自身の思惑通りにならなかったことから憮然とした表情で夕食を食べるのだった。
その頃、児童養護施設「創才児童園」を長田結花/クレインオルフェノクと共に訪れた海堂直也/スネークオルフェノクは、子供達の歓心を買っていた。
海堂が創才児童園を訪れたのは、以前起きたビル火災で啓太郎と共に助けた少年・鈴木照夫と会うためだった。
実はこの時、創才児童園を訪ねた人物達がもう1組いた。それは添野刑事と沢村刑事だった。
添野は一連のビル火災事件にスマートブレインが絡んでいる…と睨んでは見たものの、証拠どころか根拠や動機も見出せなかったため、取り敢えず、ビル火災事件の生き残りである照夫を訪ねてやって来たが、創才児童園は何とスマートブレインが運営する施設であった。
そして、添野達は海堂と結花が偶然出て行くのを見かけ、結花を見た沢村が「どっかで見たような…」と口にしたのだった。
一方、阿部里奈は三原修二を説得していたが、錯乱した三原はあろうことかデルタギアが収納されたアタッシュケースを道路に放り投げてしまう。
今は亡き親友・木村沙耶の形見でもあるそれを追って道路に飛び出した里奈は、そこに通りかかったトラックに……。
その頃、巧はバー・クローバーにいる影山冴子のもとを訪れ、ラッキークローバーのメンバー全員と戦う、と決闘を申し込む。
しかし、冴子はその真意を見破った。
巧は、ラッキークローバー全員を倒して、自分も死ぬつもりでいると。
何かと巧の面倒を見ていた冴子も、巧が言う事を聞きそうにないと悟り、その申し出を受ける。
バー・クローバーを出た後、地下駐車場でバイクにまたがろうとした巧の前に、ラッキークローバーの元メンバーにして元流星塾生の澤田亜希/スパイダーオルフェノクが姿を現す。
澤田は、何故真理が、自分と同じオルフェノクである巧を信じるのか、と問いかける。
だがその時、澤田の右手が灰化を始め、澤田が苦しみ出した。
巧「澤田?」
澤田「そろそろ限界か…。俺もやっぱり…、失敗作だった、ということらしい…」
巧「失敗作? どういうことだ?」
澤田は、一度は死んだ元流星塾生が何故生きているのか、真理と草加には話せなかった真実を巧に語り出す。
澤田「全てはスマートブレインの陰謀だったんだ…」
灰化した者を除いて、北崎/ドラゴンオルフェノクと青沼/スロースオルフェノクに一度殺された澤田達元流星塾生はスマートブレインが運営する研究施設に運び込まれ、人工的にオルフェノクを作り出す実験の被検体にされた。
(ただ一人の例外を除いて)同窓会で起きた悲劇の記憶を消され、その身体にオルフェノクの記号を埋め込まれて、彼等は生き返ったのだ。
しかし、真理のように二度も死に瀕しながらもオルフェノクに覚醒しなかった者がいたことから、実験は失敗だった。
唯一オルフェノクとして覚醒した澤田も「失敗作」であり、度重なる戦闘によるダメージで余命幾ばくもない状態であることから、巧の目の前で倒れてしまう。
一方、デルタギアを守ったことで大怪我を負い病院に入院した里奈を前に、罪の意識に苛まれながらも、三原は尚も悩み続けていた。
そんな三原に、里奈が声を掛ける。
里奈「帰る家が無いからこそ、一生懸命生きてるんじゃないかな…そうすれば、そこが自分の居場所になると思うから」
里奈のこの言葉を受けて、三原は……。
一方、意識を取り戻した澤田は、巧が自分を駐車場から教会だった場所に連れ出し、傍にいてくれたことに困惑し、「どういうつもりだ?」と尋ねる。
対する巧は 「あんたも被害者だからな」 と返した。
澤田「分かったよ。何故真理が、君を信じるのか」
そう言った澤田は、次の瞬間、巧を気絶させた。
その後、真理に電話を掛け、巧の居場所を教える。
澤田「奴を、助けてやってくれ」
真理にそう言い残した澤田は、その場を去る。
その後、目を覚ました巧は、真理が目の前にいることに困惑する。
一方、とある河川敷には、ラッキークローバーの三人と澤田がいた。
琢磨「何故君がここにいるんです? 我々の相手は、乾巧の筈ですが?」
澤田「選手交代さ。あんた達の相手は……俺がする」
一方、己の心にあるオルフェノクの本能への恐怖が原因で再起出来ない巧に対して、真理は声を掛ける。
真理「じゃああたしのことを信用して。巧を信じているあたしを信じて。あたし、巧より巧のこと知ってるから」
真理のその言葉で心が動こうとしていた巧の携帯電話が鳴る。
着信の相手は、冴子だった。
冴子『あなたどういうつもり? あなたが戦うんじゃなかったの? 澤田君…妙に張り切ってる。あなたの代わりに戦うって』
澤田がラッキークローバーと戦おうとしていることを知った巧は問い詰めようとするが、通話を切られてしまう。
真理「どうしたの巧?」
巧「澤田がラッキークローバーと戦おうとしている…。本当は俺が戦う筈だったんだよ…!」
真理「もしかして澤田君…巧を助けようとして?」
巧「澤田が…俺を?」
澤田が自分を助けるためにラッキークローバーと戦おうとしていることを知り驚く巧に、真理は澤田から巧を助けてやってくれと言われたことを伝える。
真理「やっぱり、澤田君も人間だったんだよ。巧だって…オルフェノクの力に負けるかどうかは、自分次第なんだよ」
巧「澤田が、俺のために…」
そうして、巧は再び立ち上がる。
一方、真理を尾行していた草加のカイザフォンが鳴る。着信の相手は、三原だった。
草加「三原か?」
三原「草加…俺も戦う。今度こそ本当に、デルタとして」
里奈の言葉によって、本当の意味でデルタとして戦う決意をした三原は、デルタギアが入ったアタッシュケースを手に病院を出るのだった。
一方、戦おうとしないラッキークローバーに対して、澤田が挑発する。
澤田「どうした? 俺が相手じゃ不服なのか?」
それに応じたのは、前回の戦闘でファイズに敗れた北崎だった。
北崎「別に…今日は機嫌が悪いんだ…。相手は誰でも構わない…!」
北崎がドラゴンオルフェノクに変化したのを皮切りに、澤田もスパイダーオルフェノクに変化。3対1の戦いが始まる。
無論、スマートブレインに属するオルフェノクの中で上位の強さを持つ3人を相手に、スパイダーオルフェノクに勝ち目は無かった。
やがて、ドラゴンオルフェノクに吹き飛ばされた先に、草加が現れる。
澤田「草加…」
草加「澤田…お前がどう変わろうと…お前の罪は許されない!」
草加はカイザに変身し、容赦なくスパイダーオルフェノクを攻撃し、更にはゴルドスマッシュを放つ。
スパイダーオルフェノクはそれを自身の武器である八方手裏剣で防ごうとするが、八方手裏剣を破壊され吹き飛ばされてしまう。
カイザ「澤田ァ…!」
スパイダーオルフェノクにトドメを刺そうとするカイザだが、ドラゴンオルフェノク達に襲われる。
その隙にスパイダーオルフェノクがその場から逃走すると同時に、三原が現れる。
三原「草加…。変身!」
三原はデルタギアでデルタに変身すると、カイザに加勢するべく突撃した。
一方、スパイダーオルフェノクは橋の上で足がもつれ、オルフェノクの変化が解けた状態で川辺に落下した。
ラッキークローバーとカイザとの戦闘で致命傷を負い、最早限界だった澤田のもとに、巧と真理が駆け付ける。
澤田「真理、すまない…。俺は……人間としても、オルフェノクとしても、生きられなかった……」
そう謝罪する澤田に対して、真理は涙声でこう返した。
真理「そんなことない…!澤田君は人間だよ…!昔の優しかった澤田君のままだよ…!」
澤田「真理……」
それを聞いて、幼かった頃の真理と今の真理の笑顔を思い出した澤田は、微笑みを浮かべたまま、青い炎に包まれ、灰となった……。
一方、ラッキークローバーと戦いを繰り広げていたカイザとデルタは、数の上で不利であることと三原がデルタの力を使いこなせていないこともあって変身解除に追い込まれてしまう。
そこに駆けつけて来たのは、ファイズギアを片手に持った巧だった。
巧「俺は戦う…人間として、ファイズとして!」
それを合図にして、巧達はそれぞれのベルトを装着する。
三原「変身!」
草加「変身!」
巧「変身!」
そうして、ファイズ・カイザ・デルタに変身したのだった。