「私も夢が欲しい。小さくても良いから……」
演:加藤美佳(現. 我謝よしか)
概要
クレインオルフェノクに変化する少女。17歳。
内向的で常におどおどしているが優しい性格。しかし、幼い頃から苛酷な環境にあったため、内には人間への強い憎悪を抱いている。
オルフェノクとしての力と辛い過去に翻弄され続ける、薄幸のキャラクターと言ってよい。
本編での活躍
養父母や義理の妹、更に通っていた高校のクラスメイトからカツアゲに遭うなど陰湿ないじめを受けており、ただ一人のメル友が友達という孤独な生活をしていた。
そのメル友と会えるかもしれなかった矢先、歩道橋から転落し死亡、クレインオルフェノクとして覚醒した。
オルフェノクとなった彼女は、轢き逃げに遭いかけた義妹の命を救ったものの、それが面白くない妹に濡れ衣を着せられて家を追い出され、遂に今迄自分をいじめていたバスケットボール部の部員を一人残らず殺害してしまう。オルフェノク特有の聴覚を使ったことが仇となったのである。尚、脚本家の井上敏樹氏曰く、養父母も後で殺害したらしい)
そして、行き場を失い途方にくれているところで助けられた木場勇治、その後同じく拾われた海堂直也と行動を共にするようになった。なお海堂の過去や心に秘めたギターへの想いに偶然ながらいち早く向き合う機会があったことで、淡い恋心を抱いていたが、奇矯な言動を好む上にハッキリものを言い過ぎる海堂とは噛み合わず、告白までしたもののその思いが実る事は無かった。
表面的には木場の思想に賛同し、下記の様な守るべき価値のある善良な人間達に対しては優しく接するが、同時に上記のような醜悪極まりない人間達に虐げられ続けた過去のトラウマが原因で、内に秘めていた弱者を虐げ喰い物にする悪人達への憎悪を抑えることが出来ずにいた。
その結果、街を歩いて質の悪い相手にわざと絡まれては(同情の余地の無い悪人限定とはいえ)、「自衛(実際はただの憂さ晴らし)」を名目に密かに通り魔的な殺戮を衝動的繰り返してしまうなど、木場や海堂に比べて殆ど狂気に堕ちかけている。
木場や海堂には最後まで知られることはなかった(表の面しか知らない木場には「君に人を襲えるはずがない」と面と向かって言われるなど妄信されており、複雑な表情を浮かべていた)が、偶然現場に居合わせた乾巧(結花の行為と本心を知った巧が、オルフェノクをただ倒すことに躊躇するきっかけとなった)や、スマートブレイン側には知られており、木場や海堂と違って処刑対象に入っておらず、むしろ村上峡児や影山冴子の手配でラッキークローバーへの勧誘を受けてもいたが、どっちつかずで二面的な生活を続けていた。
また、園田真理や菊池啓太郎達とも面識を持ち、啓太郎からは一目惚れされるが、啓太郎こそが自分の支えであるメル友であったことは互いに知らないままであった。むしろ、おどおどしていて鈍臭い啓太郎と、人間不信のコミュ障な彼女では、すれ違うことが多かった。
とはいえ、啓太郎達のようなこれまで自分の周囲には居なかった温かい心を持つ人々と直に出会えたことから、傷心も癒やされていき、改めてそういう人達を守りたいという思いが強まり、人とオルフェノクの間で板挟みになっている自分を変えたいと考えるようになっていき、「正当防衛」を盾にした殺戮もしなくなった。
物語終盤に研究機関に捕らえられ人体実験を受け、安全のために啓太郎達の住むクリーニング屋に居候することになる。そこで初めて、啓太郎が自分のメル友であったことを知り、彼に恋心を寄せる。当初はオルフェノクであることで自分に引け目を感じていたものの、啓太郎が受け入れてくれたことで、晴れて結ばれた。
しかしその直後、警察に襲撃され、実験の後遺症で変化能力を失っていたところを、ロブスターオルフェノクに致命傷を負わされてしまう。皮肉にもそれは自分が人知れずやっていた身勝手な殺戮の所業と何も変わらず、それ等の因果がそっくり自分に返ってきたのである。
最後は残された力を振り絞ってデートの約束をしていた啓太郎に別れのメールを送り、灰となって消滅。その生涯を終えた。
結花の死はそれを知った木場や巧の心に深い絶望を齎し、木場が人間を見限りオルフェノクの世界を創るために動き出す要因となってしまった。
他媒体
『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』
本編と同じく木場・海堂と行動を共にしているが、啓太郎との仲は描かれていない。また本編とは違って控えめながらもコミュ障や不安定さがない凛とした性格になって(怪人態も本編では到達しなかった激情態に至っており、本編より正面切っての戦いを繰り返したことで色々と吹っ切れたのだろうか)いる。恋心も完全に海堂一筋で、本編では振り回されていた海堂の発言についても上手くフォローしつつ受け流し、むしろ自分に対する恋心に気付いていながらも思わせぶりな発言をするなど舵をとっている。
終盤、スマートブレイン潜入の際にエラスモテリウムオルフェノクと戦闘するも、圧倒的な戦闘力の前に敗北。海堂と想いを伝え合って死亡した。ノベライズ版でも同様。
『仮面ライダー555 正伝 ―異形の花々―』
大筋はTV本編と同じだが、幼少期には赤熱したガラスを身体に押し付けられたり、地下室に監禁されたために蟻を食べて空腹を凌ぐなど壮絶な虐待を受けていた。義務教育すら受けさせて貰えず、常識を身に付けられずに育っており、口がきけず筆談や手話でしか会話ができない。最終的に受験をしてもいないのに「学校に通える」と嘘を吐かれ、それを真に受けて高校へ登校して嘲笑されるなどといった手の込んだイジメを受けて人生に絶望。自らの髪を使って首吊り自殺を遂げ、オルフェノク化した。
TV本編でも公式美人の設定ではあったが、こちらでは先述の口がきけないという要素が儚さを醸し出していることもあって真理に「美し過ぎる」と評されるほどその美貌に拍車がかかっており、やはりウブな啓太郎からは初期から好意を抱かれている。
当初はその境遇から「惚れた弱み」で立場の弱い敬太郎に対する加虐癖に目覚め、彼の好意に向き合わず交際するという名目で冷たい仕打ちをして遊んでいたが、終盤になって彼の愛情が本物であったことと、メル友として自分を支えてくれていたことを知り、本格的な恋愛関係になった。
やがて啓太郎の子を妊娠したが、デートの直前に草加雅人率いる仮面ライダーカイザ部隊の襲撃を受け、翼や腕を斬り落とされる等嬲り殺し同然の戦法で惨殺されてしまう。彼女の死は木場を激怒させ、本編同様、物語がクライマックスへ向かう起爆剤となる。
但し、TV版とは異なり灰化した結花の死体からは、僅かな期間で赤子にまで成長した胎児が発見された。駆け付けた海堂によって赤子は勇介と名付けられ、彼の息子として育てられる事になる。
海堂は啓太郎に配慮して結花の死を伏せたため、啓太郎が結花の消息を知ることは無かった(但し、勇介が自分の子であることには気付いており、別れのメールも受け取っていたため事情は概ね察している模様)。
TV版より境遇は酷い一方で、末路はTV版よりも救われているという本編との逆転現象が起こっている。
『小説 仮面ライダーファイズ』
『異形の花々』の加筆版。加筆された後日談「五年後」では勇介が主人公となり、人間とオルフェノクのハーフである勇介が両種族の共存の可能性を見出す事を示唆する形で物語は幕を閉じる。
キャラソン
太陽の影 月の夜
pray for you
劇中未使用。
余談
結花が虐めを受けるシーンの演技では、虐めっ子役の女優達は結花役の加藤美佳女史が大怪我を負わない様に、バスケットボールが身体の硬い部分に当たる様に努めたとのこと。
関連タグ
友田由里:彼女の名前は園田真理と長田結花の2人に由来すると思われる。
棟宮のぞみ:『仮面ライダー913』に登場する代替キャラクター。
鈴木深央:脚本家が同じ作品のサブヒロインの後輩、「気弱かつ人見知りで内向的だが、優しい性格」「年齢が10代」「正体が怪人」「思いを寄せる人物がいる」「最終的には戦いの中で重傷を負い、弱ったところを敵幹部によってとどめを刺されて死亡・消滅する」「小説版では2号ライダーに殺害される」という共通点がある。
イユ:鳥がモチーフの怪人に変身するライダーヒロイン。一度命を落とした後に怪人になった。ただし、彼女は漆黒のカラスの姿に変身し生前の家庭環境そのものは良好だった。
玉置豪:過去にいじめを受けていた事がきっかけで怪人になった人物。